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トロイラスとクレシダ

「トロイラスとクレシダ」見に行きました。

すんごい面白かったー!
見てる間中ワクワクしました。
見終わってから、わたくし、何回
「楽しかったー!」
と申したことでしょう。

・ちょっと前に読んだシェイクスピアの台本と、
場面運びも構成も台詞回しもきれいに合致、忠実に原作通りです。
妹曰く「日本でシェイクスピアやる時って、ほとんどそのまんまやで」

・とはいえ、演出の妙でだいぶ遊び心の加わった仕様になっていたように思います。
軽口の掛け合いや絶妙の間合い、原作を読んでいた時には想像し得なかった
行間の役者の振る舞いや声音など、色々目新しいことがいっぱいでした。

・特に、クレシダがギリシア陣営にやってきた時のやりとりは必見。
(これから観るかもしれないあなたのために、詳細は伏せておきます)
ええもん見せてもらいました。
ちくしょー、クレシダいいなあ!そこ代われ!

・役柄について
タイトルロールのトロイラス…一番どうでも良かった。役者さんのファンの人ごめん。
役者さんはなんも悪くないんや!もともとのシェイクスピアの性格設定が甘ったれた若造なだけなんや。
ヘレネー返還に反対するくだりとか、すぐに感情的になるところとか、もう、いろいろウザかったです。
以上。

クレシダ(クリュセイス)…こっちは逆に、シェイクスピアの原作読んでるときは、
こまっしゃくれた小娘じゃのう、と思ってたんですが、
役者さんが演じるととたんに才気煥発なお嬢さんに。
声がかわいかった。
でも、クレシダって名前なのにカルカースの娘設定だった…

パンドロス…誰が出てるかほとんどチェックしないで行ったので、
誰か分かってびっくり!徹だった!

見事なコメディアンぶり。
原作読んでるときには気づかなかったけど、パンドロスって上手い人が演じると
こんなにユーモラスに、しかもペーソスも感じさせることが出来るんだなあ。

プライアム…こっちはこっちでとおるはとおるでも江守徹だった。
しゃべり方が独特で、出てきた瞬間
『とおるーー!!??』
と眼を剥いてしまいました。

ヘクター(ヘクトール)…安定のヘクトール、安定の上腕二頭筋、安定のいぶし銀。
理想的なヘクトールでした。
全国のヘクトールファンのみんなは、彼に関してはなにも心配しなくていいよ!

パリス…若旦那風パリス。彼も良かったです。一緒に行ったG様に指摘されて初めて
意識したけど、若干のMだな、この人。

ヘレン(ヘレネー)…という名の、マリリン・モンロー。若干のSです。

イーニーアス(アイネイアス)…あんまり特徴ないけど良識的で常識的な
壮年の男性にしあがっとりました。
こゆい面々に食われがちでしたが、なかなか良かったです。
しかし、トロイの王子たちの部下っぽくなっとるのは解せぬ。

カッサンドラー…カッサンドラーをやるには狂気が必要です。良いカッサンドラーでした。

アンドロマキ…最後の方にちょろっと出てくるだけ。

トロイア方これだけだったかな。

ギリシア方は…

アガメムノン…今回のわたしの一押し。
アガメムノンです。何はともあれアガメムノンです。
一見の価値ありです。本気でバックを狙わせていただきたい(真顔)。
戦前の旧家の若き当主、みたいな雰囲気の、口ひげ・背広のナイスガイ。
お育ちの良さそうな立ち居振る舞いと、はきはきしたしゃべりがきらりと光ります。
いや、多分ね、ご一緒したG様も仰ってたけど、自分の中に
アガメムノンと言えば、堅太りで髭で眉毛の太いがっしり系の中年で
ファンタジーで言うところのドワーフ、こう、口でというよりは
武力と強気さで押してくるおっさんのイメージがあったんで、
今回のセレブ感漂わせる紳士とのギャップにやられたんだとは思うんですけどね。

あーー、受け受けしかった!
(やめなさいよ…)

もう、ありとあらゆる組み合わせを脳内補完いたしましたよ。
ダイアガ、ユリアガ、ヘクアガ、メネアガ、おっと、アキリーズとエイジャックスを
忘れてはいけまえん。
アガメムノンはすっぽんぽんになるより、ちょっと胸元をはだけて、
髪が一筋はらりする、くらいの乱れ方の方が萌えるな!(どうでもいい)

いっつも自分用の折りたたみイスを持参してて、
他の人が話し始めた隙に、さって組み立てて、マント跳ね上げて座るのが
もう、たいそう、たいそう可愛らしいの!
彼が喋る度に目が釘付けになりましたもの。
アガメムノンのキュートな姿をもう一度拝むためだけに、
芸文センターでの講演に申し込もうかと画策中。
東京までは行けなくても兵庫県ならまだいける!という西日本の民は是非この機会に!

ネスター(ネストール)…おはなしのおじいちゃん。
日本昔話みたいな声と語り口で過去話を延々延々はなしてくれる、カワユらしい
老人です。ネストールにもだだ萌えたわぁ…
クレシダへのセクハラは「おい、じじい」と思いましたが。
でもかわいいから許す。

ユリシーズ(オデュッセウス)…ここまでの上記2名入れての3人がセレブ枠。
着ている服がドイツ軍人っぽかったです。
すんごい悪い男で、見ながら終始にやにやが止まりませんでした。
もちろん、ホメロスの善人寄りのオデュッセウスとは違うけど、
こういうねちっこそうな感じ、大好きです!
オマケに生っ白くて、超喧嘩弱そう(笑
演出家さんと役者さんはいい感じのオデュッセウスを作り上げてくださいました。
ありがとうありがとう!

ダイアミディーズ(ディオメデス)…最初アキレウスかと思っちゃった。
珍しく金髪・長髪のディオメデス。
ケルトの戦士みたいでこれはこれで可愛らしかったですよ。
ちょっと悪ぶってて斜に構えてて、正統派のトロイラスと比べると
ワイルドな魅力があって、これはクレシダも落ちるな、と(笑
や、まあ、もともとトロイラスの魅力がいまいち分からない、という
己の趣味志向もありますでしょうが、絶対こっちの方に転ぶやろ!と大いに納得。
彼の魅力の詳細をつまびらかにする一大事業は、G様にお譲りして、
細身だし(シルエットがしゅっとしてて良い)、なかなか素敵なお尻だったわよ、と
述べるにとどめておこうと思います。

アキリーズ(アキレウス)…まさかの往年のロックシンガー枠。
ヘビメタがなってヘッドバンキングとかし始めそうな装いでした。

かほどに、これまでにないアキレウスだったのですが、なんということでしょう、

意外に気に入ってしまいました。

(若くて美しいアキレウスのファンの人は嫌かもしれないからそこは気をつけてください
いつ「ロック!」「ふぁんきーべいべー」と言い出すか分からない感じなので。)
一番自由で、意外なお茶目さもあり、なんか憎めないアキレウスだったな~

パトロクレス(パトロクロス)…登場時の二人羽織の印象が強くってw
いろいろこれまたイメージとかけ離れたパトロクロスですが、
アキレウスとセットでこれはこれで気に入ってしまいました。
アキレウスと、中学生の男の子同士みたいなアホな友情で結ばれてて
ものすごい微笑ましかった!
パトロクロスを殺されたアキレウスがあそこまで逆上するのに、初めて共感しましたもの。

メネレーオス(メネラオス)…大体アガメムノンの後ろの方に座ってて、
喋るのは兄に任せて黙ってることが多いのですが、
時々挟む短い一言が、なんかツボった。
とぼけた一言が多くてさ。かわゆらしいのなんの。
彼とパリスの、トムとジェリーみたいな一騎打ちは必見。

エイジャックス…一言でいいあらわすと、ジャイアンです。
もうー!!すごく可愛かったよ~!
単純だけど、裏表なくって、可愛いのよ、この子!
体格がころころしてんのもまた良かった。
愛玩動物を愛でるような眼で、始終「かわいいなぁ」と思ってました。
アガメムノンに続く右側候補(すみません。わたくしの内蔵受攻判定装置は
オート始動なの。自分でもどうしようもないのよ)

・総括
こうして振り返ると、ギリシア方、特にアガメムノンがあまりに素敵で
わたし、それに幻惑されて2割り増しで楽しんじゃった気がします。
(その分、トロイア側の印象が薄れちゃって大弱り)
わたし個人について言えば、何回見ても楽しめますが、
かように個人的な理由で気に入ったため、他の人が行って面白いかどうか
断言できないのがつらいところです。
アキレウスがぶっとんでても許せる方、シェイクスピアファンの方、
トロイア戦争に興味の重点があって見に来るのだとしても、
これはシェイクスピアだと割り切って見れる方、
お茶目な中年がお好きな方は、おそらく同じように楽しんでいただけるかと。

以下、個人的なお礼…なので折っときます
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by mi-narai | 2015-07-21 00:57 | その他

『経済学に何が出来るか』 『極楽のあまり風』 『ばけもの好む中将』 『トロイラスとクレシダ』

最近のテレビ

「山賊の娘ローニャ」 「あわれな山賊たち」回。
もじゃ率の低さに衝撃を受ける。
いや、北欧だし、8割もじゃだろう!!
一人くらいは腕にも背中にも足にも腹にも毛が生えてて
「毛ガニ!」とか呼ばれててもいいじゃない!
そんな中アッティス親分だけつるっつるで気にしてて
ロビスに「シラミが沸かなくていいじゃないのさ」とか
言われてたらいいじゃない!

