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『悪の引用句辞典』 『言霊とは何か』 『悪女入門』 「神の数式」

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M○Sの等身大超大型巨人の首を見にわざわざ大阪まで行ってまいりました。
あほです。見習いです。
毎度のことですが、大阪が無駄に都会でビビる…。
駅周辺がものすごいスマートでスタイリッシュなんですよ…。
田舎者のわたしなどビビりまくりです。
でもって

阪神百貨店のデパ地下は天国…!!

でした。楽園はここにあったんや…


伊勢神宮―東アジアのアマテラス (中公新書)

千田 稔 / 中央公論新社

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千田 稔著『伊勢神宮』
ざっくり読んだけどなんか、どうしよう、あんまり記憶に残ってません…。
一番残ってるのは、前書きにあった生姜板の下り…
(いや、著者が子供のころ、お伊勢参りに行った大人に土産によく貰ってたと。)
あ、海路東国への重要拠点が伊勢だというのは覚えてます。
最初の辺りの古代の伊勢神宮の変遷は割と面白く読んだのですが、
途中からの、伊勢神宮が国家神道につながるまでのみちすじは
ほんとうにさっくり読みとばしてしましまいた。
江戸中期の人の、中国とインドの神話を迷妄と片付けて、やたら
日本神話を持ち上げる姿勢には辟易といたしましたが。
江戸期の日本人は、いったい自分を何さまだと思っていたのか…。 
いやいや、日本神話もほかと変わらんからね。


悪の引用句辞典 - マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき (中公新書)

鹿島 茂 / 中央公論新社

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鹿島茂著『悪の引用句辞典』読了。

著者はどうやら仏文学が専門の人みたい。
とりあえず、序文で、文学作品の上手な引用は教養人には欠かせないステータスだぜ!
みたいな前振りがあって、その後おもむろに
有名人の名言→それに対する著者の解説
という順序で60人ほどの偉人のお言葉を紹介するという流れになっています。
浅く広く知識をさらえた、あっさり目の本なのかな、と割と軽い気持ちで読み始めたのですが、
これまた、予想外に

面白かった。

最近、面白い本によく当たります。日ごろの行いでしょうか(ぬけぬけ)。
それにしても、なんでしょう、仏文学者って仏文学やってるうちに辛辣にでもなるんでしょうか。
他の仏文学者の本でもツケツケ物を言ってるイメージがあったのですが、
この本もご多分に漏れず、著者の語調がきっつい!
でもそのツッコんだ物言いが大層面白いのです。
普段一般人が思ってても言えないことをズバッと言ってくれちゃってる感じ。
以下、雑感

・とはいえ、著者は、若者に対してはちょっと厳しすぎると思いますよ。
確かに現代の若者の劣化は(主にお年を召した方から)叫ばれてて、その根底には
ネットなどの生活環境・教育環境の変化のせいで共感力が減じてしまったのではないか
という懸念があると思うんだけど、
お年寄りたちは忘れてるんです。

どの時代でも若者はアホだと言うことを…!

今若者を批判しているお年寄りもかつては馬鹿者だったはず。
思い出補正で美化されてんですよ。当時のお年寄りも当時の若者の事を
「ほんまあいつら…」と思ってたと思いますよ。
経験値が圧倒的に低いんやから、生きた年数の少ない人が物知らんのはしゃあないやん。
まあ、若いからな、の一言で愚かな振る舞いが許されるのは
ほんの一時期だけですけどね。
そらわたしも、若者の世間が狭いことからくる無礼さや浅薄さを見ると
イラっとしますが、自分のアホ時代を割合鮮明に覚えているので
強くは言えないという、ね…。
ていうか、年とってなお未だにあほなわしのようなもんこそ
非難を受けねばならんのでh…(Oh…。自滅ネタ)

・ユウェナリスの「お前の鼻が気にくわん」という一文に吹いた。
ゴロが良いわ~!


・教育された女性の割合が高いと社会が安定する、という意見。
なんか、妙に納得しました。
共感力の問題でしょうか。脳の構造上男性より女性の方が共感力が高いらしいし。
(子育てするのが長年女性の役割だったのならならそうなのかもしれんな。
男性は逆に多少はテストテトロンがないと困るだろうし)
そういう共感力の高い人間が社会に多いと安定するという事でしょうか。
他者への共感値が高いと確かにあんまりひどいことがしづらいですもんね。
日本は同調圧力が半端ないという弊害はありますが、
共感しやすい社会だなとは思うので、
災害時の冷静さはその辺りから来るのかしらと想像したりしました。
日本は男尊女卑社会だといわれるけど、プライベートな部分では割合ゆるいと思います。
日本人男性優しい人も多いですよね。
(いや、家庭における役割分担的な部分は別ですよ。
そこについては言いたいことは山ほどありますとも!)
でも公的な部分があからさまに男尊女卑かなとは思う。
女性の力を有効活用とか今の政権が言ってるけど、
よう知りもせんおっさんが女性が働くにはどうするのがいいんだろうって想像しながら
政策立てるよりも、実際働いてる女性がこうした方が自分はやりやすいって
スタンスで決めちゃった方が手っ取り早いんじゃねえの、と思ったり。
それができないのは政治家に女性が少なかったり企業の上の方に女性が少なかったり
するからなのかな、と短絡的に考えると、やっぱもうちょっと女性の社会進出が
しやすい方が、いいのよねえ…、などとしみじみ思った次第であります。
知らんけど。


言霊とは何か - 古代日本人の信仰を読み解く (中公新書)

佐佐木 隆 / 中央公論新社

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佐々木隆著『言霊とは何か』読了。
そのものズバリ好きなテーマだったので買ってみた。
読んでみた。
なんとなく、言葉自体に力が宿って、話したことが実現するのが言霊かと思っていたら
(書いたことによって確定する中国式と対照的)
著者の主張は、

言葉を発したことによってその言葉を実現させる力を持っているのは神のみで、
(神が発した言葉は実現する)人間が実現させようと思って言葉を発した場合(=言上げ)は、
言葉自体の力でなく、その言葉を聞いた神がそれ実現させているのである。
昔の日本人の言霊意識はそんな感じだったっぽい。
でも、江戸後期だか明治だかに右寄りの人が、
言霊信仰を新たに打ち立てちゃって、今みたいな
言葉が独立して力を持ってる、みたいなイメージが出来上がっちゃった。

というもの。
この辺りの学説にはそんなに詳しくないので、
著者の主張が正しいのかとんでもなのか良く分かりません。
でも、これまでぼんやり日本の言霊信仰って独特だなあと思っていたけど、
根底にあるのが人間の祈りを神が聞届けるスタイルなんだったら、
別に他の地域の神話とあんまり変わんないな(なーんだ)と思いました。
ギリシャ神話でも、神が一度口に出した言葉は変更不可能だったもんな。
とはいえ、古代の日本人にとって言葉にして話すことは今以上に重大で、
ちょっとした失言が神を怒らせてえらい目にあったりする話が残ってたりするのは
興味深かったです。
ていうか、昔のギリシャも日本も文字使用以前は考えを具体的に表明するには
声に出して言うしかなかったんだから、涜紳も祈りも話し言葉と結びつくよな。
そらそうだ。


悪女入門 ファム・ファタル恋愛論 (講談社現代新書)

鹿島 茂 / 講談社

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鹿島茂著『悪女入門』読了。
新幹線の中で読み終わった1冊。
先に読んだ『悪の引用句辞典』が面白かったので同じ著者の者を買い求めてみました。
話題が多岐に及んでいた先の作品に比べ、流石に本作はタイトル通り、
フランス文学、及び男女の色恋に限定されていますが、それでも面白く読めました!
そもそも紹介されているフランス文学って男性の著作じゃないですか、なので
悪女の形成もあからさまに男性目線で
「ほんまお前ら毎回こんな感じやな。女性を侮るのもええ加減にせえよ」と
その点に関しては半ば腹立ち、半ば呆れながら眺めていたのですが、…しゃあないか。
それはお互い様ですよね。男性諸兄も女性視点の男性像について色々文句もあろうから
その辺りは大人になって互いに生暖かく見守ることとしましょう。
各文学作品の作中のファム・ファタル(命取りになり得る魅力を備えた運命の女)
について吟味し、男性登場人物との相性を語り、こういった悪女になるための指南という
形をとりながら、読んでいる内にその作品のあらすじを知り、自分も
読んだ気になるという鹿島マジック。
かる~い読み口でありながら文学世界に浸れ、なかなか面白かったです!


NHK「神の数式」1部、2部見ました。以下雑感

Theory of Everything

・物理の世界は美しいですね…。
アインシュタインも真実は単純で美しいはず、と思ってたみたいだし、
物理学はそういう所をめざす傾向があるのかしらん。
全く理数には疎いけど、ぼんやり、その美の片鱗を感じると心が震えますね胸熱!

・朝永さん、かっけー…!!!

・対象性の崩れの概念が理解しづらいよ…。
理論では完璧でも、実際の実像はそうはならない、って
なんだか、現実とイデアの関係みたいですね。
それにしてもカンペキな美しさは破れる定めにあるのですね。

・で、重さは、みっしりその辺を埋め尽くしたヒッグス粒子に
邪魔されて電子やなんやが通りにくくなってる状態か!!
前回物理本読んで書いてあったことが、
やっともうちょっと理解できた気がする!!!
あ、でもまだ重力は標準理論に含まれてないのか。
含まれてると思い込んでました。失敗失敗。
(理解の程が狭いということがバレバレですね☆)

・物理学者はこんなことを考え続けて良く発狂しないなと思ってましたが、
発狂する人もいるらしい。
やっぱりそうか!

