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コズミック・フロントNEXT,『毒味師イレーナ』『世襲格差社会』『とりかえばや物語』

100分de名著

今月はレヴィ=ストロース大先生やないけ!!
おまけに、解説が中沢新一…だと…!?

これはもう、見るしか!!

ということで、毎週視聴してます。
難しいです、先生。
でも、構造主義のハナシは面白い。


コズミック・フロントNEXT

銀河鉄道の夜の回
「日本文学ふいんき語り」を読んで以来、宮澤先輩はちゅうにびょうの人というイメージが
勝手に付いちゃってるんですが、
銀河鉄道の夜は嫌いじゃないです。
初読の小学生の時は、よう分からんイメージがいっぱいあったけどな。
今回、天の川を白鳥座から順に下って行ってるんだよとか、
石炭袋はこれだよとか、宮澤先輩の生きてた頃に発表された物理学の発見とか、
いろいろ背景を知って、面白かったです。
昔読んだ話の内容もぼんやり思い出して、ついでに見た映画(猫のやつ)も
思い出して、あの映画、音楽が好きだったんだよな~とか、懐かしくなりました。
未だにちょっと切ない思い出なのは、あれ、男の子同士の友情の話だからなのね。
ジョバンニとカンパネルラの会話が可愛かったなあ、という薄ぼんやりした記憶がある。


ツングースカ大爆発の回
隕石衝突で決まりだと思ってたので、諸説あることにびっくりしました。
結構最近の事件なのに、分からないものなんだなあ…
いつもの物理っぽい説明よりかは、ミステリー寄りで
ちょっと面白かった!


生命のいそうな惑星を探す回
以前は太陽と同程度の恒星を重点的に調べてたんだけど、
最近は、赤色矮性を回る惑星も探索の範囲に入れているらしい。
この、赤色矮性のハビタブルゾーンにある惑星の説明がすごいおもしろかったの!!
赤色矮性というのは太陽よりもっと小さい熱量の少ない恒星なので、寿命も長いし
そんなに熱くないから、液体が液体のままでいられる範囲も、太陽系よりもっと恒星に近いの。
で、近すぎるあまり、主星による潮汐ロックがかかって、
同じ面しか恒星に向けない惑星ができあがるのよ!!
(この潮汐ロックに関しては、月もかかってて、月の同じ面しか地球に向いてない)
一日中昼の表面と、黄昏ゾーンと、裏っかわのずっと夜のエリアとがあるの!!
季節どころか朝昼晩の概念もない世界ですよ。
植物層も固定されるんじゃないかしら。
こんなの、ファンタジーの世界の話だと思ってたのに、おもしろい!!!
そんな環境で生まれた生命って、どういう進化をたどるのかなあ!
考え始めるとわくわくが止まりません。


獄門島
金田一がぶっとんでた。
ディオ様降臨やったで…
でもまあ、戦場でこれでもかという理不尽な目にあって、本心から
なんで人は人を殺すねん!と思ってた青年に、あんな理由突きつけられたら
そらまあ、切れるよな、と妙に納得させられてしまいました。


そして誰もいなくなった
さすがに放送規定にひっかかるのか、インディアンが、兵隊さんになってました。
獄門島と同じカテゴリーや。
わたし、これの原作が大好きなんですけども、
もう、ミステリー好きなら知らぬものはないっちゅうくらいの有名な古典で、
もちろんオチも衆人が知ってる有名なアレなんですが、
(オリエント急行、アクロイド、ABCと並んで)
それでもあの一連のスピード感とサスペンスはさすがです。
こわいこわい。まだミステリー黎明期なので、ミステリーという箱の中で
こねくり回された、推理のための推理、みたいな局面が少なくて、
ほんとにありそうな話っぽくかかれてるので、よけいにハラハラします。
ふつう、ああいう場面で、いきなり事件の推理に乗り出したりしないよな、一般人は。
全3話らしいので、クローズドサークルのミステリーの死亡フラグがいくつ出てくるか
数えながら楽しみにみようと思います。部屋に一人でこもった奴は死ぬとかさ。




ここから本

ばけもの好む中将 四 踊る大菩薩寺院 (集英社文庫)

瀬川 貴次 / 集英社

スコア:


瀬川貴次著『ばけもの好む中将4』
お借りしたもの。
さらっと読めて意外と楽しくて、結構好きなシリーズなので貸してもらうのが待ち遠しい。
今回は、とうとう一番下の12の姉上が出てきました。
その下の姉上へのわがまま東宮の淡い片思いの行方が気になって仕方ありません!
今回は絡繰り仕掛けとどたばた喜劇が盛りだくさんで、
んなあほな!
と突っ込みつつ、楽しく読み終わりました。


毒見師イレーナ (ハーパーBOOKS)

マリア・V スナイダー / ハーパーコリンズ・ ジャパン

スコア:


マリア・V スナイダー著『毒味師イレーナ』
各所で話題だったので中古で買い求めてみた。
法律の厳格な軍事政権下、極悪人相手とはいえ人を殺してしまった主人公が、
死刑の代わりに最高指導者の毒味役に任命されるところからスタートです。
のっけから、逃げられないように猛毒盛られてるし(毎朝解毒剤を飲む必要がある)、
なんというか、すんごいジェットコースタードラマでした。
割合おもしろかったですよ。未だに欧米系の魔法の表現に慣れませんが。
欧米の人の魔法の概念て、超能力とあんまり変わらないよね。
どうしてもわたしは陰陽道的な学問体系、みたいなのを想像しがちなので、翻訳物で
魔法が出てくると、使い方がアバウトだよなあ、と思ってしまいます。
それはさておき、じわじわ人間関係の輪を広げ、信頼も勝ち得、なんとか最初のどん底からは
這い上がった主人公が次に魔法の修行をしに故郷に赴くところで1巻は終わり。
原価で買うのはもったいないけど、中古で続きがでてたら買おうかなあ。


世襲格差社会 - 機会は不平等なのか (中公新書)

橘木 俊詔 / 中央公論新社

スコア:


橘木俊詔著『世襲格差社会』
いや、最近の格差の開きについてはいろいろ思うところがあるので!
新書で出ていたこの本を買い求めてみました。
格差というものを、世襲というポイントに絞って論じたまじめな一冊。
著者の言うには世襲も二分化してて、
まったく金にはならないけど伝統技術を守るために世襲をするパターン(無形文化財とかそういうの)と、
単純に親の地盤を引き継いだら儲かることがわかっているので跡を継ぐパターン(政治家とか医者とかな)
があるそうです。
賃金よりも、資産の方が増える率は高くて、しかも世襲で有利な人間のところには
どんどん富が蓄積されるんだから

まったく世の中不公平だぜ!!!

と激しく憤った次第。相続税で全部ぶんどってまえばええねん
後、政治家と医者は親の開業してた地域とは別地域から出馬とか開業せなあかんて
法律で定めたらええねん。
教育格差もそうですが、格差が世代間で固定されるのは許し難い!ふんとにもう!!


裏切りの月に抱かれて (ハヤカワ文庫FT)

パトリシア ブリッグズ / 早川書房

スコア:


パトリシア・ブリッグズ著『裏切りの月に抱かれて』
ずーっと前に100円くらいで買った早川ファンタジー。
なんとなく気が向いて読んでみました。
以外とおもしろかった。
ちょっと前、アメリカで狼男とか吸血鬼とか、そういう人外の妖怪と人間とのロマンスが
はやった時期があったそうなんだけど、まさにその時期にかかれた一冊で、
主人公は動物に変化する能力を持った女の人。
噛まれて感染して変化してしまう狼男や吸血鬼とは一線を画してて、
ネイティブ・アメリカン系の生まれつきそういう家系の人なの。
そんな彼女が、人狼社会のあれこれに巻きこまれ、故郷の初恋の人と、今すんでる地域の
アルファ狼の間で揺れちゃったりなんかして、ロマンス要素もちゃんとあり、
なんか、パラノーマル・ロマンスとしては、割合おもしろかったのです。
アメリカでは続きも結構出てるみたいなんだけど、日本では翻訳はされてません。
3巻で3角関係にも決着がつくみたいなのに、昨今の出版事情のシビアさよ。
(原書を読むしかないのか?)
ちなみにわたしは初恋の人サミュエルより、今の隣人のアルファ狼アダム推しです。


とりかえばや物語 (文春文庫 た 3-51)

田辺 聖子 / 文藝春秋

スコア:


田辺聖子著『とりかえばや物語』
前に『おちくぼ物語』の方を貸してもらったのですが、その流れでこの本も貸してもらいました。
これの知識といえば山内直子の『ざ・ちぇんじ』くらいですよ。
原作を読んで、さすがに「ちぇんじ」のほうは、少女マンガだけにだいぶマイルドに
してあったんだなあと改めて実感。
原作の方は、たぶん大幅に田辺聖子の手が入ってやはり抑えめにはなってると思うけど
もうちょっとえげつないというか。
宰相の息子もそうだけど(この物語では夏雲という名前を与えられていました)、
男に戻った主人公の兄も、ほんま、

どないしょうもないな!!

と男性陣にいらいらいたしました。その中でさすがに不敬に当たると思ったんか
御門に関しては、理想の男性として描かれていて、この理想の男性像が今でいうところの少女マンガの王子様的で
今も昔も女子の萌えポインツは一緒ね、とほのぼのいたしました。
主人公の、男として身を立てた女の子(春風という仮名が与えられてました)は、終始
男前で、理性的で潔く、気持ちよかったよ。
後、『おちくぼ』の方の解説は美内すずえ先生でしたが、この『とりかえばや』は
里中満智子先生だった。

まちこーー!!!!


昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学 (角川ソフィア文庫)

古川 のり子 / KADOKAWA

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古川 のり子著『昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話』
角川らしく、さらっと読みやすい本でした。
昔話に出てくる登場人物を、さらに昔の文献に探し、掘り下げ、そういった登場人物が
かつての日本人にとってどういった印象と意味を持つものなのか、などを
桃太郎や浦島太郎、かちかち山といった有名昔話ひとつひとつについて考えていく感じ。
おもしろかったですよ。
桃太郎の連れてる犬、サル、キジ、がすべて境界をまたいだり、越えたりする動物だったりとか。
(鳥がそうであるのはギリシャ神話もなんだけど)
それから脱線して、日本における鳥の印象の捉えられ方とか。
ふつうは猛禽類が最強なんだけど、日本では小さいスズメ目の鳥がそれより強いことになってて、
このあたり、干支の最初になぜネズミがくるかというエピソードとも重なってて
ちょっとおもしろかった。
後、底辺に流れる世界観は一緒で、登場人物の性別、年齢、などによって結末が分かれる、という指摘とか。
異類婚のあたりは、前にも別の本で読んだことがあったのでさほど目新しさはなかったですが、
全体的に読みやすかったです(この一文に戻ってくる)。


ヒトはいかにして生まれたか 遺伝と進化の人類学 (講談社学術文庫)

尾本 恵市 / 講談社

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尾本恵市著『ヒトはいかにして生まれたか 遺伝と進化の人類学』
最近、ヒトの進化に関する本を読みあさっていたので、まだ知識を覚えているうちに、
と思ってこれも読んでおいた。
少し古くて、1995年の講演内容を文字化したもの。
今回は、日本の人類学に関する流れとかが、著者の体験にかぶせて説明してあって、
当時の雰囲気が嗅げたのは目新しかったです。
やはり、分子遺伝学の発展は、この分野を大きく変えたのだなあ!!
人類学の大まかな流れは、だいたいの本で一致してるんですが、
諸々のまだ解明されていない問題に対するその解釈はまちまちで、
この著者についていえば、人類に毛のない理由とか、独特でおもしろかったです。
後、ネオテニーについて、わたし、いまいちわかってなかったんですが、
ようやくすっきり理解できた気がします。


雑誌『EPTA』
超絶かわゆらしい上司にまたもやただでもらったので。
今回は種特集でした。
いいよね、植物は。いやされるよね。
種だけじゃなくて、和綿の記事なんかもあったんですが、
日本産のコットンって生産量ほとんど0%に近いんですって!!
マジか!
最近コットン100%の衣類の手触りの良さに目覚めたところなのでそれは残念だと思った次第。
日本産の綿の方がしっとりしてると聞いてはよけいに、ますます。
地域に根ざした野菜なんかも、育てやすい商業用苗に押されてどんどん失われて
いってるみたいだし、なんか、知らんとこで日本の植物層が消えてる、と思うと
なんか、悲しくなりました。自家農園すべきか!?
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by mi-narai | 2016-12-08 10:45 | 2016年下半期の読書

『人イヌにあう』 『二重人格探偵エリザ』 『「魔」の世界』

今年も始まりました。夏休み子供科学電話相談
しょっぱなが植物の田中先生2連チャンだったので気合い入れて聞いて、
その後ついったのまとめも見てたんですが、
田中先生の回答への数々のコメントの中にふたばさんを見つけて目を丸くしました。
同志…!(や、あの回答にだけ独立してコメントなさったのかもしれませんが)
ともあれ、リアルに田中先生の「じゃ、これ覚えとこか」「言うてみて」
矢島神の昆虫ゼリーdisを聞けて満足です。
宇宙の質問もすごーく楽しかった!!
どうして宇宙は暗いのか。深い質問やで!!


コズミック・フロントNEXT

荒ぶる木星回
「荒ぶる」ってネーミングにちょっと笑いました。
それにしても、最近分かってきた太陽系の成り立ちはなかなかすごい。
木星の暴れん坊っぷりはけた外れですよ。
ゼウスの名を付けた古代の人は先見の明があった!