…などと思いながら見てました。
みんなのプリけつは美味しく鑑賞させていただいたわよ!ごち!


コズミック・フロント・NEXT 「ガガーリン」の回
これまた歴史の話っぽい回。

ソ連が、怖すぎる。

初の宇宙飛行生命体である、ライカ犬、
実は打ち上げて数時間後に死んでたらしいですよ。
ちょっと悲しくなりました。
しかし、最初の有人飛行は1時間ちょい、位だったのだなあ。
今なら一般人でも金を積めば出来ちゃう時間ですよ。
このまま科学が進歩し続けたら、この宇宙の外側にも行けるかな。


こっから読書

歴代首相の経済政策 全データ 増補版 (oneテーマ21)

草野 厚 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

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草野 厚著『歴代首相の経済政策』読了。
日本の肖像を見た後だったので、それとシンクロしててちょっとわかりやすかったです。
日本の政治家はろくな事してないと思ってたけど、それでもそれなりに
頑張ってたんだなあ。

もっと頑張れ。給料分働いてくれ。

後、予算における近年の借金の割合の増えっぷりが恐ろしいよ…
(年毎の予算額と振り分けが載ってるんですよ)


経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み (中公新書)

猪木 武徳 / 中央公論新社

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猪木武徳著『経済学に何が出来るか』
大真面目に経済学に何が出来るかについて考えた本(タイトルまんまやがな)。
いや、一般的には経済学というと机上の空論で実際の役には立たんと思われてるけど、
それに対しての経済学者からの真摯な反論ともうしますか。
大真面目に経済学の方法を説明しながら、現代政治の瑕疵を論じてます。
読んでからだいぶ経ったからもうあんまり覚えてませんが(だめじゃん!)。
しかし、経済学で理論を論ずる時、どうしても単純化、普遍化するけど、
実際の社会ではもっとさまざまな要因があるわけじゃないですか、
そのせいで、理論と同じようには展開しないんですよね。
その辺りのズレが経済学が役に立たんと言われる所以なのだが、
だからといって理論自体が間違えているわけではない、
という著者の主張は、まあ、そらそうだなと思いました。


この辺りで、そろそろ政治・経済関係の本はいいかな~と思って
趣味の本を読み始めました。


ばけもの好む中将―平安不思議めぐり (集英社文庫)

瀬川 貴次 / 集英社

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瀬川貴次著『ばけもの好む中将』
お借りした本。軽い読み物なんだけど、意外と面白かった。
タイトルを見れば、
舞台が平安時代で、物の怪とか、妖怪が好きな中将が出てくるのだな
という大体のコンセプトは分かると思うのですが、
その中将が意外に好みの男前だったのですよ。
なので、それだけでわたくしの評価は跳ね上がっております。
ワトスン役の右兵衛佐が上にお姉ちゃんが12人も居て、
おまけに怪異が大嫌い(怖いから)というネタキャラで、
いちいち驚いたり怖がったりしてくれるのでまた楽しい。
続きも貸してくれるそうなので楽しみです。


京へ上った鍋奉行 (集英社文庫)

田中 啓文 / 集英社

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田中啓文著『鍋奉行犯科帳 京へ上った鍋奉行』
相変わらずのお奉行様の喰いっぷりのことよ。
主人公の同心の恋もほんのすこしだけ進んだかな。
4冊目にもなると、お奉行様が出てくるとほっとするというか、
あんなどうしようもない人なのに愛着がわきまくってます。
『ハナシがちがう!』シリーズの梅寿師匠もどうしようもない人なのに
そこがやっぱり良くて、たまらん感じに書いてありましたが、
この作者、こういう欠点たっぷりの人間を魅力的に描くことに関しては天才的ですね。
次の巻も楽しみです。


極楽のあまり風―ギリシア文学からの眺め

中務 哲郎 / ピナケス出版

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中務哲郎著『極楽のあまり風』
この本、ウッカリ2冊買っちゃって(マイナー出版社の本だったからさ…)
某方に無理矢理一冊押しつけたというアレな本(ほんと、その節はスミマセン!)。
さすがに、押しつけてから数ヶ月たつのに未読とか、ないよな、と思って
ようやく読んでみたんですが

面白いな!これ!

のっけの
「アイスキュロスは禿頭にカメ落とされて死んだ」ってネタに
悪いけどリアルに笑ってしまいましたよ。
ツルぴかの禿頭見て、飛んでた鷲が「岩はっけーん!」と思って
甲羅割るつもりで持ってたカメ落としたら、
アイスキュロスの頭蓋骨の方が割れちゃったっていう、ね。
ひとしきりニヤニヤしてから、そう言えば、他のなんかの本でも
同じネタ読んだな、と思い出しました。
しかし、あんなシリアス悲劇書いた詩人にしては
突飛なエピソードですね。
まあ、有名人は軒並み伝説級の死に様エピソードを後から創作されたらしいから
実際にこうやって死んだと信じ込むのは早計ですが。
オマケに、なんと、夏目漱石の小説にこの逸話が!載ってるらしいよ!!
漱石、博学だなあ!!
先生は、漱石が何をソースにそのエピソードを知ったかってとこまで
追跡してらっしゃるんだけど、そんなこぼれネタ知ってる先生の方が博学ですよね。

かように、この本は、
長年西洋古典文学に携わってこられた中務先生が、折々に思ったことなどを
チラシの裏にメモるみたいに綴られた雑学満載のエッセイ集、なのです。
ネタの宝庫ですよ!
先生はさすが長年生きてきただけあって、西洋古典だけでなく、
他の時代、他の地域のこぼれネタもたくさんご存知で、
(それをこの金額で教えていただくのが申し訳ないくらい)
西洋古典のエピソードと絡めて縦横無尽に空想なさる様を
こうして興味本位で気楽に読むのがまた楽しい!
ほんまに、極楽の余り風やなあ…。
(※極楽から漏れいでたような涼風、転じては良き品、良き事を指す)

以下、読みながら特に思ったことメモ。

・初潮の話と出産姿勢の話。
「初潮」が、色んな地域の色んな時代の文学の中でどのように表されているかを
西洋古典から、古事記から、アラブ文学にまで広げてピックアップ。
アラブの表現の美しさに瞠目したよ。
出産姿勢の方は、膝立ちとか、立ち姿勢が多かった件について。
確かに、その方が楽そう。

・牛の皮で囲える土地をくれ、と頼んで了承を得てから、
皮を細く裂いて広大な土地を囲う、というこすからい伝承について。
色んな民話に出てくるのは知ってましたが、そうや、ディードーも使ってたわ、この手!

・間男はビーツをケツにツッコまれて、毛を焼かれたてエピも載ってますよ!
わははは!なんやその刑罰!
まあ、女性だけが責められて、宗教裁判で処刑とかよりは
ぜんぜんいいですよ。もっとやれギリシャ人。
でも痔には気をつけて。

・喜劇詩人のメナンドロス、いつか読もう、読もうと思ってまた未読です。
いつか読もう。

・難しい漢字が沢山。
普段使わないような美しい言葉をさらっと普段使いで使ってあるのがかっこいい。
なんか、昭和期を生きた方って、下地でかなわない気がします。

・アイリアノスの『ギリシア奇談集』からの引用が多数でてくるんですが、
わたしこの本読んだはずなのに、全然覚えてないよー!

・最後の後書きが、京都の人っぽくて、ニヤニヤしました。


ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼 (集英社文庫)

瀬川 貴次 / 集英社

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瀬川貴次著『ばけもの好む中将 弐 姑獲鳥と牛鬼』
短編、短編、中編で1冊の、ちょっと変わった編成の本。
でも全部バラバラのハナシなのかと思ったら、最後でちゃんと一つにまとまって
ちょっと感心してしまいました。
今回も中将のはじけっぷりがきらりと光る良い1冊。
中将のセレブなお友達たちや、主人公のお姉ちゃんたちにもスポットが
あたって、楽しかった。お姉さんたちの個性が強すぎる(笑


シェイクスピア全集 (〔24〕) (白水Uブックス (24))

ウィリアム・シェイクスピア / 白水社

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ウィリアム・シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』
読み始めてすぐに思ったことは、

シェイクスピアやなあ!

