これまた近所の店で見つけた酒。 これ、ビンの色じゃなくて、マジで酒の色がピンクなんですよ!? 一見イチゴミルクみたいなのに、飲んでみたら、普通ににごり酒でした。 後、岩波さんから『ギリシア奇談集』が再販されてて嬉しかった^^!! さすが岩波さん!!愛してるーー! この調子で、『食卓歓談集』と『新編・木馬と石牛』もお願いしまっす!! あんまり読んだ本が溜まってきたので、全部感想かけてなくても、ちょっとずつでいいから アップしていく事にします。 『ギリシア悲劇全集6』 ※これまたえっらい昔に読み終わりすぎて記憶が定かではございません。 当時の携帯に打ち込んだメモを見つつ、さらっと流すにとどめておきます。 解説を読みつつまたも不安がぶり返す。 今回は「アンドロマケー」「ヘカベー」「ヒケティデス」「ヘラクレス」の4篇。 解説には、毎回、当然のことながらその悲劇がどの伝承に基づいているのかが、 分かりうる限りで詳しく書いてあり(勉強になります)、 それに照らしつつ、どの部分が作者の改変か、そう考える理由、なども書いてあるのですが、 …エウリピデス先生、革新的過ぎる…… 現在出回ってるギリシア神話本って、悲劇の筋をそのまま採用して書いてたりするじゃないですか。 でも、解説を見て 「違うんや、これは悲劇作家の創作した文学的展開であって元ネタはまた違うんやで~~~!!!」 と叫びたくなりました。 そうは言っても、ホメロスからして元ネタになった神話のエピソードに作者の改変が加えられてる (と推測される)んだし、「神話」というのは理系の学問と違って、 人間自身が作ったものであるし(神話だって一番最初は、その時代の人なりの、 世界を理解する方法=科学だったのかも知れんが)、 創作の上塗りが続けられてると考えれば、悲劇作品が文学だから神話ではないと 断ずるのは早計か…? 悲劇が世に広まって(特に3大悲劇詩人ほどの有名な作家の作品は元の伝承より人々に知られている) それが前にあった伝承よりもスタンダードになれば、悲劇の筋のほうが本筋ってことになるのでは… などと考え始めると、どこに線引きして良いのか分からなくなってきました。 まあ、普通にギリシア神話に接する場合はどの原本もどの創作も平等に楽しめば良いけど、 このサイトはホメロス寄りのサイトだからな! 同じ対象に対して、ホメロスと他の原本で競合した場合は、 ホメロスの言ってることのほうに重点をおきますけどね☆ (ホメロスファンを宣言するというのはそういうことだ!) …と、解説を読んで不安を書き立てられはしたものの 本編を読むと、別に、そこまで言うほどややこしくも難しくも矛盾があったりもしない気がします。 多分、エウリピデス好きの学者の先生はエウリピデスに夢を見てるんですヨね! そんな先生方が大好きです☆ 「アンドロマケー」 以前読んだほどのショックはありませんでした(良かった)。 前回は、アンドロマケ―があまりにふてぶてしく感じてショックだったのですが、 今回読み返して、そうでもないと思った。 子供の父がいくらネオプトレモスとはいえ、不在のネオプトレモスでなくて 一貫して一心に亡きヘクトールに呼び掛けるアンドロマケーがいじらしいです。 …しかし、一作一作ごとに、作者の思惑を表現するコマとして登場人物が配置されるから、 連作でない限り作品間の統合性(登場人物の性格上の統一性も)はほぼありません。 でもってやっぱりスパルタバッシング激しい。(ペロポネソス戦争中だからってさ) ピロクテーテースのネオプトレモスは確かに良かったけど オレステスとどちらの肩を持つかと問われればオレステス! 「ヘカベー」 解説に書かれていたヘカベーにおける矛盾や何やかや、その説は面白かったけど、 本編を読むと、単に「ヘカベー、不幸が続きすぎて、2つめの不幸で切れたんと違うか?」 と思いました。 そこまで違和感無かったけどなぁ 「ヒケティデス」 雷に撃たれて死んだ者は神に捧げられた者として撃たれた場所に埋葬されて信仰された …てことは栃木県は聖なる地なのか!? 「ヘラクレス」 それにしてもテセウス男前やなぁ(惚れ惚れ) なんだ?テセウス男前伝説を打ち立て中か、エウリピデス? エウリピデスのおかげで わたしの中でのテセウスイメージが急上昇中ですヨ! くっ、アテナイ市民の政治的意図に乗せられてしまった!! …ふー。読書中に携帯に打ち込んだメモを拾ってみましたが、 ほんと、ろくなこと考えてないですね。 もうちょっと文学に親しんで深く読み込もうぜ、自分… ところで、勝手に一方的に見習いに親しみを感じられてしまっている明子先生、 実は定年されてたんですね!! ものすごい好みが合いそうな感じから、もっと若いかただと勝手に想像してました。 そうか、そんな重鎮なのにソポクレスのオレステスプッシュでイタケ人に好意的でいらっしゃるなんて (勝手に決め付けんなっての)。 ますます明子先生のファンになりそうです。 丹下和彦著『ギリシア悲劇ノート』読了。 