・映像で見ると、重力が周囲に及ぼす影響についてもものすごい分かりやすかった。
特にブラックホール!
そうか!めちゃめちゃ重たいとああなるのだな!
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by mi-narai | 2013-10-26 14:10 | 2013年下半期の読書

伊勢神宮

伊勢神宮バス旅行、行ってきましたよ~!
夫婦岩、外宮、内宮とまわっておかげ横丁込みで3990円ぽっきり!お得です。
えー、思った事を真面目に文章に組み立てると大変なので、箇条書きで書きます。

・神社の造りが古い
普通の神社を想像してはいけませんよ。
あれ、単なる弥生時代の高床式倉庫やん!!
と思っちゃうくらい、古式ゆかしい建築様式ですよ。
なんか、普段見慣れない分、非日常感が半端なかった。
流石に今もリアルに祭祀続行中だからか、式年遷宮の最中だからか、
正宮の間近には寄れないんだけど、外宮の方のせんぐう館という博物館に
実物大模型が飾ってあって、

これがでかい!!

いやもう外国にでも来たみたいで面白かった!

・地域全体で125の神社・神域があってまとめて伊勢の神域らしいんですが、
外宮(豊受大神を中心とした神域)だけでも、複数の神殿があって、
内宮(天照大神を(略))もやっぱり同じような有様で、
やはりギリシャ好きとしては、ああ、昔のギリシャの神域もこんな感じだったのかなあなどと
にやにやしながら参拝しちゃった(罰当たりな奴)。
ギリシャのアクロポリスも中心となる神の他にいろんな神の神殿があったじゃない。
それを思い出して、参拝するギリシャ人もこんな気持ちだったのかな、なんてさ。
二拝二拍手一拝のしきたりも、なんかそれらしくって!
宗教的な手順を踏むと無信心なわたしでもそれなりに敬神の気持ちも湧くものですね。
とはいえ、当時のギリシャ人ほど宗教を身近にはとらえてないだろうから、
真にギリシャ人の気持ちが分かるのは神官さんたちだけで、
参拝に行ってるわしら一般人はたぶん往時のローマ人参拝者と同じくらいのメンタルなんだろうなあ。
別にローマ人をディスってるわけじゃありませんよ。
あのくらいの節操のなさがわたしはむしろ好きです。

・正宮(天照や豊受大神が祭られてるところ)前も混んでたけど、それ以上に
上記の両柱の神々の荒御霊の祭られてる神殿前の方が行列ができるほど混みこみで、
しかも、みんなものすごい真剣に祈ってました。
外宮の方も内宮の方も両方ですよ!
本人の神殿とは別に、荒御霊も祭るんだなあというのには、驚いたけど、その驚きも
荒御霊を祭っている宮前の行列に吹っ飛びましたよ。
ガイドさんの説明によると荒御霊に祈るのが一番願いが叶いやすいそうで

みんな、そんなに願い事が!?

滞在時間が決められてるバスツアー参加者ゆえ、お祈りは切羽詰まった人々にお譲りして
わしらはちょっと遠くから「ども!いつもお世話になってます」くらいの挨拶をして
早々に切り上げました。

・神域内の宮は全部さらえたけど、意外と数が多くて回るのに一苦労でした。
鳥居くぐる時と出る時は一応一礼することにしてたんだけど、
出る時に忘れがちだった。神様御免なさい。

・馬がおった!!でかかった。

・外宮も内宮も正宮前には詰所みたいなのがあって、そこに二人ほど神主さんが詰めてらっしゃったん
ですけども、…なんか、おっさん二人がのんびりおしゃべりしてて大変楽しそうでした。
(撮影禁止だったので激写できなかったことが悔やまれます。)
しかも、外宮の神主さんと内宮の神主さんは瓜二つ!

・撮影禁止といえば、正宮も鳥居を入ったら撮影禁止で、
「本気や…!本気で神を祭っとる!!」と今も行われている祭祀の存在をひしひし感じ、
ドキドキしました!

・せんぐう館、時間がなくて10分で回らざるを得なかったんだけど、
もっとゆっくり見たかった…。
細工ものが細かくてうっとりするし、儀式の様子を模型化したものとか、
映像化したものがあって、分かりやすかった。

・神官さんたちは、みんなでそろって行列作る時、上に白い和傘さしてて、
なんか、かわゆかった。黒い靴、白装束、白い傘とか完全に古式ゆかしい格好なのに、
なのに眼鏡とか、わしに萌え死ねと…!

・今年は式年遷宮の年なので、古い神殿のとなりに新しいのが建ってて、
…なんか、真新しい神社って、普段見ないじゃない?
大体お寺とか神社って古ぼけてて色褪せてるじゃない!?
出来たての白木のぴっかぴかの神社がものすごい目新しかったの!!!


・2か所ほどパワースポットらしきところがあったけど、
パワースポットというのは一体行って何をすればいいのかさっぱり分からない。
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by mi-narai | 2013-09-28 23:18 | その他

『アマテラスの誕生』 『日本神話入門』 『福家警部補の再訪』

ひとつ前の日記に
「めんだって初めて聞いた!」と興奮気味に書いたらば、
数人のB州出身者に「今でも使います」と口々に突っ込みをもらいました。
それは実にすまんかった!!
単にわたしの住まっておる地域がB州の端っこすぎて
方言の浸透具合が薄すぎただけじゃった!
けど、ちゃんとまだ方言が使われてると思うと、ちょっと嬉しかったりもしました。
流石に共通語にはならないだろうけど、関西弁話者も標準関西弁的な、分かりやすい関西弁を
つい使いがちですものね。
わたしだって、~とって敬語じゃなくて、~はる敬語使っちゃうし…
(でも「~はる」敬語は嫌味にも使えて色々用途が広いんだよ)
これからは意識的に~とって敬語を使おうと心に決めました。




アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る (岩波新書)

溝口 睦子 / 岩波書店

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溝口睦子著『アマテラスの誕生』読了。
いや、日帰りバスツアーで伊勢参りに行くことにしたんで(今年式年遷宮だしな)
ちょっと予習しとこうかなと思って、積読本の中からチョイスしました。
(どれだけ未読本をため込めば気が済むのか)
軽い気持ちで読み始めたんですが、

これ、面白い!!

まず、その辺のさらっと日本神話を紹介する本と違って、
ちゃんと研究していらっしゃる先生が、根拠とか、現在の説とか、示しながら、
「これはわたしの意見であってまだ決まったわけじゃないけど」とちゃんと
言い置いて、自説を展開するのが、たいへん好感度高かったのです。
こう、きっちり正攻法でアマテラスを考えてる、という感じが。
次に、タカミムスヒ関連のあれこれがこれまたものすごい面白かった!
アマテラスの方が先に日本列島に定着してて、タカミムスヒは後から来た神らしいよ。
ちなみに、北方遊牧民系の神らしい。
著者の考えでは、タカミムスヒこそが、そもそも王家の始祖神だったんじゃねえかと。
このタカミムスヒは天空紳で、立ち位置的にはローマ神話でいうところのユピテルなので、
なのでこれが天皇の祖といわれると、意外とすんなりきます。
アマテラスが王権の源といわれるよりは納得する。
(そののち、なんか色々事情があって、日本史的大事件が起こって
アマテラスが盛り返したり、タカミムスヒに徐々に取って代わったりして
現在の「天皇家のご先祖はアマテラス」、みたいなことになったみたいなんだけど)
なんか、そんな変遷聞くのがものっそい楽しかったです!
(でもほんと、この本では他の部分は棚上げして
天孫降臨部分のアマテラスとタカミムスヒの部分ことのみを語っているので、
他の部分が気になる方、全体的なことが知りたい方などには物足りないかも。)



日本神話入門―『古事記』をよむ (岩波ジュニア新書 (453))

阪下 圭八 / 岩波書店

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阪下圭八著『日本神話入門』
子供向けの岩波ジュニア新書の分です。
なので、大変読みやすい。かといって、岩波少年文庫の物語として古事記を書いてあるのとは違って
軽い解説本の態です。
流石に古事記本も巻数を重ねると、この人はこういう説なのだなあみたいな目で見てしまうもので、
この本も例に漏れずフィルターを通して見てしまいましたが、
まあ、割合面白いです。
流石にジュニア向けなのでそんなに極端な説にも偏らず、さらっと説明してある感じ。
でも表面だけじゃなくて他の神話との比較とか交えつつ、物語としてだけでない
神話というものの本質(というと大げさか)にも一部踏み込んだ内容になってて、
入門にはほんとうにうってつけの良い本だと思いました。まさにこれこそ「日本神話入門」。
古事記だけでなく、風土記とか万葉集にも言及があるのは嬉しいところ。
オオクニヌシとスクナヒコナの我慢比べの話には吹きました。
こいつら、言うに事欠いて、便意を我慢するのと、重い荷物我慢するの、どっちが大変かとか
そんなアホなこと大真面目にやってて、最終的に道端で排泄して、地名にまでなってやがりますよ。
しかもこれ播磨国風土記なんだ…(ご先祖様…)


翌日読了。

古事記って、最初の神々の話が取り上げられがちですが、
中・下巻は、天孫降臨後の初代天皇の話なんですよね。
もちろん、史実ってよりは、ローマの最初の5人の王とか、テセウスとかミノスみたいに
ほぼ伝承上の人物たちなんですけども。
神話と伝承の微妙な混ざり具合がローマの初期の歴史っぽい。
背景として、古事記が成立した飛鳥朝(だっけ?)の中大兄とか大海とか、額田王とかの名前が
でてきて、むかしおばちゃんに貸してもらった『天上の虹』を大いに思い出しましたよ。
日本という国名が使われ始めたのもこの時期だといわれてるんだけども、
確かに『日本書紀』のタイトルにそのものズバリ日本って国名が使われてるわな。なんか、納得。
後、最後の辺の出雲風土記の中の国引き神話、よそから土地を引っ張ってきて
自分ちにくっつけちゃう話、なんか、こういうの、北欧でもあったよなーなどと。
イザナギ・イザナミの国生み神話はあからさまに南方系だと思うけど、
別系統の神話も伝わってたんだなあ、と、当たり前のことですがそのことをしみじみ感じました。