ということ。
舞台がトロイア戦争なので、勿論なじみ深くて、登場人物もよく知ってる人
ばかりなのに、言い回しや筋立てがものすごいシェイクスピアっぽくて
なんか、不思議な感じです。
あんまりシェイクスピアに詳しくないわたしが言うのも何ですが、
シェイクスピアの喜劇って、道化が出てきて狂言回しをするイメージが強くって、
このトロイラスとクレシダにおいては、テルシテスがその役回りなのですね。
タイトルロールの二人の恋愛に関しては、マジでどーでもいいですが、
アキレウスがみんなにさんざん「あいつ高慢すぎる」てぶつぶつ言われたり、
アイアースがからかわれたりする件はちょっと面白いです。
しかし、英語読みだから、それが誰かをいちいち頭の中で変換するのは面倒。
 ・
 ・
 ・
翌日読了。
後書きで「カテゴリー分けに困る作品」とあったけど、確かに。
途中喜劇っぽいけど、全編喜劇ではないし、大団円ではない、
かといって、史劇ほどの重さはなく、
悲劇といっても、ロミオとジュリエットのような完璧な美しさにはほど遠く、
ハムレットのように最後全員死ぬわけでもなく、
「なんやこの話???」
と思ってる内に終わるという…
何がねらいなんだ???とそりゃ学者連中も頭をひねるわな、こりゃ。
とりあえず「問題劇」というカテゴリーに今は入れられてるらしいです。
でも面白くないかと言えばそうでもなく、さすがシェイクスピアというか、
舞台転換とか場面の見せ方とか秀逸で、飽きずに最後まで読めちゃいました。
(もともとシェイクスピア(の喜劇)が好きなので、だいぶ点が甘いかもしれん。)
もちろん、元ネタのイーリアスや他のトロイア関連叙事詩とは、だいぶ
筋立てを変えてきてるんだけど、
その辺りはシェイクスピアの構成手腕の見せ所ってやつで、
むしろどう組み立ててるかの方に剋目しました。
ちなみに、タイトルロールがトロイラスとクレシダなので、
一応その二人中心に話が回ってて、
他のアキレウスとヘクトールの因縁とか、
パリスのくだりとか、その辺はわりとさらっと流されてます。
ヘクトールの死はさすがに確定済みなんですが。
(シェイクスピアは、同時代のトロイア戦争に題材をとった劇脚本だけでなく、
一応イーリアスの翻訳も参考にしたらしい。)
かといって、別にトロイラスとクレシダがいうほど純愛な訳でもないし、
他の作家の作品みたいにクレシダに納得できる要素があるわけでもなく
ううむ、マジで、何を主眼に描きたかったのか悩むな。
ざっくり一回読んだくらいじゃ分からんのも当然かもしれません。
時代背景とか、シェイクスピアの劇作手法とかに無知なので、それがネックなのかもしれません。
手強いぜウィリアム!(わたしがアホなだけか?)
とりあえず、劇を見て、演出家がどういう風に結論づけてるか、
(それともシェイクスピアの原作通りなのか)、を
確認してこようと思います。

ていうか、新幹線、動くのか?(動いてくれよ)
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by mi-narai | 2015-07-17 00:03 | 2015年下半期の読書

トロイアネタ

今●HK見てたら、「祇園祭千年の謎」たらいう番組で

山鉾にトロイア戦争の場面が描かれたタペストリーが使われている

というネタをやっていたので忘れないうちにメモっておきます。
ものすごい中世風やったけどな。
どうやら大きな横長のものを5分割くらいにしたうちの一枚らしく、
騎士のかっこうしたおっちゃんと周囲に何人かおるおねえちゃんからは
いったいどの場面なのかは計り知れなかった…。
残りは滋賀県とか別の場所に散逸してるっぽいんだけど、
そのうちの一枚は確実に「トロイア落城」だなこれ、ってのがありました。
もともとベルギー産だったっぽい。
番組をはじめから見てなかったからよう分からんけども。
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by mi-narai | 2014-07-23 20:19 | その他

『アキレウスの歌』 『福の神と貧乏神』 『人類拡散の歴史』


マデリン・ミラー著『アキレウスの歌』
読了。
最後は駆け足で。
大体がこの本、『イーリアス』に忠実に書いてあるのでその通りの出来事が順を追って起こります。
(あくまでもパトロクロス視点で)
これまた、よく読んで知ってる場面ばかりなので、そうなんだよなあといちいち納得しながら読む感じ。
結局ヘクトール兄さんは最後まで遠い人でちょっと寂しかったですが、
アカイア方の人間から見たらそりゃそんなもんか。
パトロクロス亡き後のアキレウスのアレっぷりも原作どおりでしたよ。
原作読んだ時に感じたようなことを再び感じました。
おそらく、ここで吐かれるブリセイスの言葉は大半の読者の心の声w
でも、『イーリアス』のアキレウスの嘆きのセリフ
「君は、君だけは生き残って父上や息子に俺の活躍を伝えてくれると思っていたのに」
とか
「もう二人だけで、少し離れた場所に座って、額を寄せて話をすることもないんだな」
を思いだして、じんわりはしました。上記の二つのセリフ、好きなんだよなあ…。

いやしかし。
それよりなにより、終盤もっとも何度も心に思ったことといえば

ネオプトレモス腹たつわー

です。
身の程知らずな若造ですよ。
テティスに育てられて人間らしさが少ないというかね。教育は大切ですよね。
現代社会なら確実に「この人、サイコパスです」と診断されちゃいそうな酷薄さです。
別にわたくし、もともとオレステス派だし、ネオプトレモスが悪しざまに描かれている点には
全く不満はないのですが、終盤になるともうすっかりパトロクロスに共感しまくっちゃってて
パトロクロスがネオプトレモスに感じている反感とか怒りがそのまま移っちゃってさ。
ほんまあいつ、教育的往復ビンタでも食らわさんと気がすまんで!くらいに腹を立てていたので
奴の末路には溜飲が下がりました。
あいつの死にざまバラエティ豊富だからな!どれでも好きなのをお選びなさーい☆
後、最後のオデュッセウスの台詞には、不意をつかれたよ畜生めが!最後の最後にありがとう!

しかし、結局最後までこの作者の書きっぷりには割と共感するなあと思ってたのですが、
考えたら、きちんと原作に対するリスペクトが感じられるのが、好印象だったのかもしれません。
ものすごい読みやすかったです。
ホメロス信者ですみません。信者ゆえ、ホメロスの比重が高い方がわたしは読みやすいんじゃよ。
おまけに、あとがき読んだら作品に対する姿勢にもわたし共感出来ちゃいました。
つねづね、(他の人がどのエピソードをチョイスしてもそれは全然かまわないんですよ、
これは自分に関して、だけなんだけども)現存する文書資料のうち一番古いのがホメロスなんだから、
他のは全部大体後世の付け足しとかやん。同じ場面で違うエピソードが使用されてる場合
ホメロスの方が信憑性が高いというか、オリジナル性が高いよなと。
(まあ、わたし、ホメロスファンでもあるし、そもそもサイトがホメロス中心サイトなんで
そりゃ他の伝承とかぶった場合相当の萌がない限りホメロスの方に従いますけども。)
この著者もそんなようなことを書いていて、他の伝承でこう伝わってるけど
ホメロスではこうなんで、そっちを採用したよ、とかあって、

分かるわー!!


