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白熱教室、『占領と改革―シリーズ日本近現代史〈7〉』『大阪―大都市は国家を超えるか』

某NH/Kの白熱教室の今月からのやつ、見始めました。4回シリーズの1回目。
あまり期待せずに見始めたのですが、見終わった後ときめきが止まりませんでした。

面白かった…!!!!


ピケティさんの講義は楽しく見たんですが、次のリーダーシップ論は1回見て
まあ、そこまで一生懸命追わなくても良いかな、と思ってパス、
今回のは「最新物理学者が未来を語る」みたいな煽り文句だったので、
同じ局でやってた、「NextWorld」未来の生活はこうなる!みたいな全6回くらいの
割合真面目な番組と似たようなものかな、と思ってとりあえず録画して見たんです。



まず、お、と思ったのは、講師がミチオ・カクという名前の日系の方だっということ。
あれ?この人、見たことあるな、と思ってたら、
「カク博士は超弦理論を提唱しています」みたいなテロップがあって、思い出しました。

数年前にやってた『神の数式』という3回番組で出てた人だ!!


あの番組も、前後して読んだ『世界はこう考えられている』っていう本も
ものすごい面白かったんですよ!!!
相変わらずわたしは数字に弱くて、あんまり難しい数式とか理論に踏み込むと途端に
チンプンカンプンになってしまうのですが、
今回はそこまで実践的に自分で数式組み立てて、という抗議でもなさそうだったのが幸いしました、
なんとかついていけそうです。

まず、初回は現在物理で考えられている4つの力と、それがどんな経緯で誰に発見されたかの
「科学史」といった回。
前回の『神の数学』と『世界は』で得たおぼろげな知識が訳だってますよ!
4つの力て、あったな、ソレ!
ものすごいぼんやりとしか覚えてないけど、初聞きじゃないってだけで
ちょっと心強いですね。理解がしやすかった。
後、超弦理論って、あれよな。『神の数式』で得たものすごい大ざっぱな理解では、
物質を形作ってるものを小さな点(何か、砂粒のようなざっくり球形のもの)と仮定すると、
どうしても数値が狂って計算式が「無」に行きついてしまう。んなわけないやん。という矛盾を、
そうだ、点だと考えるからダメなんだ、ゴムのような輪っか状のものがぷるぷる震えていると仮定してみたら
どうだろう、という考えのもと提唱された説。

標準理論(量子論)と相対性理論を一つにすることが出来れば、それはまさに
万物の理論(THEORY OF EVERYTHING)
つまり、神の数式ですよね、ワクワクします!
いや、エピジェネティクスの例みたいに、遺伝子が分かれば全部遺伝が解明できると思ったら
ことはそう簡単じゃなかった(更なる迷路に迷い込んだ)、ということもありうるから、
万物の理論が考え出されても、そうそう簡単には世界の謎すべてが明らかにはならん気がするけども。
ないかもしれんものをあると信じて探すのって浪漫だよね!

以下、心に思ったこと。

・ハレーすい星のあの人(かどうかわかりませんが、ともかく)ハレーさん。
この人が、ニュートンのプリンキピアだっけ、ともかく彼の名著を世に出した立役者だったらしい!
この人、金持ちの商人で、趣味で天文学やってたそうなんですけど、
彗星が夜空に姿を現して一世を風靡した時、有名なニュートンに会いに行って、彗星について尋ねたらしい。
ニュートンは既に重力を発見した後で、彗星の軌道も重力の法則にのっとって計算済みで
そのことをさらっとハレーに説明したらしい。
「え。すごいやん!本出せばいいのに」
「でも金がなくて」
「わたしが出しましょう!」
こういう感じだったようです。ハレーさん、かっこいい…!

・ニュートンが考えた月がどうして地球の周りをぐるぐる回っているかの説明が
ものすごい分かりやすかったです。

・おまけにニュートンさん、自分の理論計算に必要だからって微分積分を考え出したらしい。
理系の天才、すごいな!

・光とは電場と磁場が次々に入れ替わるものらしい。(あほゆえにそれがどういうことなんかようわからん)

・重力が弱いと時間が早く進むらしいよ!実際に人工衛星とか月とかだと地球の上と時間の進み方が
違うらしいよ…!!
マジか!!!!

・相対性理論にはブラックホールの中心とビッグバンの説明が抜けており、標準理論では重力の説明が抜けているらしい。

・超弦理論は量子論の矛盾になんとか答えを用意するための解決策の一つにすぎないんだけど、
この説によれば、原子を構成する要素たちはそれぞれに固有の周波で振動する輪っかなのです。
全ての素粒子は音、なのですよ。
なんか、美しいな。
世界は音でできているって言ったの、ピタゴラスだっけ、忘れたけど、
あながちウソでもないな、と思いました。もちろん想定している音とか音楽の定義は
大分違うんでしょうが。


アップしないうちに第2回も見てしまいました。
今回も面白かったよ!!
誰か!誰か見ている人はいないの!?

今回も心に残ったことをメモ書きで・

・ビッグバンの証拠②として、宇宙背景放射だっけ、それが発見された時の逸話を
講義で披露してらっしゃったのですが、
バックステージノイズ、なぜそれがビッグバンの証拠なのか、という点についての
根本的な説明はなかったんです。
物理学科学生にとっては自明の理なのかしら…。
凄いな…。

・最初は無限だと思われていた宇宙。
静的なもので、無限で、不変だと。わたしなど今でもそう思っちゃいそうになりますが、
言われてみれば、今尚膨張中…ってことは、風船みたいなもんで宇宙の境界線はあるし、
ビッグバンが起こったのは137億だか138億だか前だから不変でもないな。
 
・夜空はなぜ黒いのか。
黒い、ていうか、暗い、ということが、宇宙が無限ではないことを示しているのだそうで。
そんなこと考えたこともなかったけど、もしも宇宙が無限に広かったら、どの方角にも星が存在して
たとえ遠くてもそのうち光は届くから、空全体がもっと明るいはずなんだって。
なんか、分かったようなわからんような…

・文明の進み具合についてのタイプ分け。
もし、地球外生命体がいるとして、という話も大真面目になされてました。
居住惑星のエネルギーを完全に掌握しているタイプ1
居住恒星系のエネルギーを完全に掌握しているタイプ2
居住銀河系のエネルギーを完全に小学しているタイプ3
と分けたとして、地球人類はまだタイプ0だな!ちゅう話。

・11次元の世界
ビッグバンの前はなんやってん、と思っていましたが、
なんか、この宇宙の外側に、泡みたいにたくさん宇宙があって(並行宇宙)それが
ぶつかり合ったら新しい宇宙が出来るんじゃないかと考えられているらしい。
しかも隣の世界では物理法則が全然違う可能性が高い。
なんか、もう、ここまで来るとマジでSFの世界です。
科学を突き詰めると神話に戻ってくるという話。

・ダークマターとダークエネルギー。
暗黒エネルギーには重力があるらしい。
でも、太陽系にはほとんど存在しない、って聞いてちょっとがっかり。なーんだ。
まだ実在を確認できてない上に太陽系にはあんまりないなんて、
いかにも眉唾っぽいなと思わんでもないけど
あった方が面白いなあ。

・ブラックホールにつっこむと高速回転して光より速く移動→となりの世界へ行けるかも?
『無限航路』を思い出したよ。

・タイムトラベルについて
必要なエネルギーと反エネルギーを溜めたら可能かもしらんのだそうな。
早く作ってソクラテス先生を直見させてくれ…!!

