地中海文化を語る会編『ギリシア・ローマ世界における他者』読了。
ローマ帝国とキリスト教徒の関係を追った章も面白かったのですが、 (帝政初期の頃はあんだけ弾圧されてたのに、なんでのちに国教にまで なったのか、ちょっと謎が解けた気がします。意外と親ローマ的だったのね…) 最後の、「数学における他者 先輩エジプト・バビロニアからインド・アラビアまで」 がものすごく面白かったのです。 作者が「数学、いいよ、ステキだよ…。柔軟でおおらかなオリエントの数学もいいけど、 厳格に普遍的なものを証明したギリシアもステキだよ… そしてそれはアラビアによって集大成されたんだよ…」などと うっとり数学語りするのも微笑ましかったのですが 単純に、インドやアラビアの掛け算計算法が面白かったからなのです。 2桁や3桁の掛け算が嘘のように簡単に解けるので、 ただただ感動してさっそく帰宅して母と妹に話したわけです。 そしたら、妹に 「…待ってよ。この計算は、つまり、日本の筆算じゃこうするところを こうしてやってるわけやな…。へえ、興味深いな」 などと、公式を使ってきっちり説明されてしまった。 なんか悔しかった…。 (いい加減頭のいい妹に負けることに慣れたと思ってたのに 思わず悔しく思ってしまった自分にもちょっと敗北感…) オウィディウスの『変身物語(下)』 下巻はトロイア戦争関係者が目白押しで楽しいなあ。 ちょうど13巻のアキレウスの鎧を巡ってのオデュッセウスと大アイアースの 言い争いの箇所で電車が駅に着いたので、そこで止まってます。 毎回大この箇所ではアイアースはオデュッセウスのことを良く見ているなあと 感心するのですが今回は、それに加え、 相手の誹謗中傷を思いつく限り無作為に並べ立ててる様子が なんか、小さい子が口喧嘩で相手の悪口を一生懸命言ってるみたいで かわいく思えてしまいました。 考えがなくって単純なのは大アイアースの欠点でもあるんだけど、そこが良いところでもあるのです。 それに引き換えオデュッセウスってば悪い大人です☆ このあたりの対比や論理の組み立てに関しては、さすがオウィ先生は弁論命のローマ人だなあと。 もひとつ、オデュッセウスと大アイアースの対立の構図は、 武力と知力という両極の力をそれぞれ持ってきてるってことだろうから この二人以外にありえないのかもしれないのですが、 それでも、他の面々がどうして名乗りを上げなかったのかを考えてみた。 アガメムノン…アキレウスの時に、ブリセイスを巡ってえらい目にあったので今回は表立って権力をかさに着るのはやめておいた。 ディオメデス…別にアキレウスの鎧なんか欲しくなかった。 もしくは、『イーリアス』でグラウコスと交換した鎧があったからその鎧を律儀に着用し続けなければならないと心決めていた。 イドメネウス…自分の年を自覚していたので大人らしく控えた。もともと淡白だし。 翌日読了。 『ぶどう酒色の海』で中村先生の翻訳時の苦労など読んでいたので 余計に感慨深く読み終えました。 後、前に読んだ時はほとんどローマ神話を知らなかったので、 後半のアイネイアスの放浪からローマ建国、カエサル神化の くだりはよく分からんかったのですが、今回はそれなりに「ああ、あの話か」と理解できました。 うむ、わしもちっとは賢くなったようじゃな…(悦に入り) エトルリアの畑から生えて未来を予言し、宗教規範を伝えた人(なんちゅう説明) タゲスのこともチラッと載ってて嬉しかったですよ。 復讐はお好き? (文春文庫 ハ 24-2) カール・ハイアセン / / 文藝春秋 ISBN : 4167705494 スコア選択: カール・ハイアセン『復讐はお好き?』を読み始めました。 あらすじを読むと、2年目の結婚記念日のカリブ海クルーズ中に夫に海に突き落とされた妻が 復讐する爽快な話らしいので買ってみたのですが、読み始めて、ちょっとだけ後悔してます。 だって、シモいんだもん…。 でも、アホでシモい旦那を、殺されかけた奥さんがぎゃふんと言わすところは とても見たいので、とりあえず読み進もうと思います。
by mi-narai
| 2008-10-10 22:18
| 2008年10月の読書
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