宇宙ステーション回
当時のソ連の突貫工事っぷりにガクブルしました。
某お隣の赤い国と似ている…!
でも、それでも現場の科学者や技術者はものすごい頑張ってたんだよなあ。



ここから本

人イヌにあう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

コンラート ローレンツ / 早川書房

スコア:


コンラート・ローレンツ著『人イヌにあう』
人面犬の話じゃないですよ。黎明期に偉業を達成し、ノーベル賞まで受賞した
動物行動学界の重鎮が、自分ちで飼ってた犬や猫についてつれづれなるままに書いた心温まる本。
いや、もう、ほんと、行間から著者の愛がダダ漏れていて、
読み終わったら速攻なんか動物を一匹お家に迎え入れたくなること請け合い!
最近猫も良いなあと思ってたけど、本を読むとやっぱり犬も良いなあ…。
(どっちもすてきなんだもん!)
著者はその道の権威なので、飼ってる人がすぐ言いがちな
「この子、わたしの言葉が分かってる」とか
「悲しいのね~」とか
妙な擬人化は一切せず、ちゃんと動物の習性と本能とその行動を考慮に入れて
諸々の反応を判断していらっしゃるんですが、その上で、やっぱり自分の犬猫達を
深く愛してるんですよ。
時々「わたしのティトー」「わたしの雌犬スタシ」とか、名前に一人称所有詞付けるのが
きゅんときます。
「わたしの~」って何気ないけど使いどころを間違えなければ殺し文句だよなあ。
ヘクトールに「わたしのトロイア」発言されたらキュン死する(黙れ)。
もしも将来犬を飼うなら、飼う前に再度熟読しよう、と思った本でした。


二重人格探偵エリザ 嗤う双面神(双面神:ヤヌス) (ハーパーBOOKS)

ヴィオラ カー / ハーパーコリンズ・ ジャパン

スコア:


ヴィオラ カー 著『二重人格探偵エリザ』
お借りした本。
「ジキル博士とハイド氏」に娘がいたら、という設定のミステリー。
という見出しだけ見て読み始めたので、ヴィクトリア朝が舞台のゴシックミステリーなのかな、
くらいに思ってたのですが、ゴシックミステリーだけじゃなく、スチームパンクという
SF要素あり、オオカミ人間、錬金術といったオカルト要素あり、いろいろごたまぜで、
ミステリー要素もサスペンス調で、とにかく盛りだくさんじゃった。
もう、はらぁ一杯だ…
(※こんなとこで使う台詞じゃありませんすみません)
いや、でも、楽しく読みましたよ。
知的で地味なジキル博士の娘エリザは、
内っ側にリジーという大胆で奔放で気の強い山猫みたいな人格を抱え持ってて、
普段はスコットランドヤードの監察医として働いてるんだけど、
いけすかんおっさん刑事からは女だって理由で嫌がらせされるし、
ちょっと前に捕まえた切り裂きジャックは監獄の中から思わせぶりなメッセージ送ってくるし、
体の部位がぶつ切りになったホラーテイストな殺人が次々起こるし、
現代の魔女狩りともいえる、異端科学審問の最先端、王立科学院から派遣された男に目を付けられるし、
リジーはその男が大好きだし、
謎の後見人は気にかかるし、
なんかもういろいろ大変です。
大体こういうスプラッタっぽい殺人事件を扱うミステリーって、最後は探偵役が
最後の犠牲者になりかけて、間一髪助かるって筋が多いんですが、
…まあ、大体そんな感じ。
続編もあるそうなんですが、
困った男からもってもての主人公がいったい誰に惚れるのかが一番気になるところです。


化け芭蕉 縁切り塚の怪 (角川文庫)

瀬川 貴次 / KADOKAWA/角川書店

スコア:


瀬川貴次著『化け芭蕉』
これもお借りした本。
上のエリザが翻訳物の常として、一ページにぎっしり文字がつまってたなかなか読み進まなかったのに対し、
あっという間に読み終わりました!
「化け物好む中将」とは違って今回は推理ものじゃなかったけど、結構面白かったですよ。
若き芭蕉と、若い日の弟子たちが和気藹々としてて微笑ましかった。
作中ナチュラルに主人公がホモ疑惑掛けられてて笑いましたが(笑)


目白台サイドキック 五色の事件簿 (角川文庫)

太田 忠司 / KADOKAWA/角川書店

スコア:


太田忠著『目白台サイドキック 五色の事件簿』
更にお借りした本。
『北野坂』の方と設定やらなにやらけっこうかぶるのですが、
こっちの方が堅実な感じがするのはなぜなのでしょう。
いや、北野坂の方はかっこつけのにおいがしてうんざりするからかな。
語り役の若手刑事さんがものすごいいい子で可愛いし。
今回は幽霊関連の短編を連ねつつ、根底にじわじわ大きな謎が浮かび上がって
来る趣向で、けっこう次が楽しみな終わり方でした。


世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫)

日高 敏隆 / 集英社

スコア:


日高敏隆著『世界を、こんなふうにみてごらん』
コンラート・ローレンツ関連で読みました。
「ソロモンの指輪」の訳の人じゃないかな。
青少年に向けたメッセージを基底にしたエッセイ、なので大変読みやすいのですが、
その簡単な文章の中に日本に新しい学問を打ち立てることの困難や
作者のだいぶ変わった人柄や
いろいろがかいま見えてなかなか面白かったです。
作者は独自に、
「もっともらしく唱えられてる科学なんてのも
暫定的に今こんな感じで考えられてるってだけの途中経過であって
絶対的な答えではない、まあ世の中大体そんなもん、
お前等、寄って立って安心してんなよ!」
というような境地に達しているのですが、
割と最近同じ事言ってる人見た、と思ったらサルトルだった。

けど「イリュージョン」という字面は、真面目に使ってあっても
ちょっと笑ってしまいますね。手品師が思い浮かんじゃって。


「魔」の世界 (講談社学術文庫)

那谷 敏郎 / 講談社

スコア:


那谷敏郎著『「魔」の世界』
古今東西の世界の妖怪、怪物、お化けについて広く、結構つっこんで書いてある本。
面白いよ!
インドとかアジアとか、普段あんまり注目しないあたりが書かれてて
読みながらにやにやしました。
特にアラビア圏の魔についてけっこう詳しく書いてあったのは嬉しかった!
あんまりないんですよね。そういう本。
ギリシャ神話の魔については、通り一遍でしたが。
「世界の妖怪辞典」とか、そういう本よりは、
項目は少ないけどもう少し系統だてて深く掘り下げてある印象。
古本屋で衝動買いしたのですが、割といい買い物だったと自画自賛しました。


ジョーカー・ゲーム (角川文庫)

柳 広司 / KADOKAWA/角川書店

スコア:


『ジョーカー・ゲーム』
お茶友に勧められてアニメを見て、割と面白かったと感想をいうと、原作本を貸してくれました。
アニメで一度見た話なので、構えずにさらっと読めましたよ。
スパイの話はもともと好きなので楽しかったですが、
D機関の人間は鼻持ちならん。
軍人もいろいろアレですが。
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by mi-narai | 2016-08-01 00:40 | 2016年下半期の読書

『中国の神話』 『リヴァイアサン』 『折れた竜骨』

年末にネットでお買い物をしたんだけど、年が明けて届いたものの消印が
片っぽが広島、片っぽが帯広になってて、超テンション上がった!
(遠くから何かが来るとすごい嬉しいな~!
これ、それぞれの地域の郵便局を経由してきたんだなぁ、と思うと感慨深い)
送って下さってありがとうございます!


初夢
なんかよう分からん夢をみました。
わたしは文学部にいるんだけど、理工学部がどうなってるのかしりたくてしりたくてたまらないの。
特に、コンピュータを扱ったり機械を作ったりする学部、情報工学部が。
で、ある日思いあまって突撃するわけ。
入り口入ったところで早くも職員らしき女の人に誰何されるんだけど、もうここは正直になろうと思って
「文学部のものですが、どうしてもこの学部が気になって、今日は見学にきました。
見て回ってもよろしいでしょうかッ!」
と頼み込んだら、割とあっさり許可が出ました。

中に入ったら、学生の7割が何故かケンタウロスだった。

で、わたしは驚きもせずに「ああ、昨今少子化で大学も生き残りをかけていろいろ変わった取り組みしてるもんな。確か、この大学、ケンタウロスの入学を受け入れる、ていうユニーク策打ち出してたわ」とか思い出すわけ。

しかし、何故情報工学科にケンタウロスが集まる結果に???

根っからの文系人間であるわたしには理系の学部が何をやっているのか想像がつかなかったようで、
研究室等は夢に出てこず、何故かそこでレクリエーション中のケンタウロスの一人に、
手作りパンを振る舞われたりしました。
それが、めっちゃ!うまかってん!!!外はぱりっとしてて、中はふわっふわやねん!
もちもち、じゃないねん。ふわふわやねん。ぱさぱさでもないねん。
あの感動をどうお伝えすれば…
、「おおお!!オラ、こんなうめぇもん食ったことねぇだ!」などと
たず役演じてるマヤちゃんみたいに感動してたら目が覚めた。
いったいなんだったのか…


大阪古墳ハイキング
半年ほど前の奈良古墳ハイキングに引き続き、大阪での古墳ハイキングも催されたので
素知らぬ顔で参加してきました。
たぶん、主催者にはまた妙なのが混ざってると思われてたに違いない…(ごめんなさい)
前回の奈良と違って、今回の大阪は、大きな古墳が多かったです。
ニントク天皇陵とか。ミサンザイ・ニサンザイ古墳とか。
前は人んちの畑とか人んちの庭とかに踏み込んで墳墓に上り、
中にまで入れる古墳の未発掘・放置ぶりが目立ちましたが、
さすがに今回ほどの大きな古墳になるとちゃんと観光地として囲われてて、
堀にも水が入ってて

THE古墳

という感じでした。
しかし「墓」扱いの古墳が多く、入り口に宮内庁の立て札が立ってて墳丘の中には入れなかった…。
後、堀の水、あれ、江戸時代にはため池として使われてたと聞いて、ずっこけそうになりました。
ま、まあ、水がためられそうな堀が目の前にあったら、使うよな。合理的ですよ。


第九
久々に生第九が聞きたくなって、行って参りました!
貧乏なわたしにしては大枚張り込んだんですが、その甲斐あってか
これまで聞いた第九の中で最も演奏が素敵でした。
そう!第九の最後の部分は庶民としてはがーっと盛り上がったまま
突き進んで高らかにファンファーレを響かせるように終わってほしいの!
小難しい曲の解釈はいいから、変にゆっくりひっぱったりしないで欲しいのよ!

値段は伊達じゃなかった…!!!

その前に見た佐渡ゆたかの第九番組で、
「ベートーベンは人の声でしか表現できないものがある、と考えて
第九の第4楽章に合唱を入れた」と聞きましたが、
歌詞や、和音からもたらされる重厚感、クライマックスへの盛り上がりを併せて、
全くその通りだ、とベートーベンの正しさを痛感しました。
あの合唱が入ったところで、感動で泣きそうになるもん、毎回。
一つ一つの音ってのは波長じゃないですか。
人間がそれをとらえる気管は鼓膜しかないとしても、物理的な影響を体を構成する
素粒子に及ぼしてないとは言い切れないじゃない。
あの、すごい数の楽器の、しかも全部が違う動きをしてる音と、
更にその上に、4部構成の人の声60人分くらいが加わって、
本当に、音を浴びている、という感じになるのですよ。
気持ち良かったー!!
やっぱり拡声器を使わないたぐいの楽器の演奏は生と録音じゃ全然違うよ!
劇場に直接行くのと録画を見るのじゃ全然違うみたいに、違うんですよ!!

また何か演奏会に行きたくなりました。
でも
・あまり金がかかるとつらい
・演奏会のプログラム曲をそれほど知らず、行く気にあんまりならない。
という二つの阻害要因が。曲の方は、わたしの不勉強が悪いのよね。
ストラヴィンスキーとか聞いてみるべき…??


映画
『SW エピソード7』
スターウォーズも行ってきたよ!
楽しかったです。
いろいろ前作をふまえての小技が利いてて、前作も好きな私は
にやにやしながら見てしまいました。
前作と言えば、正月辺りにやってた古い方のスターウォーズ見てると
毎回トンネルミッションがあるんですよね。
戦闘機で狭い通路くぐり抜けてターゲットに命中させ、
更にヒットエンドランで一目散に逃げないといけないアレ。
エスコンのすべてのトンネルに泣かされてきたへっぽこプレイヤーの身としては
「ああああ、いやだ、トンネルはもういやだ、あんなトンネル絶対無理」
と人事でなくガクブルしながら見ていたのですが、

エピソード7でもありましたよ、トンネルが!!!

今回は主人公サイドは、腕利きのパイロットがその難ミッションを軽々こなす様を
見ほれる側だったんですが、そちらの視点に立って初めて、

真のエースがどういうものかが分かりました…!!!

すっごいよ!!すっごいパイロットですよ、ダメロン!!
正確に敵だけをねらい打つ対地スキル、ミサイルの命中精度、なのに落ちないスピード、
追撃をスレスレ交わす飛行技術の絶技、どれをとっても神業ですよ!!!
レジスタンス一のパイロットと自称してもこれなら納得。
呼び捨てなど恐れ多い。これからは尊敬を込めてダメロン先輩と呼ばせていただきます。
今回一番感動したのは、なのでダメロン先輩の腕前に対して、なのでした。

いや、大筋の方も、楽しく見終わりましたよ。
結構謎が残ったままなので(主人公の出自とか)、
次のエピソードが待ち遠しいです。


テレビ
「プロファイラー」という番組の「ミケランジェロ」回、

ゲストが荒木先生だった…!!!