・タイムパラドックスについて。
よくSF小説である過去に行って出来事を変えたら未来が変わるか、ってネタを
真面目に語っていらっしゃった。
超弦理論では、枝分かれ宇宙説推しらしい。
ちょっとまえに読んだ『バルバラ異界』のラストはこれなのだな…。と思い当りました。


占領と改革―シリーズ日本近現代史〈7〉 (岩波新書)

雨宮 昭一 / 岩波書店

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雨宮昭一著『占領と改革―シリーズ日本近現代史〈7〉』
日本の統治機構、から遡って、その統治機構がどのようにして確立したか、的な興味から…。
朝ドラなんかでよく戦前・戦中・戦後の描写は見るものの、
GHQとか、占領統治とか、いまいちピンときてなかったのですが、
これまたようやく、今さら、ちょっと分かりかけた気がします。
ていうか、アメリカに占領されてた時代があるって、もちろん知識としては知ってたけど
あらためて歴史的事実だと実感すると、なんかはっとなりますね。
日本の政府はその頃もあったけど、その上に占領軍がいて、政府決定も何もかも
アメリカの意思に直接支配されてた、て
日本史上初、というか。おおお!??と。
今だって政府はアメリカに配慮してますけど、それとは別次元で直で首根っこ押さえられているというか。

著者は、占領によってがらりと日本が変わった、という論調にいまいち抵抗があるらしく、
変化の兆しはそれ以前からあったのではないか、
ようするに、極端に全部アメリカの力、とせずに、日本側にも戦前すでに変化の萌芽があり、
それがGHQの圧力と、いろんな割合で作用して、戦後の日本が形作られたのではないか、
ということを、事例別に細かに検証していっています。

以下、メモ。
・なんか、戦後すぐくらいの政党名ってちょっと面白いですね。
「○○倶楽部」とかあるよ。

・今よりもっと一般人が政治に首つっこめるような混沌とした熱さ、みたいなのが目新しい。
天皇制をめぐるやり取りとか、

・GHQ側だってボランティアでやってるわけじゃないので、
アメリカの利益を第一に考えて占領政策を立ててるんですが(そらそうだよな)、
一枚岩じゃないので、時々、戦勝国側のうっぷん晴らしみたいな政策を
押し付けようとしたりしてますよ。
大体日本側の視点しか知らないので、相手側の事情が分かると面白いな。
ちなみに、理想論の実験を日本でしやがったな、みたいに見える制度なんかが
単純にアメリカ本国でそうしているから日本にも勧めただけだったりすることもあります。

・当初は徹底的に日本の牙を抜いて武装解除をしようとしたのが、
周辺諸国の共産勢力の台頭で方針が変更したり、その辺の政治的なあれこれが面白かったです。


大阪―大都市は国家を超えるか (中公新書)

砂原 庸介 / 中央公論新社

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砂原庸介著『大阪―大都市は国家を超えるか』
都市計画の本。
大都市と都道府県の関係や、制度の移り変わりなどが説明されています。
最初のあたりは、政令指定都市制度が出来るまで、でした。
その後県と市の権限の所在とか、プロジェクトの立て方とか、具体的な政策の数々、
矛盾など。
大阪都構想の話もちらっと出てきました。
一括行政を行おう、って話、実はこれまでも何度か案が挙がってて、
今回が初めてってわけでもないみたいですね。
そらそうか。
大阪は他の政令指定都市のある府県と違って、大阪府における大阪市の割合が大きいから
府と市のどちらにもそれなりの権限があるとお互いにやりにくくて仕方ないだろうなあ。
国もそうだけど、今は財源がさほどあるわけじゃないから、どこにどう使うかを明確にして
計画的に自治体運営すべきなんだよな。
なんか、ここでも自民党一党独裁の悪影響を蒙っててイライラしました。
極端な東京一極集中っぷりも垣間見えてモヤモヤもします。
いや、かりにも国の首都なので、ある程度は立派な方がいいなとは、国民としては思いますが、
それで地方が疲弊するのは勘弁してほしいのですよ地方住民としては。
うむむ、いろいろ考えさせられた。
# by mi-narai | 2015-04-13 22:29 | 2015年上半期の読書

雑記とゲームメモ(またか)

いきなりですが宣伝&おすすめ情報です。
きのことお花が専門の植物博士、田中修先生が
4月からNHKラジオでお話ししてくれますよ!
(上司がせっせとただで本をくれるのですっかり詳しくなってしまいました)
これまでも子供でんわ相談などで植物についての質問に答えてくれたりしてましたが、
今度は講義ですよ!
NHKラジオ第2、金曜日夜8:30から30分(再放送は金曜朝10:00から)
カルチャーラジオ 科学と人間」のコーナーで
タイトルは『植物の不思議なパワー』ですよ。
らじる★らじるでパソコンやスマホからでも聞けるから!

植物に興味なくても大丈夫、大体、なによりご本人がカワユらしいおじいちゃまで

喋りが、超絶!可愛いねん!!

何を隠そうフフルンスの語り口の参考にさせてもらった方のうちの一人です。
一人称「ぼく」でおっとりした関西弁(たぶん京都弁)で話されるの!
わたし一人で楽しむのももったいないので、じじいスキーの方は是非とも!



ブルーインパルス
見に行ってきました。
平日だし、3月は有給消化のために結構休んじゃったし、
仕事あるし休むの無理かなと思ってたんですがどうしても諦められず
上司の人に午前だけ休ませてくれと頼み込んで半休とって行ってまいりました姫路まで!


すっごい人だった…


ブルーインパルスなんて、一般の善男善女は興味ないだろ、
ミリオタとフライトシューティングファンのコアな集いになるかと思いきや、
そこいらが人で埋め尽くされて地面が見えないほどの人だかりでしたよ。
姫路のくせに!!

そもそも、電車からしてすごい混み具合でした。
満員電車に乗りなれないわたくし、1本目はあまりの混雑の酷さに気後れして乗れなくて
「いかん、これでは間に合わん!!」と反省の上、
2本目の新快速に隙間ないのを無理やり身体を押しこんで乗ったは良いけど
大体が普段はそれほど混まない路線、あまりの乗客の多さに対応できず、遅れに遅れ、
50分は早めに着くように家を出たはずが姫時着が開始20分前になり、
駅構内も人で埋め尽くされてて、改札機は切符を上に置いて通り過ぎるための台と貸し
姫路城へ向かう道も見たことないほど人だらけで、
もともとの開催場所だった三の丸広場は満員で入れず、大手前公園か屋敷跡に誘導され、
そこも人だらけという…

やはり、春休みというのもあって、小さいお子さんを連れた御家族が多かったように思います。
ものすごい健全でほのぼのとした雰囲気でした。
ごめんマニアなファンで。
普段そんな人ごみに自分からねじ込むことがないから、たまに行くと吃驚して必要以上に緊張しましたが
でも、なんか、お祭りみたいで楽しかったです。
天気もいいし、暑くも寒くもない良い陽気だし、みんな同じ方向に楽しそうな顔で暢気に歩いてて
パレードみたいでした!
でもって、肝心要の


ブルーインパルス、かっこよかった…!!!