福家警部補の再訪 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉 崇裕著『福家警部補の再訪』読了。
『挨拶』から引き続き正統派倒叙型ミステリー
(冒頭で、犯人視点による犯罪場面が描かれ、作中で福家警部補が捜査の過程でひとつづつ小さな
証拠を集めて、そこから犯人に到達していく、という流れ)
これも、地味ながら堅実な印象の、良質ミステリーでした。
なんか、この形式、犯人に感情移入してしまいますね~。
後、福家警部補の睡眠時間のなさと趣味範囲の広さにびっくりした。
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by mi-narai | 2013-09-23 00:01 | 2013年下半期の読書

『マホメット』 『フルーツひとつばなし』 『福家警部補の挨拶』

今週も更新がままならず大変遺憾に…すいません、各種締め切りにガクブルする毎日です。
(別にサイトを維持する熱が冷めたとか、そういうのじゃないので安心してください。別に誰も心配しとらんか。そうかそうか)
10月いっぱいくらいは追いまくられておぶおぶしてると思いますが、隙を見て更新も頑張る所存です!(ハデスさんのアレ、早くきっちり描いてしまいたいよ~。でも、G様の企画の方、もう描くのが楽しゅうて楽しゅうて。スミマセン、オノレの欲望に負けまくってます。掛けた時間と仕事量がまったく比例してませんが。描いちゃ消し描いちゃ消しして1日丸まる描いても下書き2ページほどしか出来上がらんてどういうことだーーー!!!!ああああああ間に合うのか自分~~~同じ時間くらいちまちま色も塗って、HPの更新はその合間なんじゃよ~~~!!!!)

雑談ついでに


B州弁

河内弁と並んでガラが悪い、下品などと評される方言です。
(念のため、それでもやっぱり愛着がありますし、好きですよ)
とはいえ、中途半端な田舎に住んでいるのでわたし自身は方言の浸透具合も微妙ですが。
喋っても全く迫力ありません。ふつうです。
もっとガチガチのB州弁話者だったら口げんか強かったかもしれないのに残念…。
由緒正しいB州弁を使用する人も少なくなる中、わたくし、とうとうリアルで

めんだ(基本形:めぐ 意味:壊す ちなみに自動形は「めげる」になると思われる)

を聞きましたよ、皆さん!!おおおおお、まだこれを使用する話者が残ってたのですね!
見習い、感激!!

や、なんのことはない、隣の祖母なんですけどね。
こないだ、母と畑の作物と動物の話してて、イノシシやシカは悪いことするよな、みたいな流れで

ばあさま「クマやったら南瓜めんで食べるんとちゃうの」
おかん「いや、流石に熊は出えへんて。見たことないし」
※最近居住県でツキノワグマの目撃情報が増えたという新聞記事を受けて。

という会話が。

そういやばあちゃん、しょっちゅう「~やさかい」とか、「つんだかつんだか」とか、
大層な言葉使うよなあ。貴重や…
亡くなったハニー(享年93歳)は同じ県内とはいえ全く違う方言だったのですが
(AIの母音がEに変化したり。ちょっと江戸っ子言葉みたいだった。
音調は明らかに関東風なんだけど関西弁的な語尾もあり…。
関西弁だったら、あんたもうやったんか?になるところを
おめぇ、もうしたけぇ?的な変化をする感じ。
おそらく、日本海側の鳥取の言葉に近いんじゃないかなあれはと勝手に想像する)
なんで録音しておかなかったのかな、わたしは…。



マホメット (講談社学術文庫)

井筒 俊彦 / 講談社

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井筒俊彦著『マホメット』
最初は和辻哲郎の『風土』を読もうとしてたんですよ。
でも、語り口が哲学書っぽい感じの分かりづらさでですね…。
寒さを感じる、ということについて、「寒さ」を感じるとはいえ
「寒さ」というのは概念で本当は寒気がそこだけまとまってあったりするわけではなく、
人間が寒い場所に出て「さむっ」と能動的に感じてこそ寒いと認識するわけで、
要するに、人の有りようには周囲の環境が切っても切り離せないわけ。
人間というのは個人的な面も社会的な面も含めて人間なのであって、
同じように時間的なものだけでなく空間的なものも含めてこそ
こうなんていうかな人間社会の特徴っぽいもんは捉えられないんじゃないか

とか、そう言ったような事を10ページくらいかけてもって回った言い回しで
(まあ、正確に言い表そうとするとどうしてもそうなるんだろうけど)
くどくどと説明するもんだから、
読解力のあんまりない私は、著者の意図が正確に掴めてるかどうか
自信がないうえ、噛み砕いて理解するのがつらく、……

哲郎…ごめんなさい、わたしにはあなたは高嶺の花…

なんか、そんな気持ちになって、読むのはもっと先に延期しました。
もうちょっと気力が充実してる時にな~!
ごめん、今寝不足やねん。

そんなわけで、口直しに井筒先生の薄っぺらいこの本を手に取ったわけです。
書かれたのは昭和初期(「マホメット」という呼び名からも察せられますでしょ)
前書きで、ご自身も「いや~。若い頃の本だから読み返すと懐かしいわ~」などと
仰っておられるほど昔の作品です。
これも哲郎本みたいに読みにくいんじゃねえかと一抹の不安がないでもなかったんですが、
読み始めてそんな不安は吹っ飛びました。
面白い!小説みたいですよ!
確かに荒削りで、だいぶ主観的かもしれませんが、
却って若かりし先生のアラブ世界に対する情熱の迸りが感じられて、心地よいです。
井筒先生の御本とは相性いいんかなあ。これまでまだはずれがないです。
半分ほど読んだので、続きも楽しみに読みます!


数日後、読了。
最後まで面白かった!
マホメットの伝記ではあるけれども、まず、マホメットの生きた時代背景から説明し、
その後、彼の業績の意義とか、そういったことに踏み込んでいくので、
大変読み応え有りました。
ギリシア神話にしろこういった半伝説化した有名人の伝記にしろ、
真実も伝聞もすべて同列にひとくくりにまとめて全てを網羅するような書き方が
いまいち好きでないので、伝聞をなるべく排し、客観的に見つつも
ご自身の情熱を傾けて書いておられる井筒先生の筆致が大変好ましく思われました。
いや、神話の場合は神話事態がすでに長い年月の間の伝説の集大成な感もあるから
厳密に時代背景考えるの、難しいだろうけどさ。でもなるべく考えたいのさー。
閑話休題、本書の内容は、以前に読んだ『「コーラン」を読む』&「イスラーム文化」と
若干かぶってる面はあったんだけども、なら読まなくていいかというと逆で
補完し合っていて理解が深まる感じです。
今回目新しかったのは、最初はムハンマドさんが、
けっこうユダヤ教徒やキリスト教徒に親近感かんじてらっしゃったみたいだということと(いがーい)、
イスラム以前、ジャーヒリーヤ(無道時代)のアラブは多神教の世界だったんだけど、
カーバ神殿にはアラーの他多数の神々が祭られてて、
なかでも人気の女神はマナートと、アッラートと、アル・ウッザーだったらしいということでしょうか。
一神教以前の中東の神話体系はめちゃめちゃ気になるところなのでつい神々の名前が出てきたら反応してしまう…

わたしのアホ感想はさしおいても、ぺらいし、その割に奥深いし、何より読みやすいので
おすすめです。



フルーツひとつばなし おいしい果実たちの「秘密」 (講談社現代新書)

田中 修 / 講談社

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田中修著『フルーツひとつばなし』読了。

おお、面白かったよ!
これまた職場の京都弁の超絶かわゆらしい上司にいただいた一冊。
いつももらってばかりで済みません。
まず、なんといっても美味しそうな写真につられます。
写真を侮ってはいかんよ。
わたしは、自分が作りもしないくせに写真があまりに美味しそうだったという理由で
洋菓子の本を2冊も買った前科者ですよ。
一つのフルーツにつき4ページくらいにわたって説明してあって、
ざっくりした来歴も面白いし、栄養分とか、
生物学的な掛け合わせや遺伝の小話もまた面白く、
わくわくしつつさくさく次へ次へと読み進んでしまいました。
いちご、りんご、みかん等の超メジャーどころの他
チェリモアとか、ドリアンといったマイナーなフルーツも載ってますよ。
(日本で手に入るフルーツに限定されてはいますけど)
なんか、やたらと果物を食べたくなる一冊。
それにしても、バラ科の果物って多いんですね…。
後、みかんの種類の多さにびっくりした。
原産地とか、学名もちゃんと載ってて、
学名見てけっこう笑っちゃいました。
アケビのラテン語名「アケビア」って!


