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トロイラスとクレシダ

「トロイラスとクレシダ」見に行きました。

すんごい面白かったー!
見てる間中ワクワクしました。
見終わってから、わたくし、何回
「楽しかったー!」
と申したことでしょう。

・ちょっと前に読んだシェイクスピアの台本と、
場面運びも構成も台詞回しもきれいに合致、忠実に原作通りです。
妹曰く「日本でシェイクスピアやる時って、ほとんどそのまんまやで」

・とはいえ、演出の妙でだいぶ遊び心の加わった仕様になっていたように思います。
軽口の掛け合いや絶妙の間合い、原作を読んでいた時には想像し得なかった
行間の役者の振る舞いや声音など、色々目新しいことがいっぱいでした。

・特に、クレシダがギリシア陣営にやってきた時のやりとりは必見。
(これから観るかもしれないあなたのために、詳細は伏せておきます)
ええもん見せてもらいました。
ちくしょー、クレシダいいなあ!そこ代われ!

・役柄について
タイトルロールのトロイラス…一番どうでも良かった。役者さんのファンの人ごめん。
役者さんはなんも悪くないんや!もともとのシェイクスピアの性格設定が甘ったれた若造なだけなんや。
ヘレネー返還に反対するくだりとか、すぐに感情的になるところとか、もう、いろいろウザかったです。
以上。

クレシダ(クリュセイス)…こっちは逆に、シェイクスピアの原作読んでるときは、
こまっしゃくれた小娘じゃのう、と思ってたんですが、
役者さんが演じるととたんに才気煥発なお嬢さんに。
声がかわいかった。
でも、クレシダって名前なのにカルカースの娘設定だった…

パンドロス…誰が出てるかほとんどチェックしないで行ったので、
誰か分かってびっくり!徹だった!

見事なコメディアンぶり。
原作読んでるときには気づかなかったけど、パンドロスって上手い人が演じると
こんなにユーモラスに、しかもペーソスも感じさせることが出来るんだなあ。

プライアム…こっちはこっちでとおるはとおるでも江守徹だった。
しゃべり方が独特で、出てきた瞬間
『とおるーー!!??』
と眼を剥いてしまいました。

ヘクター(ヘクトール)…安定のヘクトール、安定の上腕二頭筋、安定のいぶし銀。
理想的なヘクトールでした。
全国のヘクトールファンのみんなは、彼に関してはなにも心配しなくていいよ!

パリス…若旦那風パリス。彼も良かったです。一緒に行ったG様に指摘されて初めて
意識したけど、若干のMだな、この人。

ヘレン(ヘレネー)…という名の、マリリン・モンロー。若干のSです。

イーニーアス(アイネイアス)…あんまり特徴ないけど良識的で常識的な
壮年の男性にしあがっとりました。
こゆい面々に食われがちでしたが、なかなか良かったです。
しかし、トロイの王子たちの部下っぽくなっとるのは解せぬ。

カッサンドラー…カッサンドラーをやるには狂気が必要です。良いカッサンドラーでした。

アンドロマキ…最後の方にちょろっと出てくるだけ。

トロイア方これだけだったかな。

ギリシア方は…

アガメムノン…今回のわたしの一押し。
アガメムノンです。何はともあれアガメムノンです。
一見の価値ありです。本気でバックを狙わせていただきたい(真顔)。
戦前の旧家の若き当主、みたいな雰囲気の、口ひげ・背広のナイスガイ。
お育ちの良さそうな立ち居振る舞いと、はきはきしたしゃべりがきらりと光ります。
いや、多分ね、ご一緒したG様も仰ってたけど、自分の中に
アガメムノンと言えば、堅太りで髭で眉毛の太いがっしり系の中年で
ファンタジーで言うところのドワーフ、こう、口でというよりは
武力と強気さで押してくるおっさんのイメージがあったんで、
今回のセレブ感漂わせる紳士とのギャップにやられたんだとは思うんですけどね。

あーー、受け受けしかった!
(やめなさいよ…)

もう、ありとあらゆる組み合わせを脳内補完いたしましたよ。
ダイアガ、ユリアガ、ヘクアガ、メネアガ、おっと、アキリーズとエイジャックスを
忘れてはいけまえん。
アガメムノンはすっぽんぽんになるより、ちょっと胸元をはだけて、
髪が一筋はらりする、くらいの乱れ方の方が萌えるな!(どうでもいい)

いっつも自分用の折りたたみイスを持参してて、
他の人が話し始めた隙に、さって組み立てて、マント跳ね上げて座るのが
もう、たいそう、たいそう可愛らしいの!
彼が喋る度に目が釘付けになりましたもの。
アガメムノンのキュートな姿をもう一度拝むためだけに、
芸文センターでの講演に申し込もうかと画策中。
東京までは行けなくても兵庫県ならまだいける!という西日本の民は是非この機会に!