ミケランジェロもすごかったけど、荒木先生にすべてのインパクトを
持って行かれました。
先生は、紳士的な素敵な方でしたよ。



ここから本

カンナ 戸隠の殺皆 (講談社文庫)

高田 崇史 / 講談社

スコア:


高田崇著『カンナ 戸隠の殺皆』
お借りした本。第二段。
相変わらずのウザい歴史観なのです。
本気で言ってる風なのがいたたまれませんが、
この本はとんでも歴史ミステリーとしてかっとびっぷりを楽しむものだと思えば、まだ笑えるかな、と
最近達観してきました。
うん、あの発想は無かった(笑


中国の神話 (1980年) (中公文庫)

白川 静 / 中央公論社

スコア:


『中国の神話』
読み始めて随分立ちますが、まだ半分くらいまでしか進んでません。
タイトルの通り、中国の神話について書かれた本。
著者が漢字の研究や辞書で有名なあの白川先生です。
中国の神話を系列とか無視してズラズラ並べる子供向けのアレではなく、
亀甲占いの象形文字まで持ち出して、
中国の文字資料に現れる神や古王の伝承が、
どの系統の民族のいつ頃のどういった分野の神話なのかまでを
細かく検証して述べてある風の、大変読み応えのある一冊です。
面白い!
でも、進まない…
ええ、毎回言うように、漢字がネックなのです。
そんなに漢字苦手なら中国モノは読まなきゃいいのにと自分でも思うんですが、
世界中の神話を網羅したいという野望を持つ身としては
やはり中国神話も避けて通るわけにはいかんと言いますか…・

今回、特に理解の妨げになっているなと思う点は

・白川先生の使用する漢字の熟語に馴染みがなさ過ぎて、人物の名前なのか一般名詞なのか
はたまた古代中国の役職なのかがさっぱり分からない
・引用部分がまるまる漢文の書き下し文で、素養のない私には読みづらい
・日常使う漢字ではないまるで見覚えのない複雑な漢字が固有名詞などに当てられていて、
読み方が分からず、まるで絵を丸ごと覚えるような仕様になってて記憶力を試される

この3点です。

特に、最後の、漢字の読みが分からない、というのは、今回しみじみ思ったのですが、
意外に覚えにくさを助長させているものだなあと。
言葉はやはり発音と連動して記憶するものなのだな。
現代日本語の常用漢字ならだいたい読み方は調べたら分かるし、
読みの候補もそう多くないのですが、
ものが古代の中国語ですよ。現代中国語での読みなら見当はついても
当時はどう読まれてたかなんてまるきり分かんないですよ。
古代エジプトの王名をとりあえず母音にEを当てはめて借り読みしてるみたいに、
とりあえず日本語の音読みで覚えるしかないのか…
絶対そう発音していたわけないのになあ…

漢字の話はおいておいて、
感じたことを箇条書きに

・中国には神話がないと言われるけど、そうでもないらしい。
最初は、「状況はローマと似てるのかな。
歴史の方に神話的要素をぶっ込んじゃったというか」ほどに感じていましたが、
もちろんそういう要素はあるのですが、それだけでもなく、
流石に中国の方が初期ローマの何倍も広いだけあって、事情は更に複雑でした。

・当たり前だけど、中国大陸をいくつもの民族が席巻してたんだなあ。
で、それぞれが独自の神話体系を持ってて、移動や勢力争いで接触する度に
少しずつ影響を与えあってきた、と。

・それぞれ民族の洪水神話を考える段で、大体が龍タイプの水神を設定する中、
どっかの民族だけ、

魚人

だったのには吹きました。
シュール過ぎる…!!その発想は無かった!

・イ系の民族の、ゲイ(どちらも漢字が出てこない!!)の神話、
これもシュールで好きです、ほれ、太陽を射落とす男の話。
これに絡めて、かつてインでは、10個の太陽を設定し
この10個はすべて個々の性質と祭祀を持っていたんじゃないか、みたいな
説が語られてて、これまた想像もしてなかった説にときめきました。
10個の太陽が、かわるがわる順番に毎日上がってくるのって、
ちょっと面白いですね。
マジでその発想は無かった!


リヴァイアサン: クジラと蒸気機関 (ハヤカワ文庫SF)

スコット ウェスターフェルド / 早川書房

スコア:


ベヒモス―クラーケンと潜水艦― (ハヤカワ文庫SF)

スコット ウエスターフェルド / 早川書房

スコア:


ゴリアテ-ロリスと電磁兵器- (ハヤカワ文庫SF)

スコット ウエスターフェルド / 早川書房

スコア:


スコット・ウェスターフェルド著『リヴァイアサン』
『ベヒモス』
『ゴリアテ』
三部作。
面白かったです!!!
『白金の王冠』を読み終わった後は、これから何を楽しみに生きていけばいいんだろう
と本気で悩みましたが、
この本を読み始めてその悩みはあっという間に解消されました!!
1巻の最初の導入からワクワクしたよ!!

ジャンル的にはスチームパンクで、物語の始まりは1914年から。
そう、第一次世界大戦です。
あの発端になった、セルビア人青年に暗殺されたオーストリア大公夫妻に
実は息子がいたって設定で、
このオーストリア公子が主人公の一人、アレキサンダー(アレック)。
で、世界は産業革命に始まる工学技術を発展させていった人々の陣営(クランカー)と
ダーウィンに端を発する遺伝子工学を発展させていった人々の陣営(ダーウィニスト)に分かれて
縄張り争いをしているわけ。
ちなみに、オーストリアを含むドイツ側がクランカーサイド、
イギリスを中心に連合側がダーウィニスト陣営です。
クランカー側は、8本足の陸上戦艦はじめ、モビルスーツ的なモノを開発するところまで
技術開発が進んでいるし、
ダーウィニスト側は遺伝子操作した動物を機械の代わりに日常に取り入れ、
主に海洋生物を操作して航空機を創造してるの。
第一部のタイトルになった「リヴァイアサン」は
クジラをベースに何百という生物の遺伝子を複雑に組み合わせて作った
生きた飛行戦艦の名前で、
英国海軍はその空飛ぶクジラでクランカー側の機械と戦うのよ。
ちなみに、女の子であることを隠して英国空軍に入隊したディラン・シャープ、こと
デリンがもう一人の主人公なんですが、このデリンが本当にかっこよくって!!!

とにかく!
・追われる貴族の坊ちゃん
・意地悪な剣術師範
・空飛ぶクジラ
・男装の女の子(ただし、中身はヘルメス。すっごい頭の切れる士官候補生)
・英国海軍モノ(実際には空軍だけど、戦艦なので序列は海軍)
・美人女科学者
・2本足のレイバーを操縦
・激動する世界情勢
・若い二人の陣営を越えた友情
・クランカー側でいう機関長が、ダーウィニスト側では主任生物博士なんだぜ!
・ロシアの戦闘熊超こえぇ!!
・日本も出るぞ!
と、もう出てくるキーワードがすべからくすべてツボで(冒険活劇大好き!!)、
しかもジュブナイルなのでえげつないやりきれない描写はなく、全体的に清々しく、
淡いラブなんかもあったりして、
読んでる間もうほんと、楽しくて楽しくて!!
第1巻は、ほぼリヴァイアサンに乗船してる状態で話が進むんですが、
この生きた戦艦がまた、ね!!素敵でね!!
甲板作業してるとき、足の下でクジラの繊毛がわさわさ揺れんのよ!!
バラストはクジラの排泄する汚物だし(笑)。
攻撃手段としてのコウモリとか鷹とかがクジラの一画で飼われてたりするのよ。
最初は、クランカー側のメカメカしさが素敵だなと思ってたのに、
読み終わる頃には、クジラに首っ丈になってました。リヴァイアサン万歳!

あー、楽しかった!

ジブリの「ラピュタ」がお好きな方には問題なく楽しめると思います。
あんな感じの、ワクワクするテンポのいいスチームパンクですよ。
シータみたいな、女の子っぽい女の子はあんまり出てこないけどね。
(ディランが男前過ぎて、途中、男の子同士の友情的に燃えた。
2巻の途中で、二人は喧嘩するんだけど、ちょうど仲直りの部分読んでるときに、
出先だったので1ダイレクションの曲がかかってて、それがまさに
場面にマッチしてて、すごい盛り上がった!!!)


折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

米澤 穂信 / 東京創元社

スコア:


米澤 穂信著『折れた竜骨』
お借りした本。
歴史ミステリーファンタジー風味。意外にちゃんと推理ものです。
最終的な犯人の処理とか、ちょっとご都合主義かなと思う箇所は無いこともないけど、
ジョン欠地王時代のイングランドの僻地の島という舞台設定や
魔法が存在するパラレルワールドというファンタジックな世界観が結構楽しく、
気軽にさくさく読みすすみました。
上巻の最初の辺りは4回ほど寝落ちしましたが、殺人が起こってから犯人捜すくだりは
普通に推理小説っぽく、面白かったです。
でも、一番盛り上がったのは、バイキングが攻めてきた辺りです。
(それ、推理関係ない。)
あんまり日本人作家の本は得意ではないけど、最後の犯人当ての辺りなど
ワクワクしながら読んでしまいました。

いや、後書きに、修道士カドフェルの名前が出てきたのをみつけた時が一番ワクワクしましたけどね!
作中の地の文で「モード女帝のすぐ後の時代」、って記述読んで、カドフェルを思い出してたけど、
意識して書いてたんか。そうかそうか。
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by mi-narai | 2016-01-24 22:30 | 2016年上半期の読書

TV、『古代文明アンデスと西アジア』『アステカ王国の生贄の祭祀』『フロスト日和』

最近のテレビ

『経世済民の男 小林一三』
期待に応えてくれました。面白かった!
コミカルで、ダメなところもたくさんあるけどなんとも憎めないチャーミングな
一三に仕上がってました。脚本と演出と役者の力ですね!
後半駆け足だったのが心残りですが。
作中の、「豊かな社会とはなんだね」的なことを尋ねられた主人公が
「みんながこの国に生まれて良かった、と思えるような社会」
と答えたのが印象的でした。
全くな。金持ちや偉い人だけじゃなく、どんな状況で生まれても、
なるべく多くの人が「日本に生まれてよかったー!」と思えるのが良いよな。


「世界入りにくい居酒屋」
ファーストシーズンの総集編を見ました。
(弱いくせに)酒好きの身としては、毎回楽しみに見てたんですよね。
この番組、まさしくタイトル通り世界の色々な町の、地元民でなければ大変に入りづらい
居酒屋に取材したものなのですが、
映像を見ながら大久保さんやいとうさんといった飲兵衛のお姉さん方が
感想とつっこみをいれてくれるのも楽しいポイントです。
セカンドシーズンが始まるようなので、嬉しいな~!
見てるとみんな楽しそうでやたら酒を飲みたくなるのは困ったもんですが。


『山賊の娘ローニャ』
楽しく見てたんですが、山賊団がまとまったところで終わっちゃった。寂しい。
あの主人公の子供たちの友情は「探しに行こうよ」みたいで一貫して好きだったなあ。
大きくなって男女の仲になるのが楽しみなような惜しいような。
それにしても、最後の辺りの数回は、主人公の子供たちよりも
お父さんたち二人のやりとりに目が釘付けになってたなんて言えやしない、言えやしないよママン…
マッティスがあまりに可愛らしくてさ…。


ここから最近読んだ本

古代文明アンデスと西アジア 神殿と権力の生成 (朝日選書)

朝日新聞出版

スコア:


『古代文明アンデスと西アジア 神殿と権力の生成』
ちょっと前に、
エジプトとか恐竜とかインカ・マヤ・アステカはものすごい面白そうで誘惑されるけど、
これ以上手を広げると大変だから断固として屈さない!

…と言った舌の根も乾かぬ内に買っちゃいました。アンデスもの。
読み終わってだいぶ経つのでうろ覚えなんですが、
大まかに言えば、経済偏重の歴史観を反省しつつ、神殿形成時期の社会の動きを
違った目で考えてみよう!という趣旨の論文集ではないかと思います。
メソポタミアは若干少な目でしたよ。
で、トルコのBC9000年期辺りの宗教施設がどう考えても狩猟・採集時期のものだったり
(これまで、神殿というのは農耕に移行してから建てられたと思われてた)
内っ側やら、上からどんどん神殿が更新されて大きくなっていったり
新しくなっていったりする様が語られたり、面白かったです。
メソポタミアって、都市国家系なのね。
でも、面白かったのに、何回も寝落ちしちゃった…。
発掘現場の報告書、みたいな淡々と事実を述べる記述が続くと、つい、眠気がね…


アステカ王国の生贄の祭祀: 血・花・笑・戦 (刀水歴史全書)

岩崎 賢 / 刀水書房

スコア:


岩崎賢著『アステカ王国の生贄の祭祀: 血・花・笑・戦』
アメリカ大陸づいてる時に本屋で見つけて買ってしまったもの。
主にアステカの神話について述べてあります。
正直な感想をまず一言。


血生臭SEEEE----!!!