福家警部補の挨拶 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉崇裕著『福家警部補の挨拶』読了。

なんとなく、本屋で見つけて買ったもの。
短編数編が入ってるものですが、意外と面白かったですよ!
刑事コロンボ方式で最初に犯人が分かっていて、探偵(この場合福家警部補)が
証拠を地道に集めて犯人の犯行を証明していく流れで一貫して書かれてます。
しかし、今時の子にはふるはたにんざぶろうって言った方が通じるのか…?
(あれだって、コロンボを踏襲したんだろうに)
探偵役の福家警部補は、小柄でメガネの女性で、落ち着いた人当たりのいい人だけど
犯罪捜査に関してはものすごいタフ。
アクはないけど、好感度は割と高いですよ。
なかなか面白かったので続きも買ってみる予定。



高田崇史著『QED諏訪の神霊』『QED出雲神伝説』読了。
貸してもらったので急いで読みました。
いつもどおりかな~。
タタルさんと奈々ちゃんが早くくっつけばいいのにとじりじりしてます。
今回は日本神話がメインでそのあたりは面白かったけども
作者の神話のとらえ方はいまいち好きではありません浅いわ!(←えらそう)
しかし長く続いたこのシリーズもあと一冊かあ…。

以下、アホなアニメ話なので畳みます。
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by mi-narai | 2013-09-01 23:11 | 2013年下半期の読書

『「コーラン」を読む』 『死ねばいいのに』 『クリスマスのフロスト』

『コーラン』を読む (岩波現代文庫)

井筒 俊彦 / 岩波書店

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井筒俊彦著『「コーラン」を読む』読了。
ギリシャ神話とか、世界の神話を読みあさり、こないだ一神教の本も読み、
新約、旧約の内容もざっくりとはしってるのに、
コーランだけ知らんのも片手落ちかと思って。

この井筒先生、ものすごくよく名前を聞くお方ですが、
帯の部分の著者来歴を見たら、もう随分前にお亡くなりになってますね。
そうかあ…。

で、この本ですが。井筒先生が「コーランを読む」というタイトルで
10回の講義をなさった時の講義内容の記録本です。
一般向けにお話しなさっているため無知蒙昧なワタクシのような輩にも分かりやすい!
ええ!とっかかりは分かりやすい本でないとね!
まず、最初は、井筒先生がこれから講義で行おうと思っている
コーラン読解の方法の説明から始まっています。
それが文献学的というか、
大きなお話の流れを追う、コーランを物語と捉える読み方じゃなく、
語を一字とって、その語が当時のアラブ社会の中で、どういう意味をもっていたのか、
預言者ムハンマドはどういうつもりで言ったのか、
当時のアラブ人はどういうイマジネーションを働かせたのか、
コーランの世界観、みたいなことを、いちいち考えつつ深く掘り下げていく読み方です。
たとえば、イリアスだったら、「王」(バシレウスだっけ)の一言を考えてみるとしましょう、
日本人が普通王って聞いたら、頭に王冠かぶって白いひげでおなか出てて赤いマントかなんか羽織ってる
暢気な顔したおじさん思い浮かべない?
他、ルイ14世みたいな絶対君主とか、ローマ法王とかさ。
でもイリアスにおける「王」って言ったら、どっちかというと、都市を中心とした狭い範囲を領有する
領主の強力バージョン、みたいなもんじゃない、幾人もの王が並び立ってるしさ。
イタケ人なんかは他の領民に結構突き上げ食らってるし。
あんまり絶対的な権威がないというか。
だから、イリアスで「王」という語を見る時には、厳密には日本人の普通思い浮かべる王さまでなく、
当時のギリシャ人が想像してたところのイリアスの世界観における王を考えないといけないと。
死ぬということが当時のギリシャ人にとってはどういう感覚であったとか、
奴隷より低い根無し草の日雇い労働者になるのがどれほど心細いかとか。
そういった部分部分をイリアスの世界観に則して叙事詩の文脈を汲みながら読むように、
いちいち当時のアラブを考えながらコーランを読み解いていくわけ。

こんな感じでコーラン全部読み解いてたらきりがないので、
講義で読むのは開扉の章 わずか7行かそこらなんですが、
それでも本1冊分という凝縮ップリ。

これがね!
思ったより面白いんですよ!!

読むと決めたものの、きっと退屈なんだろうなと半分諦めながら本を開いたのに
嬉しい意味で予想を裏切られました!
上述のアプローチの仕方が好みなのと、
読んでいくうちにパーっと周りに当時のアラブ社会が色鮮やかに広がるような感じがして楽しいのと、
単純にアラビア語の語感が面白いのとで
毎日2ミリほどではあるものの、途中で眠ったりせずに確実に読み進めることが出来ました。

以下、心に思ったよしなしごとを箇条書きに
・アラビア語で良く聞く
「ビスミッラー」
これって、アラーの名においてって意味なのね。
「ビスミッラーアッラフマーニアッラヒーム」で
「慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において」て意味なんですが、
この、慈悲深く(略)って言葉、全くこのままのフレーズで
アラビアンナイトはじめアラブの本読んでたらしょっちゅう事あるごとに出てくるけど、
なんと最初にこう訳したのは井筒先生その人らしいですよ。

この人だったのか!!!

・神の本質の美しさ
イスラムにおける神の本質というのは、美しさ、光、優しさ、などだそうで。
もちろん、神には恐ろしい局面(ジャラール)もあるけど、本義は明るい面(ジャマール)なんだって。
なんとポジティブな希望にあふれた神象であることよと驚きました。いいんじゃない。

・コーランが書かれた文体を考えるにあたって、
当時のアラビアのシャーマニズムとかさらっと述べてあって
それがまた面白い!!
コーランの文体はサジュウ調という調子で書かれてるらしいんだけど、
これが一定の間隔で鳴らされるドラムの低い音を連想させる調子というか、
脚韻がものすごい踏んである文体らしいのですよ。
ホメロス大先生の六脚韻(ヘキサメトロンだっけ。うろ)って
なんか、詩人が美声で朗々と神に捧げる態で(まあ実際は聴衆に向かって)
叙事詩を歌い上げてるイメージなんですが、
このサジュウは全くそれと違う感じ。
当時のシャーマンは現地の言葉でカーヒンというらしいんですが 
いずれも一人ジンを持ってたんですって。で、そのジンに憑かれて予言をする。
どっちかというとピュティアとか、日本の狐憑きとかそっちに近い感じだったらしい。
そのジンに憑かれたカーヒンが、低い声で囁くように予言するその調子がサジュウ調なんだそうな。

今のトルコの歌とか、確かに韻踏んでるもんな、
伝統的にそういう傾向があるのかしら…

・現在イスラム社会における女性の地位の低さが方々で問題視されてますが、
ムハンマド自身は、意外にも女性に対して普通っぽい。
最初の奥さんハディージャさんってのが、だいぶ年上だけど、美人で気が強くて
肝っ玉の座った女傑で、ムハンマドはなんかあるとすぐこのハディージャさんのところに
駆けこんで泣きついてたみたい。
なんか、思ったより、コミカル、だな…。
(井筒先生の語り口のせいかもしれませんが)
ちょっとムハンマドに対する好感度が上がりました。
じゃあ、現代社会の問題は宗教ってより政治とか現地の慣習の方が比重が高いのかな…

・ムハンマドは商人で、クライシュという名門部族の出身というのは
世界史の教科書にも載ってたし知識としては知ってましたが、
今回この本読んで、ベドウィンとのメンタリティーの違いを痛感させられた気がします。
どちらかというと、慣習を重んじるそういった遊牧アラブの常識に
まっこうから対立し、イスラムのもとでの平等を推し進めようとしたっぽいです。
その根底には、砂漠を遊牧するのでなく、オアシスに定住して
神殿を中心に宗教生活を送っていた人々のメンタリティーがあるのだそうな。
それって要するに、メソポタミア系の神殿文学の世界だそうですよ。

「コーラン」の真ん中あたりには
アラビアの民間伝承っぽい話だって混じってるらしい。
洞窟で300百年眠ってしまった男たちの話とか
(浦島太朗とかオシアン系のアレ)、
モーセの滑稽話とか、二本ヅノのアレキサンダーの話とか。

ぼんやり分かってたけど、言われてみれば、確かに、
アッシリアもバビロニアもセム系だもんな。
あの神話体系の流れとか、民間伝承を引き継いでいると思うと
一気に興味がわいてきませんか?


文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)

京極 夏彦 / 講談社

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京極夏彦著『死ねばいいのに』読了。
借りた本です。
先だって、日本作家の本はすぐに読み終えちゃうけど、京極はそうでもないやろ、と
思ってたのですが、京極本もすぐに読み終えちゃった…。
同じ日本人が文章を書いているから読みやすいのでしょうかねえ…
(後、外国人はあまり改行しないイメージがある)
で、本の内容。
最初は、話を聞いて回るケンヤという若者が何回も「自分、馬鹿っすから」
みたいに言うのがウザく、また、聞かれてる人が悉くこのケンヤを
煩わしいと思ってるのが伝わってきて、イライラさせられるのですが、
最後の最後でやられました。

お前、そうやったんか…!

分かった!と思った瞬間、印象が逆転した。


クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

R.D ウィングフィールド / 東京創元社

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R・D・ウィングフィールド著『クリスマスのフロスト』読了。
これまた一度読んだ本なんだけどまた読み返したくなってさ。
イギリスの地方都市が舞台なのは一緒だけど、
ダイヤモンドの方と違って、小さな事件が畳みかけるように
次々と起き、読んでるうちに

ああ~……やってもやっても仕事が終わらない…

という、社会人なら誰しも一度は(もしくは毎日)感じている
あの感じを味わえます。
ほら、前の仕事が終わらないうちに次の仕事、その次の仕事と
仕事が増え、どんどん手を出して、
ふと「あれ、なんか前の仕事終わってなかったような気がするけど
自分が何を忘れているのか思い出せないッ!」と我に返る、みたいな。
主人公も、全く推理力があるわけでない、くたびれた中年のおっさんで、
しかも、これが全然かっこよくない。
しかし、かっこつけが嫌いな私、このおじさん、割と好感触です。
自分がダメなことを自覚していらっさるので。
上司とか部下にこのタイプがいたら、ものすごく困るだろうなあとは思うんだけど、
それでもダメさ加減に深く、ふかあ~~~~く共感してしまうあたり、
自分も大概ダメ人間だなと読んでて半笑いになってしまいました。
いや、このくらい自分のダメップリを直視できる勇者にわたしもいつかなりたいものです。
頑張ります、フロスト先輩!
主人公フロスト警部の人となりは置いておいて、次々事件が起こり、ぐいぐい読ませる部分、
多彩な登場人物のキャラの立ち具合など、
流石ベテラン脚本家の書いた本だと唸らせられます。
なにより、そんなに深刻にならないし。深刻なシーンでもやりすぎるとわざとらしいじゃない。
デントン警察署のいかにも地方って感じの、ガチャガチャした雰囲気も結構好きで、
なかなか楽しく読み終わりました
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by mi-narai | 2013-05-06 20:43 | 2013年上半期の読書