ネスター(ネストール)…おはなしのおじいちゃん。
日本昔話みたいな声と語り口で過去話を延々延々はなしてくれる、カワユらしい
老人です。ネストールにもだだ萌えたわぁ…
クレシダへのセクハラは「おい、じじい」と思いましたが。
でもかわいいから許す。

ユリシーズ(オデュッセウス)…ここまでの上記2名入れての3人がセレブ枠。
着ている服がドイツ軍人っぽかったです。
すんごい悪い男で、見ながら終始にやにやが止まりませんでした。
もちろん、ホメロスの善人寄りのオデュッセウスとは違うけど、
こういうねちっこそうな感じ、大好きです!
オマケに生っ白くて、超喧嘩弱そう(笑
演出家さんと役者さんはいい感じのオデュッセウスを作り上げてくださいました。
ありがとうありがとう!

ダイアミディーズ(ディオメデス)…最初アキレウスかと思っちゃった。
珍しく金髪・長髪のディオメデス。
ケルトの戦士みたいでこれはこれで可愛らしかったですよ。
ちょっと悪ぶってて斜に構えてて、正統派のトロイラスと比べると
ワイルドな魅力があって、これはクレシダも落ちるな、と(笑
や、まあ、もともとトロイラスの魅力がいまいち分からない、という
己の趣味志向もありますでしょうが、絶対こっちの方に転ぶやろ!と大いに納得。
彼の魅力の詳細をつまびらかにする一大事業は、G様にお譲りして、
細身だし(シルエットがしゅっとしてて良い)、なかなか素敵なお尻だったわよ、と
述べるにとどめておこうと思います。

アキリーズ(アキレウス)…まさかの往年のロックシンガー枠。
ヘビメタがなってヘッドバンキングとかし始めそうな装いでした。

かほどに、これまでにないアキレウスだったのですが、なんということでしょう、

意外に気に入ってしまいました。

(若くて美しいアキレウスのファンの人は嫌かもしれないからそこは気をつけてください
いつ「ロック!」「ふぁんきーべいべー」と言い出すか分からない感じなので。)
一番自由で、意外なお茶目さもあり、なんか憎めないアキレウスだったな~

パトロクレス(パトロクロス)…登場時の二人羽織の印象が強くってw
いろいろこれまたイメージとかけ離れたパトロクロスですが、
アキレウスとセットでこれはこれで気に入ってしまいました。
アキレウスと、中学生の男の子同士みたいなアホな友情で結ばれてて
ものすごい微笑ましかった!
パトロクロスを殺されたアキレウスがあそこまで逆上するのに、初めて共感しましたもの。

メネレーオス(メネラオス)…大体アガメムノンの後ろの方に座ってて、
喋るのは兄に任せて黙ってることが多いのですが、
時々挟む短い一言が、なんかツボった。
とぼけた一言が多くてさ。かわゆらしいのなんの。
彼とパリスの、トムとジェリーみたいな一騎打ちは必見。

エイジャックス…一言でいいあらわすと、ジャイアンです。
もうー!!すごく可愛かったよ~!
単純だけど、裏表なくって、可愛いのよ、この子!
体格がころころしてんのもまた良かった。
愛玩動物を愛でるような眼で、始終「かわいいなぁ」と思ってました。
アガメムノンに続く右側候補(すみません。わたくしの内蔵受攻判定装置は
オート始動なの。自分でもどうしようもないのよ)

・総括
こうして振り返ると、ギリシア方、特にアガメムノンがあまりに素敵で
わたし、それに幻惑されて2割り増しで楽しんじゃった気がします。
(その分、トロイア側の印象が薄れちゃって大弱り)
わたし個人について言えば、何回見ても楽しめますが、
かように個人的な理由で気に入ったため、他の人が行って面白いかどうか
断言できないのがつらいところです。
アキレウスがぶっとんでても許せる方、シェイクスピアファンの方、
トロイア戦争に興味の重点があって見に来るのだとしても、
これはシェイクスピアだと割り切って見れる方、
お茶目な中年がお好きな方は、おそらく同じように楽しんでいただけるかと。



最後に、そもそも見に行きませんかとお声掛けくだすったG様に
感謝の言葉を捧げて締めにしようと思います。
本当に、ありがとうございました!
お誘いいただかなければ、この素敵な劇を見逃すところでしたよ!
見終わった後、アレが良かった、これが良かったと、お話するのもたいそう
楽しかったです。面白いものを観たときに共有できるという幸せなひとときを
過ごさせていただきました!
(いや、わたし自身は口下手のせいで大して面白い返しも出来ないわ、言葉足らずだわで、
G様の方はがっかりなさってたかもしれないのですが。ごめん!
後、台風のせいで帰れなくなったときになんの力になれなくてごめんね!
スマホさえ持ってないから、ただの横にいるだけの彫像ですよ。
おまけに電車が止まって却って心配かけるし、何をやっとるんだわたしは…)!
いかんいかん、大反省大会をしてる場合じゃありません。
イリアス要約マンガ後半と乙女ゲー楽しみにしてますからね~!

翌日お付き合いくださったT様も、ありがとうございましたー!!
T様はお会いすると本当に楽しくって、お別れした後いつも好感しか残らないという
希有な方なんですが、
自分の欲望に忠実に毎回東京に行くたびにしつこく誘ってすみません、ほんと。
(また嫌な顔せずにお付き合いくださるのが。ええ人や…)
次はお好み焼き行きましょう!

by mi-narai | 2015-07-21 00:57 | その他
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