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『出雲神話の誕生』 『三人目の幽霊』 『英国人一家、ますます日本を食べる』

出雲神話の誕生 (講談社学術文庫)

鳥越 憲三郎 / 講談社

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鳥越憲三郎著『出雲神話の誕生』
今半分ほどまで読んだところです。
いちいち、説の典拠をしめして丁寧に丁寧に説明なさるので、
読むたびに寝落ちしますが、それでも!面白いですよ!!
そもそも、民間に広く流布してる大和VS出雲の図式がまず間違いじゃね?
みたいな著者の主張ですよ。だって、出雲、どう考えてもそんなに勢力強くないもん、みたいな。
(「出雲より、山陽側の吉備の方がよっぽど地域力高いやん」By憲三郎)

…どうです、ちょっと面白そうでしょ。

まず、古代の出雲にどんな豪族が住んでてどこが発展してたかを
古墳の分布とか、出雲風土記とか、古事記、日本書紀、その他文献資料から推察し、
その次に古事記と日本書紀成立時に携わった人員を割り出し、
もともと栄えてたのとは違う地域の神話が何故に採用されたかを推理してます。
日本史も浅い知識しかないからこれが正しいのかとんでもの類なのかは分からんが、
歴史的な事柄から古事記における出雲神話があんなことになっちゃった経緯を考えるのは
超楽しいです!
この方、文化人類学が専門らしいのに、妙に歴史寄りだよなあ。素敵です。
この方に寄ると、出雲の首長たち、自分たちがもともと信仰してたのとは全く違う神話を
「出雲の神話です」って国家神話(記紀)に乗せられちゃって大層びっくりしたけど、
そこはそれ中央にすり寄って地域の発展につなげてやれと、乗っかっちゃうんですよね。
この辺り、ありそうで笑っちゃった。こういう政治のドロドロ、見てる分には大好きです!

今から神話の内容に踏み込んだ話になるみたいなので、
寝落ちに負けずに頑張って最後まで読み通そうと思います!



数日後、やはり3回ほど本気で寝落ちしながらも、最後まで読みました!
いや、面白いんだけどね。なんで眠くなっちゃうのかしら…。
後半はオオクニヌシとか、ヤマタノオロチとか、スサノオについて、もうちょっと踏み込んだ感じの内容です。
地元で信じられていたもとの形をまず推測し、それがどういう政治的意図で古事記、日本書紀、
みたいな形になっちゃったのかを説明しています。
三貴神についての推察は、大林先生の本で東南アジアあたりでも3人セットのとこがあったと
書いてあったような気がするから
絶対「日月+1」だとは言い切れないとは思うけど、
オオクニヌシの婚姻のあたりの、それぞれバラバラに祭られてた二柱の神の間に
どんな感じで婚姻関係が結ばれるのか、みたいな考察があって、それはちょっと面白かったです。
ギリシャ神話でも、こんな感じで本来ばらばらだった各神の間に、信仰形態の変遷によって
付随して神話上も婚姻関係が結ばれたりしたんだろうなと。
もともとセット崇拝てパターンもそらあったろうけど。
政治的に支配範囲が広がったり、交流範囲が広くなったりして、
とある部族が他の神を信奉している他の部族の人々と出会って
どんどん信仰している神が習合したり婚姻関係が結ばれて、
その結果時代が下るほど神話形態が複雑になるわけだから、逆に考えれば
元の形はシンプルなわけだよな。そら。


たんぽぽ娘 (奇想コレクション)

ロバート・F・ヤング / 河出書房新社

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『たんぽぽ娘』
ちょっと飽きてきた


三人目の幽霊 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉崇著『三人目の幽霊』
何故か最初の話で短編なのに読み終わるまでに6回ほど寝そうになりました。
でも2話目からは普通に読み進められる…。なぜ?
後、2話目に入ってようやく主人公が女の子だと気づいた…!
(若い男の子だとばかり思ってました)
落語ものとしては、『ハナシがちがう』シリーズの方が好きですが、
推理物としてはこちらの方がテンプレです。
いや、落語ものとしても十分面白いですヨ。
落語雑誌の編集部にこの春入部した主人公が、
落語関連の事件に巻き込まれ、この道何十年の上司が解決する話。
(探偵役は毎回上司の牧さん)
とりあえず、二冊目を読みます。