いや、前々からマヤやインカに比べて生け贄儀式の規模と回数が多いよな、とは思ってましたが、
一月に一回必ず生け贄儀式があるんかい!!!
比喩でなくマジで心臓捧げちゃってますよ!(神に!)
しかし、話を聞いてみると、どうやらアステカ文明は、ちょうど南アメリカ全体が
好戦的になっていた時代の国家だったんだそうな。まあ、それなら分からんでもない。
ずーっと血生臭いわけじゃなく、その時期が特に戦国時代だったから好戦的だったんだよね。
生まれた男子はすべからく良い戦士になるよう、厳しい訓練が課された、てあるし、
往事のスパルタやローマのようなものだと思えばいいのでしょうか。
歴史を見ても、アステカ帝国の母胎となった部族は、もともともっと北に暮らしてたのが、
寒冷化のせいでメキシコ盆地に南下してきた一派で、
すでにその辺りで栄えてた他の大帝国の周辺でいいように使われる辺境民族だったっぽいし。
良くありますよね、大帝国の周辺国が実力を付けて侵略してくるパターン。
マケドニアとか。ゲルマン民族とか、オスマン・トルコとか、モンゴルとか清とかさ。
まさしくアステカもあのパターンです。
なので、大帝国になってからも軍事色が強かったっぽいよ。


それにしてもこの本、アステカの神々がものすごいよく分かります。
さすがちゃんと研究なさっておられる方の本だぜ。神さまの名前の意味もちょこちょこ載ってて楽しい。
これまでは、アステカの世界は機械仕掛けの時計みたいなもんで、
人間の血液を定期的に与えないと動力が枯渇しちゃって動かなくなる、みたいな理解だったらしいんだけど、
筆者は、もっと循環型の世界観だったんじゃないかと思っているようです。
神々の血もまた生命力や作物として地上にもたらされるんです。
それによって人々も他の神々も潤い、巡りめぐって人間も神々に血を返すと。
神々の血をいただいて、人間の血をあげて、こう、生命力がぐるぐる世界を回ってるイメージ。
なんか、その方がいいですよね。
多分、欧米の研究者よりは地理の近い日本人の方が絶対古代アメリカ人の気持ちは分かるはずですよ…!
アメリカ大陸へ渡った人々は東北アジア出の筈だし!
桃太郎の出生に激似の神話とか、天の岩屋戸の話にくりそつな神話とかあって
大変にシンパシーを感じました。
ギリシャ神話と日本神話の類似はさすがに偶然かな、と思うけど、
南米だったら、ひょっとすると神話の源流は一緒かもしれませんよね。


田中啓文著『イルカは笑う』
ブラックなネタが多くて、買って読んだことを後悔した。
いや、そこまで嫌いでもないが、手元に残しておくほどのものでもないので
売ると思います。


フロスト日和 (創元推理文庫)

R・D・ウィングフィールド / 東京創元社

スコア:


ウィングフィールド著『フロスト日和』
面白かった!
1作目を読んでから大分間が空いたので、今回フロスト警部の相棒役になってる
若いウェブスター刑事、前回からの出演だとばかり思ってたら

初登場だった…!

相変わらず次々と起こってはどんどんと積み重なっていくフロスト担当の諸事件に
働いても働いても終わりの見えない一日のことですよ。
章のタイトルが最初の頃延々「火曜日―夜勤」で(「火曜日―夜勤」の次の章も
「火曜日―夜勤」その次も「火曜日―夜勤)
「あああ、夜勤が終わらねぇ~~!!」という気になりました。
こういう小さな事件が畳みかけるように同時に起こるのって、モジュラー型と言うそうで。
なので、フロストシリーズはモジュラー型警察小説。なのかしら。
で、作中上司やウェブスターさんからさんざん小汚いだのだらしないだの行き当たりばったりだの
下ネタ好きの親父だの、頭が悪いだのこき下ろされる主人公フロストですが、
この人、でも、すごい良い人なんですよ。人の痛みの分かる人というか。
決して奢ったり人を見下したりしないのよね。自分を過信しない。
なので、読み進む内このどうしようもないグダグダのおっさんにいつのまにか肩入れしてしまうという。
上司にいたらほんとうにたいへんだけど、わたしは好きだなあこの人。
おまけに、読み進むにつれ、あんなに錯綜していた事件の数々は、全て解決し、
全ての複線は回収されるんです。お見事!
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by mi-narai | 2015-10-04 01:56 | 2015年下半期の読書

『100分de名著 アラビアンナイト』 『ゴッサムの神々』 『鍋奉行犯科帳』

朝ドラ、まだ見てます。
ここ一月ほどのまっさんの安定のダメっぷり。
それはさておき、かもいのたいしょうです!
相変わらずでてくると漏れなくときめきます。
中の人は別段好きでも嫌いでもないんだけど、たいしょうは好きだ!


フーケ
小さい頃からずっと身近にあったのにこのたび倒産しちゃったのよ!!
悲しい…
ふつうに美味しいケーキ屋さんだったのですが。
甘さ控えめでお値段も控えめでけっこう好きだったのになあ…


エジプト展行きました。
相変わらず、最寄りの博物館はエジプト展が多いな!(喜
女王と女神を特集してあったけど、あれ、メトロポリタンが発掘したんが
ハトシェプスト女王関連の施設だったからなのね。
しかし、エジプトとか中国とか、メソポタミアなんかの展示を見に行くと時間感覚狂いますね!
前500年がまだ最近とか思っちゃうってどうよ。
日本じゃまだ歴史時代にもなってねえよ!
一緒に行ったお茶友達と、「ちょ、カバ!カバ女神…!!」
と、やたらカバに興奮してしまいました。


ヘルメスソース
大阪でヘルメスソースというソースを作っていることを発見してびっくりしました。
ホームページで製品をみたら、マジでラベルがケーリュケイオン!


『アラビアンナイト』 2013年11月 (100分 de 名著)

NHK出版

スコア:


薄い本シリーズで、『100分de名著 アラビアンナイト』西尾哲夫著
読了。
いや、アラビアンナイト回、テレビでも見たんですけど、解説をちゃんと読みたくって
テキストも買ったんですよ。N○Kさんに踊らされています。

面白いですよ。
アラビアンナイトの変遷の歴史から、内容から見る当時のイスラム世界の国際性とか、
ぺらい冊子なのに大事なところはきちんと抑えてある感じです。
作中の料理とか女性像とか全ての項目が楽しかった~!
中でも強く「そうだなあ」と思った事が三つあって、
一つ目は、アラビアンナイトと日本の読者についての指摘。
日本人、というかわたしにとってアラビアンナイトは
日常から最もかけ離れたエキゾチックなおとぎ話なんですが
地理的にも遠いし実際のアラブ世界を熟知しているわけでもないし、
その上日本に入ってきたアラビアンナイトはいったん西欧人の手で編集されたものなので
アラビアンナイトに対する理解が表層的なものにとどまっているんですよね。
そのことが後書きで指摘してあって、「そうなんだよなあ…」と思いました。
アラビアンナイトで創作する場合、個々のパーツだけ借りて
神髄は無視、みたいなことになっちゃうよなあ。別に面白けりゃそれでいいんだけどさ、
なんとなく、ごめんねアルフ・ライラ・ワ・ライラ、という気になってしまったもので。

二つ目は、アラビアンナイトにおいて良心とか、勧善懲悪とかは大して重要視されておらず、
相手との丁々発止の化かしあいなんかが拍手喝采を浴びる、て段が
いかにも民間説話の流れで良いよなあ、と思ったこと。
個人的に、清廉さとか、忠心といった武士的価値観より、どれだけ機転を利かせるかとか、
とんちが回るかとか、賢さと気っぷのよさで乗り切る商人的価値観の方が好きなもので。

三つ目は、物語の効用について。
物語には作者の意志とか意見とか伝えたいこととかなくていいねん。
読んでる人が勝手に好きなように解釈して勝手に開眼するから、という作者の意見に共感した。
つねづね、文学作品を読まない理由として、作者に対して
「なんかえらそうやな、お前に教えてもらわんでも大事なことは自分で考えるからええわい」、
と思ってしまっていたからという、ものごっつアホいあれなんですけどね。
哲学の場合は、誰かが「これはこうじゃないかな!!」と思ったことをストレートに言ってるのを
横で聞かせてもらってる感じで面白いんですけども。
いや、まあ、いわゆる食わず嫌い、なんだろうなあ。
文学を読む為のリテラシーをいつか身につけたいものです。
いやほんとに。


ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)

リンジー・フェイ / 東京創元社

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ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)

リンジー・フェイ / 東京創元社

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リンジー・フェイ著『ゴッサムの神々』(前)(後)
表紙の絵が気になってたところ、ちょうど古本屋でみつけたので買ってみた2冊(前後篇)。
「ニューヨーク最初の刑事の話」と帯とあらすじに乗ってたので、
ロンドンのボウ・ストリートの取り手とか、ヤードの話っぽいのを想像してたら

ニューヨークの刑事生活は遥かにサバイバルだった…!

ニューヨークって、他のアメリカの都市より、警察の設置が遅かったんですってね。
この頃、東海岸にはどんどんアイルランドから移民が雪崩れ込んでる時期で、
どこでも移民は安い労働力として搾り取られて極貧生活なんだけど、そのせいで
そのアイルランド人と黒人は先に住んでた白人たちにものすごい蔑まれてたりして、
アイルランド人と黒人の居住区は鬼のように治安も悪く、
その上、カトリックのアイルランド人たちとプロテスタントの他の白人たちの間に
誤解と偏見に基づく深い憎悪の応酬があったり、

いやー、この都市で生き抜くのって、大変だな~

と読者にしみじみ思わせるカオスっぷりですよ。
で、主人公は郊外で育ったアメリカ人なんだけど、
幼いころ火事で両親を亡くし、若干道を踏み外しかけてる豪快な兄ちゃんと家族二人
けなげに生き抜いてきて、好きな女の子もいたりして、
バーテンとして働きながら結婚資金溜めてたら、
今度は自分のアパート一帯が火事で焼けちゃって、タンス預金も全部パーで、
プロポーズどころか明日の生活の糧にも事欠く感じになっちゃって、
そんな時に放蕩兄貴の口利きで、新たに新設されたニューヨーク市警の巡査に採用される、
という、のっけから怒涛の前振りです。
最初は、思い出と現在とが混ざり合ったような書き口だったり、兄貴の描写が
とんでもなかったりで「しまった、これ、失敗したかな」と心配しましたが、
その巡査になった主人公が、血まみれの少女を拾った辺りから面白くなってきた!
そこから明るみに出る連続猟奇殺人、
その傍ら、主人公の片思いの娘さんとのあれこれや、
ダメ兄貴だとばかり思ってた兄貴との兄弟ならではのやりとりが挟まれたりし、
結局最後まで飽きずに読んでしまいました☆
いや、意外と面白かった。
バーテンダー時代に培った主人公の観察眼が遺憾なく発揮されるのは気持ち良かったし、
推理の行きついた先の犯人あての部分も、スピード感があって引き込まれました。
治安が悪くてごちゃごちゃしてるけど生命力に充ち溢れたこゆい世界とか、
アウトローな感じとか、ゴシックホラー的な猟奇殺人とか、
兄と弟の葛藤&和解といった人間ドラマがお好きな方にはおススメです。
主人公も理性的で素敵ですが、わたし、強烈な兄貴が結構好きかも。


禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源 (中公新書)

佐藤 彰一 / 中央公論新社

スコア:


佐藤彰一著『禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源』
これも修道士の生活が知りたくて読み始めたんだけど、そう言った事はまったく出てきませんでした…(どーん)
しかし、起源、と銘打ってあるだけあって、キリスト教が始まる前のギリシア・ローマ時代の結婚観とか、倫理観とか、
異教徒の信仰形態とか、ローマが崩壊していく様子とか、民族・歴史的な背景部分の説明が
ものすごく面白かった!!
ゲルマン人とか、今のフランスあたりにいたケルト人とかって、
キリスト教に改宗して聖人崇拝が始まる前は、
場所、とくに水場に対する信仰があったんだって!
ギリシャやエトルリアでも神殿に直してほしい患部奉納して怪我・病気の治癒を祈願したり、
完治祝いにまた神殿詣で行ったりしてたけど、
ゲルマン人かケルト人かどっちか忘れたけど、ローマの周辺部族は、そう言った奉納物を
泉とか池とか、水場に捧げたんだそうな。あと、硬貨を放り投げたり。

トレドの泉はここからか…!!

と目から鱗でした。
後、修道士たちの煩悩を切り捨てようと四苦八苦する様子が、なんちゅうか笑いを誘う…
(いや、本人たちものすごい真面目にやってるんですけどね)
極端すぎるだろ、とは思いますが、確かに性犯罪を考えると極端に走りたくなる気持ちは分かる。


鍋奉行犯科帳 (集英社文庫)

田中 啓文 / 集英社

スコア:


『鍋奉行犯科帳』
最初はたるいなぁと思いながら読んでましたが、登場人物に慣れてきたあたりから
面白くなってきました。
語り手は、若い兄ちゃんなんだけど、探偵役はその上司の型破りなお奉行様。
大食漢でデブでワガママ放題で困った人なんだけど、
食に関してはものすごい真摯なんですよ。(いや、奉行としてそれはどうか、とは思うけど)
そのほかにも、主人公周りの人々、芸者上がりの美人の母上とか、目端の利く手下とか、
主人公にやたら迫ってくる三味線の師匠とか、
逆に主人公が淡い思いを寄せている道場の娘さんとか、
レギュラーメンバーになじめばこちらのもの。
後、滅多になく江戸時代の大阪が舞台なので、そのあたりの風俗も面白い。
江戸は北町奉行所と南町奉行所があって、それとは別に火付け盗賊改めがいるけど、
大阪は西町奉行所と東町奉行所なんですね。
町人が強いから武士が割とないがしろにされがちな感じが、よく出てますよ。
あ、いつものダジャレなノリは健在ですが、エロとグロはないので安心してください。
思いの外ふつうに時代小説なので、こっちが拍子抜けするくらい。


道頓堀の大ダコ (集英社文庫)

田中 啓文 / 集英社

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『大鍋奉行犯科帳 道頓堀の大ダコ』
1巻目でメンバーになじんだ読者には、安定の続編。
お奉行様の個性が段々愛おしくなってきます。しかし良く食うな、この親父。
2巻目は、若干トリッキーな仕掛けとか、ネタで大幅にファンタジー感が倍増してますが
それでもそこそこ面白かったです。
明るい時代物を読みたい方におすすめ。
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by mi-narai | 2014-11-30 16:40 | 2014年下半期の読書

『エピジェネティクス』 『民話の世界』 『昔話のフォークロア』

好きだった某NH・Kの『妄想日本料理』って番組がまた始まったので先週から
楽しく見てるんですが、

…ちくしょう、こんな時間に放送するなよ、腹減った…


エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)

仲野 徹 / 岩波書店

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仲野徹著『エピジェネティクス』読了。
大した理由もなく、なんとなく本屋で表紙買いしましたが、
その後各所(新聞の日曜の書評とか)で薦められてて、
ちょっと自分の先見の明を褒めたくなった一冊。

結論から言えば、大変面白かった!

