レーナ・レヘトライネン著『要塞島の死』 自称小柄(身長165センチ)な女刑事マリア・カッリオシリーズの3作目。 前回、妊娠10ヶ月目くらいだった主人公、今作では子供がもう 1歳になってます。 ちょうど、1年の育児休暇が終わって仕事に復帰したところからスタート。 やっぱり育休とか女性が働くことについて伝統的な価値観との対立とか 保守的な男性陣からの反発があったんだな、とか 相変わらず、フィンランドの子育て、すげぇな…(授乳中も酒飲んでるぜ!)とか、 北欧の小説は男女関係が赤裸々だよな、とか、 サウナの登場率半端ねぇ!とか、 フィンランドの名前が面白すぎる!とか、 読みながら本編とは関係ない所に色々ツッコミましたが、 本篇も意外と面白かったですよ。 ヘルシンキ沖の小さな島で起こった事故が発端となって、 エコ実業家一家の内情、社長の死、同僚の問題、いろんな要素が絡まって 終盤は一気に事件の解決へ。 今回、犯人は割と早めに察しがついたんですが、この小説の肝はトリックでなく、 犯人像に迫る推理に主人公の日常とかその時その時考えたこととかが肉薄して なんか、主人公の目を通して自分もそこにいるような臨場感があるところだと思います。 疲れて帰ってきてまとわりつく子供にイラっとする自分に凹んだり、 旦那以外の男性にときめいて「や、まあ、鑑賞するだけだしいっか」と思ったり、 昔の自分を思い返して穴に入りたいような羞恥心を感じたり、 わりと等身大のヒロインですよ。 今回も楽しく読み終わりました。続きはよ! 榎田ユウリ『妖奇庵夜話 人魚を喰らう者』 借りたので読みました。 BLっぽいラノベ第3弾。流石に3冊目になると登場人物にも慣れてきて 結構楽しく読み終わりました。 またお前か!とか なぜBLで書かなかったー!とか いろいろツッコミどころはありますが、とりあえず脇田が可愛いから良い。 QED最終巻。これもお借りしたもの。 とうとうQEDシリーズも最終巻ですよ。 相変わらずこの作者の民族学的考察にはツッコミどころ満載ですが 語り手の奈々ちゃんと探偵役のタタルさんがうまくいったから全て許します。 ここまで長かったなぁ… 『エトルリア学』 たまたま本屋で発売されているのを見つけてしまったのが運の尽き、 買いましたとも!当然ですとも!!だってエトルリアだもの!!! 1冊まるまるエトルリアについて書いてある本なんて、しかも啓蒙書じゃなくて ちゃんとした学術書なんて、そうそうないですよ! これは買うしかないじゃない! そんなわけで、買って、大事にカバーを2重にかけて、今現在舐めるように読破中。 本当にまじめに学術的に書いてあって、しかも半世紀前のイタリア人の 学者先生の著作なので、語り口がものすごく回りくどく、 その上、概説書と違って、一つの説を述べるにしても、その説の根拠、別の反論、 説がどう推移したか、とか、丁寧過ぎるくらい掘り下げて書いてあって ぶっちゃけ、読みにくいことこの上ないんですが、 でも超楽しい! ずーっとエトルリアについて書いてあるよ!(当たり前です) やはり、一番最初は起源問題が来て、その後いろいろな切り口から エトルリア問題を眺める構成になっています。 以下、思ったことを箇条書きに。 ・歴史時代 うっかりエトルリアでひとくくりにしがちですが、よくよく考えると1000年近く長いスパンがあるんだから そりゃ前期と後期じゃ文化の様相も社会制度も違うよね。 エトルリアといってもいつの時代か、ということをちゃんと考慮に入れないとな、 と反省しました。 ・地理の項 ギリシャ諸都市やマヤ諸都市みたいにその都市ごとに行政も別なら大分カラーも違いますよ。 エトルリア、とその地域を指して呼ぶ言葉はあれど ゆるーくまとまってるだけなんですよね。 各々の都市のことが書かれてて楽しいな~。 (ここにははっきりファレリィはエトルリアの影響下にあるファリスキ人の町って書いてある) ウォルシニィ問題も書いてあった。現オルヴィエートと現ボルセーナのどっちだったかで イタリア人歴史家の間にも論争があったんだって。 日本だって飛鳥以前の都の場所とかものすごいざっくりだもんなぁ… そりゃわかんないよね。 ヤマタイ論争的なものがイタリアにもあったのかと思うと妙に親近感。 ・出土地や、出土品を所蔵している美術館の紹介にも頁が裂かれてて、大変に有り難い。 地元のトスカーナに数多くそれ系の美術館があるのはいいとして、 ルーブルと、大英とメトロポリタンは、なんでや!! 返せよ! ・宗教の項はだいたい知ってることが多かったので… ようやく三分の二ほど読めました。 後、エトルリアの往事の生活と、言語なので 残りも楽しく読もうと思います。
by mi-narai
| 2014-12-29 15:49
| 2014年下半期の読書
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