七度狐 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉崇著『七度狐』読了。
これまた読み終わるまでに10回は寝落ちしましたが、
中盤の殺人が始まった辺りから面白くなってきました。
孤立した集落に、古い村、排他的な村人、一族の因習、見たて殺人、などなど
本格ミステリーのお約束がこれでもかというくらいに詰め込まれてます。
この方、堅実な書き方をされる方だなという印象があるんですが、
裏返せば割と淡々としてて悪目立ちはしない、ということでもある。
なので、序盤はつい眠くなってしまうのですが、
主人公の女の子が事件に巻き込まれてよう分からんうちに周りで次々人が死に
危険な立ち位置に立たされて、読者がハラハラさせられるあたりから
ようやく眠らずに読めるように。
落語のネタが無理なく組み入れられてて、それも面白い。
落語の大名人、古秋一門の名取をめぐる争いと過去の因襲にまつわる殺人も、
最後に探偵役たる主人公の上司・牧がヘリで到達した辺りで収束し、
事件は解決するわけですが、…終わり方がキモ素敵でした。
ここまでコテコテに古典推理物を踏襲したんだったら最後もああでなくてはな。
寝落ちを繰り返した割に満足しました。


英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)

マイケル・ブース / 亜紀書房

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『英国人一家、ますます日本を食べる』マイケル・ブース著
二匹目のドジョウを狙った続編、ちゅうか、ページ数の関係で1冊目に入らなかった分をまとめたもの。

エッセイ集な上に、親子4人の珍道中で、著者のおっさんも皮肉の利いた英国人なので
今回もニヤニヤしながら読んでしまいました。
牛のマッサージの回が特に。
しかし、やはり自分の住まっておる地域に近い場所とか、一度行ったことのある場所について
書かれると、惹きこまれ度が違いますね。ああ、あれなー、と深く納得するというか。
知らない場所については、それはそれで外国のことみたいで面白いですが。
全く固い本ではないので、二日もかからず読み終えてしまいました。
とりあえず、最後の、日本食と歴史が密接につながっている、という話にはときめいた。
後、伝統的食材・調味料が先細って消えてしまうのは嫌なので、一消費者として
そちらを優先的に購入しよう、と思いました。
というわけで、わたしはビールやワインよりも日本酒を買うぜ…!(前と変わらんがな)
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by mi-narai | 2014-06-22 11:34 | 2014年上半期の読書

ダウントン・アビー 『ジョナサンと宇宙クジラ』 『もっとにぎやかな外国語の世界』

TV
『ホワイトカラー』
録りだめてたのを5話くらいまで見た。
主人公が頭脳派詐欺師で、自由と引き換えに警察に捜査の手伝いを強いられる話。
主人公の詐欺師の男の子、アウトリュコスみたいで(大胆かつお茶目)カワイイよ。
捜査官との間にじわじわ育まれる友情も良いです。


ダウントン・アビー [DVD]

NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

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『ダウントン・アビー』
父が、「『トンイ』が終わっちゃって悲しい」と嘆くので、
次は何かと思ったらなんと英国ドラマ。
珍しい、と思って見てみました。


おおおお!
ロマンス小説の世界ですよ…!

舞台は当に、貴族の領地にあるお屋敷。
貴族の結婚制度とか、跡継ぎ問題とか、培った無駄知識をここでフル活用です。
その上、このドラマでは小説では見過ごされがちな使用人たちの日々の仕事と生活が
割と細かく描かれてて、使用人側の言い分とか、感情も拾われてて
それがなかなか面白いのです…!

今回、冒頭でタイタニックが沈んだニュースが館を駆け巡るんだけど、
なんと、その船に、館の主人の相続人が乗り合わせてて、爵位継承が宙に浮いちゃうんですよね。
同時進行で、旦那様が昔戦地で部下だった旧知の男を従者として雇い入れたところから
召使たちの間での順位争いとか、いじめとかが発生して、新人従者が窮地に陥れられる筋が進みます。
おりおりでご主人方の事情と、壁一枚隔てたみたいに別世界の召使たちの事情が語られ
(旦那は爵位持ちだけどどうも貧乏貴族だったようで、持参金つきの金持ち女を娶ったけど、
今は二人ともお互いを気に入って意外と幸せに暮らしている。娘は三人。
使用人は、執事と家政頭が気心の知れたしっかり者同士で(『日の名残り』か)
第1フットマンは野心家で、奥さま付き侍女としょっちゅう悪だくみしてて、
第2フットマンはいい子。女中頭は新人従者に同情的)
淡々と日常を描いているだけなのに、抑えた感情表現の中に喜怒哀楽がしっかり読み取れ、
池井戸原作のドラマ的な起伏はないけど、その代わりじわじわくる…!
英国で人気なのも分かる気がします。
いや、わたしは池井戸的なラストスパートでどんでん返し、大盛り上がり!も好きですけども。
こてこてだけど、低俗かもしらんけど、そういうのが見たい時だってあるじゃない!
とりあえず、残りの数話は録画して保存することにした。


日記をアップせずにいるうちに第3話まで見ましたよ。
ベイツさんはいいやつだなあ。
相変わらず淡々と日々が過ぎますが、
新しくやってきた遠縁の後継者親子と伯爵の母親のバトルとか、
色々あって結構乗ってきた。
3話目ではまさかのミステリー展開だし。
しかし、なんでデイジーはトーマスに憧れんの?
どう考えてもウィリアムの方がいい子なのに。
後、別段メアリーが美人に見えない問題。
とりあえず、次回が楽しみです。