単純に、写真でしか見たことなかったものが目の前に実際にある、ってのがそれだけでテンションあがりますね!

後、オタクな話で恐縮ですが、ゲーム内でさんざん見た飛行の速さ、まっすぐな機動、
青空をバックにした機体の美しさが、まさにそのままに眼前に展開されてて、
えも言われず素晴らしく、一人にやにやしてしまいました。
大変な目をして来た甲斐があったと思わせてくれました。


以下、ゲームメモです。
たいしてネタバレしてませんが、やっぱり畳んどきます。

ゲーム感想
# by mi-narai | 2015-04-01 00:53 | その他

ミステリー、『外国語をはじめる前に』 『開国の使者 ペリー遠征記』 『日本の統治構造』

本を隠すなら本の中に (創元推理文庫)

ローナ・バレット / 東京創元社

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ローナ・バレット著『本を隠すなら本の中へ』
本屋コージーミステリー第3弾。
今度は部屋に泊りに来てた旧友を「ちょっと、いつまでいる気よ、いい加減帰ってくれない?」
って追い出したその日にその旧友が死体で発見されて、またもや犯罪に巻き込まれるという筋。
前回仲が深まってた事件記者と今回はぎくしゃくし、相手が原因で一度は別れます。
それと同時進行で、今回天敵保安官の代わりに事件の捜査についたイケメン副保安官と
お互いに意識し始めました。
この辺りは少女マンガのノリに近い。
(いかにもコージーミステリーですよ。大体イケメンとくっつく主人公)
後、フリーガンについての叙述が興味深かった。
動物保護の時も思ったけど、アメリカ人、極端だよな…。



田中啓文著『ウィンディガール』
日本人の娯楽本はあっという間に読み終えますね。この本もしかり。
主人公は高1で吹奏楽部でサックスを吹いてる女の子。
でも、吹奏楽部の描写があまりにも中学生っぽいよな~と思ってたら、
案の定あとがきで著者の中学生の娘の部活動の話を参考にした、と書いてありました。
せやんなあ。高校生にもなったらもっと大人やんなあ。
おまけに、あまりにもジャズ>>吹奏楽的に書いてあるので若干腹が立ちます。
大編成の欠点ばかり書いてあるけど、大人数ゆえの喜びや感動だってあるんだぞー!
まあ、作者はこれまで数多く書かれた青春小説としての吹奏楽ものではなく
音楽を通して主人公が成長する話を書きたかったようなのでいいんだけどさ。
でも2巻は買わない。


呪いの時代 (新潮文庫)

内田 樹 / 新潮社

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内田樹著『呪いの時代』読了。
古本屋で100円の本がさらに半額になるというので50円で買いたたいた本。
これもさっくさく読み終えました。
なんか、毎回そうやねんよな~て思う個所と、いや、それはどうかと思うぞ内田さん、と思う個所
半々くらいなのですが、今回は若干それはどうやねんと思うことの方が多かったかな。
草食男子については厳しいと思ったけど、近年の若年層全体に対する目線は優しいな、この人。


ポアロとグリーンショアの阿房宮 名探偵ポアロ

アガサ クリスティー / 早川書房

スコア:


アガサ・クリスティー著『グリーンショアの阿房宮』
これまで未出版だった中編の初翻訳という触れ込みだったので買ってみました。
もともと、教会のチャリティーの為にポアロものの舞台設定とトリックを考えてたところ、
話の長さが中途半端すぎてお蔵入りになった一作。
でもこのタイトルで書くって雑誌に予告入れちゃってたもんだから
タイトルだけ同じのミス・マープル物のまったく違う筋の短編を書きなおしたらしい。
ちなみにトリックと話の筋は、ポアロ物の『死者のあやまち』という長編に描きなおされたらしいです。
こっちは舞台は違えど話の筋はくりそつだそうで。

そんな紆余曲折を経た今作。
最後まで犯人はわからんかったけど、
トリックがトリッキー過ぎる気がしました。それに手がかりが薄すぎる気がする。
なんか、途中で4回くらい寝落ちしてしまいましたよ。
後、ポアロが敬語じゃなくてそこが不満!


外国語をはじめる前に (ちくまプリマー新書)

黒田 龍之助 / 筑摩書房

スコア:


黒田龍之介『外国語をはじめる前に』読了。
また買ってしまいました…この方の語学エッセイ。
そしてまたおおむね楽しく読み終えてしまった……。
タイトルの通り、外国語を始める前にしておいた方がいい心構えの本。
著者は外国語習得には忍耐も努力も時間も必要だとご自身の経験から実感していらっしゃるので、
昨今の“すぐ身につく英語”、みたいなキャッチフレーズに違和感を覚えているわけですよ。
なので、生半可な気持ちで初めても続かんよ、という警告も込めて書いてるはずなのに
読み終えるとやっぱり語学がしたくて仕方なくなっちゃう罠。
知らない言語を学ぶのって楽しいよね~
(楽しいのはかじりかけの頃だけなんだけどね。じわじわ難しく、辛くなってきます)
各章、「基本」「発音」「単語」「文法」「意味」「系統」「歴史」「方言」など、語学をやってると
まあ、毎日のように目にする項目に分けられてて、
大変読みやすく、外国語学習の実際の風景が想像しやすいつくりになっています。
各章末に、著者が講師として働いてた頃に講義で出した質問と、
それに対する学生の回答が書いてあるんですが、これが面白いんですよ!
外国語学習中の悩みとか、自分の学んでる言語の難しい所とか、
感じたことが生き生きと書いてあって、時々声に出して笑ってしまいました。
ただ、「方言」の項目では著者の物言いにはところどころカチンと来ましたが。
(ちっ、共通語話者め)
それ以外は面白かった。


その女アレックス (文春文庫)

ピエール・ルメートル / 文藝春秋

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ピエール・ルメートル著『その女、アレックス』
話題の本です。買っちゃった。
読んだ感想としては

なんか、いろいろ、すごかった…

最初から謎とサスペンスの連続でぐいぐい引き込まれ、また叙述も詳細だけどくど過ぎない
ちょうど良い塩梅で(当社比)、最後までだれずに読み切れました。
最初は、アレックスという女性が誘拐されて大変な目に合ってるところからスタートで、
その誘拐の目撃情報をもとに、カミーユという警部を中心としたチームが捜査を開始するんですが、
これが誘拐事件のまま全然終わらん。
ちゅうか予想外のところに着地するんですよ。
あんまり言っちゃうとこれから読む人の邪魔だから事件についてはこれ以上はやめときます。