『ケルトの白馬』 『異星人の郷』 『ケルト神話ファンタジー』

ケルト歴史ファンタジー ケルトの白馬/ケルトとローマの息子 (ちくま文庫)

ローズマリー サトクリフ / 筑摩書房

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ローズマリ・サトクリフ著『ケルトの白馬/ケルトとローマの息子』読了。
最近、ちくま文庫さんがサトクリフを出版する気になったようで、
しかもどうやらケルトくくりらしい。
とりあえず当該文庫と、もう一冊『クーフーリン/フィン・マックール』を買い求めてみた。
とはいえ、『ケルトの白馬』だけはハードカバーで読んだことがあるんですが。
(面白かった記憶がある)
わたくし、サトクリフのオリジナルの小説は好きですが、再話の方にはあんまり期待してないので
(『イーリアス』『オデュッセイア』がいまいちだったから。まあ、これは原作が面白すぎるから仕方ない)
とりあえず面白さが分かってる『ケルトの白馬/ケルトとローマの息子』の方から読むことにしました。

新幹線の中で一気に読破してしまいました。

骨太で、ぐいぐい引き込まれ、年甲斐もなく夢中になってしまった…
「ケルトの白馬」など、以前読んだ時も電車の中で、友情の熱さにうっかり涙ぐんで
しまったのですが、今回も鼻をすすりあげてしまいました。
この作者は友達同士の固い誓いとか、そういうの書かせたら絶品です。
でもって、わたくし、そもそもが友情モノに極端に弱いのです。
以下、ざっくりあらすじと雑感。

ケルトの白馬
・時は紀元前だか紀元後ちょっと過ぎだか、ローマ全盛期。
そんな時代にイギリスの左下(今で言うウェールズ)のあたりに住んでた、イケニ族の若者の話です。
イケニ族は、馬を扱うのがうまく、お話にも馬がたくさん出てきます。
主人公は、幼い頃から絵画への独特の感性を持っていて、動いているものを曲線で
表すことに無限の情熱を感じる芸術家気質の少年です。だけど、族長の息子なんで
立場上の責任感も、イケニ族の若者としての誇りも持ってるちょっと変わった立ち位置の子。
その彼を中心に、
彼と無二の親友との遠くの地に新たな故郷を探しに旅立とうという約束や、
南からの襲撃と彼に課せられた犠牲、
敵の首領との立場は違うけど深い部分で理解し合える微妙な関係など、
いろいろな要素が絡み合って怒涛のクライマックスへ。
流石サトクリフ、そんなに長い話じゃないのに、読み終わるとずっしりきます。

しかし、この頃は先住のブリトン人をけちらしてこんな全盛なケルト族だけど、
すぐ後にローマ人に大体征服され、さらにその後はアングロ・サクソンに蹂躙され、
さらにその後にはノルマン・コンクエストで北欧人(ていうかフランス人)の
支配下に置かれてしまうのだと思うと諸行無常を感じます。
イギリスの歴史はダイナミックで面白いよな~
(エリザベスの時代も大英帝国時代もいいけど、この頃の辺境っぽい時代も面白いですよね)


ケルトとローマの息子
今度はもうちょっと後、たぶん2世紀ごろのあの辺りの話。
なんちゅうか、同じようにケルトの一部族の男の子の話なのに、

超ジェットコースター展開です…!

なんかもう、ものすごい勢いで主人公が運命に翻弄されまくるので、
息つく暇もなく次のページをめくらされますよ。いやー、すごかった。
奴隷がいっぱい出てくるので、あの時代の奴隷の気分が知りたい方も必見。

しかし、主人公の性格設定がものすごくリアルで、唸ってしまった。
どん底に落ちて、普通の話なら"それでも良心や正義の心を失わない"的な展開になるところですが、
この主人公、あっさりやさぐれちゃいます。
でも、悪くなりきったわけではなく良心の残骸はまだ生きてて、
それはかろうじて「友達を思いやる」という細い一本の糸で支えられてんの。
それが断ち切られて、誇りも何も砕かれ、卑屈になり果てるところもとても納得させられた。
きれいごとじゃねえよな。その辺りは。
(その後、葛藤しつつもちゃんと人間としての尊厳を取り戻す、というか思い出すので安心して下さい)
この人の本を読むと、お恥かしながら毎回感動してしまうのですが(きゃっ)
今回もやっぱり感動しました。
ふーって腹の底から息吐いて、満足感に浸りつつ読み終えましたとも。
サトクリフはもっと全人類に広く読まれるべきだ!


異星人の郷 上 (創元SF文庫)

マイクル・フリン / 東京創元社

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異星人の郷 下 (創元SF文庫)

マイクル・フリン / 東京創元社

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『異星人の郷』(上)(下)読了。
現代編の、歴史学と物理学の理論をからめつつ、
大筋は中世のヨーロッパ・ドイツの片田舎、上ホッホヴァルトの荘園に、
不時着(というのかな。どうも従来のような方法で宇宙を渡ってきたのではないらしいけど)した
異星人たちと、中世ドイツ人たちとのファースト・コンタクトの話。
最初、異星人たちと出合うまでの中世ドイツの荘園の描写がかったるいのと、
出会ってからの両者のやりとりの描写がやっぱりじれったいので
じりじりするかもしれませんが、
下巻に入ると怒涛の展開が。
大体、SFで中世とくれば、ペストですもんね。うん、わたし、分かってた。
(コニー・ウィリスの『ドゥームズデイ・ブック』もそうだったもん)
ペスト描写にもすっかり慣れきったわい。腋の下にでっかいできものが出来て、
中から黒い汁が出てくるんやろ…
いやまあ、最終的にはペスト落ちというのは分かってたけど、
白眉は、異星人と神父の間にじっくりじっくり育まれる友情だと思うのです。
ファーストコンタクトものにありがちな、異星人に対する、もしくは異星人からの
迫害とか、対立とか、そういうのはなんとほとんど出てこないので
それが心配な方は安心して読み進んでください。
領主さまは最後まで世俗主義的な男前だったし。
SFなのにSF設定と関係ない部分で感動させられるという、ね…

ところで、ここに想定されてる異星人、地球で言うならアリとかハチといった組織を構成する
昆虫が進化したという設定なのですね。
哺乳類である人類と似て非なる倫理観とかが面白かったです。
で、ここまで進化する生物には良心の部分で共通するものがあるはずだという
ポジティヴな作者の主張なのかしら、両者の交流には救いがある気がします。

それにしても、わたくし、自分がまさか、バッタの死にこんなに悲しむことになるとは
思いませなんだ。ハンス~~!!!
(この本は通勤時間が待ちきれなくて最後は家で読み終えたので、
誰はばかることなくティッシュで鼻かみました。ずびばー)
エピローグで語られる現代人のジュディという女性の慨嘆にはめちゃめちゃ共感しました。


王権 (岩波文庫)

A.M.ホカート / 岩波書店

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ホカート著『王権』
王権はすべからく太陽信仰から発展したんじゃー!
と、どうして著者が主張したくなったのかは知りませんが、まあ、そういう内容の本です。
著者が強硬に掲げる根幹がそもそもわたし、疑わしいなと思っちゃうので
(百歩譲って、天空神に代表される男神を主神として信仰しはじめたことと
王権とはつながりがなくはないなとは思う)
その部分に関してはなんともよう言いませんが、
引き合いに出される数々の諸例がけっこう面白いので、なかなか楽しんで読んでます。
途中、やはし古代において王位継承権は男性ではなく女性が持っていた、ということが書かれてて、
なんとその文脈で「オデュッセイア」におけるぺネロぺイアの立場が引き合いに出されてたので
おばちゃんちょっぴり驚いてしまいました。
継承権持ってるのはその地生まれの、土地付き娘だけだと思ってたけど、
よそから嫁いできた女性も結婚した時点でその家の継承権を獲得するのか!?
それともオデュッセウス伝説において実はぺネロぺイアの方がイタケと縁が深いのか。
どっちだ。(知らんがな)
けどまあ、求婚者たちがこぞってぺネロぺイアと結婚しようとした理由づけとしては
秀逸かしらん。


後日
大体最後のあたりまで読んで、だんだんめんどくさくなってきた…。
もういいことにしようかな。


ケルト神話ファンタジー 炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール (ちくま文庫)

ローズマリー サトクリフ / 筑摩書房

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ローズマリ・サトクリフ著『ケルト神話ファンタジー炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール』
えーと。
やっぱり再話よりもオリジナルの小説の方がより好きだなとしみじみ思った一冊。
いや、でも面白くないわけではなく、ケルトの伝承を知ることができ、
さらに小説風なので読みやすいという二度おいしい仕様ではあります。
で、1話目の主人公クーフリンさんですが、言っちゃっていいですか。

髪の黒いアキレウスです。

うん、君たち、よく似てるよ。クーフリンは別にマザコンじゃないけどね。
なので、アキレウスがお好きな方々にはきっとケルトのクーフリンも気に入っていただけるはず…!
名誉を至上とするところも潔さも、武力に関しての他との開きも、若さや美しさも、
アキレウスの長所を全てかねそろえているケルトの英雄ですよ。
あ、でも、パトロクロスはいませんが。
しかし、読んでて意外とケルトの伝承とギリシア神話とはかかわりが深いのかしらなどと感じました。
ギリシア叙事詩の余波が来てんのか、それとも同じ語族なので、伝承の根源が同じなのか。
これまた不勉強でどっちなのかは知りませんが。
アラビアンナイトのシンドバッドの冒険(の一部)なんかは、
明らかに『オデュッセイア』の影響だと思うんですけどね~。
いや、でも、そういうモチーフが似てる部分よりも、ケルト特有の魔法に満ちた筋がとても魅力的で、
特に、3勇者(クーフリン含む)のうち、誰がアイルランド一かを選べと言われた各地の王たちの、
選考過程がほんと、色鮮やかで読んでて面白かった。
で、選から外れた二人がクーフリンを恨むのかと思ったら、
最後に笑い合ってあっさり和解したのも、なんだか新鮮でした。

ただ、難を言えば、この一連の物語

ツッコミ不在

なのです。ものすごい悲劇とか、どシリアスな調子で起こったりしてるけど
「それ、自業自得ですからーー!!!」と誰も突っ込んでくれません。
助けて、誰か!!
脳内ツッコミし過ぎて読みながら割と息も絶え絶えになる話でもあります。
読むときは心構えして読むべし!