ジョナサンと宇宙クジラ (ハヤカワ文庫SF)

ロバート・フランクリン ヤング / 早川書房

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ロバート・F・ヤング著『ジョナサンと宇宙クジラ』
普段あんまり短編集は読まないのですが(基本長編が好き)、
『時が新しかったころ』が面白かったので買ってみました。
なんか、O・ヘンリーの短編集と感じが似てるかなあ。
いや、短編を読み慣れてないだけで、読書家の方から見ればまったくの別物なのかもしれんが。
短編って、悲劇で終わるにしろ大団円で終わるにしろ、結末を匂わせた辺りで
大体話は終わっちゃうじゃない。その余韻の漂わせ方が似てるかなと。

本作については、
最初のあたりはなんだか悲しくなっちゃうような結末のものがあったりしましたが、
表題の『ジョナサンと宇宙クジラ』の他、『リトル・ドッグ・ゴーン』、
『いかなる海のほこらに』、『ペネロピへの贈り物』『ジャングル・ドクター』
『空飛ぶフライパン』が良かった。…おっと、ほとんど6割やん…。
突っ込みどころはたくさんあるけど、
大体主人公が悪意のあんまりないお人好しなのがいいです、読んでて安心します。
その善意が作中でちゃんと評価されるから安心する。
あとがきに「ヤングの作品は好きだと公言するには少々気恥かしい」と書いてあって、
まあ、確かにな、と思いましたが。もう公言しちゃったけども。
あんまりストレートにいい話過ぎてこっばずかしい感じはするかな。
甘く切ない、もしくはちょっぴり救いのある、おとぎ話みたいな話なんです。
実際の世の中はもっと世知辛いかもしらんが、でもこんな小話があっても
良いよな、などと、読んだ後はちょっとほのぼのしました。
『たんぽぽ娘』も探してみようかな。
ところでこの『たんぽぽ娘』、聞き覚えあるなと思ったら、わたしの好きなマンガ
『わたしを月へ連れてって』でちらっと出てきてたのでした。
『わたしを月へ』も読み返したくなっちゃうなあ…。


白戸修の事件簿 (双葉文庫)

大倉 崇裕 / 双葉社

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著『白戸修の事件簿』読了。
貸してもらったので読みました。
貸してくれた友達が「そのままあげても良い位っす」とか言うから
どんだけおもんないんかと思ってたけど、意外と面白かったですよ。
主人公はもう、どこをどうみても完全なる巻き込まれがたの主人公で、その上
小心なくせに人が困ってると放っておけない超のつくお人好し。
毎回毎回本人が意図したのでも望んだのでもない軽犯罪に巻き込まれ
(殺人とか、本格的な犯罪でないのがまた)
周囲の思惑に振り回されて右往左往するのが涙を誘います。
結構、主人公の困惑と狼狽にこっちまで巻き込まれたハラハラしながら読み終えました。
トリックとか、静謐な筆致とか、推理物っぽい雰囲気とはかけ離れてたけど、
これはこれで面白かったけどなあ…。
白戸君は毎回かわいそうだったけど。でも、彼、愛されてるよね。


もっとにぎやかな外国語の世界 (白水Uブックス)

黒田 龍之助 / 白水社

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黒田龍之助著『もっとにぎやかな外国語の世界』読了。
語学エッセイ集。
また買っちゃった…。
いや、この方の書く語学の素敵ポインツがいちいち分かるというか、
そう、そこ!!そこ素敵ですよね!!!とつい手に汗握って共感してしまうので
読んでて楽しいんですよ…。
今回は、ロシア語の名前の話とか、文字の形の話とか、ちょう面白かった。
アイスランド語とかアラブのあたりとか、名字がなくて父称じゃない。
ロシア語ではどっちも使うんだってさ。
プーチンさんなんて、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン、
なんとお父さんの名前もウラジーミルらしい。
で、父称付きで呼ぶのって、ものすごい堅い、真面目な場面で使う印象なんだって。
イーリアスの10歌あたりでアガメムノンがメネラオスに「失礼がないように父親の名前付きで
呼ぶのだぞ」といい含めていたのを思い出します。

歴史言語学とか比較言語学的なところに興味がある点もものすごい共感率高いです。
グリムの法則とか、懐かしいなあ…。
日本語はクレオールなのかなあ…。東のどんづまりだから、
いろんな人がちょぼちょぼ入って来て、あんまり上下なく混ざりあうと、
こんなよう分からん言語になるんじゃないかという気がします。
この辺りは比較神話学と並べて考えると更に真相の解明に近付くんじゃないかと。
いや、神話の残り具合と言語の混ざり具合は完全に一致するわけじゃないから過信は出来んけども
参考程度にはなるんじゃないの。
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by mi-narai | 2014-06-01 17:44 | 2014年上半期の読書