物語的な面白さではなく、。
去年重力の話を理解できたときみたいな

そうやったんか!!!

という驚きが、大変に心地よかったです。

えー、しかし、もう5回くらい言ってるような気がしますが、本当にわたくし文系脳でして
しかも高校の時生物取ってなかったし、第2章の「エビジェネティクスの分子基礎」の部分は
進みが超絶のろかった…。毎日それこそ30ページずつ位しか読めませんでした。
(著者は一般の読者向けにきわめて簡略化して書いてくださってるというのに!)
でも、ここを読みとばすと後々分からんようになるし、絶対理解せねば!!と決意して
頑張って読んだよ!久しぶりに理科の教科書開いてテスト前に詰め込んでる気になりました。
…ちょっと面白かった…(マゾか)。

おかげ様で、これまで聞いても何のことかさっぱり分からず、
ちんぷんかんぷんだった単語、
ヒストンテールとかコアクチベータとか
クロマチン繊維とか、リボゾームとか、メッセンジャーRNAとか、
プロモーター領域とか、メチル化がなんでそんなに頻繁に出てくるかとか、
そんなことが

やっと、やっと分かりました(ハレルヤ―)!!!

まさに「そうやったんか」。これで次からはもうちょっと理解しながら発生学分野のアレコレが
聞けます(その時までに忘れてなければな)。

とりあえず、ざっくり言えば、遺伝情報として受け継がれるのはDNAに書かれてるもののみで、
その遺伝子情報についての学問が、ジェネティクス(遺伝学)。
遺伝子情報そのものじゃなくて、その発現の仕方(どの部分をプッシュして、どの部分をスルーするか)に
関わる研究がエピジェネティクスの領域みたい。
著者の説明によると、とりあえず紙媒体の本があるとするじゃない、内容は今更書き変わらないんだけど
付箋を貼ったり、下線引いたり、上から塗りつぶしたりして読み手の印象を操作することは出来る。
本の内容が遺伝子だとすると、付箋を貼ったり塗りつぶしたりするのがエピジェネティクスなんだって。
付箋を取ったり、塗りつぶしを消したりできるのと一緒で、
変更不可能な遺伝子と違ってエピジェネティックな状態は変更可能なのだそう。
(具体的には、遺伝子が転写される時にヒストンや塩基の中のシトシンがアセチルやメチルで修飾されて
転写を抑制したり逆に活性化したりするのよ)
たとえば、妊娠中に母親が飢餓状態に陥ると、胎児は飢餓状態に備えて燃費のいい身体になるよう
プログラムされるらしいんだけど、このしくみもエピジェネティクスで説明できるらしい。
面白いなあ。
遺伝子が分かれば生命活動はほぼ全部分かると思われてたのに、
さらにその情報の発現の仕方、濃淡によって実際の状態は随分変わってくると分かって来て
(エピジェネティクスの発展は1990年代に大幅に伸びたそうなんで分かりだしたんつい最近です)
ますます複雑な迷路に迷い込んだ心地です。
けど、遺伝子の突然変異で発症した病気は直すのが困難だけど、
エピジェネティクス状態を改善すれば治る病気は、それより希望がもてそうじゃない?
更なる発展を望む!ていうか、今ものすごい熱い分野らしいから、わたしが望まなくても
勝手に発展するでしょうけども!

以下、雑感。

・実験で遺伝子の不活性化とか、ちょっとした変化を調べる時に使ってる方法が
今までもうさっぱりわかんなかったんだけど、
今回説明してもらってこれまたほんのちょっとだけ理解に近付きましたよ…!
シーケンサーが何かも分かった…!!

…ということを嬉しそうにお茶友達に言ったら、
「ああ、シーケンスって塩基配列のことですもんね(それを読むからシーケンサー)」
とあっさり言われ、
そうか、やっぱ理系の人には(お茶友達は生物化学畑出身の人)常識なんか、と
目から鱗が落ちる思いがしました。

・「ゲノム」という単語について。
本の最後のあたり、179ページにさらっと
「オーム(ome)とは、「すべて」とか「完全」を表すギリシャ語の接尾辞である。女王バチの発生に
関して、DNAメチル化の総体であるメチロームを例にとって紹介したように(以下略)」とあったんですが
ようやくここで鈍いわたしも気づきました。
ちょっとまって、メチル化の総体がメチロームってことは、じゃあ、ゲノムは……
遺伝子(gene)と上述のギリシャ語接尾辞omeで「genome」か!!!
鈍くて済みません。

・ラットの実験で、生まれてすぐ適切な世話をされた赤ん坊は、ストレス受容体のエピジェネティックな状態が
色々変化して(中略)、成体になってもストレスに強いままなんだそうな。
これって人間にも適応可なのかしら。
まあ、こんなのなくても赤ちゃんは可愛がられるべきですけども。


民話の世界 (講談社学術文庫)

松谷 みよ子 / 講談社

スコア:


松谷みよ子著『民話の世界』
半自叙伝的な、著者による民話についての話。
子供時代の思い出から民話との出会いなどを、各地の民話など織り交ぜながら書いていらっさいます。

すごいよー!!
すいすい読めるよーーー!!!


あー、楽。
それに、わたし、龍の子太郎もまえがみ太郎も大好きだったんですよ、
その二つの童話が出来た当時の話など読んでて燃えたぎりました。
著者は東京の生まれで(御両親は石川の方だったようですが)、小さい頃昔話を
してもらったことがなかったそう。ハイカラなお家の子だったようです。
それを読んで、「わたし、ハニーに昔話してもろたで!!」とちょっと得意になりました。いえー。
その後、戦時中に疎開した話とかあって、その時滞在した信州の風景が根っこにあって、
長じて民話収集の道へ進むことになったらしいのですが、
また松谷みよ子さんの語り口が巧みなものだから、
著者が感じた民話への興味とか興奮とかがこちらにも伝わってきて、
あの、『日常のすぐ隣りに異界があったことに今やっと気づいた!うっわ、すっごい!』みたいな
ときめきに感染し、思わず民話全集とか借りて読みそうになりました。読みませんが。
こういった民話って、日本だともちろん日本特有の諸々の素材で成り立ってるんだけど、これがギリシャだと
ギリシャ神話関連の逸話がきっといっぱいあるんだろうなあ(今は正教会関連の方が多いか?)。
きちんと系統だって考えるには、あまりにも玉石混交すぎて
どれをどうより分けるとか、比較研究とか鬼のようにしまくらないといけないだろうけどな。
萌えに到達するまでが長すぎて到底自らチャレンジしようとは思えませんが、
きっとバイタリティあふれる全国の同志たちが頑張ってくれるだろうから
わたしはその成果を待ちます(他力本願)
しかし、大変さを少しでも想像すると、
それをマジでやってたレヴィ=ストロース先生の偉大さを痛感するなあ。

閑話休題。みよ子先生はまず信州の民話を収集なさったわけですが、信州の辺りって
洪水の記憶が物語に散見されるんですってね。昔から川の氾濫や山崩れの多い土地だったようで、
そうすると竜とか蛇とか、水と関係する登場人物がたくさん出てくるハナシが多くなるみたい。
自分の住まっておる地域はむしろ雨が降らなくて鬼のようにため池がある土地なので
そうするとどんな民話が多いのかな、と、郷土に対する興味も湧いてきました。


空襲警報 (ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス)

コニー・ウィリス / 早川書房

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コニー・ウィリス著『空襲警報』
この人の前回読んだ、史学科の学生が過去に実習としてタイムスリップする話
(『ドゥームズデイ・ブック』)が好きで買ったんだけど、
この一冊にはところどころあんまり好みじゃない話が交じってました。
後、ちょっと読みづらい。訳か?訳があかんのか??
本人がホラーのつもりで書いた短編が後味悪いだけでまったく怖くなかったりね。
日本人の描写があんまりなげやりだったりね(まぁ、これはしゃーないけど。
ていうか、あんなどうでもいいような小道具として出すくらいなら日本人を出さんといてくれ。
後東京の地下鉄をdisるのはやめろ。)

あとがきを読むと、初期のシリアスな短編を集めたものらしく、
長編でコメディSFもあるらしいので、そっちに期待することにしました。


昔話のコスモロジー―ひとと動物との婚姻譚 (講談社学術文庫)

小沢 俊夫 / 講談社

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小澤俊夫著『昔話のコスモロジー』
これまた、「あれ?読んだっけ?読んでなかったっけ?」と訝りながら読み始めましたが、
大丈夫!読んだことないやつでした。良かったー!
グリム兄弟とか、マックス・リュティとか、アールネ・トムソンとか聞くと落ち着く。

この本では主に、昔話の中でも、異類婚姻譚について比較考察されており、
それがなかなか面白かった。
常々日本の昔話の場合動物の正体は動物だよなと思ってましたが
(西欧の場合は、魔法を掛けられて人間が動物になってるのであって、
正体はあくまで人間だったりするじゃない)
そんなようなことがもっと踏み込んで書いてありました。
広くアジア(それも中国のような高文明社会でなく、もっと辺境地)やオセアニアでは、
人間と動物の垣根が低いというか、動物VS人間というより、人間も動物の中の一種と見ているというか。
日本は、動物は動物主体であるのは他のアジア諸国と変わらないけど、
人間との婚姻となると拒否反応が激しいのだそうで。
確かに、正体がばれたら、去るんだよな。動物の嫁さんは。
信仰形態の変化もあろうけど(もともと信仰の対象であった動物が、仏教の伝来やら他の要素もあって
時代が下ってそうでもなくなった。
結婚は自分と同等もしくは格上のもの(たとえば神)とかとだと出来るけど、格下とは出来んってことよね。世知辛い)
人口密度の問題とか、日本人の大多数が牧畜や狩猟民ではなく、農耕民族だったというところも理由の一つじゃないかなあ。
周りが人間ばっかりで、人間社会にどっぷりつかっとったら、
いくら昔話でも「動物と結婚?いやいや待て待てないやろそりゃ」と土壇場で我に返るかもしらん。
これが荒野の一軒家にぽつんと住んでたりしたらまた変わるかも知れないじゃない。
ワタリガラスファンの私としては、北東アジアの、動物と人間の行き来が可能というか、
ほぼ等価値の世界観が好きだなあ。
西欧はキリスト教の影響が激しすぎますが、結婚してハッピーエンドとか、素朴な勧善懲悪系が多くて
あれはあれで好きです。
(後、キリスト教の影響を被る前は、他の地域と似たような、もっと動物と人間の位置が近い世界観を
持ってたんかもしれんな、とも思った)
日本のは、別れの余韻を味わうような、奥さんが去って行っちゃって終わり、みたいな話が多くて
そんなん寂しいやん…。
いやまあ、どこにドラマの主題を置くかの問題なんだけどさ。
著者の、日本の昔話における異類婚姻譚は、自然界と人間との関わり方に主眼を置いてて、
西洋のそれは人間同士のドラマに主眼を置いてる、西欧において自然界と人間との関わりを語るのは
昔話でなく伝説の役目、という考察も興味深かったです。
日本の場合島国だし、その昔は村社会だったし、
他所からの侵入に、昔話の担い手たちは大変に敏感だったのだそうで。
来訪神とかまれびととかその辺りとも関わってきそうな話ですね。


アンドレ・ヨレス著
『メールヒェンの起源』
聖人伝のあたり(まだ1章です)で挫折しかけ。
だいぶ昔の人だし構造主義蔓延より前の話だし仕方ないっちゃ仕方ないけど
著者がキリスト教が好き過ぎて読んでてつらい…・
ちょっと、他に読みたい本が出てきたので一時棚上げを決意。また後でな~。


修道院にみるヨーロッパの心 (世界史リブレット)

朝倉 文市 / 山川出版社

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朝倉文市著『修道院に見るヨーロッパの心』
山川世界史リブレットのぺらいやつ。
具体的な修道士の生活が知りたかったんだけども、
修道院の成り立ちの方に主眼が置かれてて肩すかし…。
でもまあ、シトー派の日課と修道院平面図なんかが載ってたのは嬉しかったです。
後、やっぱどこも組織になると上の方は腐るもんやなと。
そういう腐敗に対抗して内部から清貧に立ち戻ろうとする動きが出てくるのは面白い。
せやけど、櫛も持ち込み厳禁て、髪くらい梳かそうよ…(不潔に見えるやん…)。





映画
『るろうに剣心 京都大火篇』
第1作を見に行ったので、同じ人とネタとして見にいきました。
相変わらず、アクションはすばらしい…!
後、伊勢谷ゆうすけがかっこいい。
かみきりゅうのすけくんがそれっぽい。
しかし、話をいろいろ端折ったりしたせいで、しのもりあおしがただのおかしな人になってるな。
前回、全視聴者を脱力させた江口斉藤の牙突が今回はでてなくて、そこに一番ほっとしました。
斉藤さんは美しいイメージのままそっとして置いて欲しい…
(なんでえぐち…)

『るろうに剣心 伝説の最後編』
だいたい楽しみましたが、ところどころツッコミ所が。
伊勢谷はかっこ良かったです…けど、…。
アクションは相変わらず素晴らしかったです。
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by mi-narai | 2014-10-19 00:06 | 2014年下半期の読書

『出雲神話の誕生』 『三人目の幽霊』 『英国人一家、ますます日本を食べる』

出雲神話の誕生 (講談社学術文庫)

鳥越 憲三郎 / 講談社

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鳥越憲三郎著『出雲神話の誕生』
今半分ほどまで読んだところです。
いちいち、説の典拠をしめして丁寧に丁寧に説明なさるので、
読むたびに寝落ちしますが、それでも!面白いですよ!!
そもそも、民間に広く流布してる大和VS出雲の図式がまず間違いじゃね?
みたいな著者の主張ですよ。だって、出雲、どう考えてもそんなに勢力強くないもん、みたいな。
(「出雲より、山陽側の吉備の方がよっぽど地域力高いやん」By憲三郎)

…どうです、ちょっと面白そうでしょ。

まず、古代の出雲にどんな豪族が住んでてどこが発展してたかを
古墳の分布とか、出雲風土記とか、古事記、日本書紀、その他文献資料から推察し、
その次に古事記と日本書紀成立時に携わった人員を割り出し、
もともと栄えてたのとは違う地域の神話が何故に採用されたかを推理してます。
日本史も浅い知識しかないからこれが正しいのかとんでもの類なのかは分からんが、
歴史的な事柄から古事記における出雲神話があんなことになっちゃった経緯を考えるのは
超楽しいです!
この方、文化人類学が専門らしいのに、妙に歴史寄りだよなあ。素敵です。
この方に寄ると、出雲の首長たち、自分たちがもともと信仰してたのとは全く違う神話を
「出雲の神話です」って国家神話(記紀)に乗せられちゃって大層びっくりしたけど、
そこはそれ中央にすり寄って地域の発展につなげてやれと、乗っかっちゃうんですよね。
この辺り、ありそうで笑っちゃった。こういう政治のドロドロ、見てる分には大好きです!