フィン・マックール
こっちはもうちょっと読みやすいです。たぶん、別にフィンがアキレウスに似てないからだと思う(笑)。
普通にいい男ですよ。
一連のフィン・マックールと彼の騎士団に関する伝承を、サトクリフさんが整理して、
まとめて書いてくれてる感じの作品。分かりやすいです。
オシアンとか、ディアミドとか、名前だけこれまで聞いたことあったけど
伝承はよく知らなかった人も出てきて、これまでの疑問が色々解けました。
そうか、吟遊詩人のオシアンはフィンの息子だったのか…。
(昔、学生時代に美学の授業で「オシアンの夢」という絵を見たなあ)
ところで、思ったのですが、
ケルトの名前では男性の名前もア行で終わったりするので、なんか、可愛いですね。
後、最初の奥さんサーバとフィンのエピソードがなんか好きです。

たくさんあるフィン・マックールとフィアンナ騎士団に関する伝承を、
ひとつひとつ積み重ねるように読んで、最後のあたりになるあたりには
すっかり騎士団に馴染んでるので、
フィンの最後とか、騎士団の終焉を読むのがさびしくなってしまいました。
オシアンのその後とか、そう言えば他のケルト神話の本読んだ時に読んだな。
これまた浦島オチで超切ねぇ…!!


映画
『レ・ミゼラブル』
休みの日に、せっかくだから映画でも行こうよと母を誘ったところ
上記のミュージカル以外は嫌だとぬかすので、つきあってやりました。
いや、面白かったですよ。
話のすじは、そういえば以前、ミュージカルじゃない『レミゼラブル』の映画を見たことが合って
大体知ってたけど、
今回のミュージカルの方がなんか面白かった…!
思ったより歌成分が多かったのも、個人的にはヒットでした。
下を向いて歩け!的な歌と、パリの虐げられた庶民が、こんちくしょうめわしら虐げられっぱなしジャー
みたいに歌う歌が、とても好き。
後、主演のヒュー・ジャックマンと警部役のラッセル・クロウが好きなので、画面見るのが楽しかった。
悲しい話、ものすごい泣く、みたいに聞いてましたがそうでもなく、
普通に名作に感動して見終わった映画でした。
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by mi-narai | 2013-03-20 19:57 | 2013年上半期の読書

『ユダヤ教の誕生』 『歴史人口学の世界』 『暗い迷宮』

4大陸選手権の前のヨーロッパ選手権で、わたしの一押しのフェルナンデス君、
優勝したらしいじゃないですか!
おめでとう~!


ユダヤ教の誕生――「一神教」成立の謎 (講談社学術文庫)

荒井 章三 / 講談社

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『一神教の誕生』じゃなくて、『ユダヤ教の誕生』でした。
あまり聖書関連に興味があるわけではないのですが、
常々「なんで一神教になってしもたん…?」とは思っていたので、
なんとなく買い求めてみた。
わたしがちょうど知りたかった辺り、もともとローカルな神だったはずのヤハウェが
どのようにして「主神」でなく「唯一神」になったかが、歴史をひも解きつつ描かれてます。
そうか、もともと遊牧民の神だったから、決まった位置に祭られてるんじゃなく、
遊牧する部族民と一緒に移動する神だったのだな…。なんだか納得しました。
その後変転するユダヤ人の歴史とともに、他宗教の影響を受けたり、
逆に影響を受けすぎないように他宗教の神を否定してみたり、
自分たちが権力者から逃れた民だった経緯から神の前での平等を説く傾向が強かったり、
王国が出来て中央集権が進むと神の権力も強まったり、

いろいろ面白かったです。
その宗教を行っている人々の、周囲の状況や地形や社会習慣が結構宗教の方にも反映する、
ということですよね。
レヴィ=ストロースの『アスディワル武勲詩』を思い出した。
後、別段、アニミズム→多神教→一神教という流れが普遍なわけじゃないよな
(一神教が高度な最終形態というわけではない)
と分かって、すっきりしました。
毎回言ってるような気がしますが、
わたし、ムハンマドの教えは知らないからスルーするとして、
イエスの言ってる事ってけして嫌いじゃないんですよ。
でも、作者があとがきに書いている「一神教の非寛容さ」に関しては
大いに肯かざるを得ないのであります。
他宗教に非寛容である事って、自分の宗教への熱心さの裏返しであって、
そうすることのメリットもなんとなくわかるんですけどね~。



歴史人口学の世界 (岩波現代文庫)

速水 融 / 岩波書店

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速水融著『歴史人口学の世界』
歴史人口学がどういうものであるか、という第1章。
その方法、それを使ってどういうことが分かるのか、という風に
歴史人口学について書いてある、入門書のような本です。
なんとなくその場の気分で買ってみたけど、なかなか興味深いですよコレ。
日本の宗教改帳とか、西欧の教会の台帳から、庶民の家族を復元して、
そこから統計を出したり、当時の下々の生活を推し量ったりしてます。
面白い!
それにしても、昔の日本人て多産だったのだなあ…
その分、乳幼児死亡率も出産時の女性の死亡率も高かったんだけども…。

ああ、後、都市生活者が増えると人口が停滞する、というのは、なんか
目からうろこでした。
書いてある理由に納得したのは覚えてるけど、理由がなんだったか
いまおもいだせない…(ダメじゃん!)

数日後、読了。
日本て、連続した人口統計資料が残ってる世界的にも珍しい地域らしい。
日本で歴史人口学を勉強する方は幸せです!
でも、ものすごく手間がかかるのですよ。
そういった悲喜こもごもが語られていて、読むのは大変だけどなかなか楽しかったです。



高田崇『カンナ』シリーズ2冊目読了。
ほんと、日本人作家の推理物はあっという間に読み終えちゃうな~(※京極以外)!
あんまり早く読み終えるので、なんだか自分の読書スピードがものすごく上がったように錯覚してしまいます。
まあ、叙述があっさりしてるということかもしれんが。
天草四郎関連の謎と、神父と殺人事件と殺人じゃない事件の話。
主人公と友達の友情が素朴でなんだかかわゆらしかった。



暗い迷宮 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ピーター ラヴゼイ / 早川書房

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ピーター・ラヴゼイ著『暗い迷宮』読了。
今度は、記憶喪失もの。
ほんと、毎回毎回目先を変えてくるなあ、ラヴゼイ。
この辺りになると、登場人物にも慣れ、各々の性格もつかめ、安心して読み進むことができます。
でもって、毎度のことながら、今回も犯人が分かりませんでした…!
大体、犯人よりも、脇役として出てきたエイダという女性が強烈過ぎて、すべてがふっとんだ。
なんか、誰かに似てる似てると思ったら、マツ●・デラックスさんでした。
最後の落ちがひそかにお気に入り☆


『ケルトの白馬/ケルトとローマの息子』も読み終わりましたが、これの感想は次回に回す。






私信:先日は旅先でお世話になりまして、皆様ありがとうございました。
楽しかったー!当分わたし、がんばれます!

面白くも無いパンの話なので
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by mi-narai | 2013-02-18 11:16 | 2013年上半期の読書

『トルコ狂乱』 『月読』 『古事記の起源』 『甘栗とエルムと金貨』その他

まず、ゴーゴーカレーが超絶美味かった件。
送っていただいたご当地カレーなんですけどね。
何の気なしに休みの日の昼間に食べて

これがまたなんともいえないこくで!
美味かったのよー!!!

E川件は美味いもの王国ですね…!



レンタルチャットという簡易かつ便利なものがこの世にはある、
と初めて知った見習い●○才の冬。
毎年年賀状は12月25日を過ぎてからやっつけ仕事で書き上げるのですが、
毎回酷い出来だと嘆いているものの

今回は本当に酷い仕上がりになりました。

自分で自分にガッカリです。
んもう!

後数時間で今年が終わってしまうので、その前に
読んだ本の一言感想だけでもアップしてしまいます!急げ!!


トルコ狂乱 オスマン帝国崩壊とアタテュルクの戦争

トゥルグット・オザクマン / 三一書房

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トゥルグット・オザクマン著『トルコ狂乱』
読み終わりましたーー!!!!
アタシ、何ヵ月掛って読んだんだろ…。
いやね、面白くないわけじゃなかったんですよ。むしろ、面白かったですよ!!
けど、こんなに長く掛ったのは
①本が分厚すぎて通勤時間に読めなかったから(最も大きな理由)
 →文庫に直したら7冊くらいにはなるのではないかと思う。
②短いエピソードを無数に重ねて大きな歴史の流れを書いてあるので、
どこでもいつでも読み止められる。という安心感から、
少し読んでは止め、を繰り返してしまったから
(一つのエピソードにつき、長くて2ページ、短くて数行)

第1次世界大戦後、セーブル条約の結ばれた後のトルコを舞台に、
トルコの国土を三分割してやろうとする英・仏・伊、
英の後押しでいにしえの大ギリシャの復活をもくろむギリシャに対して、
(→希「イズミル、エフェソスはわしのもんじゃー!」)
かつかつの財政を押して、拠点を置いた内陸部のアンカラ中心に
抵抗するトルコ人たちの姿をえがいた大作でした。
長くなるのでざっくり感想は箇条書きに。

・トルコ人作家なので、なんらかのバイアスがかかっているかもしれませんが、

ケマル・パシャ超かっこいいよ…!