と強烈に思ってしまったのでありました。

あー、ディオメデスの話とか書いてくれんかな。
(この方のディオメデスが超かっこよかったので♪)


福の神と貧乏神 (ちくま文庫)

小松 和彦 / 筑摩書房

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小松和彦著『福の神と貧乏神』読了。
日本の福神についてまとめた小著ですが、なかなか面白いです。
そもそもの、一番初めの、「福」という言葉の説明が面白かった!
ので、メモっときます。
日本語の幸せ(しあわせ)って、もともと「仕合わせ」とも表記されていたように、
物事が一致すること、巡り合わせ、そのものを示す言葉で、その巡り合わせが
良いか悪いかは関係なかったと。
おみくじの仕合わせよし、仕合わせわろし、なんかはその古い使用例だそうで。
それが、いつのまにか、「しあわせ」が、良い方の巡り合わせの事飲みを指すようになったんですって。
しかも、その結果としての幸福は個人の努力の結果ではなく、
巡り合わせが良かった=運が良かった、という風に
外部の力でそうなった、という意味合いが強かったらしい。
仕合わせが、幸せと表記されるようになったのは、幸い(さいわい)、と同義の言葉と考えられたから。
幸い、は古くは「さきわい」、と言って、花が咲くの、「さく」とか、
栄える、とか、盛り、とかの「さか」という語幹と、
にぎわい、とか、わざわい、とか、辺りに這うように広がることを示す「わい」という言葉がくっついたもので、
栄えが広がるの意。なんだって、へー。
そういえば、わたしの好きな小説、チャールズ・デ・リンドの『ジャッキー、巨人を退治する』で、
妖精たちのことを「さきわいの民」と表現してあったけど、
幸せな人々ってことだったのかー、と、今更納得しました。

幸いの説明はともかく、貧乏神のビジュアルとか性質の変遷とか、
福の神がどうやって人々に福をもたらすかとか、
民間伝承における発現の仕方とか
(以外と福の神は薄情というか、貧乏人を富ませてはくれない。すでに金持ってる家にやってきて騒ぐだけ)
そんなのが面白かったです。


レストア: オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿 (光文社文庫)

太田 忠司 / 光文社

スコア:


太田忠司著『レストア』読了。
オルゴール修復師が探偵役の珍しい推理物。
借りたので読みました。
今回はオカルトは無しだった。(まずそこかい!)
この主人公、仮性じゃなく、本気で深刻な鬱をわずらってて、
あんまり人とはかかわり合いたくないんですが、謎が気になって結局関わってしまうんですよね。
ミステリー部分は主人公のなんとか社会でやっていこうというあがきの中の一環みたいな位置づけて、
なかなか面白かったです。
主人公がすぐにくじけそうになるので、読者はいらんとこでハラハラさせられ、
その分あんまりスカッとはしませんが。


人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る (サイエンス・パレット)

Bernard Wood / 丸善出版

スコア:


『人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る 』読了。
面白いよ。まずは学問としての成り立ちから説明してあります。
人類についての学問にはこういう歴史があって、
人間の進化と拡散というのはこういう流れで研究されてきて、
この分野とこの分野とそのほかにもこの分野の学問から成果を
抽出して総合的に判断するんだよとか、割と丁寧に書いてありました。
やっぱ。近年の分子遺伝学の発達でだいぶ解明が進んだらしいね。
欧米と日本の自然人類学における系統分類の呼び名が違うので、
訳者の方が苦心されていましたが、分かりやすかったですよ。
学者の中にも、なるべく細かく分類したい人と大まかにまとめてしまいたい人と二種類居るのだな、とか、
ヨーロッパ中心主義がまかりとおっていたのだなとか。
本筋以外のところにもふーん、と思ったり。
しかし、それよりなにより印象に残ったことが二つ。
一つ目は、別系統の直接の祖先ではないと思っていたネアンデルタール人とかその他の人類と、
今生きている系統の人類に僅かだけど遺伝子的な交流があったらしいこと。
もう一つは、東南アジアのとある島に1万8千年前までホモ・フロレンシウスという
現世人類とは別種の人が生息していたという事実です。
孤立した島だから外の世界とは交流はなかったかもしれないけど、
現世人類と平行してそんな最近まで別系統の人間が生きて暮らしてたんだ!!
と思うと感激しました。
ネアンデルタール人とヨーロッパあたりにすんでたホモ・サピエンスもしばらくは共存してたみたいだけど、
それも4万年くらい前の話だし。
で、妹に意気込んで言うと、「一万八千年前は[最近]と違う」とばっさり断言されて
しまいました。いや、そうなんだけどさ…。



この後5冊くらい読んだけど大概もう長いので次に回します。
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by mi-narai | 2014-04-20 23:25 | 2014年上半期の読書

『アキレウスの歌』

アキレウスの歌

マデリン ミラー / 早川書房

スコア:



マデリン・ミラー著『アキレウスの歌』読み始めました。
いや、本屋に行って他の本の検索かけてて偶然タイトルが目にとまって、
棚に言って現物見て、帯見て、中パラパラ見て、アキレウスとかパトロクロスとか
馴染のある名前が目に飛び込んできて、おまけにオデュッセウスとかディオメデスとか書いてあって

即買いしました。

で、途中なんですけど、書いちゃいます。
どうしちゃったのハヤカワさん、第4段。
しかし、これは責めてるんじゃないですよ。

出版してくれて、ありがとう…!!!

いや、今半分くらいまで読んだけど、面白いよ、これ!
結末まで読んだらまた評価も変わるかもしれないけど、今のところ、100点満点で120点くらい。
大筋は、『パトロクロスの目から見たアキレウス』、です。
幼少時代のパトロクロスから始まって、アキレウスとの出会い、二人ですごした少年時代、
育まれる友情、ケイロンのもとでの穏やかな生活、戦が起こって、
スキュロスにアキレウスが隠されて、オデュッセウスとディオメデスが見破りに来て、
テティスの口から運命が明かされ、従軍を決意して(中略)、今トロイアの浜で野営中。
和平交渉に行ったメネラオスとオデュッセウスが帰ってきたとこ。

なんというか、眉をひそめる感じでこれ、違う、と感じる箇所がほとんどありません。
奇跡!
ネット風に言うなら

「違和感、仕事しろ!」

普段自分が頭の中で思い描いてる感じ、ほぼそのままのアキレウスとパトロクロスで
なんか、すんなり話に入れちゃったというか。
ああ、知ってる知ってる、そうやんな、と思いながら読み進んじゃったというか。
既に知っている地元のあるあるを本で読んでる感じですよ。
雨が降ったら山から水蒸気がものすごい立ってるとか(あれ、なんでなんでしょう)
自転車乗ったら死ねるレベルの坂が続くので、地元民は電動派が多いらしいとか、
駅周辺にやたらパン屋とケーキ屋が多くて一体この辺りの店はやっていけてんのか訝しいとか
レオニダス、ロールケーキ始めよったとか、
そんな「あー、あれね」と頷いちゃうようなローカルネタを読んでるような親近感です。
大体、わたしのトロイア戦争に登場する英雄たちに対するイメージって、
めちゃくちゃホメロス準拠なんですけど(あんまりひねらずに、素直に受けたイメージそのまんま
なんですけど)、てことは、この作者も同じようなイメージだったちゅうことかしら

でっすよねー!!

ホメロス読んだらあんな感じですよね!!
などと一人悦ってしまいました。
後、本のはじめの辺りの幼いアキレウスとパトロクロスのくだりは、
サトクリフの男の子同士の友情の描き方をほうふつとさせ、それで読み慣れてる感じもあったのかもしれん。

以下、各登場人物について雑感
・アキレウスとパトロクロス
アキレウスは、わたし、筋肉もりもりじゃなくて、すらっとしてんのに、きれいな顔なのに
ものっそい強い、みたいな、戦国無双的な強さを想像してるんですが、
まさに、そんなアキレウス像。
半神だから、強くて、奇麗で、純粋で、だから汚い人間世界のひょんなことで壊されてしまいそうな
危うさがあって。そんな、わしが言葉で書いてもいまいちピンとこないアキレウス象を
ものっすごい魅力的に描き切ってあるから!説明する手間省けた!
パトロクロスは内省的で真面目な若者で、自分が人間でアキレウスが半神であることを自覚していて
アキレウスに憧れて、崇拝して、唯一無二の大事な人だと思っていて、
全身全霊で愛してるんです。心配もしている。
まあホメロスは二人は友人同士のつもりで叙事詩を歌ってると思うけど
この作品では若干友情の枠を踏み越えちゃってますけどね。
(腐女子の私には美味しい展開ですが、苦手な人は気をつけて。
でもまあ、濃い友情をこじらせた感万歳の触れあいなので、さほどえぐくはないですよ。
…うーん、しかし、自分がホモ慣れしちゃっててそう感じるのかもしらんし、よう分からん)
パトロクロス視点のこの物語をずっと読んでると、いつのまにか自分も
アキレウスのことを憧れの人で、焦がれる対象で、愛情たっぷりの目線で見てしまいます。
恐ろしい…
(いや、でもほんと、この本のアキレウスは清清しいよ!
九郎ちゃん(C・はるとき3)みたいですよ)


・オデュッセウスとディオメデスについて
オデュッセウスもまるきり違和感ない。
全国の少数精鋭の同志たち、
このオデュッセウスはいいオデュッセウスですよー!!

