カテゴリ:2008年6月の読書( 5 )

『「いき」の構造』 『激動のトルコ』

九鬼周造著『「いき」の構造』読了。
1冊の中に、表題作『「いき」の構造』の他、
『風流に関する一考察』、『情緒の系図』の2編が入ってますがどっちも読み終えた。
風流に関する考察と、短歌を例に挙げつつ情緒というものについての見解が述べられてました。
九鬼先生って、こういった心の動きのような目に見えないものの範囲を
図で説明するのが好きなんだなあ…。
「いき」は縦長の6面体、風流は正8面体で説明されてました。
情緒、はさすがにもっと複雑な図がかいてありましたが(でもやっぱり図形)。

読み終わって振り返ると、一般人には分かりづらい「哲学書」っていうより
プラトンの対話編を思い出した。

で、あとがきで九鬼先生は東京生まれの江戸っ子だと知って、ああ、それでこんな著書が生まれたのねと妙に納得しました。
(解説を書いておられる関西生まれ関西育ちの多田先生の
「「いき」という言葉も美意識も江戸のものである。
だから上方の人間にとってはどうでもいいようなものの」

の部分にも、「まあ、そうなんだけどね」と頷いてしまいましたが)
あと、九鬼先生って大正時代から昭和初期にかけてヨーロッパに居て、
パリの哲学界では若き俊秀で通り、ハイデッガーから高く評価され、
ベルクソンにも認められ、サルトルが家庭教師までしてたらしい。
なんか、すごいですね。


以下、『情緒の系図』でうまいこと書いてるなあと思った箇所と、
気に入った短歌をメモ。

・「「恋しい」とは、一つの片割れが他の片割れを求めて全きものになろうとする
感情であり、「寂しい」とは、片割れが片割れとして自覚する感情である」(P152)

・「甘味を味わうのは、甘える方と甘えられる方と双方ともである。この「甘え」の
甘味は愛の味として、「憎」の苦味に対しているもののようである。」(P161)


寂しければ渚に立ちて朝を見るこの青海は君に続けり(神谷昌枝)

冴えわたる月の下びにいとせめて妻にやさしく物を言はばや(大橋松平)

激動のトルコ―9・11以後のイスラームとヨーロッパ
/ 明石書店
ISBN : 4750327573
スコア選択: ※※※※


内藤正典編集『激動のトルコ』読み始めました。
やはり、トルコ好きを自認するなら、現代トルコについても知っておくべきか、と思ったので
図書館で借りてみました。
とりあえず、序文と第1章は読み終わった。真っ先に

EUに入れたれや!!!

としつこく腹が立ちました。ヨーロッパ諸国め…
トルコが建国以来の世俗主義を捨て去ってイスラム色を強めたら全部あんたらのせいやで(若干濡れ衣)
とりあえず、ここんところのトルコの政治の動きの概観は分かったような気になりました。
トルコの軍部の特殊な位置づけとか。
今、2章のPKK(←クルドの過激派組織。トルコ国内のクルド人の独立を掲げてます)問題に
ついての文章を読み進み中。
今年に入って、「トルコが越境してイラク北部のPKK拠点を攻撃」、っていう記事を新聞で読んだときは
また思い切ったことやったなあ(これを口実にまたEUが加盟を阻もうとするよ~)と
思いましたが、この本でそこに行くまでの流れや、ギリギリまで頑張って我慢したトルコ側の
忍耐などを思うと、なんか、気の毒になってきました…。
クルド問題もなあ…。
後、密接にアメリカとやり取りしてるのが意外でした。
(アメリカもここんとこイラクで色々やってたもんな。比較的安定してるイラク北部の
クルド自治政府とは仲良くやっときたいんですよね)
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by mi-narai | 2008-06-30 23:12 | 2008年6月の読書

『「いき」の構造』

九鬼周造著『「いき」の構造』本の3分の1ほどまで読み進む。
「いき」を大体定義し終わったところで個々の事例の説明に入った。
1点、ものすごく共感した部分があったのでメモっておきます。
それは

ビバ!ちらリズム!

作中で、なんども、

『西洋式の、肩の露出したドレスやそのものずばり裸体を描いてある絵画などは
かえってエロさが半減している。あからさま過ぎて台無しだ。これは粋ではない。
やはり、粋なのはほんの少しはだけた襟元、風呂の最中より湯上りだ!』
(意訳)

てなことが力いっぱい主張されてるんですが、
それはそうだなと頷いてしまうあたり自分も日本人だなと思いました(笑)。
ずばり裸体もそれはそれでいいものですがほのかに漂うエロスも捨てがたいわよね…

…曲解してスンマセン九鬼先生!