・イギリス、悪者だよ…!
・フランスとイタリアは通常運転だよ…!
(イタリア=時流に乗っかってみたけどあんまりやる気なし
フランス=折を見てイギリスの敵に回る)
・意外とトルコとロシアはお行儀よくお付き合いしてるな。
・日本の戦争ものってあんまり読んだことないけど、暗いイメージじゃないですか。
トルコは、どこか明るいよ。
みんなで一丸となってわーっとやってる感じです。
残虐行為は割と行われてたみたいですが。(トルコ人もギリシャ人もお互いにな)
・一応トルコの直接戦っている相手はギリシャなんだけど、本当の敵はその後ろにいるイギリスで、
実際のところ、トルコもギリシャもどっちも貧乏チックで後進国で立場はとんとんなんですよ。
なので、途中ギリシャがちょっと気の毒になってきました。
・最後は、全くの大団円で、絵に描いたような『弱者が頑張って強者を打ち負かす』、という結末なので、
すっかりトルコ人目線で本書を読んでいたワタクシ、
「ざまあみやがれってんでぃ!
見たか、帝国主義がいつまでもまかり通るとおもうなよ!」
などと、鼻息荒く思いました。乙女らしくない感想で相済みません。
ついでに、全国の大英帝国好きのお嬢さんお姉さん方にもすみません。
いや、ああいう悪役っぽいところが当時の大英帝国のお素敵なところじゃないですか、ね!


月読 (文春文庫)

太田 忠司 / 文藝春秋

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落下する花―“月読” (文春文庫)

太田 忠司 / 文藝春秋

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太田忠司著『月読』『落下する花』読了。
パラレル世界での推理物。
人が死ぬと、何かメルヘンな印がその近くにあらわれる、という並行世界での話。
その変な印(月しらべ)から、死者の最後の心の声を読み取ることのできる
能力者(月読)が今回の探偵役です。
まあ、最後の声と言っても、ほんとに単に最後に思ってた事にすぎないので、
立った一言「壁が汚れてる」だったりするわけ。
なので、結局、殺人事件を解決するのは探偵の推理力なのだった…。
ならそんな不思議設定いらんじゃないかと思わんでもないですが、
なかなか静謐な世界観が心地よく、思ったより面白かったですよ。


古事記の起源―新しい古代像をもとめて (中公新書)

工藤 隆 / 中央公論新社

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工藤隆著『古事記の起源』読了。
前述の『古事記誕生』があまりに好みだったので、遡って前著も買い求めてみました。
読み終わってからだいぶ時間がたってしまい、当時の雑感が抜け落ちてしまったので、
ぼんやり覚えていることを箇条書きに。

歌うということについて。
なんか開眼した。
「歌う→語る」が
「非日常&ハレの日→日常&ケの日」
と対応してんだな。
なんとなく、『神話が歌われるのは当然である』、と読み終わると
思い込まされているというマジックです。
確かに、普通に喋るより、歌ったり特別なリズムに乗せたりした方がより特別って感じがする。
神に捧げるなら日常と同じではいかんよな。
面白かった!!
『古事記誕生』の方で取り上げられていたエピソードと
違う部分が取り上げられてたのも嬉しいところです。
太古、神話の原型ってこんなのだったのかもなあ、と想像が膨らみました。
ギリシャ神話とかイーリアスとかは、残ってるものはもう大分
ていうかほぼ、文学作品だったり、変質したりしてるものだもんなあ。
まあ、わたしはイーリアスの文学作品としてのエンタメ完成度合いをこよなく愛しているわけですけども。


甘栗と金貨とエルム (角川文庫)

太田 忠司 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

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甘栗と戦車とシロノワール (角川文庫)

太田 忠司 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

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太田忠司著『甘栗とエルムと金貨』『甘栗と戦車とシロノワール』読了。
今回はハードボイルド。
主人公が高校生で、でも、寡黙ないい子で、なんだか清清しかった。
なかなか面白かったですヨ。
無愛想な依頼人との奇妙な友情が生まれる二作目『シロノワール』の方が
なんとなく好きです。
後、舞台が名古屋なので、名古屋の町並みや美味しそうなものがたくさんでてきてそれも面白い。
まあ、主人公が時々「これを食べられないなんて他地方の人は可哀想」と
作中でいうのは大きなお世話だと思いましたけども。
こういうご当地愛は微笑ましですけどね~。



……主人公の友達の直哉は絶対主人公のことが好きだと思うナ。
ひそかにホモ認定。



王妃の離婚 (集英社文庫)

佐藤 賢一 / 集英社

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佐藤賢一『王妃の離婚』読了。
何度も読んだ本なのですが、人に貸す前に再読しました。
読んでていかにこいつの文章が癖があるかを思い出した。
エロシーンが、妙に下品、ちゅうか、全体的にシモいっス。
わたしはわりと平気ですが、女の子には貸しづらい…。
でも途中、ちょうど読者が「こうなってほしい」、と期待する箇所でそれを裏切らない展開があったり、
最後がとても清清しかったりして、
下品な箇所を読んで感じた不快感とか、
こいつの女性観は一方的すぎると思って苛立った記憶が、
帳消しになるという不思議。読後感は爽やかでした。
結局、最後まで読むと、面白かった、と思うのだよなあ…。


オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アガサ クリスティー / 早川書房

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アガサ・クリスティー『オリエント急行の殺人』読了。
これまた人に貸す前に再読。古典中の古典です。
山本やよいさんの新訳で読んだらまあ、読みやすいのなんの。
面白かったよー!
これと、誰もいなくなった、と、エヴァンズ、と、abcはほんと
推理小説のトリックの元祖だよなあ…
クリスティは偉大ですね。


二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

デイヴィッド・ゴードン / 早川書房

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『二流小説家』読了。
普通に面白かったですが、そこまで絶賛されるほどかと言われると…。
でも、ミステリー部分より、ちょっと気弱だけど善人な主人公の小説家の
その性格付けとか、売れない小説家としての立ち位置とか、
楽しみとか、悲哀とか、そういうものの方にものすごい心揺さぶられました。
わたしのような大して対人が得意でないものっそいふっつーの一般人が
本を読むって、ほんとにこの小説家自身が思ってるような動機だよなあ
などと、頷いてしまった。


最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ピーター ラヴゼイ / 早川書房

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ピーター・ラヴゼイ著『最後の刑事』読了。
山本やよい訳つながりで。
これも大好きな本で、友達に貸す前に再読しました。
主人公のピーター・ダイヤモンドは
禿・デブ・頑固と三つ揃えの押し出しの強いおっさんなんだけど、
芯の部分がいい奴で、刑事魂持ってて、なんとも憎めないキャラなのです。
この作者、うまいんだよなあ。
他の推理物も高い評価を得てますが、わたしはこのダイヤモンド警視シリーズが好きかな。
イギリスの温泉地バースが舞台なのも目新しくていいです。
ダイヤモンドと奥さんのステファニーが仲良しなのもいい感じ。


単独捜査 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ピーター ラヴゼイ / 早川書房

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続けて『単独捜査』も読了。
今度は日本人の女の子が出てきて、アメリカ人と共同捜査したり
相撲取りがスポンサーになったり、なにかと国際的な一冊。
日本人としては、いろいろツッコミどころ満載なんだけど、
(関取より上の人気力士の名前で「山形」とかありえんて…。シンプルすぎるやろ)
なかなか面白かったですヨ。
でっかくて威圧的なダイヤモンドと、幼い少女ナオミとのふれあいが見所。

次、続けて『バースへの帰還』を読むつもり。
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by mi-narai | 2012-12-31 16:06 | 2012年11月・12月の読書

雑記 『古事記誕生』 『タネのふしぎ』

先週末相互のKさまのグループ展へお邪魔してきました。

ふ…。生絵を拝んできたぜ…!(皆の者、羨むがいい)

長い間お会いしていなかった方々にも久しぶりに会えて本当にうれしかったです。
会う予定だった方に会えたのも嬉しかったし、会えないと思ってた方にお会いできたのも超嬉しかった!
年甲斐もなくはしゃぎ過ぎて後で振り返って自分の浮かれっぷりにドン引きしたほどです。
(お会いした皆様にはご迷惑でしたでしょうが、私自身はとても楽しかった―
余韻でしばらくウキウキしたままでしたもの)
翌日はT様に付き合ってもらってU野動物園にハシビロコウさんを見に行きましたよ!
これがその証拠写真だ!↓

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なに?このぼやけた写真ではどこにいるか分からない…?
バカ者!愛が足りぬ!!

ハシビロコウさんは言われるほど全く動かないわけでもなかったけど、
さすがに3羽目は置物かと思った。

遊んでくださってありがとうございましたー!
まだまだ喋り足りませぬ、あの時申しましたわたくしの好むところのBL漫画家様が若干偏り過ぎておるように感じ、どうしてもうちょっと一般受けするあたりを口にしなかったのかとあの後深く後悔した次第でございます。て、一番の後悔がソレかい!



納豆の衝撃
こないだ、3週間ほどほったらかしにしておいた納豆を食べようとしたのです。
賞味期限はとっくに過ぎてたわけですが、
封の開いた豆腐の匂いが変わってたり牛乳がコーヒーに混ぜた時モロモロしたりするならまだしも
パックジュースやヨーグルトとかなら大幅に古くなっても平気で食べるわたくしのこと(自慢出来ん…)
納豆も大丈夫だろうと思ってたんですよ。
しかし、冷蔵庫の温度調節が若干甘かったのが悪かった、
納豆を混ぜているあたりからほのかな異臭が。
まあ、納豆なんてもともと匂うものですが、普通の納豆臭とは違う、なにやら刺激臭めいたものが
鼻を刺したわけ、この時は。
でも、深く考えずに一口食べた。

ん?