今から神話の内容に踏み込んだ話になるみたいなので、
寝落ちに負けずに頑張って最後まで読み通そうと思います!



数日後、やはり3回ほど本気で寝落ちしながらも、最後まで読みました!
いや、面白いんだけどね。なんで眠くなっちゃうのかしら…。
後半はオオクニヌシとか、ヤマタノオロチとか、スサノオについて、もうちょっと踏み込んだ感じの内容です。
地元で信じられていたもとの形をまず推測し、それがどういう政治的意図で古事記、日本書紀、
みたいな形になっちゃったのかを説明しています。
三貴神についての推察は、大林先生の本で東南アジアあたりでも3人セットのとこがあったと
書いてあったような気がするから
絶対「日月+1」だとは言い切れないとは思うけど、
オオクニヌシの婚姻のあたりの、それぞれバラバラに祭られてた二柱の神の間に
どんな感じで婚姻関係が結ばれるのか、みたいな考察があって、それはちょっと面白かったです。
ギリシャ神話でも、こんな感じで本来ばらばらだった各神の間に、信仰形態の変遷によって
付随して神話上も婚姻関係が結ばれたりしたんだろうなと。
もともとセット崇拝てパターンもそらあったろうけど。
政治的に支配範囲が広がったり、交流範囲が広くなったりして、
とある部族が他の神を信奉している他の部族の人々と出会って
どんどん信仰している神が習合したり婚姻関係が結ばれて、
その結果時代が下るほど神話形態が複雑になるわけだから、逆に考えれば
元の形はシンプルなわけだよな。そら。


たんぽぽ娘 (奇想コレクション)

ロバート・F・ヤング / 河出書房新社

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『たんぽぽ娘』
ちょっと飽きてきた


三人目の幽霊 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉崇著『三人目の幽霊』
何故か最初の話で短編なのに読み終わるまでに6回ほど寝そうになりました。
でも2話目からは普通に読み進められる…。なぜ?
後、2話目に入ってようやく主人公が女の子だと気づいた…!
(若い男の子だとばかり思ってました)
落語ものとしては、『ハナシがちがう』シリーズの方が好きですが、
推理物としてはこちらの方がテンプレです。
いや、落語ものとしても十分面白いですヨ。
落語雑誌の編集部にこの春入部した主人公が、
落語関連の事件に巻き込まれ、この道何十年の上司が解決する話。
(探偵役は毎回上司の牧さん)
とりあえず、二冊目を読みます。


七度狐 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉崇著『七度狐』読了。
これまた読み終わるまでに10回は寝落ちしましたが、
中盤の殺人が始まった辺りから面白くなってきました。
孤立した集落に、古い村、排他的な村人、一族の因習、見たて殺人、などなど
本格ミステリーのお約束がこれでもかというくらいに詰め込まれてます。
この方、堅実な書き方をされる方だなという印象があるんですが、
裏返せば割と淡々としてて悪目立ちはしない、ということでもある。
なので、序盤はつい眠くなってしまうのですが、
主人公の女の子が事件に巻き込まれてよう分からんうちに周りで次々人が死に
危険な立ち位置に立たされて、読者がハラハラさせられるあたりから
ようやく眠らずに読めるように。
落語のネタが無理なく組み入れられてて、それも面白い。
落語の大名人、古秋一門の名取をめぐる争いと過去の因襲にまつわる殺人も、
最後に探偵役たる主人公の上司・牧がヘリで到達した辺りで収束し、
事件は解決するわけですが、…終わり方がキモ素敵でした。
ここまでコテコテに古典推理物を踏襲したんだったら最後もああでなくてはな。
寝落ちを繰り返した割に満足しました。


英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)

マイケル・ブース / 亜紀書房

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『英国人一家、ますます日本を食べる』マイケル・ブース著
二匹目のドジョウを狙った続編、ちゅうか、ページ数の関係で1冊目に入らなかった分をまとめたもの。

エッセイ集な上に、親子4人の珍道中で、著者のおっさんも皮肉の利いた英国人なので
今回もニヤニヤしながら読んでしまいました。
牛のマッサージの回が特に。
しかし、やはり自分の住まっておる地域に近い場所とか、一度行ったことのある場所について
書かれると、惹きこまれ度が違いますね。ああ、あれなー、と深く納得するというか。
知らない場所については、それはそれで外国のことみたいで面白いですが。
全く固い本ではないので、二日もかからず読み終えてしまいました。
とりあえず、最後の、日本食と歴史が密接につながっている、という話にはときめいた。
後、伝統的食材・調味料が先細って消えてしまうのは嫌なので、一消費者として
そちらを優先的に購入しよう、と思いました。
というわけで、わたしはビールやワインよりも日本酒を買うぜ…!(前と変わらんがな)
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by mi-narai | 2014-06-22 11:34 | 2014年上半期の読書

『こんにちは、昔話です』『ルポ 貧困大国アメリカ』『時が新しかったころ』

こんにちは、昔話です (小澤俊夫の昔話講座―入門編)

小澤 俊夫 / 小澤昔ばなし研究所

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小澤俊夫著『こんにちは、昔話です』読了。
久々に地域の図書館に行ったのでつい借りちゃいました。
昔話入門編です。
この著者、1930年生まれなので、もうおじいちゃんで、
グリム童話あたりから民間伝承の研究世界に踏み入り、
アアルネ・トンプソンの分類とか、日本昔話の収集とか
長年この道で研究を重ねてきた重鎮なんだけど、
その方が敢えて一般の方向けに、昔話の魅力の普及のために、
子供に読んで聞かせる時にきちんと分かっていてほしいことなどを
分かりやすく説いて回っていらっしゃるんです。
そういった講演内容を書面に起こした感じの本作です。

えーっと。
先生、昨今のなんでもかんでも「残酷だから」、とおとぎ話を改編する風潮に
たいへん怒っていらっしゃいますよ。
ポコポコしてるおじいちゃんを想像すると大変にかわいらしい。
しかし、本読んでると、先生のご意見はもっともだなと。
流石に、きちんと昔話を研究対象として熟知しておられる先生です。
その理由を読んで、変に改変したらあかんなという気になりました。
残酷なシーンは残酷なままでいいんです。
(どうせ子供はそこは気にとめない)
しかし、「昔話は残酷なシーンも淡々と描くのであまりそう感じない」って、
わたし、イーリアスでも同じように思ったなあ…。
やはり語り物の特徴なのかな。
あんまり詳細に語りすぎると聞き手の想像の余地を奪うというか。
書かれた書物(それも娯楽もの)の場合詳細な方が良いと思うんだけど
耳から入る物語の場合は、相手が想像しやすいように、また聞き取れる程度の長さに
そこそこざっくり語る、というのも重要なのだなあ、と。
大変示唆に富んだご指摘でございました。

ちなみに、昔話と伝説の差異は、
登場人物の素性、場所、時間が特定してあるかどうからしいのですが
(ほら話であることを語り手も聞き手も知っているのが昔話、
一応本当にあった話ですよ、歴史ですよ、という体で語られるのが伝説)
この何も特定しない昔話の世界に、オデュッセウスという個性を放り込んだのが
『オデュッセイア』における航海譚だとわたくしだいたい思ってるので
その辺に絡めても、楽しく読めました。


「伝説」はなぜ生まれたか

小松 和彦 / 角川学芸出版

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小松和彦著『「伝説」はなぜ生まれたか』
これまた図書館本。
小松先生はいろいろ書いていらっしゃるなあ。
各所で書いた論文を寄せ集めた一冊です。

どの論文も楽しく読みましたが、
一番心に残ったのは

レヴィ=ストロース先生がいかに偉大か

だったという…。
各地に残る雑多な伝承の全てを渉猟し、分類するのってそらまあ気が遠くなる作業だよなあ。


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

堤 未果 / 岩波書店

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『ルポ 貧困大国アメリカ』
妹が、どうしても読め、恐怖で涼しくなるから、と強く推すので
図書館で借りてみました。

アメリカ、怖すぎる…!!(ガクブル)

市場の自由を優先し、企業優遇策をまい進しすぎたせいで、
医療や福祉の現場まで効率主義に陥り、格差が広がり、
貧乏人はどう頑張っても一生貧乏で這い上がる手段さえなく、
一握りの金持ちだけがその他大勢の食うや食わずで必死で生きている人々の上に君臨し
甘い汁を吸ってる、しかもその枠組みがどうやっても壊せない、という
悪夢のような世界が広がっとります。
ブッシュ政権が財政悪化を理由にかじを切り過ぎたせいらしい。
その時のブッシュの政策が、いまのABっちの政策に瓜二つで
心底わたしを震撼たらしめた。
怖い…!!こんな理不尽な世の中に日本までなっちゃったらどうしよう!!!
一握りの金持ちしか幸せになれない国なんて、国としてどうなのよ!!
革命前のフランスか!?そんな国に国としての意味なんかあるのか!??
そもそもその方が人として暮らしやすいから国を形作るんじゃないの!?
一晩盲腸の手術で入院しただけで120万請求され、
大学に行ったら奨学金の返済をこれまた1000万ほど要求され、
貧困から逃れようと思ったら唯一の手段が軍への入隊で、
かといって入隊前に約束した金は支払われず、
すぐに前線に送られて、怪我して帰って来ても見捨てられ挙句ホームレスとか…

ひどすぎる。

なんやろう。行政範囲が広すぎると色々目が行きとどかんとか、そういうのもあるんやろうか。
(国土が広い国って、なんか、そんなんが多そうじゃない。)
これを打開するにはどうしたらいいの??
民主主義国の場合、名目上貧乏人だって参政権を持っているはずだから、
そこで見極めてマシなとこに投票するしかないのか?
しかし、どれも期待できなさそうな候補しかいなかったらどうすれば。
候補者を立てて選挙運動をするところからスタートなの?
気が遠くなりそう…(結局その局面でも金がものを言うんだろうし)
とりあえず、仕組みを知るということが大事だと思うので、
適当にうわべだけ見とったらいかんのだなあと、しみじみ思いました。


まず、ママが幸せに―産んで育てて、ニッポン・イギリス・フランス

薗部 容子 / 日本機関紙出版センター

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薗部 容子著『まず、ママが幸せに』
妹が強硬に読めと進めてくるので読みました。
日本、イギリス、フランスでそれぞれ一人ずつ出産したお母さんの
体験記、みたいな本。世の頑張り過ぎなお母さんに
「そんなに気真面目に思いつめなくても大丈夫だよ」と
諭すのが目的で書かれたものだと思うんだけど、
出産における各国の文化比較、みたいな感じになってて面白い。
並べると、日本人は真面目だよなあ。
とりあえず、少しでも赤ちゃんにとって危険ならやめておこう、とか、
こうあるべき、という規範が強いんですよね。
わたしはそういう細かいところに目が届くきっちりした日本人が大好きですが、
まあ、確かに、そうするように毎日強制されたら母親はノイローゼ気味にもなるわな。
西洋文化の大雑把さを見て、妹も、適当でも大丈夫、と勇気をもらったらしい
何が幸いするか分かりません。
なにより著者はどこが悪いとか良いとかは言わずに、単に違いを楽しんでる感じなので
そういった部分は大変好感が持てます。
後、パリでの色々がおかしくって、電車の中でニヤニヤしてしまいました。
パリの出産事情、オモロすぎる…。
後、みんながバカンスに情熱をかけ過ぎる(笑)。


獅子真鍮の虫 (永見緋太郎の事件簿) (創元クライム・クラブ)

田中 啓文 / 東京創元社

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田中啓文著『真鍮の虫』読了。
ミステリー、ジャズサックス奏者永見緋太朗シリーズ。
この作者にしては、ダジャレもエロもグロも出てこない、非常に爽やかなシリーズです。
でもって、ミステリーなのに、ジャズ話の方が熱いというこれまたいつもの仕様です。
いや、でも、日常でそうそう人生を揺るがすような謎なんてないしな、
このシリーズの、日常のちょっとしたひっかかりを
「ああ、あれ、ああいうこととちゃうの」ってさらっと説明して
「あー、なるほどなー」って納得して、生活を続ける感じが好き。
今回は、唐島さん(語り手)と永見がアメリカにジャズ旅行に行ったり
なかなか楽しいシチュエーションがあり、
途中永見のサックスが認められたり、唐島さんがトランペットのことで悩んだり、
盛りだくさんでした。
ミステリーでなく、ジャズの話にどんどん詳しくなっていくという…
いや、普通に面白かったですよ。


植物は人類最強の相棒である (PHP新書)

田中 修 / PHP研究所

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田中修著『植物は人類最強の相棒である』
またも職場の上司にただでもらったので。
ありがとうございますありがとうございます!!
本を下さる時、わたしともう一人同室の同僚の分2冊渡されたのですが、
にこにこしながら
「Mさん(同僚の名前)に、この本な、買うてでも欲しいか、て聞いてみて。
でな、欲しい、て言わはったら、ほな買うて、て伝えといて」
などというお茶目をかまされました。

あああああもおおおおおうう!!!
かわゆらし過ぎるじゃろ!!!