ところでこの探偵役のカミーユさん、推理小説史上最も背の低いキャラクターなんじゃないかと。
145センチくらいしかないの。なのに、性格は、2時間推理サスペンスで出てくるような
たたき上げのベテラン刑事なのよ。ギャップが面白い。
この小さい警部さんと、彼の部下
①ハンサムでセレブで洗練されてて優しいルイ
②めちゃめちゃケチで癖のあるアルマン
の掛け合いがまたいい感じです。
なにより白眉がタイトルロールのアレックス。
読むうちにこれほど印象の変わった女性も初めてです。
最後の最後、カミーユのセリフにはにやっとしました!
面白かった。

でも、手放しに称賛ばかりしづらい、矛盾点なんかもあります。
定期的に繰り返される残虐描写もダメな人にはだめだろうなあ…。
(わたしも「ひー」と思いながら読みましたもの)
最近の推理小説の流行りなんですかねぇ。ショッキングな場面を挿入してそれのショックで読者をひっぱるの。
オチもありきたりだし。(すまん、「またソレか!」とは正直思った。あと「なんでやねん!」)
でもまあ、フランス人作家だから、こんなもんかな、とも思いました。
けっこうえぐい&感情的に振れ幅の大きい&こってこて、の作品が多いよな、という印象があるので。
理性に感情が克つ感じが、イギリスとかドイツとかのアングロ・サクソン系の小説にはない印象で
面白いなと思うんですけど、理性的かつトリック重視のミステリーが好きな人がいきなり読むと
拒絶反応起こすかもしれないなあ…


大阪商人 (講談社学術文庫)

宮本 又次 / 講談社

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宮本 又次著『大阪商人』
もともと経済畑の著者らしいんですが、経済は人間が動かしているものであるから
人間に焦点を据えて経済史を書きたくなったそうで。
なので、著名な商人個人を描きつつ当時の経済活動を説明する流れになっております。
大阪の地理には疎いので、地名が出てもさっぱりわからないのですが、
商人好きゆえ、商人の話は楽しいな~!
まずは江戸時代の貿易商人について説明してあります。
江戸に幕府が移ってしばらくした頃、なんか2年ほど生糸が売れなくて困ってた外国人に頼まれて
幕府が大商人数人に打診して買い取らせたんだけど、
なんとそれが外国貿易の独占契約の始まりだったらしい。
最初は長崎、堺、京都の商人が外国商品を専売してたんだけど、そのうち大阪と江戸が加わり
この5か所の選ばれた商人たちにのみ外国品の取り扱いが許されてたんだって。
で、鎖国中なんで外国との貿易って長崎が中心に行われたのかと思ってたら、
輸出品も輸入品も一度大阪に集積されてたそうですよ。(堺港が土砂で寄港が困難になってからは特に)

大阪が中心だったのか…!!(天下の台所ー!)

なんかそれがすごいびっくりした。
後、外国人と直接取引する大店に(現地駐在員に地元の取締役とか役がちゃんとついてる)、
仲買商、小売商と綺麗に役割分担が出来てて見事なもんだなあとも思いました。

まだ途中なんですが、ちょっと休憩して他の本を読み始める。


開国の使者 ペリー遠征記 (角川文庫)

佐藤 賢一 / KADOKAWA/角川書店

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佐藤賢一著『開国の使者 ペリー遠征記』読了。
作者買いしてみた一冊。上記の『大阪商人』からの江戸繋がりで、同時に読み始めてみました。
徹頭徹尾ペリーさんの目から見た、日本遠征記。
ペリーさんは、海軍の軍人さんなので、海軍好きのわたしはウハウハです。
超楽しい!いや、流石に海戦シーンはありませんが。
何度もペリーさんのフルネームが出てくるから、彼の名前は
マシュー・カルブレイス・ペリー
って覚えちゃいましたよ。夭折したお兄さんはオリバー・ハザード・ペリー。
途中で、アメリカが中国の利権を手に入れようと思ったら日本の位置が重要になって来る、
(それまではイギリスやオランダと同じく、まずは大西洋を渡って、アフリカ西岸を南下、
喜望峰を回ってインド洋へ、マレー半島をぐるっと北上してマカオ、香港、上海へ、と
こういう航路を取ってたらしいんだけど、日本に寄港地が出来たら
インド洋航路じゃなくて、太平洋を渡って直接中国に行ける)
という著述があったのですが、
それにものすごい納得しました!
そりゃそうやで。なんでアメリカから中国に行くのにわざわざぐるっとアフリカ方面から回らなあかんねん。
後、日本人作者なのに(だからか?)、ものすごいアメリカ人目線なのが面白い。
毎回アメリカ人である主人公がヨーロッパ人(特にイギリス)に馬鹿にされて
イライラする感じがよくわかります。
日本人に対しては、割と好意的なのですが、日本人に好意的な外国人を日本人が書くという
遠まわしな自画自賛になっとります、わはは!
最後、ペリーさんが任務完了後、自分で日本遠征記を執筆しよう!と心決めたところで話は終わるのですが、
調べてみたらホントにこの人、遠征記著してるのね。
ちょっと読んでみたくなりました!


日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

飯尾 潤 / 中央公論新社

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『日本の統治構造』読了。
定期的に、商人本及び政治関連の話は買いたい気分になって買うものの
なかなか読む気にならず積んで置かれているのですが、
今回某●HKの白熱教室で今話題のぴけてぃさんの回見たし、
(こっちはこっちでものすごい面白かった!やっぱり講義方式で話してるの聞くのは分かりやすいしね!)

「今ならイケんじゃね?」

などという根拠のない自信に押されてひも解いてみました。
読み終えた。

面白かった…!!!!

いや、わたし、理数もそうだけど、政治・経済・法律に関する知識もザルなんですよ。
ほっとんど知らないの。
そんな一般人以下の知識しか持たぬ私が読んでもちゃんと理解でき、
なおかつ「なるほどー!」と膝を打つ感じの分かり易さ!
大変に親切な作りでございます。
内容は、もう本当にタイトル通り、いったい現在(この本の出版が2007年なのでその当時の現在ですが)
日本がどのような形態で統治されてて、どんなシステムで国家が運営されているかを
説明・検証し、問題点を洗い出したもの。
色々目から鱗でした!
アホ故に上手に説明出来ないので目から鱗ポイントを箇条書きで行きますよ!