味は変わらんが、とにかく匂いが凄い。なんだろう、この嗅ぎ覚えのある匂い、キッチンハイター…?
…とか悩んでるうちに惰性で飲み込んでしまいました。
途端に感じる喉の異変。
ハッカ舐めた時みたいにヒリヒリするんですよ。
さすがに、こりゃやべぇと思った。
なんなのこれ、毒物混入…?

後でネットで調べたところによると、納豆を室温で放置すると発酵が進んで
アンモニアなどの成分が生成されるらしい。
アンモニアと聞いて、納得しました。
どこかで嗅いだ事があると思ってたのは、

サルミアッキ

の匂いだったのですよ。
言われてみれば、塩辛いし、アンモニア臭いし、うん、あれによく似てます。
サルミアッキってどんな味、と聞かれたら今度から発酵させすぎた納豆を食えと言うことにします。

本日の結論:
納豆は常温で放置しない。
(※当たり前です)



お歳暮
諸事情あって今年はお歳暮をお送りするのを見送ることにしました。
義理を欠いて相済みません。
いや、何軒か、お礼のつもりで送ってたけど、最近は却って返させるのが申し訳なくなってしまって…。
なんか、わたしが勝手に送ってただけなのに、これまで気を遣わせてごめんなさいーーーー!

相手はこんなとこ読まないのは分かってますがちょっと自分の心の安定のために叫んでみた。 



古事記誕生 (中公新書)

工藤 隆 / 中央公論新社

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工藤隆著『古事記誕生 「日本像」の源流をさぐる』読了。
先に読んだ古事記本より、さらに背景をえぐった本。
前の本は主に描かれた当時の事情なんかを考えて読み解いていた感じでしたが、
今度の本は、もっと、民族学寄りというか。
伝承をひもといて、部分部分の古さの深度を真面目に検証し、
・時代の流れ
・社会形態
・伝承の形式
・他地域とのつながり
など、さまざまなフェイズから光を当てて立体的に古事記を見直してみよう、という意欲作。
面白かった!!
これこれ、常にこういうのを求めているのよ、わたしは!

もともとの形がこんな風でこれがこういう感じで伝わってこう変化してこうなった、みたいな
途中経過・過程がすんごく気になって仕方がないのですよ!!
紙面の関係で、主に取り上げているのはアメノイワヤト伝承部分だけだったのですが、
他の伝承も全部やってほしいです超希望。
できればギリシア神話もやってほしい…。

本の最後のあたりに、日本のアイデンティティーについて考察する章がもうけてあったのですが、
それも興味深く読みました。
確かに、ギリシアの場合は神殿はすでに遺跡だけど、日本の神社は今でも信仰の対象で
古事記の時代からの伝統を脈々と受け継いでいるのだものなあ、
これはなかなか無いことですよ。
海外のもう今は信仰が途絶えた多神教の神話とか伝承とか勉強する日本人は、
実はかなり有利なのかもしれませんよ!頑張れ!


タネのふしぎ タネは光の色を見分けるか? 「不老長寿の秘薬」と呼ばれるタネは? (サイエンス・アイ新書)

田中 修 / ソフトバンククリエイティブ

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田中修著『タネのふしぎ』読了。
職場の上司にただでもらったので読みました。
その上司、前に一度だけ日記に書いたことがあるかもしれませんが、
京都生まれの京都育ちのシルバー紳士で、ものすごいゆっくりした京都弁で
お話しされるんです。
萌を吐露していいですか。

かわいいのよーーーー!!!

わたくし、筋金入りのじじいスキーでしてよ!
特にかわゆい系のおじいたまには目がなくってよ!!
その方、不意打ちでものすごい普通の顔で冗談とか言ってくるのでとっさの対応に困りますが
でもかわいいからいい。なにもかもかわいさの前には吹き飛ぶ。
お目にかかれた日はウキウキしますよ!
(でも、フロアが遠いのでなかなか見かけないの、だ…)

で、問題の本ですが、
タネの発芽状況から何から科学的なアレコレを大変わかりやすく書いた本です。
全く理系の素養のないわたしでも分かるので、
全国の文系の皆さんは自信を持って読み進んでください。
途中お米のうまみの正体とか、穀類の栄養分とか、雑学ネタも織り交ざってるので
一般人でも読みやすい。
しかし、生き物でもなんでもこの世に存在する全ての物は、うまいこと出来てると常々思ってたけど、
こうして細かく説明されると、本当に、あらためてしみじみそう思います。
些細なところまできれいに、上手に、歯車がかみ合ってるような快感というか。
遠赤外線を当てると種から芽が出ない理由とか、根が地中に向かって伸びるしくみとか、
知ると本当に驚嘆しますよ!


太田忠司著『月読』『落下する花』も読み終えて、今は『古事記の起源』読み進んでます。
けど,長くなったので次回。
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by mi-narai | 2012-12-02 22:23 | 2012年11月・12月の読書

『「古事記」神話の謎を解く』 『アラブ飲酒詩選』

『古事記』神話の謎を解く―かくされた裏面 (中公新書)

西條 勉 / 中央公論新社

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西條勉著『「古事記」神話の謎を解く』読了。
ちょうどゲームの『九龍』やってて古事記の固有名詞に聞き覚えがある時だから、
今のうちに読んでおくか、くらいの気持ちで読み始めました。
最初は古事記の書いてある文体の説明が合って、次に内容に関する考察です。
『古事記』は稗田のアレ(漢字忘れた)の口承を太安万侶が書き取った、みたいな体裁で書いてあるけど、
結局新政府が編纂した政治的な色合いの濃い書物だからな、というのが作者の考え。
(確かに、
アマテラス→ニニギの権力の移譲は
持統天皇→孫
とかぶるし、地方を平定して中央集権的な国家をまとめたばかりの日本のために
各地の伝承を上手に編集したんだろうな、というのはよく分かる)
同じ神話でも伝承をひたすらエンタメ方向に突き進めたイーリアスとは趣が
違うよなあ、などと思った次第であります。
作者は、日本書紀と読み比べつつ、編集される前の形や、どういった意図をもっての
伝承の配置なのかについて、順を追って書いてます。
作者の説に裏付けがあるかどうかはわからんし、
文中で同じことを何度も何度も繰り返すのでやや煩いのですが、
読み物としてはそれなりに面白かったですよ。丸飲みは出来んとは思いましたが。


QED ~flumen~ 九段坂の春 (講談社文庫)

高田 崇史 / 講談社

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高田崇史著『QED 九段坂の春』読了。
友達に借りて。
シリーズの登場人物たちの若い頃の話がオムニバス形式で。
読みやすかったです。
でも、結局解決しなかったり、関係ないうんちくが語られてたり
作者の押し付けがましい歴史観をごり押しされたりもします。
(いつもよりごり押しはソフト目ですが)

でもって、作中一番かわゆらしいゴリマッチョキャラ小松崎が
だいぶ不憫な目にあっててちょっと萌えました。


アラブ飲酒詩選 (岩波文庫)

アブー ヌワース / 岩波書店

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アブー・ヌワース『アラブ飲酒詩選』塙治夫編訳 読了。
古本屋で100円だったので買ってみた。
さほどアラブに造詣が深くないのでこの詩人の名前は初耳だったのですが、
アラブ世界では有名な人らしい。
ちなみに名前のアブーは「~の父」ほどの意味。本名は確かアル・ハサンだっけな。
なかなか面白かったですよ。
アラビア語で読めばもっと韻を踏んでて語彙も豊富で謡うような抑揚で
素敵さ倍増なのだろうけど、日本語でも雰囲気は味わえます。
都会で放蕩の限りを尽くす遊蕩児の自堕落ライフ、みたいな歌が多くて、
これが読まれたのが8~9世紀だということにまず吃驚します。
詩の内容が現代っぽくてしかも作者の人間臭さがにじみ出てるので、
もっと現代に近いような気持ちになっちゃうのですよね。
でも、このアブー・ヌワース、有名な、かのアッバース朝のハールーン・アッラシードの
治世の末期~彼の子のアル・アミーン、アル・マアムーンの治世に生きた人なんです。
日本で言うならちょうど平安京が始まった頃…坂上田村麻呂が東に向かった頃ッス。
西洋諸国ならイギリスはまだヘプターキー時代か?アルフレッド大王はまだ生まれてない頃。
フランスはカロリング朝かな。カール大帝とか出てきてる頃。
そうそうアルフレッドって若いころフランスに遊学してたんですよね。
カール大帝の宮廷に学びに。カロリング・ルネサンス!ローランの歌ですよ!
どうです、急に「昔!」って感じになったでしょ。
そんな大昔の時代に中東ではムスリムが酒礼賛の詩を書いて
「遊牧生活なんて古いライフスタイルさ、都会サイコー!」とか言ってたと思うと、
いろいろ感慨深いものがあります。

それはそうと、酒も男色もイスラムでは禁じられてるはずなのに、
アブー・ヌワースはどっちもおおっぴらに詩に書いちゃってますよ。
凄い詩を書いて偉い人に賞金もらっては使いきるまで飲み、それで愛想をつかされて
貧困になって他のパトロンを探す、を繰り返してたみたいですね、この人。
しかし、根底に若いころ、熱烈に愛した娘に完膚なきまでに振られたという苦い経験があって、
そのせいで女性に対するコンプレックスと不信感があったっぽいので、気の毒っちゃ気の毒です。
当意即妙で軽妙洒脱で皮肉屋でとびきり頭がきれて、その実シャイな人だったらしい。
なんか、オウィ先生をちょっと連想しました。
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by mi-narai | 2012-11-11 12:50 | 2012年11月・12月の読書