口から何か出るか思たわ畜生め。
毎回普段通りのおだやか~な口調で冗談を仰るので
一瞬キョトンとしてしまうのですよね、
最近徐々に慣れてきたぞ!

で、本の内容ですが、田中先生の御本もこれで何冊目でしょうか、
本によっては花、雑草、果物に特化して、その紹介をしてあるようなのも
あるんですが、これは割と研究寄りで(もちろんものすごく噛み砕いてありますよ)
面白いです。難しい箇所に差し掛かると寝そうになりますが。
毎回、葉っぱが緑に見える理由を聞かされて狐につままれたような気に…。
海の底の方にある海藻が赤いのは、緑色の光を吸収するためなんですよ!!
海の上の方の緑色の回想は赤色や青色の光を吸収してんですって。
ていうか、光をエネルギーに変換できる、というのが、よくよく考えるとすごいよね。
後、植物の生態意外に、最古の栽培植物は何かとか、
現在の農業の色々な工夫とか
そんな色々が分かりやすく書いてあって楽しいですよ。
分かりやすいのは、田中先生は農学博士なので、生化学的なミクロの話はあまりなさらないから
てのもあるかも知らんなあ。
ところで、作中に、江戸時代から伝えられる花や果物の名所で
「梅は岡本、桜は吉野、蜜柑紀の国、栗丹波」
ってのが出てくるんです。
岡本以外は今も健在ですね!
これからも名所の伝統を引き継いで後世に残していきたいものだと思いました。


時が新しかったころ (創元SF文庫)

ロバート・F・ヤング / 東京創元社

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ロバート・F・ヤング著『時が新しかったころ』読了。
本屋で売ってるの見て、恐竜、タイムトラベル、ロマンティックSFの3つのキーワードだけを頼りに
レジへ持ってった一冊。
早速読んでみました。
これが、思いの外、面白かったのよ…!!
真ん中辺はちょっとだれて、数回寝そうになりましたが、半分過ぎたあたりで
また面白くなってきて、その後はあっという間に読み切りました。
いや、なんか複雑な筋も、残酷なシーンも、どんでん返しも、目を引くような展開は一つもないのに、
それでも読んでてすごく楽しかったです。
ものすごい健全な話というか。
古き良きアメリカの良心、みたいな感じの話というか(分かりにくい)。
お人好しな大人が、困ってる二人の賢い子供を何の打算もなく助ける話なんですよね。
強くなければ生きていけないけど、優しくなければそもそも生きていく資格がないって、至極名言だわ。
レイモンド・チャンドラー、ええこと言うた!
最後は、展開読めた瞬間、またしたも、頼むから読んだとおりに展開してくれと、
ものすごい祈りましたもの。
ああ、幸せな読書時間じゃった。
読み終わってほのぼのしました。


神話の系譜―日本神話の源流をさぐる (講談社学術文庫)

大林 太良 / 講談社

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大林太良著『神話の系譜』
読了。
古本屋で「あれ?これって買ったっけ?」と訝りつつ、
「いや、読んだのは吉田本だったはず」と心に唱えながら購入した一冊。
既読本だったらどうしようとドキドキしながら読み始めました。

大丈夫!読んでない本でした(良かったー!)

当にタイトル通りの本。
短い論文がたくさん載ってる感じの一冊で、あらゆる方向・部分から
日本神話と周辺の神話を比較し、機能を分析しようと試みられています。
面白かった!
だいぶ昔の本ですし、王権神話は北方系、その下の国生み神話とかベース部分は南方系ってのも、
大体他の本で読んでましたが、分かって読むと二度美味しいので文句は全くありません。
大林先生は晩年のスケールのでかい試みの方が印象深いけど、この頃は日本神話にものすごい
興味がおありだったのだなあ、と感慨深いです。
あまりに沢山の項目があり過ぎていちいちについて書くと長くなるので割愛しますが、
東南アジアの神話の神々の名前とかがいっぱい出てくるのがすごい楽しかった。
印欧語族とも日本語とも違う音の感じがいいよね!
後、デュメジルの三機能構造について。
デュメジルさんは「とりあえず印欧語族の神話に置いて神々の機能が三つのタイプに分かれるよなあ」、と
仰ってるわけですが、
吉田先生は、「日本神話もその三タイプに適応できるっスよ!」と手を上げてて、
この大林本では、「イラン辺りのその三機能に分化した神々の神話が北方騎馬民族を通じて
日本にも入って来たんじゃね?」みたいに書いてあったんだけど、
それもあるかもしれんが、
ちょっと思ったんですよ。
もともと人のいたところに後から好戦的な一派が侵入してきた時って、
ちょうどこの三機能分類みたいな状態に落ち着きやすいんじゃないかって。
権力と武力はもちろん侵入者の神々が担うとして、残りの富をつかさどる神とかは、
被支配民のものを残しといてもいいかな、みたいな。
被支配民にも勢力範囲の大きい神々はいたはずだし、それを消しさることは出来んが
権力(とか神界での主の座)・武力関係は担わせられんから、第三の富の部分しか残ってないっちゅうか。
日本神話じゃ、まさに北方系のアマテラス、タケミカズチ、なんかが第一第二の支配者側の機能保持神で
出雲系オオクニヌシとかが第三の豊穣・富を司る神じゃない。
ギリシャ・ローマ神話や日本神話にはそれが顕著だけど、
侵略を受けてない土地とか(そんなところあるのか?)受けたけど昔過ぎてもう曖昧になっちゃってるとか、
そういうところはさほど三機能の分化が明確じゃなかったりしそう。
知らんけど。

とりあえず、最後まで読み終えて、解説がこれまた好きな田中克己先生で、
もう最初から最後まで美味しい一冊でした。ごち。
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by mi-narai | 2014-05-06 21:30 | 2014年上半期の読書

『アキレウスの歌』 『福の神と貧乏神』 『人類拡散の歴史』


マデリン・ミラー著『アキレウスの歌』
読了。
最後は駆け足で。
大体がこの本、『イーリアス』に忠実に書いてあるのでその通りの出来事が順を追って起こります。
(あくまでもパトロクロス視点で)
これまた、よく読んで知ってる場面ばかりなので、そうなんだよなあといちいち納得しながら読む感じ。
結局ヘクトール兄さんは最後まで遠い人でちょっと寂しかったですが、
アカイア方の人間から見たらそりゃそんなもんか。
パトロクロス亡き後のアキレウスのアレっぷりも原作どおりでしたよ。
原作読んだ時に感じたようなことを再び感じました。
おそらく、ここで吐かれるブリセイスの言葉は大半の読者の心の声w
でも、『イーリアス』のアキレウスの嘆きのセリフ
「君は、君だけは生き残って父上や息子に俺の活躍を伝えてくれると思っていたのに」
とか
「もう二人だけで、少し離れた場所に座って、額を寄せて話をすることもないんだな」
を思いだして、じんわりはしました。上記の二つのセリフ、好きなんだよなあ…。

いやしかし。
それよりなにより、終盤もっとも何度も心に思ったことといえば

ネオプトレモス腹たつわー

です。
身の程知らずな若造ですよ。
テティスに育てられて人間らしさが少ないというかね。教育は大切ですよね。
現代社会なら確実に「この人、サイコパスです」と診断されちゃいそうな酷薄さです。
別にわたくし、もともとオレステス派だし、ネオプトレモスが悪しざまに描かれている点には
全く不満はないのですが、終盤になるともうすっかりパトロクロスに共感しまくっちゃってて
パトロクロスがネオプトレモスに感じている反感とか怒りがそのまま移っちゃってさ。
ほんまあいつ、教育的往復ビンタでも食らわさんと気がすまんで!くらいに腹を立てていたので
奴の末路には溜飲が下がりました。
あいつの死にざまバラエティ豊富だからな!どれでも好きなのをお選びなさーい☆
後、最後のオデュッセウスの台詞には、不意をつかれたよ畜生めが!最後の最後にありがとう!

しかし、結局最後までこの作者の書きっぷりには割と共感するなあと思ってたのですが、
考えたら、きちんと原作に対するリスペクトが感じられるのが、好印象だったのかもしれません。
ものすごい読みやすかったです。
ホメロス信者ですみません。信者ゆえ、ホメロスの比重が高い方がわたしは読みやすいんじゃよ。
おまけに、あとがき読んだら作品に対する姿勢にもわたし共感出来ちゃいました。
つねづね、(他の人がどのエピソードをチョイスしてもそれは全然かまわないんですよ、
これは自分に関して、だけなんだけども)現存する文書資料のうち一番古いのがホメロスなんだから、
他のは全部大体後世の付け足しとかやん。同じ場面で違うエピソードが使用されてる場合
ホメロスの方が信憑性が高いというか、オリジナル性が高いよなと。
(まあ、わたし、ホメロスファンでもあるし、そもそもサイトがホメロス中心サイトなんで
そりゃ他の伝承とかぶった場合相当の萌がない限りホメロスの方に従いますけども。)
この著者もそんなようなことを書いていて、他の伝承でこう伝わってるけど
ホメロスではこうなんで、そっちを採用したよ、とかあって、

分かるわー!!


と強烈に思ってしまったのでありました。

あー、ディオメデスの話とか書いてくれんかな。
(この方のディオメデスが超かっこよかったので♪)


福の神と貧乏神 (ちくま文庫)

小松 和彦 / 筑摩書房

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小松和彦著『福の神と貧乏神』読了。
日本の福神についてまとめた小著ですが、なかなか面白いです。
そもそもの、一番初めの、「福」という言葉の説明が面白かった!
ので、メモっときます。
日本語の幸せ(しあわせ)って、もともと「仕合わせ」とも表記されていたように、
物事が一致すること、巡り合わせ、そのものを示す言葉で、その巡り合わせが
良いか悪いかは関係なかったと。
おみくじの仕合わせよし、仕合わせわろし、なんかはその古い使用例だそうで。
それが、いつのまにか、「しあわせ」が、良い方の巡り合わせの事飲みを指すようになったんですって。
しかも、その結果としての幸福は個人の努力の結果ではなく、
巡り合わせが良かった=運が良かった、という風に
外部の力でそうなった、という意味合いが強かったらしい。
仕合わせが、幸せと表記されるようになったのは、幸い(さいわい)、と同義の言葉と考えられたから。
幸い、は古くは「さきわい」、と言って、花が咲くの、「さく」とか、
栄える、とか、盛り、とかの「さか」という語幹と、
にぎわい、とか、わざわい、とか、辺りに這うように広がることを示す「わい」という言葉がくっついたもので、
栄えが広がるの意。なんだって、へー。
そういえば、わたしの好きな小説、チャールズ・デ・リンドの『ジャッキー、巨人を退治する』で、
妖精たちのことを「さきわいの民」と表現してあったけど、
幸せな人々ってことだったのかー、と、今更納得しました。

幸いの説明はともかく、貧乏神のビジュアルとか性質の変遷とか、
福の神がどうやって人々に福をもたらすかとか、
民間伝承における発現の仕方とか
(以外と福の神は薄情というか、貧乏人を富ませてはくれない。すでに金持ってる家にやってきて騒ぐだけ)
そんなのが面白かったです。


レストア: オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿 (光文社文庫)

太田 忠司 / 光文社

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太田忠司著『レストア』読了。
オルゴール修復師が探偵役の珍しい推理物。
借りたので読みました。
今回はオカルトは無しだった。(まずそこかい!)
この主人公、仮性じゃなく、本気で深刻な鬱をわずらってて、
あんまり人とはかかわり合いたくないんですが、謎が気になって結局関わってしまうんですよね。
ミステリー部分は主人公のなんとか社会でやっていこうというあがきの中の一環みたいな位置づけて、
なかなか面白かったです。
主人公がすぐにくじけそうになるので、読者はいらんとこでハラハラさせられ、
その分あんまりスカッとはしませんが。


人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る (サイエンス・パレット)

Bernard Wood / 丸善出版

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『人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る 』読了。
面白いよ。まずは学問としての成り立ちから説明してあります。
人類についての学問にはこういう歴史があって、
人間の進化と拡散というのはこういう流れで研究されてきて、
この分野とこの分野とそのほかにもこの分野の学問から成果を
抽出して総合的に判断するんだよとか、割と丁寧に書いてありました。
やっぱ。近年の分子遺伝学の発達でだいぶ解明が進んだらしいね。
欧米と日本の自然人類学における系統分類の呼び名が違うので、
訳者の方が苦心されていましたが、分かりやすかったですよ。
学者の中にも、なるべく細かく分類したい人と大まかにまとめてしまいたい人と二種類居るのだな、とか、
ヨーロッパ中心主義がまかりとおっていたのだなとか。
本筋以外のところにもふーん、と思ったり。
しかし、それよりなにより印象に残ったことが二つ。
一つ目は、別系統の直接の祖先ではないと思っていたネアンデルタール人とかその他の人類と、
今生きている系統の人類に僅かだけど遺伝子的な交流があったらしいこと。
もう一つは、東南アジアのとある島に1万8千年前までホモ・フロレンシウスという
現世人類とは別種の人が生息していたという事実です。
孤立した島だから外の世界とは交流はなかったかもしれないけど、
現世人類と平行してそんな最近まで別系統の人間が生きて暮らしてたんだ!!
と思うと感激しました。
ネアンデルタール人とヨーロッパあたりにすんでたホモ・サピエンスもしばらくは共存してたみたいだけど、
それも4万年くらい前の話だし。
で、妹に意気込んで言うと、「一万八千年前は[最近]と違う」とばっさり断言されて
しまいました。いや、そうなんだけどさ…。



この後5冊くらい読んだけど大概もう長いので次に回します。
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by mi-narai | 2014-04-20 23:25 | 2014年上半期の読書

『古代ホメロス論集』 『シリーズ日本古代史①②』 『コーラン』

今、ようし、パパ通販しちゃうぞー!とサイトに行ったらば
既に同人誌売り切れてた…orz
わたしのバカ!バカ!!



