中東・北アフリカの音を聴く
水野 信男 / / スタイルノート スコア選択: ★★★ 水野信男著『中東・北アフリカの音を聴く』を読み始めました。 著者が長年のフィールドワークで各地の音を収集して回った際に体験した音楽体験を 随筆風に語ったもの。 これまた理念とか哲学とかに関係ない、個人的な見聞録なのでとても読みやすいです。 朝の通勤電車で半分まで進んだもん。 エジプトの水車の音から始まって、イスラムのアザーン(礼拝への呼びかけ)、コーランの 朗唱、スーフィーの舞踏、東方教会の聖歌のあたりまで読んだ。今、イスラエルの部分で ユダヤ教のカンティレーションについて読んでます。 この本を読んでると、コーランの詠唱が聞いてみたくなってしまいます。 (でもCDは買わないぞ!) あと、長調で威勢のいい国歌の多い中、確かイスラエルの国歌『ハティクバ』は 短調だったなあなどと思い出しました。 翌日、読了。 エッセイ調なので進む進む。 馴染みのない楽器の名前とか一杯出てきて楽しかったですよ~。 でもって、アフリカ北部の方にも5音しか使わない伝統音楽があると聞いてビックリしました。 ※日本や中国の伝統音楽は、ハ長調で言うならドレミソラ、 沖縄はドミファソシの5音でメロディーラインが出来てる。 意外と5音の伝統って世界に広がってるのですね。 「蛍の光」も言われてみれば5音しか使ってないや… トルコの歴史 (世界史研究双書) 三橋 冨治男 / / 近藤出版社 スコア選択: ★★★★ 次、三橋冨治男著『トルコの歴史』を読み始めました。 多分この著者トルコ史の教授なんだと思う。 「専門分野の調査のため日夜小難しい古典トルコ語の文献と格闘した著者が 得た膨大な知識を元に気分の赴くままトルコの歴史について書き綴ったもの」 などと前書きに書いてあったので、がっちがちの正史を読むより読みやすいかな、と思って 図書館で借りてみました。ここんとこ中東づいているので、その気分の薄れないうちに。 しかし、これ初版が1964年ですよ。(さすがにわたしも生まれてないよ~) 今、トルコ族が東からやってきていかにしてアナトリアに定住し、その地が 「トルコ」と呼ばれるようになっていったか、というあたりの記述を読んでます。 まだまだ序盤。 セルジュークから分岐したルム・セルジューク朝が今モンゴルに滅ぼされてイル=ハン国の 属国になってますよ。この間、西からは厄介者十字軍なんかも何回か来てます。 (世界史でやったなあ、懐かしい…) 以下、へーっと思ったこと。 ・周辺民族と混血しまくってて、今のトルコ人にはあんまり中央草原にいたときの面影がない、 というのは元々知ってたけど、アラビアよりもバルカン半島の住民の方に似てるそうですよ(へー) ・トルコ族はもともと中央草原の乾燥地帯の騎馬民族で、そこそこ過酷なところに住んでたから 小アジアの過酷具合なんてへでもなかったらしい。(騎馬民族、いいよな、騎馬民族…) ・トルコは勇猛さが信条です!(ガーズィ) ・赤地に月のマークってトルコ族の軍旗なんだって ・ルーム=セルジュークの最盛期を築いたアラー=エッディーン=カイクバード1世、 ちょうかっこいいですよ!著者いわく、「最も偉大な、いわば理想に近いスルターン」 賢明にして有能な政治家、すぐれた外交家、第一級の軍事指導者、これだけでもすごいのに 手先の器用な人でもあって、いろんな特殊技能を身につけてたんですって。 能書家で、デザイナーで、卓越した木工・工芸の達人で、素晴らしい武具まで作ったってんだから (え?それって王様の仕事なの…?という疑問はひとまずおいておいて) 並大抵じゃありません。 某イタケ人をちらっと思い出した。 ところで、毎回十字軍のことを聞いたり読んだりするたび思いますが ほんとこの人たちどうしようもないです。 今回も、ビザンツ帝国の 「東の異教徒は確かに嫌だし、小アジアの旧領を回復はしたいんだけど、 西の野蛮人もやだなあ…。ああ、でも、一応キリスト教国だし…」 というちぢに乱れる心が良く分かってなんかもうもらい泣きしそうになりました。 だって、十字軍、ビザンツ内通るときに略奪するもんね! 旧領回復して欲しかったのにシリアあたりの土地の接収に明け暮れちゃうし! 最終的にビザンツ皇帝が 「あー、もうルーム=セルジュークと手を組んで十字軍フルボッコにしちゃおっかな…」 などと思ってんのがおかしかったです。一体どれだけ嫌がられてんだ十字軍…!! しかしこの辺りの東地中海情勢は面白いなあ…!各国のパワーバランスの揺れが溜まりません。 そろそろオスマン=トルコの始祖エルトゥールルの名前が出てきました。 早くオスマン帝国を読みたいです! (でも、最期のあたりの西欧列強に端から切り取られるトルコは読むの辛そう…) 漫画 今市子さんの『百鬼夜行抄』10巻と、篠原烏童さんの『クォート&ハーフR』2巻と 波津彬子さんの『姫の恋わずらい』を読みました。 この3冊を一緒に一晩に読めるなんて、なんたる幸せ…!
by mi-narai
| 2008-07-14 22:52
| 2008年7月の読書
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