いやもう、ホメロスのオデュッセウス、って感じでニヤニヤしてしまいました。満悦。
多分、作者もこのイタケ人のこと好きだよね!分かってるよ!と勝手に
同志認定したくなっちゃうくらい。
でもって、たいていディオメデスとセットで出てきます。
ディオメデスの方は、ぶっきらぼうなアレスというか、
普段口数少ないくせにオデュッセウスには痛烈な皮肉を吐き、
オデュッセウスの方も分かってて丁丁発止のやり取りをしちゃうというか
二人だけで分かってるやり取りやっちゃってる感じがなんかもうたまらん。好きだ。
アキレウスとパトロクロスが付き合い始めたばかりの燃え上がってるカップルだとすれば
こっちは小学校の時からの腐れ縁でそれ以来30年組んでる漫才コンビ、みたいな。
で、また、オデュッセウスがぺネロぺイアにべた惚れで。すぐに惚気ようとするんですよ。
途中、初聴きのアキレウスたちに嬉しそうに馴初めを話そうとする場面が好き。
ディオメデスが、聞いてられるかあほらしい、みたいに立ち去っちゃうんです。
いわく、「これ以上聞かせたら、海に投げ落とす」
で、その去る背中に
「あほやなぁ、聞き損ねたら大損やでー」みたいなことを陽気に投げかけるイタケ人もイタケ人。
もう、この二人…。


・アガメムノン、アイアース
この二人は、一般イメージそのまんま、ちゅうか、あんまりどこでも揺らがないよね。
いつもの安定のおっさんたちです。


・メネラオス
今回、欧米作家にしては珍しくメネラオスが良い感じですよ!!
いや、でも、ホメロスではメネラオスっていいやつだもんな!!
割と男前で、陽気そうな。

・テティス
めっちゃ怖い。海のニンフというより、オレステスを追い回す復讐の女神たちみたい。
ニギ御霊というよりは、荒御霊、国津神みたいな存在です。
でも、テティスには別段思い入れないので割とどうでもいい。
確かに、神々って、不公平で恐ろしいものだよな、とは気付かされますし。



なんか、よんでて、この作者と萌ポイントが割とかぶってるんかもしらんな。
などと思い始めました。ちょう楽しいです。
このままの楽しい感じが最後まで続くことを祈りつつ、もうすぐ出てくるであろうヘクトール兄さんの
人物造形に期待します。
さー、続き読もう!



その後4分の3くらいまで読みました。
ブリセイス出てきたよ!ものすごいええ子やった。
今のところ、ヘクトール兄さんは伝聞で聞くくらいの遠い人です。
一貫してパトロクロス視点で語られるので、
彼にとって遠い人だったら、作中では出てこないんですよね。
でもって、パトロクロスはアキレウスが第一の人なんで
アガメムノンが例によって大変鼻につくおっさんにしあがっとります。
これはちょっと可哀相…(悪いやつじゃないんですよ)
後、ネストールが可愛くない。
その他はまったく不満はありません。
ただ、このまま物語が進むと後は悲劇へ一直線なので、結末を知ってるこっちとしては
色々物悲しくなってきました。
あんなに澄み切ってたアキレウスが、下界の毒に犯されてきた感が…
殺しすぎてもたんや…。
しかし、そうせねばならん理由が彼にはあって、もう色々切ない。
ヘクトール兄さんが登場する(予想)終盤に向けて
心構えして読み進もうと思います。

とりあえず、4分の3まで来ても
オデュッセウスとディオメデスはセット扱いで良い感じです。
二人で意外と野心満々なとこがイカす☆
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by mi-narai | 2014-04-11 23:17 | 2014年上半期の読書

『ハナシはつきぬ』 『古代世界の超技術』 『氷の娘』

もうちょっとだけゲームの話
2/27までのつなぎとして、以前買ったまま置いておいた『AceCombatX』をやりかけたんですが、

神様!グレイプニルが撃破できません…!!

10回くらい手を変え品を変えトライしてみたんだけどどうしても打ち破れず、
仕方ないから難易度を下げて最初からやり直し中。くっそー!!
しかし、難易度をEASYにしたら、ミサイル78発も積んでますよ!!
NORMALが54発位しか積んでなくて、照準合わせるのが苦手なへっぽこパイロットのわたしは
よく弾切れになってたので、これはありがたい。
これでTARGET以外の爆撃機とかも撃ち落とせますよ!!
今度こそ頑張る…!



こないだ本屋に行ったらば、
わたしがホメロス入門編として最適だと思ってる良著、
バーバラ・レオニ・ピカード作
『ホメーロスのイーリアス物語』と
『ホメーロスのオデュッセイアー物語』が
文庫化してました!!

ホメーロスの イーリアス物語 (岩波少年文庫)

バーバラ・レオニ・ピカード / 岩波書店

スコア:


ホメーロスの オデュッセイア物語(上) (岩波少年文庫)

バーバラ・レオニ・ピカード / 岩波書店

スコア:


ホメーロスの オデュッセイア物語(下) (岩波少年文庫)

バーバラ・レオニ・ピカード / 岩波書店

スコア:


イーリアスとオデュッセイアー始まってた…!
いや、これ、ほんとオススメだから!
児童向けだから分かりやすいし、かといって大人が読んで物足りないわけではなく、
原作からの改編があまりない(※ここ重要)ので、
まさに、ざっくり原作の雰囲気を掴むにはうってつけなんです。
アキレウスが清廉だし。原作いきなり読むよりはちょっとだけアキレウスに同情できる作り。
オデュッセウスはちょっと真面目すぎますが。
(お茶目さが足りん。イドメネウスと二人、おっさんコンビです)
サトクリフの文庫化に続き、これも文庫化とは!
ありがとう、岩波さん!!
アルフレッド王の戦いもお願いしますよ。


カンナ 吉野の暗闘 (講談社文庫)

高田 崇史 / 講談社

スコア:


高田崇著『カンナ』
借りたので読みました。
同作者の他シリーズの押し付けがましい探偵役に比べ、
この主人公はまだおバカ度が高い分、かわいいなあ、と微笑ましい気持ちで眺めてられます。
今回は役小角の話。
だいたい毎回この作者の言い分は胡散臭いので、
(百人一首辺りは面白かったのになあ)
説明部分は耳半分で読みとばしました。


ハナシはつきぬ! 笑酔亭梅寿謎解噺 5 (笑酔亭梅寿謎解噺) (集英社文庫)

田中 啓文 / 集英社

スコア:


田中啓文著『ハナシはつきぬ』読了。
ずーっと文庫化するのを待ってた一冊。
シリーズ最終巻だそうで。
一気に読みました。
相変わらずの怒涛の落語小説ですよ。
師匠の暴力っぷりも相変わらず。
竜二は若干脳みそ筋肉寄りのおバカさんだし、師匠は酒飲みのクソ爺だし、
アクの強い主張の激しい落語家ばかり出てきて、どたばたと忙しなく話は展開するのですが、

それでも最後にほろりと来てしまうという、ね…。

竜二も梅寿師匠も、落語が好きで、その一点でどうしようもなくつながってて、
あんまし麗しくはないけど気持ちのいいスカッとするような師弟愛があるんですよ。
このシリーズ好きだなあ。
本当に、お笑いが、見たくて仕方なくなっちゃいます。
一発芸も悪くないけど、それよりもっと長い、漫才とか落語が。
ていうか、リアルに梅寿師匠の落語が聴いてみたい!!!
大体、泣かせるよりも笑わせる方が難しいんですよね。
天然でなく意図的に面白い人っていうのは、すごい人なんやで!


古代世界の超技術 (ブルーバックス)

志村 史夫 / 講談社

スコア:


志村 史夫著『古代世界の超技術』読了。
なぜブルーバックスからこんな本が…
と思いましたが、書いているのが物理学系の学者先生だからなのですね。
遺跡なんかで残っている、機械がなかった頃に作られたとは信じられない
大型建築物の建築方などを真面目に考察した一冊。
さらっと読めて、しかも最近の研究までちゃんと言及してあって、面白かったですよ!
ピラミッド、内部螺旋通路説もちゃんと載ってた。
一番心に残ったのはローマン・コンクリートとインカの石組みの項でした。
コストはともかく、手間を惜しまなければ、機械なんてなくても良い物づくりは出来るのだなあ…。
現代の社会だと、人件費もコストに含まれちゃうから、効率優先で
なかなか実現しないだろうことを考えると、なんか世知辛くなっちゃった…。


氷の娘 (創元推理文庫)

レーナ・レヘトライネン / 東京創元社

スコア:


レーナ・レヘトライネン著『氷の娘』読了。
前作『雪の女』に引き続き、マリア・カッリオシリーズ。
フィンランドミステリーです。
日本での発売は2冊目だけど、本国での発売は5冊目、かな。
今回は、フィギュアスケートの選手が殺されてます。
北国だもん、フィギュアは盛んですよね、フィンランドも。
でもって、被害者の日記がノート書きだったり(今なら確実にツイッターかブログ)、
次の長野には絶対出たい、みたいな記述があったり時代を感じさせます。
20年くらい前の話なんだなあ…。

ところで、外国人の書いた小説って、やっぱり、
日本人の書いた小説に比べて読むのに6倍くらいの時間がかかります。
けど、これって、単純に1ページの文字数が多いってのもありますよね。
行間も詰まってるし字も小さいし、絶対数倍の文字が詰まってる!