ニュースで英国艦隊(の内の一部)が来日したてやってたけど、
関係者氏名のとこが「氏名 HMS艦名」てなってて、
このHMSにときめいた!
これ、「"His/Her Majesty's Ship"」の略で、英国海軍艦名の前につけるんですよね、
ナポレオン戦争時を舞台にした英国海軍小説でしょっちゅう見かける称号なんだけど、
実際に現在もついてるの見てなんかやたら興奮しました。
(そこまでディープな帆船フェチでないのでちょっとしたことではしゃいじゃってはしたないですね、
すみません。)


農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)

石川 日出志 / 岩波書店

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石川日出志著『シリーズ日本古代史①農耕社会の成立』
最初のうちは縄文時代の区分分けの変遷など、楽しく読んでいたのですが、
だんだん疲れてきたよママン…
いや、文章が下手なわけでも内容に興味がないわけでもないのですが、
各地の発掘状況などを踏まえながら、大真面目に当時の生活様式などを類推する叙述が
淡々と続くので
…ほら、報告書の類って、ずーっと読み続けると、なんかどれがどれだか
よくわかんなくなってくるじゃない。
あんな感じなの。
とりあえず、7割ほど読み進んだところで、ちょっと休憩。


コーラン―構造・教義・伝承 (文庫クセジュ)

フランソワ デロッシュ / 白水社

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フランソワ・デロッシュ著『コーラン』読み終わりました。
すみません、本の内容がどうこう言う以前に

訳がまずい!!

多分、忠実に訳そうと心掛けるあまりだと思うのですが、
もう、どこをどう見ても直訳です。
あのな。
もうちょっと、噛み砕くとか、せめて単語のチョイスを考えるとか、
頑張ってみようよ!分かりにくいよ!
一般読者に理解してもらおうという心遣いが感じられません…。
研究仲間宛てに訳したんかもしらんが。
いや、研究仲間なら自分で原書読むよな。
そもそも私は理解の遅いおばかさんなのですよ、
いちいち直訳の文章を頭の中で分かりやすい日本語に変換して
意味を理解するのが、手間なんです。馬鹿で済みません。
なのでこの訳者には、自分が読解力のないバカであることに関しては
申し訳ないとは思いつつも一言申し上げたい。この

へたくそ。

まあ、それはさておき、著者のフランス人のコーランに関する文献学的な考察は
面白かったですよ。
井筒先生のおかげで前知識があったので、大体話についていけましたし。
コーランの時代ごとのメディア展開とか、信者の間での位置づけとか、面白かったです。
読み終わって思い返すとあんまり覚えてないんですが。

…やっぱり、なにもかもわたしの頭が悪いのが最大の要因か。


ヤマト王権〈シリーズ 日本古代史 2〉 (岩波新書)

吉村 武彦 / 岩波書店

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吉村武彦著『シリーズ日本古代史②ヤマト王権』読了。
①の最後の方、しんどくなって適当に流しちゃったので、
その反省を踏まえ、今度は最初からきちんと読みこむことにしました。
前回が考古学の発掘成果から見た古代史だったのに対し、今回は、
主に文献学から見た古代史です。
一日1ミリくらいしか進まなくて、1週間余り本を持ち歩いちゃったけど、
総じて言えば面白かったですよ。
参考文献として、古事記とか日本書紀がよく出てくるんですが、
当然ながら神話ではなく
都の位置とか天皇の政治姿勢とかそんなものの参考のためでした。
人制度とか、氏姓制とか、臣連制とか、前よりちょっと分かった気がする。
後、物部氏や蘇我氏の動向が一緒に載ってたのも面白かったです。
当たり前ですが、朝鮮半島とは本当に昔から行き来があったのだなあ。


古代ホメロス論集 (西洋古典叢書)

プルタルコス / 京都大学学術出版会

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プルタルコス、ヘラクレイトス著『古代ホメロス論集』読了。
妹に誕生日プレゼントに何がいいか尋ねられて指定した一品。
ダメもとでこの本を申し出たところ、
本当に買ってくれたので、張り切って読み始めました。
(ちなみに、妹の誕生日には、ジャスミン系の香水を所望されたので、
おばあたまと連名でブルガリの香水を買ってやった。思ったより安くついたし
おばあたまが結構出して下さったので、ついでに他メーカーの
石鹸系のとグリーンティー系の人気作もおまけで付けてやりました。
メイドインアメリカの香水はいまいちわしら姉妹の好みには
合わんということがよく分かった。)


それはさておき、読み始めての一番の感想をあえて申してもよろしいでしょうか。
プルタルコスさんは

ヲタなかーま!

であると。
この論集、プルタルコスとヘラクレイトス(だったっけ。ウロ)の
ホメロス論が載せてあるんだけど、プルタルコスさんのやつが熱くってさ。
プルタルコスはホメロス論1の方は忘れたけど、2の方では、
文法や哲学や政治学など様々な分野の萌芽をホメロスに見つけたいみたいで。
諸分野を端から検証して、
「ほらな、ホメロスにすでにあるだろ?」
と言いまくってます。
以下、例によって心に残った無駄知識を箇条書きに。


・まずは、文法の話。
語の運用や、比喩表現、テクニカルな運用法などについて
ホメロスでの使用例を(だいぶ強引に)引用するという論文の流れなんですが、
そもそも、当時のギリシャ人(ていうかプルタルコス)が、
どういうところに語・文の運用の妙を見ていたのか、という方が面白かった。
比喩表現などは、日本語に当てはめて考えたら、
普段の文章で当たり前のように出てくるような、なんてことはないものなんですが、
結構それをめったに使用例のないサンプルとして不思議そうに書いてたりします。
まあ、動詞に態や時制が、名詞に性があるから、
それがずれてると違和感を感じやすいというのはあるかもしれんな。
(例文が当たり前だけどことごとく『イーリアス』&『オデュッセイア―』なので
もうそれだけで楽しいです。本当に、普段どれだけ自分がホメロスに飢えているかがよく分かりました。
ホメロスがどういった技法を駆使していたのかも分かって面白い。)
後、現代の言語学上は認められてても当時の語学的感覚だとイレギュラーな使い方だと思われた部分などは
あったかもしれん、とも思いました。

ていうか、プルタルコスの時代にすでに文法が出来上がってたってことに、地味に感動した。
そら、修辞学とかあるくらいだもんな!それにしても、すごいな!!

最初の4分の1くらいはそういった文法の話なので、
普通の読者にはまったく面白くないと思います。
それにしても、日本語訳の人は、たいへんだったろうなあ。語の用法とか、ギリシャ語の話なんだから、
元の単語まで日本語に訳したら何が何だか分かんなくなりそうなもんなのに。
(訳注が多いのは仕方ない)


しかし、古代の人(ていうか、プルタルコス)は、
ホメロスがそういった各種の語法を作り出したという視点でこの文法部分の論文を書いたわけだけど、
ホメロス以前に先人たちの色々な蓄積があったことは認知されてなかったのかな。
それに、ホメロスが純粋に文学上の効果を狙ってそういう語法を使ったってより、
詠唱中、ヘキサメトロンに当てはめるために同じ語句をリズムのいい語句に言い換えた結果、
そういった文法上のトリッキーな使用法になっちゃった
という結果論的なアレかもしらんぞ。


・次、物語の要素について。
歴史叙述的な要素がホメロスの作品の中に既に入ってることを確認する部分はいい。
ふつうに、ふーん、そう。と思って読みました。
けど、哲学的要素が含まれてることを見ていく部分はだいぶこじつけっぽかった。
ほれ、当時の、万物は水である、というタレスの意見を踏まえて
ホメロスはオケアノスを神々の祖としたんだとかさ。
ヘラは空気で、天空たるゼウスと交わったことがどうこうとか
(つまり、物理学的な事象を暗喩的にホメロスが描いているという主張)

いや、そんなつもりではなかったと思うぞ!

しかし、いろんな解釈を施せるものだな、とか、
当時の知識人としては、それが最先端の科学なんだろうし、
ホメロス擁護派のプルタルコスさんとしては、
ホメロスがそういった知識を踏まえていた、と思いたいのだな、とか
そういう感覚が垣間見えるのは面白い。


・理系・神学系の上述の学派の他に、
エピクロス派とかピタゴラス派とか、もうちょっと生き方考察っぽい哲学の学派にも
言及してあって、
この学派の説がホメロスのこの場面にすでに表れている、などとも
こじつけられています。
いや、こじつけだとは思うけど、プルタルコスさんのホメロス愛はよく伝わった!


・ことわざ、格言もしかり。


・某イタケ人は、途中ちょっと持ち上げられてた!!
そりゃホメロスではいい感じに描かれてますものね!GJプルタルコス!!
あなたとは良いお友達になれそうです。


・政治的な弁論術の観点からホメロスを見る段
叙事詩の作中でいろんな人の長ゼリフが入るけど、それの弁論法などを細かく見た段。
ディオメデスの部分が楽しかった。
彼って、最初にアガメムノンに罵られた時は黙ってて、数歌経ってから言い返すんだけど、
あれは、手柄を立てて実績を作ってから発言を通しているのだ、という指摘に納得した。
男らしい!
でもって、当時のカテゴリーわけとしては、
オデュッセウスは言葉豊かに力強い口調で、
ネストールはやわらかく、
メネラオスは短く分かりやすい技術が駆使されてんだって。へー。


プルタルコスの次の論文↓
・ヘラクレイオスのホメロス論
ホメロスに登場する神々の行動を全て(当時の)科学で説明しちゃうという力技。
プルタルコスさんの一部分のアレを、推し進めた感じです。

無粋やなあ…。

まあ、詩人に批判的なプラトンさんなどの哲学者の向こうを張って
一生懸命当時としては最先端の理論を使ってホメロスを擁護しようという心意気は買いました。
君の情熱は受け取った!


ボーンシェイカー ぜんまい仕掛けの都市 (ハヤカワ文庫SF)

シェリー・プリースト / 早川書房

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シェリー・プリース著『ボーンシェイカー』読了。
なんか、本屋で衝動買いしちゃった。
もともとハヤカワのポケミスシリーズで出てたSFで、
気になってたのが今回文庫で出直してたので。
なんか、ポケミスからの文庫化ものに弱いのですよ…。

時は19世紀、所はカリフォルニアはシアトル、
ゴールドラッシュに沸く当地で金脈を掘り当てるための掘削機械をとある科学者が発明し、
その機械が暴走してシアトルの地下に穴をあけまくってしまい、地盤が沈下し、
街は壊滅、その上地中から毒素が染み出て吸った人間は死に至ってしまう、
おまけにその中にはゾンビとなって蘇って生きた人間の生肉を貪るものまで出てくる、
という悲劇が前提にあり、
作品は、毒素が拡散しないようシアトルに高い壁がめぐらされ、
生き残った住民がその壁の外で細々と生きているところからスタートです。
主人公は子持ちの母親で、かつてハタ迷惑な機械を作り上げた科学者の妻だった女、
仕事はつらいし、今は亡き旦那のせいで村八分だし、息子は反抗期だし、
タフな主人公ですが、最近若干息切れ気味。
そんな時、息子が父の名誉を回復しようと、壁の中のかつての自宅へと潜り込んでしまうのです。
それを追いかける母親。壁の中には無数のゾンビたちの他、したたかに生きる犯罪者すれすれの
住民たち、飛行船乗り達などがいて、強烈な個性で母親に関わってきます。
果たして、母親は無事に息子を助け出すことが出来るのかー!

てな感じの話。
お分かりのように、SF文庫から出てますが、スチームパンク冒険ものです
あんまSF要素はないですが、わたしスチームパンク好きなんで全然OK。
設定とか謎とかより、主人公の冒険や出会った人間とのやり取りの方に力点が置かれてる感じ。
面白かったですよ。
でも、毒ガス避けのために常時マスクをつけてる描写と言い、
ゾンビを回避するために地下のトンネルを移動する描写と言い、
閉塞感は半端なかった…。
とりあえず、主人公は一人でも大丈夫な感じのパワフルかつ忍耐強い女性なので、
安心の安定感です。
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by mi-narai | 2013-12-04 00:49 | 2013年下半期の読書