・大統領制の方が分権的だった!
 いや、わたし、首相(総理大臣)より大統領の方が権限が大きいと思ってたけど
 本来は、大統領は立法府と行政府両方の長を兼ねる首相のように
 権力が集中しないよう分権を重ねた役職らしい!
 アメリカはイギリスから独立した経緯があるし、やはり権力が一人に集中する事に抵抗があったのだな。
 日本はなぜかあまり首相が権限を持ってるように見えないんだけど、
 イギリスはその力の集中がうまく働いてる例で、立法府と行政府が半一体化していることが
 スムーズな国家運営に生かされているらしい。
 フランスは議会が割れすぎて国家運営がままならんところを
 半大統領制にしたことでまとまりができてうまく行った例らしい。
 この辺りは国によってカラーが大分違う…

・官僚内閣制。
 日本の首相があんまり権力なさげに見えるのは、議院内閣制じゃなくて官僚内閣制になっとるせいじゃないか。
 というのが著者の指摘。最近は徐々に変わりつつあるらしいけど、著者の指摘がいちいちもっともで
 なるほどなあ、と思いました。
 もちろん官僚の権限が大きい(日本の場合は立法計画の立案までやっちゃうとかそういうあたり)ことには
 利点もあるらしいけども。

・族議員がなにかようやく分かったー!
 うむ。癒着はいかんよ。

・あと、小選挙区制と大選挙区制、比例代表制の違い、効果の違いもようやく分かったー!
 小選挙区制だと小さな政党に入れた票が生きなくていまいち有権者の意向が反映されにくい面はあるけど
 与党の次に強い党の勢力を伸ばす効果はあるわけなのだな。2大政党制を目指す向きには最適。
 比例代表制は逆に有権者の意見はきっちり吸い上げられるけど、第一党が議会で過半数を占めるのは
 まあ無理なので、連立内閣になりがち。

・各国の制度も載ってて、これも面白かったです。やっぱ国が違えば大分違ってくるんですね。
 規模が小さいとはいえ、「金の無駄やし」と1院制+比例代表制を選択したスウェーデン(ノルウェーだっけ)は
 ある意味清々しいな…!

・官僚の出世コースについての説明もあったけど、過酷だなあ。
 国家公務員も大変ですね…。

・一党優位の功罪について。
 確かに、ずーっと同じ党が優位に立つと、有権者の希望が通りにくいよな、と思いました。
 もう高度成長期も終わったし、国の予算も限りがあるから、無制限に政策立てられんし、
 要るもの要らないもの取捨選択して、その選択は国民の大意を勿論見つつ、
 なるべく大多数が(金持ちや国会議員だけじゃなくな)納得できる政策を
 きちんと実行するとこまでやらんといかんのに、一党優位で縦割り行政だとなかなか
 迅速に行かなくって、それってどうなのよ、という指摘も分かる。

・選挙公約ちゅうか、マニフェストちゅうか、やっとそれの存在意義も分かりましたよ!
 どうせそんなん立てても、選挙の前に口で言うだけやろ何のために毎回出来もせん約束してんねんと
 これまで話半分に聞いてましたが、
 本来は、有権者は議員個人じゃなくて、政党のそういった選挙公約を見て、
 それを元に選挙先を選んで、もしその党が政権を取ったらちゃんと公約が果たされるか見て、
 果たされなかったら次に選挙で落とすものなのだな。と分かりました。
 そんなシンプルなことだったんだなあ…。
 なんで口先公約がまかり通ってるんだろう。次回有権者が落とさないからかな。
 やっぱりちゃんと選挙に行かないとだめですよね。
 いや、投票に行くの、個人的には面白いと思うんですけどね~。
 
・しかし、この本読んでつくづく思ったんですが、こう言った国の仕組みとか、選挙の意義とか、
 義務教育でもっとしっかりやっとくべきなんじゃないだろうか…
 実はみんなちゃんと知ってんのか?
 わたしが無知過ぎただけっスか?
 いやしかし、学校の政経の授業の時に通りいっぺん説明されただけじゃ
 いまいち実感湧きにくいというか、もうちょっと踏み込んで教えておいて欲しかったという願望も含め…
 
で、読み終わって、今投票率低いけど、残りが全員投票したらすごい力になるんじゃないかな、
たとえば、女性候補に入れて、女性議員が3分の1ほどに増えたら、
国会でアホなヤジ飛ばすおじさまとか、もっと居づらくなるんちゃうかな、
とか、おバカな妄想を繰り広げました。
いや~、ほんとにすごい面白かった!この本おススメです!


浪花の太公望 (集英社文庫)

田中 啓文 / 集英社

スコア:


『浪花の太公望 鍋奉行犯科帳』
大阪西町奉行所シリーズ第3段。
なんか、がっちがちの東町との対比で西町奉行所がゆるーい感じで好きです。
毎回食にからめて事件が起こるので、お腹が空きます…。
今回はやたら鱧料理が食べたくなりました。
主人公をめぐる二人の娘さんも微笑ましくて良かったです。
# by mi-narai | 2015-03-22 23:37 | 2015年上半期の読書

雑記と映画メモとゲームメモ

とんび
こないだ最寄駅の隣駅で久しぶりに降りたら、駅の上を大量の鳶が飛んでました。
数えたら32羽も居たよ!何事!
しかし、鳶はカッコいいですね!ほとんど羽ばたかないの!
グライダーみたいに円を描きながら長い間滑空してるのですよ。
上手に上昇気流を掴まえて省エネしてんだなあ…。



ロクム

ロクムが買えなかった…。

いや、故あってロクム菓子を手に入れたいと思い、久々に足を伸ばしたんスよ。
生田署の北に売ってるとこあったよな~確か、とか思って。
(通りがかったらちょうどエザーンが流れてました!
町中なのでだいぶ抑え目だった、配慮ありがとう!
しかし、拡声器の声というのは内容がなんであれ全て「石焼~き芋~」に聞こえてしまう罠…)
幸い店はすぐに見つかったのですが、ちょうど品切れで、片言の日本語を話すお姉さん曰く
「夕方の宅急便で届く」

そうか…。

仕方がないので、もう一軒、トルコ料理の店でも売ってたはずだからそっちに回ったら
「2月××日までトルコに帰ってます」の張り紙が。

そうか………。

あんなクセの強い菓子を人に送りつけようとするな、というどこかの神のお告げかもしれん、と思って気を取り直しました。



映画

「風立ちぬ」

映画館に行くほどでもないなあ、と思って上映時期をスルーしたジブリ作品。
テレビでやってたので見てみました。
ええっと。
なんでしょう、この後味。

…普通…?(可もなく不可もない感じ)

映画って2時間の間に色々詰め込んで起承転結はっきりさせて、盛り上げて締め、
みたいな作りの物が多いと思うんだけど
なんか、そういうのと違って、「朝ドラの総集編見た!」みたいな印象だったなあ。
まあ、わたくし、エースコンバット好きなのでそのつながりで戦闘機好きだし、
それが飛んでる映像見るの、不謹慎だけどちょっと胸躍るし、
飛行機を作るくだりとか、一つの目標に向かってみんなでわーっと盛り上がってるとことか、
プロジェクトXみたいな部分は面白かったです。

などと思い、どっかで全く同じ感想を聞いたな、と思ったら妹でした。
(妹は映画館に見に行ったのだけれども、「どうやった?」と聞いた時に全く同じような感想を漏らしておりました。姉妹だな…)

ぶっちゃけ恋愛部分はたるかったっス。
というのも、ヒロインの女の子に対して

あんな都合いい女おるかい!