それはさておき内容です。
前作に引き続き、ミステリーとはいえトリックをあれこれ考える要素は背後に回され、
警察官である主人公と同じ目線で日々をすすめ、その日常や心境を味わう種類の小説だと思います。
主人公が気持ちのいい女性なので、それがむしろ面白いのですよ。
でも、そんな日常業務での聞き込みや捜査の中に事件の全容を掴むパーツがちりばめられていて、
いつの間にか全部のヒントは揃ってるんです。
最後の最後で勿論主人公は犯人にたどり着くのですが、その時の種あかしで
「あー!!あそこか!!気付かなかったー!!」
という気分になりました。
…てことは、結局ちゃんとしたミステリーなのか。
主人公の生活がリアルでノンフィクションっぽくて幻惑されるけど。

今回主人公は妊娠7ヶ月目なので、妊婦さんの大変さとか、
フィンランドの保健制度とか色々わかるのも面白い。


目白台サイドキック 魔女の吐息は紅い (角川文庫)

太田 忠司 / 角川書店

スコア:


太田忠司著『目白台サイドキック 魔女の吐息は赤い』
これまた借りたので読みました。
ほんとに!日本人作者の本はすぐ読めるな~!
この作者の推理物、なぜかちょっとだけオカルト色がはいるけど、
作者が期待してるほど色ものにはならず、
伝統的な日本の推理小説、みたいな雰囲気のままなのがちょっと面白い。
描写が淡々としててあっさり進む感じ。
今回、またもオチ(動機部分)が「おいおい待たんかい」という納得しづらいアレでしたが、
(そんな理由のためにわざわざあんな仕掛けを…お前、暇なんか…?)
…いやいや、日本の推理物にリアリティを求めてはいかんよな。
トリックとかアリバイとか、推理の手順とかをコネコネして思考するのを楽しむものだもんな。


多読
読んでたロマンス小説、大体先が読めたのと、日本語訳されてた同じ作者のロマンスが
くそつまらんかったのとで途中で読むのをやめました。
代わりに、昔に買った「アボンリーへの道」のノベライズの中の、
特に好きだった回「アレックに乾杯」を読み始めました。
ドラマ見たのが昔過ぎて細部を忘れてたのを、思い出してちょっと楽しい。
ああ、へティーの傍若無人さとか、フェリックスの食いしん坊加減とか
こんなだったなあ!
アレック叔父さんはとにかく素敵な大人だったんだ。
タイプ的にはヘパイストス。
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by mi-narai | 2014-02-23 15:46 | 2014年上半期の読書

『古代ホメロス論集』 『シリーズ日本古代史①②』 『コーラン』

今、ようし、パパ通販しちゃうぞー!とサイトに行ったらば
既に同人誌売り切れてた…orz
わたしのバカ!バカ!!



ニュースで英国艦隊(の内の一部)が来日したてやってたけど、
関係者氏名のとこが「氏名 HMS艦名」てなってて、
このHMSにときめいた!
これ、「"His/Her Majesty's Ship"」の略で、英国海軍艦名の前につけるんですよね、
ナポレオン戦争時を舞台にした英国海軍小説でしょっちゅう見かける称号なんだけど、
実際に現在もついてるの見てなんかやたら興奮しました。
(そこまでディープな帆船フェチでないのでちょっとしたことではしゃいじゃってはしたないですね、
すみません。)


農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)

石川 日出志 / 岩波書店

スコア:


石川日出志著『シリーズ日本古代史①農耕社会の成立』
最初のうちは縄文時代の区分分けの変遷など、楽しく読んでいたのですが、
だんだん疲れてきたよママン…
いや、文章が下手なわけでも内容に興味がないわけでもないのですが、
各地の発掘状況などを踏まえながら、大真面目に当時の生活様式などを類推する叙述が
淡々と続くので
…ほら、報告書の類って、ずーっと読み続けると、なんかどれがどれだか
よくわかんなくなってくるじゃない。
あんな感じなの。
とりあえず、7割ほど読み進んだところで、ちょっと休憩。


コーラン―構造・教義・伝承 (文庫クセジュ)

フランソワ デロッシュ / 白水社

スコア:


フランソワ・デロッシュ著『コーラン』読み終わりました。
すみません、本の内容がどうこう言う以前に

訳がまずい!!

多分、忠実に訳そうと心掛けるあまりだと思うのですが、
もう、どこをどう見ても直訳です。
あのな。
もうちょっと、噛み砕くとか、せめて単語のチョイスを考えるとか、
頑張ってみようよ!分かりにくいよ!
一般読者に理解してもらおうという心遣いが感じられません…。
研究仲間宛てに訳したんかもしらんが。
いや、研究仲間なら自分で原書読むよな。
そもそも私は理解の遅いおばかさんなのですよ、
いちいち直訳の文章を頭の中で分かりやすい日本語に変換して
意味を理解するのが、手間なんです。馬鹿で済みません。
なのでこの訳者には、自分が読解力のないバカであることに関しては
申し訳ないとは思いつつも一言申し上げたい。この

へたくそ。

まあ、それはさておき、著者のフランス人のコーランに関する文献学的な考察は
面白かったですよ。
井筒先生のおかげで前知識があったので、大体話についていけましたし。
コーランの時代ごとのメディア展開とか、信者の間での位置づけとか、面白かったです。
読み終わって思い返すとあんまり覚えてないんですが。

…やっぱり、なにもかもわたしの頭が悪いのが最大の要因か。


ヤマト王権〈シリーズ 日本古代史 2〉 (岩波新書)

吉村 武彦 / 岩波書店

スコア:


吉村武彦著『シリーズ日本古代史②ヤマト王権』読了。
①の最後の方、しんどくなって適当に流しちゃったので、
その反省を踏まえ、今度は最初からきちんと読みこむことにしました。
前回が考古学の発掘成果から見た古代史だったのに対し、今回は、
主に文献学から見た古代史です。
一日1ミリくらいしか進まなくて、1週間余り本を持ち歩いちゃったけど、
総じて言えば面白かったですよ。
参考文献として、古事記とか日本書紀がよく出てくるんですが、
当然ながら神話ではなく
都の位置とか天皇の政治姿勢とかそんなものの参考のためでした。
人制度とか、氏姓制とか、臣連制とか、前よりちょっと分かった気がする。
後、物部氏や蘇我氏の動向が一緒に載ってたのも面白かったです。
当たり前ですが、朝鮮半島とは本当に昔から行き来があったのだなあ。


古代ホメロス論集 (西洋古典叢書)

プルタルコス / 京都大学学術出版会

スコア:


プルタルコス、ヘラクレイトス著『古代ホメロス論集』読了。
妹に誕生日プレゼントに何がいいか尋ねられて指定した一品。
ダメもとでこの本を申し出たところ、
本当に買ってくれたので、張り切って読み始めました。
(ちなみに、妹の誕生日には、ジャスミン系の香水を所望されたので、
おばあたまと連名でブルガリの香水を買ってやった。思ったより安くついたし
おばあたまが結構出して下さったので、ついでに他メーカーの
石鹸系のとグリーンティー系の人気作もおまけで付けてやりました。
メイドインアメリカの香水はいまいちわしら姉妹の好みには
合わんということがよく分かった。)


それはさておき、読み始めての一番の感想をあえて申してもよろしいでしょうか。
プルタルコスさんは

ヲタなかーま!