ロマンス小説12冊目読了。
まあ、読み終わるとそこそこかな。
予想通りものすごくあっさり読めました。
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by mi-narai | 2008-06-26 22:59 | 2008年6月の読書

『城南旧事』 『「いき」の構造』

林海音著『城南旧事』
「恵安館」読み終わりました。
以前読んだときの結末をぼんやり覚えてはいたんですが
まさか、まさかと思っていたんです。
まさかこんな酷い…

やっぱりあの記憶は幻じゃなかったーー!!!

あんまり気の毒な結末過ぎると、せつなさを通り越して
むごいいたたまれない気持ちになってしまいます。
とりあえずこの本はここでちょっと休憩。


「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)
九鬼 周造 / / 岩波書店
スコア選択: ★★★★



九鬼周造著『「いき」の構造』を読み始めました。
いき、すなわち
「粋な男だねえ!」などと使うあの「いき」です。

最初の部分は、この「いき」の定義から。
外国語から似てる言葉を捜しても、結局ソレは似てるというだけで
いきの根本を知るにはあんまり役立たんので、日本語の場合を考える。
個々の事例を集めすぎると視界が狭められるからまずざっと大筋をつかんでから。 
「いき」には、異性に対する媚態と、武士道の理想とするところの意気地と、
仏教がとくところの執着を捨てたところからくる諦めのよさ、が含まれている。

…てなことが多分書いてあるんだと思う。きちんと理解できてるかどうか自信ありません。
とはいえ、昭和5年にかかれたものらしいし、一応哲学書だし、もっと読みにくいかと思っていたら意外と読みやすくてびっくりしました。九鬼先生素晴らしい!

ただ、ワタシ、「いき」な人を見てかっこいいと思うし尊敬するけど
別に自分がいきな人になろうとは思わないかも。



ロマンス小説11冊目読了。
これまた強引でフェロモン駄々漏れ男が主人公でした。
サスペンス部分は面白かったんだけど、
…この作者とは男の趣味が合わない気がする…

ロマンス小説12冊目。
うってかわって静かなヒーローなんだけど、訳がまずいせいもあいまって
独善的でちょっとストーカー一歩手前な気が…。
(どうなんだ!?原文で読んだらそうでもないのか??)
これはぺらい本なのでさっさと読み飛ばそうと思います。

ところで、九鬼先生の本を読んでて、ドイツ語には
暖かい地方への憧れを表す特有の単語があると知って笑ってしまいました。
そうか、そんなに南に憧れてんのか。
言葉といえば、中国語では250という数字は「バカ」という意味なのだそうな。
なんで???
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by mi-narai | 2008-06-24 22:04 | 2008年6月の読書

『骨が語る古代の家族』 『城南旧事』、他

田中良之著『骨が語る古代の家族』読了。
途中ところどころ眠くなりつつも無事最後まで読み終えました。
親族論(新進化主義)として、

血縁を核とした小集団(父系・母系共にある)→
父系・母系・双系がありえる氏族からなる部族社会
首長という指導者・支配者が出現することが特徴の首長制社会(父系優先だが、母系・双系もありえる)→
親族関係ではなく官僚制を基礎とした国家社会

という流れがあって、縄文から弥生、古墳時代、律令国家へと時代が進む中で
親族関係と社会のあり方の移り変わりがきれいにリンクしている、というまとめは美しくまとまってました。

しかし、父系に傾く原因として上げられるのが、戦争や農作業など腕力が必要となる事態の勃発(男性が婚姻によって集団の外へ出ることを嫌って父系に傾く)、という記事を読んだときはものすごい納得しました。
腕力か…。
事情説明としては納得するけど、なんか理不尽だよなあ…。




林海音著『城南旧事』
序文の、本著をべた褒めしてある推薦文の部分を読み終わり、
たくさん付してある白黒写真とソレに対する説明を読み終わり
(昔の話なので現代の読者の助けになるように作中で出てくる昔の風景など
一緒につけてあるんです。白黒写真って風情があるよなあ…)
ようやく作者による序文を読み終えました。
あいも変わらずノロノロ読書。
でも『エトルスキ国制』の時よりは進んでる手ごたえがあります!(ソレが基準か)