と思ってしまったもので。史実なのかな。すみません。
仕事に理解あって、無理も言わないでただ耐えるような、しかも無様なところ見せないよう自分から去る女なんて

何を女に夢を見ているのだと言いたい。

いや、まさに夢、なのかな。あのお嬢さんは主人公の飛行機に対する夢と同じくくりなのか。
最初は生身の人間として出てきたのに、どこからそうなったんだ???
病気を知ってから?
えげつないくらいありえない都合のいい女に描いてあるのはわざとか。
いやそれでもほんまふざけんなよ。
そういう視聴者の苛立ちは主人公への妹からの非難である程度は吸収されるんかもしらんが、
あかん、わたしはあかんかった。なんか、もやもやとした腹立ちが残ってしまいました。

ドイツとイタリアの対比は面白かったですよ。
あの辺り宮崎節っすね。
後、紅の豚に出てきた空の上の飛行機の墓場、みたいなの、また出てきましたね。
設計図から飛行機を頭の中で描いて飛行シーンを想像する場面とか、そのスムーズな流れと迫力は、
流石だなあと思ったけど、録画するほど好きか、と言われたら、そこまででもないかも。
毎度のことながら、アホな感想ですまん。


めぐり逢わせのお弁当 DVD

東宝


「めぐり合わせのお弁当」
久々に二本立て映画館に行ってきました。
1本目は独仏印合作映画。
舞台はインドの都会、弁当配達人が弁当を間違えたところから起こる見知らぬ男女のやりとり、みたいな話。
そもそもあそこの映画館のチョイス、しっとり系多めなので。これもそんな感じの映画です。
でも、弁当を介してのお手紙での、淡々としたやり取りなのに、なぜか飽きずに最後まで見てしまいました。
手紙の返事が、毎回ほんのちょっとだけ観客の予想を裏切る内容だったり、
こうだ、とはっきり説明せずに、間接的な動作や背景や台詞のやり取りで言いたいことを描いているシナリオとかが
なんちゅうかものすごい大人で、その辺りは好みだった。
しかし、最後、奥さんブータンに行ったんか??
一体ブータンってインド人にとってどんな位置づけなの!??


小野寺の弟・小野寺の姉 特別版 [DVD]

ポニーキャニオン


「小野寺の姉、小野寺の弟」
片桐はい/りの弟が向/井理などということはありえないのですが、
そういう設定の映画でした。
優しい姉弟の話。
結末は納得はいくけどせちがれぇなオイ。
後、クリスマスのくだりは身につまされた。


京都ゆうても端のほう 1 (プリンセスコミックス)

二星 天 / 秋田書店


漫画『京都いうても端の方』
前回に引き続き、またも掟破りの漫画の感想。
京都府の行楽課に配属になった新社会人君が主人公のオカルトファンタジー(嘘ではない)。
いや、これは、話も普通に好きですが、なにより

京言葉が!

萌えたので!
作者によると、「京都風関西弁」なのだそうですが、
関西いうても端の方(すなわち田舎)に住まっておるわしからすると
なんか、京言葉はすべからく雅に響きます。
ちなみに大阪弁もちゃきちゃきと都会っぽく響くんだぜ。
自分の話してる言葉は、なんていうの、いかにも野暮ったい田舎っぽい方言だもの。
いや、まさに田舎もんなんで、自分にはそのくらいがちょうど合ってると思いますが(なので直さないぜ!)。

後、「府庁」ってのもカッコいいよね。なんか、冥府の法廷みたい。

最後のおまけページの、京都住まいの登場人物の「買い物するのは大阪」、って返答が可笑しかった。


以下、『無双orochiZ』『無双orochi2Ultimate』のレビュー。
微妙にネタバレってるので念のためたたんでおきます(今更の配慮)

アホ感想
# by mi-narai | 2015-03-08 10:23 | その他

『本の町の殺人』 『古代エジプト』 『エトルリア学』

エクソダス。
わたしのアイドル、ラムセス2世に失礼な映画作んな~~!!!!
そもそもモーゼの映画作る言うなら当時のエジプト語とヘブライ語喋るくらいの根性見せてみんかいゴルァ!(無茶ブリ)



萩尾望都著『マージナル』『バルバラ異界』
いや、手持ちの萩尾望都本を読み返したら、持ってないのも読みたくなって
思わず買い求めてしまったのです。

マージナル (1) (小学館文庫)

萩尾 望都 / 小学館

スコア:


『マージナル』は一度貸してもらって読んだことがあったんだけど、
今回改めて買ってみた。マルグレーヴ(メイヤードさん)がなんか好き。
(毎回アシジンと彼のシーンだけ何回も読みなおしてしまう)
昔読んだ時も今回も読み終わった後も、サトクリフ読んだあとみたいに世界から戻ってこれずに
ぼんやりしちゃいましたが、今回は特に最後の辺りのナースタースの嘆きが心に響いたっちゅうか。
後、解説のおかげで「あー、なるほど!」とようやく話が分かりました。アホですまん。


バルバラ異界 1 (小学館文庫 はA 41)

萩尾 望都 / 小学館

スコア:


『バルバラ異界』
いや、これも、面白かった…!
最初はよう分からんまま読み進めてましたが、ストーリーテリングの巧みさや場面の切り替わりのうまさ、
単純に画面の美しさに引っ張られて結局一気読みしてしまいました…。
(で、読み終わった後は世界から戻ってこれずry)
すごすぎて正しく語る言葉を持たないので、感動の合間にちらっと思ったよしなしごとをメモ書きします。
・ヨハネが意外といいやつだった…。
・確かに、移植した場合は他人の肉は拒絶反応起こすのに、食べた場合は大丈夫なのは、言われてみれば不思議だなあ…
(消化器官と酵素さんのおかげか?)
・妹に、最後のタカとキリヤの顛末がどういうことなのか分からんと言われて、わしもよう説明できなんだ。
「えーと、なんか、そういうもんやねん」(幼稚園児レベル)


猫mix幻奇譚とらじ(8) (フラワーCアルファ)

田村 由美 / 小学館

スコア:


田村由美著『猫mixとらじ』8巻
※こんなタイトルですが、よくある飼い猫との日常本ではなく、ファンタジーです。
ネズミに子供を誘拐されたお父さん(職業:英雄)と、ネズミに人型にされちゃった仔猫とらじの旅の話。
前から宣言してるとおりマンガとロマンス小説はよほどのことがない限りレビュー書かないんですが
(消耗品だから。キリがないもの)
この1年に1回しか出ない本が、去年よりちょっと早めに出版してたのが嬉しかったので。
相変わらずのとらじのかわゆらしさですよ!!!!
猫好きさんは必読の書ですよ!!!!!
中盤の銀ちゃんに追いすがるとらじのシーンであまりのかわゆらしさにキュン死するかと思いました燃え滾った!