であると。
この論集、プルタルコスとヘラクレイトス(だったっけ。ウロ)の
ホメロス論が載せてあるんだけど、プルタルコスさんのやつが熱くってさ。
プルタルコスはホメロス論1の方は忘れたけど、2の方では、
文法や哲学や政治学など様々な分野の萌芽をホメロスに見つけたいみたいで。
諸分野を端から検証して、
「ほらな、ホメロスにすでにあるだろ?」
と言いまくってます。
以下、例によって心に残った無駄知識を箇条書きに。


・まずは、文法の話。
語の運用や、比喩表現、テクニカルな運用法などについて
ホメロスでの使用例を(だいぶ強引に)引用するという論文の流れなんですが、
そもそも、当時のギリシャ人(ていうかプルタルコス)が、
どういうところに語・文の運用の妙を見ていたのか、という方が面白かった。
比喩表現などは、日本語に当てはめて考えたら、
普段の文章で当たり前のように出てくるような、なんてことはないものなんですが、
結構それをめったに使用例のないサンプルとして不思議そうに書いてたりします。
まあ、動詞に態や時制が、名詞に性があるから、
それがずれてると違和感を感じやすいというのはあるかもしれんな。
(例文が当たり前だけどことごとく『イーリアス』&『オデュッセイア―』なので
もうそれだけで楽しいです。本当に、普段どれだけ自分がホメロスに飢えているかがよく分かりました。
ホメロスがどういった技法を駆使していたのかも分かって面白い。)
後、現代の言語学上は認められてても当時の語学的感覚だとイレギュラーな使い方だと思われた部分などは
あったかもしれん、とも思いました。

ていうか、プルタルコスの時代にすでに文法が出来上がってたってことに、地味に感動した。
そら、修辞学とかあるくらいだもんな!それにしても、すごいな!!

最初の4分の1くらいはそういった文法の話なので、
普通の読者にはまったく面白くないと思います。
それにしても、日本語訳の人は、たいへんだったろうなあ。語の用法とか、ギリシャ語の話なんだから、
元の単語まで日本語に訳したら何が何だか分かんなくなりそうなもんなのに。
(訳注が多いのは仕方ない)


しかし、古代の人(ていうか、プルタルコス)は、
ホメロスがそういった各種の語法を作り出したという視点でこの文法部分の論文を書いたわけだけど、
ホメロス以前に先人たちの色々な蓄積があったことは認知されてなかったのかな。
それに、ホメロスが純粋に文学上の効果を狙ってそういう語法を使ったってより、
詠唱中、ヘキサメトロンに当てはめるために同じ語句をリズムのいい語句に言い換えた結果、
そういった文法上のトリッキーな使用法になっちゃった
という結果論的なアレかもしらんぞ。


・次、物語の要素について。
歴史叙述的な要素がホメロスの作品の中に既に入ってることを確認する部分はいい。
ふつうに、ふーん、そう。と思って読みました。
けど、哲学的要素が含まれてることを見ていく部分はだいぶこじつけっぽかった。
ほれ、当時の、万物は水である、というタレスの意見を踏まえて
ホメロスはオケアノスを神々の祖としたんだとかさ。
ヘラは空気で、天空たるゼウスと交わったことがどうこうとか
(つまり、物理学的な事象を暗喩的にホメロスが描いているという主張)

いや、そんなつもりではなかったと思うぞ!

しかし、いろんな解釈を施せるものだな、とか、
当時の知識人としては、それが最先端の科学なんだろうし、
ホメロス擁護派のプルタルコスさんとしては、
ホメロスがそういった知識を踏まえていた、と思いたいのだな、とか
そういう感覚が垣間見えるのは面白い。


・理系・神学系の上述の学派の他に、
エピクロス派とかピタゴラス派とか、もうちょっと生き方考察っぽい哲学の学派にも
言及してあって、
この学派の説がホメロスのこの場面にすでに表れている、などとも
こじつけられています。
いや、こじつけだとは思うけど、プルタルコスさんのホメロス愛はよく伝わった!


・ことわざ、格言もしかり。


・某イタケ人は、途中ちょっと持ち上げられてた!!
そりゃホメロスではいい感じに描かれてますものね!GJプルタルコス!!
あなたとは良いお友達になれそうです。


・政治的な弁論術の観点からホメロスを見る段
叙事詩の作中でいろんな人の長ゼリフが入るけど、それの弁論法などを細かく見た段。
ディオメデスの部分が楽しかった。
彼って、最初にアガメムノンに罵られた時は黙ってて、数歌経ってから言い返すんだけど、
あれは、手柄を立てて実績を作ってから発言を通しているのだ、という指摘に納得した。
男らしい!
でもって、当時のカテゴリーわけとしては、
オデュッセウスは言葉豊かに力強い口調で、
ネストールはやわらかく、
メネラオスは短く分かりやすい技術が駆使されてんだって。へー。


プルタルコスの次の論文↓
・ヘラクレイオスのホメロス論
ホメロスに登場する神々の行動を全て(当時の)科学で説明しちゃうという力技。
プルタルコスさんの一部分のアレを、推し進めた感じです。

無粋やなあ…。

まあ、詩人に批判的なプラトンさんなどの哲学者の向こうを張って
一生懸命当時としては最先端の理論を使ってホメロスを擁護しようという心意気は買いました。
君の情熱は受け取った!


ボーンシェイカー ぜんまい仕掛けの都市 (ハヤカワ文庫SF)

シェリー・プリースト / 早川書房

スコア:


シェリー・プリース著『ボーンシェイカー』読了。
なんか、本屋で衝動買いしちゃった。
もともとハヤカワのポケミスシリーズで出てたSFで、
気になってたのが今回文庫で出直してたので。
なんか、ポケミスからの文庫化ものに弱いのですよ…。

時は19世紀、所はカリフォルニアはシアトル、
ゴールドラッシュに沸く当地で金脈を掘り当てるための掘削機械をとある科学者が発明し、
その機械が暴走してシアトルの地下に穴をあけまくってしまい、地盤が沈下し、
街は壊滅、その上地中から毒素が染み出て吸った人間は死に至ってしまう、
おまけにその中にはゾンビとなって蘇って生きた人間の生肉を貪るものまで出てくる、
という悲劇が前提にあり、
作品は、毒素が拡散しないようシアトルに高い壁がめぐらされ、
生き残った住民がその壁の外で細々と生きているところからスタートです。
主人公は子持ちの母親で、かつてハタ迷惑な機械を作り上げた科学者の妻だった女、
仕事はつらいし、今は亡き旦那のせいで村八分だし、息子は反抗期だし、
タフな主人公ですが、最近若干息切れ気味。
そんな時、息子が父の名誉を回復しようと、壁の中のかつての自宅へと潜り込んでしまうのです。
それを追いかける母親。壁の中には無数のゾンビたちの他、したたかに生きる犯罪者すれすれの
住民たち、飛行船乗り達などがいて、強烈な個性で母親に関わってきます。
果たして、母親は無事に息子を助け出すことが出来るのかー!

てな感じの話。
お分かりのように、SF文庫から出てますが、スチームパンク冒険ものです
あんまSF要素はないですが、わたしスチームパンク好きなんで全然OK。
設定とか謎とかより、主人公の冒険や出会った人間とのやり取りの方に力点が置かれてる感じ。
面白かったですよ。
でも、毒ガス避けのために常時マスクをつけてる描写と言い、
ゾンビを回避するために地下のトンネルを移動する描写と言い、
閉塞感は半端なかった…。
とりあえず、主人公は一人でも大丈夫な感じのパワフルかつ忍耐強い女性なので、
安心の安定感です。
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by mi-narai | 2013-12-04 00:49 | 2013年下半期の読書

雑記

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こんなん出されたら、買うしかないやろ…!

牛乳リキュール。マジで牛乳の味でした。牛乳味好きなんで、コーヒー割りや紅茶割りにしろと
書いてあるのに、ストレートで飲みきってしまいました。ごち!


フェルナン・ブローデルの『地中海の記憶』を読んでてめっちゃ萌え滾った箇所があったんで、追って説明しますね~(問答無用)

今日たまたま
「地中海学研究 1992年」という冊子をパラ見したんですが、
そこに、飯尾都●版のパウサニアスの『ギリシア案内記』に対する書評が載ってたんですよね。
描いたのは馬●恵二という先生だったんですが、

ものすごい激しいダメ出しをしていらっしゃった。

そのものすごい腹のたてっぷりに、突き抜けてちょっと面白くなってしまったほど。
一体この馬場先生というのは誰だろうと思ったら、岩波文庫でパウサニアスの訳を手がけて
いらっしゃった方なのですね。なるほど。

でもそう仰るなら岩波版で完訳を出して欲しかったっスよ……
(リーズナブルな価格で良書を!
そういや、リーウィウスのローマ史も続き早く出して!!岩波さん!)


私信:K師匠!あらためてメール返信するほどじゃなくてもやっぱりお返事したかったので、ちょこっとだけ更新履歴のとこに付け足しましたですヨ。ていうか、こんなとこに書いて気付いていただけるのか…?あばばばば

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by mi-narai | 2011-07-28 22:36 | その他

『はたらけ、ケンタウロス』  古代ギリシャ展、他

はたらけ、ケンタウロス! (ゼロコミックス)

えすとえむ / リブレ出版

スコア:


えすとえむ著『はたらけ、ケンタウロス』
発売前からタイトルが気になってたんですが、
発売後、現物を手にとってビックリ。


ほんとにケンタウロスが働いている…!!