まえがきで、 「文学的に読むことは時に独善的な読み方に陥り、作者が意図していないことまでもそれらしくいい募る例がなきにしもあらず。それはそれで意味がないわけでもないが。」 という反省ともとれる言葉が綴られていて、つねづね文学評など読むとき 「うはははは、作者はそこまで考えてねえって!ま、この研究者がこう見てるって意見自体は ものっそい面白いし読むの大好きだけどな!!」 などと思っていたワタクシ、やはり学者の方もそう感じていたのだなあ、などと 感慨深く思ったりいたしました。ええ。 中公新書の方から出ている同作者の本が真面目な悲劇解説であるのに対し こちらはどうもそれに入らない瑣末な覚書を集めたような本らしく、 そんなに肩肘張らずに読めて楽しかったです。 しかし、最後の最後、エウリピデスは女嫌いかどうか、という一章があって、 そこではエウリピデス先生、えらい書かれっぷりでした。 エウリピデスは同時代のアリストパネスからも揶揄されたほどの女嫌いで、 2度の結婚、2度とも嫁の浮気で失敗した根暗い男で、 作品中の登場人物の女性批判には、その自分の辛い経験からの 苦い思いが滲み出てんじゃないかとかなんとか。 一般的にそう見る意見も強いんだそうな。 (まあ最終的にはリアリストとして冷静な観察眼を持って作品を書けば、 どうしても男性作家は女性ぎらいっぽく、女性作家は男性嫌いのようになってしまうもので、 エウリピデスが他人の目にはそう見られてしまうのも、実際のところは 彼が現実をそのまま冷静に受け止める力量のある作家だってことなんじゃないかな? …という無難なところに着地してましたが) その段では、ヘシオドスもホメロスも、皆揃って「女嫌い」のくくりに入れられてたんですが、 ヘシオドスからは明確な悪意を感じますが、 別にホメロスからは特別女嫌いっぽい臭いは感じないけどなあ。 確かに、というか、ホメロスの描く女性は強い気はしますが…(特に女神は) そう感じてしまう丹下先生自身が女嫌いなんじゃねえのか?などとと思わず勘ぐってしまいました。 内容とは関係ないですが、一番最後のあとがきの更に最後、 筆をおいた地名を見て、吹きました。 なんだよ和彦、お前ライナー乗って通ってんのかよ!(だから馴れ馴れしいって) 『トルコ語のしくみ』途中。 白水社の語学シリーズのうちの一冊。 『古典ギリシア語のしくみ』と二冊ならんでたのにこちらを買ってしまうあたり 西洋古典好きとしてはまだまだです。スミマセン。 や、発端はごくごく些細な事だったんですよ。 前にも言いましたが、ワタクシ、トルコポップス、結構好きなんですが、 そのうちの一曲の曲名を、図書館で辞書引いて調べようとして トルコ語の辞書の引き方が分からない…!!! という衝撃の事実に打ちのめされたのでございます。 そりゃむかーし、大学時代週一でトルコ語かじったけどさ、 そんな化石みたいな知識、すでにして記憶の彼方ですヨ。 それに、トルコ語って膠着語だから単語の後ろにどんどんいろんな要素がくっついていってさ、 そのくっつき方が分からないと元の単語が分からないという… (日本語でも、そうですね、仮に「たとえあなたが来なくても」という文の意味を知りたかったとしたら、 どうでしょう。「たとえ」はそのまま引いて大丈夫。「あなた」、も大丈夫。 でもその後の「来なくても」が難問じゃない?まず、「ても」が逆説の接続詞だと気付いてそれを 取らないといけない。次に「なく」が否定形「ない」の変形だと気付いて、これも取らないと いけない。さらに「来(こ)」が、「なくても」にくっつく時に変化したと気付いて 「来る」の形に直して辞書を引かないといけないんですヨ。 トルコ語でもおそらくこのようなややこしい手続きが必要かと思われます。 なら変化のない孤立語である中国語なら辞書引くのは簡単だろ、と思うかもしれませんが あれは読み方で並べてあるから、まずそれを調べないといけないんで、 こっちはこっちで面倒なことこの上ないですヨ。 まあ例えば「手紙」という単語を調べたいとしましょうよ。 日本語だと「てがみ」だから「て」の項を調べりゃいいけど、中国語でこれはなんて読むんだ!? 仕方がないから巻末の、部首索引や総画数索引でまず「手」の読み方を調べて、「shou」であることを 突き止めた上で、次に「S」の第3声の項目を引かなきゃならない。ああああ、面倒! (ちなみに正解は、「shou zhi」で、トイレットペーパーの意) そう思えば、英語は辞書引くのが簡単でいいよな…。動詞の変化も単純だしさ。) そんなわけで軽く読めそうなこの本を手にとって見ました。 読んでるうちに、昔習った事をぼんやり思い出してきましたが、所有の形については忘れてた。 やっぱり語学は奥深いなあ…(奥深すぎて絶望しますヨ)
by mi-narai
| 2010-03-04 23:31
| 2010年2月の読書
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