この『とらじ』の他に、2冊ほど長いこと続きを待ってるマンガがあって
『やぎさん郵便』と『10ダンス』(いずれもホモ)なんですが、
『やぎさん』の方はつい最近ようやく続きがでましたが(完結は次巻にもちこされたけどな!とほほ…)
『10ダンス』の方はいつ出るんでしょうか。続きが気になって気になって気になって仕方無いよ~~


本の町の殺人 (創元推理文庫)

ローナ・バレット / 東京創元社

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サイン会の死 (本の町の殺人2) (創元推理文庫)

ローナ・バレット / 東京創元社

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ローナ・バレット著『本の町の殺人』、『サイン会の死』読了。
表紙からも分かるように、かるーい口当たりのコージーミステリー。
本格ミステリがお好きな方からは眉を顰められるかもしれませんが、
わたしはジル・チャーチルの主婦探偵シリーズとか、
アメリカ産のこういう、女性主人公で地域密着型で日常満載の
明るいミステリーが結構好きなのです。
なので、割と楽しんで読み終わりました。
いや、最初のあたりはいまいち乗れないというか、『ゴッサム』に引き続き
「失敗したかな、これ」と思ってましたが、
姉のアンジェリカと和解したあたりから面白くなってきた。
外国産ミステリーってその国の日常が垣間見えるのが楽しいですよね。
女性作家だとそれが顕著な気がします。主人公に共感もしやすいですし。

『本の町』は、まず、本屋を営んでる主人公の元に、最近離婚した姉が転がり込んでくるところから始まります。
この姉とは小さい頃から折り合いが悪くって主人公は最初辟易としてるんだけど、
同時期に主人公が意地の悪い保安官に殺人容疑(濡れ衣)を掛けられて、
一緒に無実を晴らすために捜査するうちに
結局仲直り出来て良かった良かった、みたいなドタバタコメディタッチの筋。
『サイン会の死』は、その半年後、店でサイン会やったらその作家が店のトイレで死んじゃって、
捜査のために店をまたもや天敵の意地の悪い保安官に封鎖されちゃって、
なんとか店を再開するために犯人探しに乗り出す主人公、みたいな筋。
1巻目は若干グダグダするけど、2巻目は最初から大半の登場人物に馴染んでるし
より楽しく読み終えた気がします。けっこう姉のアンジェリカが好きかも。

でも、言っておきますが、この本に大層な人生の意味とか、文学的な面白みとかを
求めてはいけませんよ。純然たる娯楽作品だからね!
後、1巻目でいけすかない事件記者として出てきた男と2巻目冒頭でいきなり
良い仲になってて、びっくりした。あれ?あたし、何か見逃した??


古代エジプト 失われた世界の解読 (講談社学術文庫)

笈川 博一 / 講談社

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笈川 博一著『古代エジプト』
エジプト展に行ったし、昔読んだエジプト本の知識も薄れかけていたので
知識の補強もかねて、本屋で新発売されてたものを買い求めてみた。

そもそもわたしの歴史への嗜好って、小学校の時分のマヤ・アステカ・インカそれとエジプトへの
興味が元になってるんです。もともと好きなのよ、あの辺り。
(いや、子供って一回はその辺りに憧れるもんじゃない?後恐竜と。
謎とか古代とか滅亡とか、そういうワードに無闇に目を輝かせるというか。
自分がそうだったからみんなそうなんだと思い込んでるだけなんかしら…)
しかし、長じて、知識というのは一度知りたいと思いはじめると際限ないと痛感してから、
なるべく喫緊に知りたい範囲以外に手を広げるのはセーブするようになって
(ただでさえ、広く浅くの傾向があるのに!)
マヤ・アステカ・インカ・エジプトに
関しては、すごい好きなんだけど、
「あかん、そこにまで密に手を出し始めたらマジでキリないで」
と我慢してたんですよね。(それでも時々我慢しきれなくてポロポロ読んじゃうんですが)
なので今回のこの本もよっぽど買わないでおこうかと思ったんですが、
ぱらぱらめくった時の「この本良さそう」という直感とか、
某方がお好きだからもうちょっと知っておくと次回話のネタになるかしら、という下心とか、
最近いろんなエジプト展に行ったせいで妙な親近感があったりとか、
色々相まって買っちゃったんですよ。

結論としては、買って良かった。

面白かったです!

出版されてるエジプト本って、発掘とからめてごくピンポイントなことを中心に掘り下げて書いてあったり
後はエジプト王の事績を拾った歴史本だったりするけど(勿論そういう本も大好物!)
この本は、「これ一冊読めば古代エジプトの地理、歴史、宗教、言語などが総括的に概観できるように」
という目論見の元書かれただけあって、総合的に分かりやすくまとめてあります。すんごい親切!!
いや、エジプトの歴史って鬼のように長いから、詳細は書ききれなくって、
ホントに大事なところだけざっくり、なんですが、
特にわしのようなあんまり知識のないアホには、まずは大まかな把握が大事なので有難いことこの上ない。
では、以下、特に思ったこと



地理の話
・エジプトって地図で見たら範囲が広そうに見えるけど、
人が住んでたのは本当にナイル流域だけで、
それも上流に行き過ぎると滝が連なっててそれ以上進めないし、
川の両側は砂漠でやっぱり住めないし、
正味の居住地だけ集めたら、四国分ほどしかないんだって。
意外と狭い!
相手の方も人口密度が低かったのだろうとは思うけど、それでも大帝国のヒッタイトと
互角に戦ったりしてたのかと思うとちょっと凄いですね!

宗教の話
・日本などは当時の政権によって雑多な神話が一つにまとめられたし、
ギリシャ神話だって、ばらばらだった各地の神話が歴史時代には大まかには系統だてられ済みだったと思うけど
エジプト神話の場合はそれに比べると統一性が薄いというか、地域によって信じられてる神話が
わりと地方色を残したまま同じ価値で並行して信じられてたそうです。
(そういえば以前そうお聞きしたな!このことか!)
現代日本でエジプト神話を読むときはそれらをあたかも一つの神話系統のように並べて書いてありますが
実はアレ、この神々はオンで伝えられてきたもの、このエピソードはテーベ系、とか
系統がバラバラで、思いのほか繋がりが薄いみたいです。
あんまり統一しようという機運もしくは必要性がなかったのだろうな。
時代によってテーベ勢力が強くなったりしてたみたいだけど。
例外的にアテンに統一しようとしたアメンホテプ4世(イクナートン)がいるけど、失敗したしなあ。

イクナートンと言えば、今ウォークマン入れにつかってる袋の模様、イクナートンだわ~。
(出っ張ったおなかとお尻が特徴☆アテンの手もバックに描いてあるし)

・ウセルが太陽神と聞いてニヤニヤしました。
確か、エトルリアにも、カタの他にウセルっていう太陽神がいた気がするんですよ。
偶然かもしらんが、ギリシャからもアポロンを直輸入してたエトルリア人なので
エジプトから直輸入、という可能性も捨てきれないぞ!
(あれ?でもそれならラァを輸入する方が自然か??やっぱ偶然かしらん)

