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『スフィンクス』

スフィンクス (flowers comicsシリーズここではない・どこか 2)

萩尾 望都 / 小学館

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萩尾望都の『スフィンクス』
本屋に行ったら発売しててさ。
ちょうどソポクレスの『オイディプス』を読み終えたところだったので、なんとタイムリーな!と
嬉しくなって買い求めた一冊。
最初の2編が、オイディプスの話です。

わたし、もともと萩尾望都好きなので、点が甘いのかもしれないけれど、

これは良かった…。

なにか、ソポクレスの『オイディプス』を原作に、新たな劇を見ているような気持ちで読み終わりました。
しかし、これは他の誰でもない、ソポクレスのオイディプスですね!
(いや、他の人のオイディプスを読んだ事ないから知らんが)
ちょうど解説を読んだところだったので、証人の羊飼いに対する解釈とか、
オイディプスが父を殺したいきさつとか、

おおおお!!的を得ている…!!

とときめいてしまいました。
(ひょっとして萩尾先生も同じ解説を読んだのか!?)
ワタシ、最初、原作をざっと読んだ時は、

道で行き違った時に無礼な態度とられたくらいでいたいけな老人を殺すなよ、
おまえどんだけ短気やねん、オイディプス…

…と思ってたんですが、解説に、
「オイディプスはちょうどデルポイに詣で終わったところで、
衝撃の予言をされて動揺していた、
一方ラーイオスのほうは、月一の予言の日になんとかすべりこもうと
猛烈に道を急いでた」
てな内容が書いてあって
(⇒だから、
急いでいたラーイオスは気が回らずに道を防いでる若者を無造作にどかそうとし、
オイディプスはオイディプスでそのちょっとした無礼がものすごく癇に障った)

ああ、そうか!
それなら分かる!!

とものすごく納得したのですが、まさにそんなような回答が
萩尾先生のマンガで描いてあったのですヨ…。
で、オイディプスの短気の理由が理解できただけに、
その後のオイディプスの清廉さが心に残ったというか…

ところで、作中に、オイディプスに影のようにつきまとって、彼に助言したり
彼が激情にかられるのを押しとどめたりする壮年の男性が出てくるのだけれど、
(作中では、彼の正体は結局明らかにされないのですが)
最初、ぼんやり、テイレシアスなのかなあ、と思ってたんです。
目が見えてるようだったけど、それはまあ、本当に物事が見えているのは
テイレシアスだけだという比喩かと…

でも、読み終えて後から、アレはソポクレスその人なのかしら、という気がしてきました。
あえて、正体を読者に委ねる辺りも、ニクイ演出だなあ…(さすが大御所です)
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by mi-narai | 2009-12-17 00:15 | 2007年12月の読書
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