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『靴屋と市長』 『地中海世界を彩った人たち』

趙本夫著『靴屋と市長』読了。
寡黙で働き者の靴屋のおじさんの話。
市長は、もともとそのおじさんの住んでる長屋で大きくなった貧乏な男の子で
靴屋のおじさんはその男の子を自分の子供のように可愛がって面倒を見、
男の子もおじさんを尊敬して育つんですよ。

ええ話でした。
前に読んだ『天下無賊』みたいなのを想像していたらいい意味で裏切られた。
くっそう、本夫め…。
新幹線の中で変な人になっちゃったじゃないの(ズビバー)。


地中海世界を彩った人たち―古典にみる人物像 (岩波現代文庫)

柳沼 重剛 / 岩波書店

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柳沼重剛著『地中海世界を彩った人たち』読了。
これは思ったよりも軽めの本でした。
もうちょっとマニアックに書いてあるかと思ったら、意に反して一般向けに
地中海世界で活躍した昔の人をさらっと紹介してある感じの本だった。
紹介してある人は以下、

ヘレネ、アキレウス、ヘクトル、オデュッセウス、オイディプス、ギュゲスとクロイソス、ソロン、ヘロドトスとトゥキディデス、テミストクレスとペリクレス、アルキビアデスとニキアス、ソクラテス、クセノポン、ピリッポス、アレクサンドロス、アエネアス、ロムルスとレムス、ハンニバル、カエサル、キケロ、クレオパトラとアントニウス、アウグストゥス、ネロとアグリッピナ、セネカとペトロにウス、プルタルコス

1行目の4人あたりに惹かれてついフラフラと購入したわけですが、
トロイア好きの方ならもう知ってることしか書いてなかったので
わざわざ買ってまで読む必要はないと思います(一体誰に言っとるんだ)。
でも、他の人物たちに対する記述が面白かったので大変満足です。

・ヘレネ…ここにもヘレネ=スパルタの女神説が載ってましたが、
確かにヘレネーが女神だと考えればトロイア戦争もやむを得ないのかもな。
後、「金髪の」という形容詞はアキレウスとオデュッセウスにも付けられたことが
あると書いてあって笑ってしまいました。
オデュッセウスの髪の色についてはどうとでも取れる形容詞らしいので
未だに結論が出ていないようなんですけどね。
でも普通のギリシア人ならこげ茶色~黒髪なんじゃないの?(すごいてきとう)

・ヘクトル…ふははのは!見よ、柳沼先生もヘクトールをべた褒め☆

・オデュッセウス、オイディプスについては、これまでどっかで読んだような内容でした。

・ギュゲスとクロイソス…ヘロドトスですよね~。この逸話も御伽噺みたいで面白い。

おお、こんな書き方では必要以上に長くなってしまう。
でも、各人の記述にいちいち面白く思ったことは確かなんです。
柳沼先生のヘロドトスに対する好意的な視点とか、
トゥキディデスの、日本語では説明しにくい文章の分かりやすさとか、
わたしのお気に入りのテミストクレス&ペリクレスの記述にウハウハしたとか。
ソクラテス大先生に関してはもっとツッコめと思った。
逆にクセノポンに関しては、柳沼先生の記述で見直しました。
クセノポンの「アナバシス」とカエサルの「ガリア戦記」はそれぞれギリシア語、
ラテン語の基礎を学んだ人が最初に学ぶ文学なんだそうな。
そして、簡潔な言葉で書いてあるのに大変な名文なのですって。
わたしも必要最小限の簡単な言葉で言うべきこと全てを表現するそんな文章が
憧れなので(自分の文章が読みにくいから余計な)柳沼先生の賞賛にはいちいち頷いてしまいました。
マケドニア人二人はさほど興味もないので読み飛ばし、
初期ローマ関連の人々は知ってることばかりだったのでこれまた読み飛ばしましたが
ハンニバル部分ではときめいた…!
カエサルも、やり手の政治家な部分はとても好きです。
ああん、この頃のローマは陰謀まみれで楽しい!
キケロさんのことは、実はこれまで良く知らなかったのですが、
なかなか愉快ですよ、この人。
感情の起伏が激しくて意外と優柔不断ですよ(でも文章は上手い)。
ストックしてあるキケロの書簡集やら弁論集、読まなきゃ!
アウグストゥスは、もともとガイウス・オクタウィウスだったのになんで後に
オクタウィアヌスに名前変更したんだ?と思ってたけど、
カエサルんちに養子に入ったときに一応オクタウィウス家出身だということで
オクタウィアヌスって名前の後ろにくっつけたのだそうな。納得しました。
セネカとペトロにウス、プルタルコスも面白かった!
特にプルタルコス!全てのエッセイが読みたくなりました!お願い、●波さん!
(なんだもかんでも岩●頼み)

…またも時間切れ。読み終わった本が後2冊あるけど次に持ち越し。
by mi-narai | 2009-03-21 20:33 | 2009年3月の読書
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