・言語の話。
セム語と同じで子音しか記してないから
意味は分かれど正しい読み方がさっぱり分からない古代エジプト語※。
(アラビア語で痛感したが、この系統の言語ってホントに意味は子音が担ってるらしいんですよ、
日本語みたいに母音が変われば語の持つ意味が大幅に変わるってことがほぼないらしい。
なので、子音表記のみで当時の人は全然事足りてたんだなあ。
ひょっとすると、アラビア語みたいに、母音は名詞から動詞への変化とか、そういうのを担ってたかも知らんが。
言われてみれば日本語は上記のような事情から、自然、子音と母音がワンセットになった仮名が発達したのだろうし。
昔の人はそれぞれよう考えて仕様文字を決定してるなあ)
(※エトルリア語と逆バージョンですね。エトルリア語は読みは完璧にわかるのに正確な内容が分からない。
言語系統も不明)
古代エジプト語の直系の子孫としてコプト語があるし、ロゼッタ文書もあるから文章の意味はほぼ分かるのに、
コプト語は、現在日常では使わないし、それ以外にあんまり発音を類推できる資料もないようだし
発音の復元は難しいのですって。
とりあえず、読み下す時には「E」の母音を形式的に足してるらしいんだけど、

だから、本とかで説明されてる王名とか名詞とか、あれ、便宜上ああ読んでるだけなんだって!

なんとなくその辺りの事情は知ってたけど、改めて説明されるとそれなりに衝撃でした。
当時のエジプトにタイムマシンなんかで行けたとしても、会話どころか王名さえ通じないんですよ!
ホントはどう発音されてたのかなあ!気になる!
ホレムヘブとか、ホントはホラムヒーボ、みたいな発音だったかもしれないんですよ。オモロすぎる。

・エジプト文学の話。
まだホメロスも生まれてない頃に文字で文学を記してたってのがすごいですね。
流石エジプト!!
古代の中国もすごいと思うけど、エジプトも突き抜けてんなあ!
なんかもうこの辺りの古代文明って桁違い!
日本が余裕で縄文ってた頃なんで、それを考えるとちょっとときめきます。かっこいい!
(いや、辺境好きなので日本の立ち位置も大好物ですが)
紹介されてる文学は「二人兄弟の話」と「シヌヘ」と「書記の話」、「ホルスとセトの争い」
「アヌビスとバタ」など。
この「アヌビスとバタ」はタイトルロールのアヌビスとバタ兄弟の話で、
アヌビスの方はあの有名なジャッカルの頭部をもつアヌビスなんですが、
バタの方をこれまで聞いたことなかったのでびっくりした。
ちなみに、これまたヒッポリュトスタイプの話ですよ。
弟が兄嫁に陥れられる話。

「ホルスとセトの争い」は、タイトルから、有名なプルタルコスが伝える、
セトがオシリスを殺してホルスに仇を討たれるあの筋かと思ってたら、同じ主題を扱ってるものの

法廷ものだった…!!

オシリスの死後、ホルスとセトが神々の法廷でそれぞれの弁護人を従えて自分の王権を主張する話だった…!
なんか、ちょっとこれ、面白かったです。
それ以前に、イシスがまんま息子命のおかん過ぎて読んでてドン引きしましたが。
(娘に対するのと息子に対するのではどうしてこれほどあからさまに態度が違うのか!
…という娘側からの訴えをあまりに多く耳にするもので。)
後、セトにもちゃんと味方がいるのだな、と思ってほっとしました。
プルタルコスの伝えるオシリスとイシスの神話に関しては、わたしはセトの味方ですよ。
(これには、上下エジプトが統合される前、上下で争ってた時に、セトの守護する側の勢力がホルスの守護する側に
負けたからだという説があるそう)

・ファラオ=ペル+アア(大きな家)

・ラアメス2世の話
一番最後の章を丸々使って、ファラオのテンプレートとしてラムセス2世の半生について書いてありました。
ひゃっふう!
ラムセスというのは、ギリシャ語読みらしく、エジプト語では
ラア(太陽神ラア)+メス(産む、生まれる)でラアメスらしい(もちろんこれも便宜上の読みですが)。
あれ?じゃあ、トトメスは、トト+メスか!!!
ラムセス2世の半生や嫁、子供についてはあまりに有名なのでここでは割愛するとして
一つビックリしたことをば。

名前がめっちゃ長かった…!!

聞くところによると、ファラオの名前って5つに分かれてるそうで!
(だから、ラムセスだけじゃなく、全てのファラオの名前がたいそう長い)
時期によってまた変化したりして大変そうです!!


『エトルリア学』
日常生活の項は、どうだったか、というだけではなく、どこの遺跡や遺物から
どのように割り出されたかまで事細かに説明してあって相変わらず楽しいです。
武器から始まって日常の衣服についても記述があるんだけど、衣服の変遷のところで

「全裸はギリシアにおけるよりはるかに少ない」

って書いてあって笑った。


エトルリア語の方は、まずエトルリア語がどういった資料から判じられているか、
それを元にどういった説を唱えた人がいたか、今現在(勿論著者にとっての)の判明度合などが
詳しく説明してあって、その後おもむろに分かってる範囲での文法とか語の説明に入ります。
以下、思ったこと箇条書き

・著者はじめエトルリア学者はほぼ印欧語族の言語話者だからしゃーないけど、
印欧語の文法に則して考え過ぎじゃね?
流石に最近は「膠着語っぽいな」って思われてるみたいだけど、性とか語の屈折とか、格変化とか、
いちいち印欧語の変化モデルに対応して説明するのがうざい。

・訳者の方が膠着語の説明として、日本語、韓国語、フィンランド語を例に出して説明していらっしゃるんですが、
今んとこ、ものすごいトルコ語に似てる感じがするんですけど…。
(勿論、文法的にですよ。語彙は似てない)
しかし、ウラル語族のフィンランド語も膠着語だというのは知らなんだ。へー。
じゃあ、エストニア語とハンガリー語もそうなのか???

・母音調和が起こりがちというか同じ語の中で母音がそろいがちなのもトルコ語と似てますよね。
言われてみればフフルンス、って全部母音Uやんけ。すっげー。

・フフルンスといえば、フフルンスの町だからフフルナなのかと思ってましたが、ひょっとして逆なのでしょうか。
Sが属格(ていうか所属を示す接続語尾)らしいんだけど、フフルナの神だから、フフルンスなのかな。

・薄ぼんやり、「印欧語族侵入前は、方言はあろうけどうっすら膠着語を話す人々があの辺一体に広がってたとしたら
面白いな」ほどに思ってましたが、エトルリア語に特有の発音(もともとのラテン語ではないエトルリア起源の語として)
nθ
についての言及があり
「あれ?これギリシャにおけるインド・ヨーロッパ語以前の言葉にもこの発音なかった?
コリントスとかラビリントスとかってギリシャ語以前の言葉の残滓なのよね?」
などと夢が膨らみました。まあ、実際は関係ないでしょうが、線文字A時代の言語とエトルリア語に類縁関係があったら
ホント面白いのにな~。
# by mi-narai | 2015-02-03 18:05 | 2015年上半期の読書