序文の

「季節が移り行き、また冬が来て駱駝の隊商がやってきても、幼かった日々は戻らない。日差しを浴びながら駱駝の咀嚼の真似をするようなバカな真似など、もう出来なくなってしまった。
 それでも、子供の頃の風景や人々のなんと懐かしいことか。現実の幼年時代は過ぎ去ってしまったが、心の中のあの日々を永遠に留めておくために、書き残しておこう。」

てな部分を読んでうっかりじわっと来てしまいました。
年かしらねえ…


ロマンス小説9冊目読了。
良かった、ちゃんと助かった…。
(いや、フリーザーに閉じ込められた話です)
あくまでもロマンティック部分主眼の話なのでサスペンス要素は
やや薄めなのですが、ヒーローのがっちがちの理系っぷりがカワユらしかったです。


ひょんなことから北京の城門の写真を見ました。
わたし、これまで①遠い方が自分と関係ないこととして楽しんで見れる
②漢字の名前を覚えるのが苦手
(世界史が苦手な方に、カタカナ名がみな一緒に見える、と仰る方がいらっしゃるのですが
わたしは全くソレと同じ感じで漢字名を識別するのが苦手なのです。
あろうことか最近まで職場の山田さんと池田さんを混同してた。全然違う名前やんか~)
などの理由で、世界史の中で中国及び漢字文化圏の歴史のみ苦手だったんですが
北京の城門の写真を見て、単純にその大きさと壮麗さに感動してしまった。
わたし、中国史も好きになれるかも…!!(短絡的すぎます)
東アジアオッケーになれば全世界オールコンプリートなんだもん(なんのこっちゃ)。


パトリック・オブライアン著
『新鋭艦長、戦乱の海へ―英国海軍の雄ジャック・オーブリー (下)』
映画ではジャック役はラッセル・クロウがやってたんですが、
ユアン・マクレガーあたりがやった方がいいんじゃないかなあ、と思います。
前者の方が、ジャックのしぶとさとか俗人振りが出るけど、
天真爛漫さやチャーミングな魅力は後者の方が合ってると思う。

それはさておき、
人妻と逢引する気満々でわざわざ遠回りして島に寄ってうきうきした顔で船を出て行ったのに
げっそりやつれてものっそいくらーい顔で戻ってくるジャック(言わなくても振られたことは一目瞭然!)。
お前、バカだなー(大笑)!
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by mi-narai | 2008-06-10 21:22 | 2008年6月の読書

『骨が語る古代の家族』

骨が語る古代の家族―親族と社会 (歴史文化ライブラリー 252)
田中 良之 / / 吉川弘文館
スコア選択: ★★★



田中良之著『骨が語る古代の家族』読み始めました。
まず、最初に親族論、民族史学の説明、次に日本の考古学、史学は親族論をおろそかにしすぎ!
という喝が入って、今、で、結局昔の日本の家族の形ってどうだったの?というあたりを
いろんな手がかりをもとに推測しているところです。
どうだったんでしょうねえ。

翌日もうちょっと読み進む。
なんとなく、縄文時代は双系(=父系と母系の並立した)社会、
弥生時代も大体そんな感じ?、古墳時代は支配者階級は父系に傾きかけてたけど
そのほかのパンピーはまだ双系…てな説が展開しとります。
双系だったから、命令系統というか、意思決定機関がルーズで寛大だったので
弥生時代、半島から渡ってきた稲作をする人々と大きな衝突もなく緩やかに
共存・混血が進んだ、という推論を読んで
「…もう、日本は双系社会で行っといた方がいいんじゃないの?」などと
短絡的に思いました。
一応真面目な本なので、どうして父系よりの双系社会だと判断できるのか
という根拠がきちんと述べてあるんですが、ごめん、気を入れて読んでない。



林海音著『城南旧事』読み始めました。
著者の自叙伝っぽいもので、
小さな女の子英子ちゃんの目から見た大人の世界を淡々と語った物語です。
昔一度読んだはずなのに余り覚えてません。
まだ序文部分。頑張れ、わたし。


ロマンス小説9冊目
またもジェイン・アン・クレンツ
気に入ったわけではなく、古本屋で100円で売ってたので…
今度も現代モノ。
ものすごい理系の彼と情熱的な彼女の話です。
理系の彼が朴念仁過ぎてフィアンセに結婚式すっぽかされるところからスタートですよ-


数日後、半分ほどまで読み進む。
おお、この本でも何たることか殺人事件が!!!
今ヒロインが死体と一緒に冷蔵庫に閉じ込められてるところ。
誰か助けてやって~~~
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by mi-narai | 2008-06-04 21:09 | 2008年6月の読書