法律が施行され、ケンタウロスの雇用も順調に進んでいる現代日本で、働くケンタウロスたちの話。
(一部外国で働くケンタウロスの話もアリ)。
ギャクだけでもなく、時にしっとり読ませもする実に好みの一冊でした。
いや、面白かった。
この方の漫画、シリアスすぎるものは肌に合わん、と思ってたけど、
このくらいの明るさのやつは好きだな~(他のはBLですけども)。

他に、漫画といえば
『月光条例』と
『昴』&『Moon』
をそれぞれ途中まで読みました。
『月光』の方は、イデヤがあんまり片思いが激しすぎて段々可哀想になってきました。
『昴』の方は、これまた天才を主人公に据えた漫画なんですが、

マヤちゃん(C・ガラスの仮面)っていい人だったんだな…

としみじみ思いました。そう思わせる主人公のアレっぷり。いやでも漫画は面白いです。

『テルマエ・ロマエ』3も読みましたよ。
個人的には好きな漫画ですが、あんまり世間で騒がれすぎると
「…ええっと、そこまで言うほどな、の…?」と却って疑念が湧いてきたりも…
大体、映画化ってどういうことだ!!



古代ギリシャ展×3
何が×3なのかというと、

既に3回行ったという意味で(誇らしげ)。

いやでもまだ後2回は行くつもりですから!
円盤投げの兄ちゃんは、幾度もの鑑賞に堪える尻を持っておる…!!
(T様、その節はお世話になりました。
ワタクシ、マントの前をはだけて前面を露出させるクセにしっかり靴を履く
やつらのハイセンスっぷりが大好きでございます。
それにしても、まさかT様ものっぺら女神がダブルで出現する呪いを蒙るとは…)
各時代のものがまぜこぜになってるのはどうかと思うのですが
(テーマ別だから仕方ないか)、
ギリシアってだけで楽しいし、思いのほか満喫しております。

しかも、「イタリア・ヴルチ出土」の壺が超多いんだ…!!!この古代ギリシャ展!!!
(さすがギリシャ大好きエトルリア人!)

その上、あまつさえ、エトルリア製作の遺物が少なくとも3つはありましたよ…!!!

おおおお、生きてるうちにこの目でエトルリアの遺物を見ることが出来ようとは…!!!
見習い、感無量です。

以下、心に残った事を箇条書きに。

・2回目に行ったのは、青柳先生の講演を聞きに、なんですが、
古代ギリシャの男性・女性の彫刻と、オリンピックについてのお話が聞けて、超楽しかったです。

・ヘルメスの髭率の高さに震撼した。そして、
「髭のヘルメス、…案外かっこイイんじゃね?」などと思っている自分にも震撼した。

・部屋の片隅にそっと置かれているソクラテス大先生の小像にはときめきました。
いいなあああ、プラトンは大先生の肉声が聞けてよう…!!

・しかし、あれやこれやの素晴らしい彫刻たち、数千年も昔の人がアナログで作ったってのに
いちいち感動します。手の甲とか、血管浮いてるし!!

・彫像の足が綺麗なんです。男性像が特に綺麗。これから見に行く人は是非注目してください。

・噂の粒金細工をこの目で見れたのも嬉しかったです。想像よりも細かかった。

・酒盃でかすぎだろ!!

・でもって、酒を飲み干したら、エロ画が現れる仕様なのも、どうかと思いました。
 そんなんなってたら、何杯でも飲んでまうやないかーーー!!!

・酒盃を使っての美青年への愛の告白もイイと思います。
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by mi-narai | 2011-04-26 22:05 | 2011年4月の読書

『木馬と石牛』 『プラトンに関する十一章』

新編 木馬と石牛 (岩波文庫)

金関 丈夫 / 岩波書店

スコア:


『木馬と石牛』読了。
様々な物語の源流について考えたエッセイ風の本。
色々とネタ満載の本です。
表題の「木馬」からして、トロイの木馬の事ですから!
ギリシア関連のことは、またサイトのコンテンツの方で述べるとして、その他のコボレネタを。
わきがのこととか、シモい話題も満載で、不肖ワタクシ、大分笑いをこらえつつ読んでしまいました。
欧米人の100人に99人は体臭がするって、マジっスか!?
(でも確かに、ロマンス小説なんか読んでると必ずといっていいほど相手の匂いについて言及が
あるんですよね)

後、「杜子春」の話って、初めて知った。



プラトンに関する十一章 (ちくま学芸文庫)

アラン / 筑摩書房

スコア:


『プラトンに関する十一章』アラン著。森進一訳
このアランさんって、『幸福論』とか書いた方でしょうか。
読んでませんが。
ほんとはこの本、買うつもりはなかったのですが、一章目の『ソクラテス』の項を読んで

ものすごい共感してしまったもので…!

アランさんがソクラテスに対して思うことにはいちいち頷いてしまうっス!
ていうか、アンタも相当のソクラテスファンっスね!?
師匠!!

真面目な哲学についての話には、時々ついていけないこともあるのですが
(理解するまでゆっくり読めばいいんですが、そんなきっちり読み下すつもりはもともと
ないからなあ…。だって、楽しみのために読んでるもん)
アランさんのプラトンとソクラテスに寄せるまなざしがものすごく好意的で
読んでてニマニマしてしまうのです。
うひひ。

あとちょっとで読み終えちゃうので、ゆっくり読みます!



数日後、読了。
「国家論」は、政治について書いてあるのではなく、正義について書いてあるのだ、
とあって、「国家論」を読む勇気をもらいました。
(あんまり難しい話はよう読まん、と思っていたので)
解説も詳しくて良かったです。
そうじゃないかとは思ってたけど、アランさんのプラトン解釈は
もっとシビアな人から見ると、独自解釈過ぎて役に立たん、と思われることもあるとか。
別にいいじゃない、わたしは研究者じゃないしアランさんの解釈もイイと思いますよ~。
でもアランさんの解釈だと、プラトンってものすごく純粋で峻厳だよなあ。
多分アランさんはプラトンがお好きなんだろうけど、わたしはその脇で語られる
アランさんのソクラテス解釈がとても好きです。

訳者の森先生は、新潮版のわたしが一番読みやすいプラトンの『饗宴』の訳をされた方なんですが
アランを訳した経緯のくだりに、これまた訳が好きな田中美知太郎先生が出てきて、
ひとりニヤニヤしてしまいました。



『月のたまご』3巻まで。
いや、面白いんだけど、ダマーニナ(三郎さんに横恋慕するまゆみのライバル)が
後々振られるのを見るのが忍びなくて、とりあえず、ここまで読んで良しとしときました。
どうしても、振られるほうに過剰に同情してしまうのよ~~~



後、『生物と無生物のあいだ』読み終えて、今『街場のアメリカ論』読み進み中。
感想は後日!



多読
『Sherlock Holmes and the mystery of Boscombe Pool』(レベル3)読了。
いわゆるボスコム渓谷の謎.
シャーロック・ホームズシリーズは全部読んだはずだけども、
NH●でやってたドラマも見たはずだけども

さっぱり覚えてませんでした。

推理モノなので、「…えっと、この登場人物がなんだっけ??」と
混乱する事もありましたが、おおむね楽しく読みました。
ワトスン君はええ人や~


『The young king and other stories』(レベル3)読了。
オスカー・ワイルドの童話たち。
幸せな王子とか、わがままな巨人とか、有名な話も含まれてます。
…なんか、ものすごく面白くて、苦痛も読まされてる感もなくさらさら読めました。
嘘みたい!
これが名ストーリーテラーの実力か!?

いや、話の内容は、ハッピー・エンドよりは、悲しい結末の方が多いんですけどね。
大体最後、登場人物あまりの悲しみに心臓が「ぱきっ」って割れちゃうし。
ああ悲しい。


『The return of Sherlock Holmes』(レベル3)
「シャーロック・ホームズの帰還」のなかから、「6つのナポレオン」を含む3篇。
ちょっと読みづらい、かな。
しかも、『ナポレオン』の他は、タイトルから内容が全く推測できん!(ダメダメです)


『O・ヘンリー傑作集』(レベル3)
英文だけど、講談社から出てる多読用の本なので、日本語タイトルなのだ!
なんか、皮肉な結末のものが多くて(そうなのは承知で読み始めたんだけども)
辛くなってきて、3分の2ほどで返却した。
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by mi-narai | 2011-03-06 22:30 | 2011年3月の読書