カテゴリ:2016年上半期の読書( 4 )

『人形遣い』 『政令指定都市』 『ソロモンの指輪』

人形遣い (事件分析官アーベル&クリスト) (創元推理文庫)

ライナー・レフラー / 東京創元社

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ライナー・レフラー著『人形遣い』
ドイツ発ミステリー。
ケルンで起こる血なまぐさい連続殺人を解決するため、
事件分析官(アメリカで言うところのプロファイラー)の主人公アーベルが呼ばれ、
その助手として若くて気の強い美人刑事ハンナが付けられたところから
物語はスタート。
最初はいがみ合ってた二人が事件を追うにつれ、徐々に互いに信頼を育てていくのが
王道とはいえ読み応えがありました。
殺人事件の方は、いかにもドイツらしく、臓物が派手に飛び散る系のアレでソレ
なので、グロいのが苦手な人は気をつけて。
なんで大陸の最近のミステリーはスプラッタっぽいのが多いのか…。
シリアルキラーで、幼少時の性的虐待ネタはもうええねん!!
と叫びたくなるような、どっかで見たような道具立てではあったのですが、
話のテンポがいいのと、主人公たちがなかなか魅力的だったのとで
最後まで飽きずにハラハラしながら読みすすめることが出来ました。
アイディアはふつうだけど、小説の構成とかバランスとか
人物設計はすごい堅実なイメージ。
後、登場人物同士の軽口が、イギリス小説ほどひねってはいず、
アメリカ小説ほど軽くも明るくもなく、
微妙にすべってるというか、妙に真面目っぽいのが
日本人と相通ずるな、などと変なところで感心してしまいました。


政令指定都市 - 100万都市から都構想へ (中公新書)

北村 亘 / 中央公論新社

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北村亘著『政令指定都市』
そのタイトル通り、地方都市行政の内、政令指定都市に絞って書いてある著書。
その成り立ちから、行政形態、市長の一日、この制度は今後どういう変化を考え得るか、
などをひと通りさらえてある感触です。
まずは大まかに都市政策というものの意義について。
そもそも、牽引役を期待して、国は大都市に権限を付与するらしいですね。
その地域の経済の活性化の起爆剤的な。
けど薄く広くやりすぎると、財政が続かんし効果も薄い。
なので、これ、という大都市にのみ、集中投資するのが良いとされているようです。
もともと、もっと権限を付与した「特別市」、というものに、
首都として東京都に組み込まれた東京市を抜いた、5大都市を当てはめようとしてたのが
周辺自治体の反発とか政治的駆け引きとか与党の都合とかあって、
玉虫色の「政令指定都市」制度というのに落ち着いたそう。
それが制定されたのが戦後まもなくだったから、
ひどい爆撃を受けた神戸市の人口が激減してて、
それで本来なら100万以上にするところだった人口要件が
50万以上になっちゃったらしい。
これが後々、尾を引くんです。
その後、経済成長と共に、政令指定都市になることが大きな都市のステータスみたいに思われて
なんだかんだで他の市が目指すようになって、現在その数20市。
もともとの狙いからだいぶはずれてます。
これだけ増えると、それぞれの都市間の特徴や実力の差がバラバラで、
全部を同じ政令指定都市という制度に当てはめちゃうのがいいのか悪いのか。
ちなみに、各都市の状況などをいろいろな視点から眺めて考えると、
今のところもっとも大きな政令指定都市、第一人者を自認してる横浜市って、
実のところ単なる大きな衛星都市にすぎないらしいですよ。
大都市制度を適用して効果が期待される市としては、
福岡、名古屋、大阪がその要件に当てはまるらしく、
特に大阪は大都市の中の大都市なのだそう。まだまだ自信持ってください大阪さん。
なので、横浜には、大都市としての制度ではなく、
大きな衛星都市としての別の補助を掛けた方がいいみたい。

いきなり市長の話になりますが、市長ってお忙しいんですね。
作中に、比較的情報が公開されてる広島市と大阪市の市長の一月の仕事回数、
みたいな円グラフがあったんだけど、どっちもひたすら大変そう。
でも当時の大阪市長(あの人でした)は鬼のように仕事こなしてちゃんと休暇も確保してて
すごいな、と思いました。

都市の財源の話。
一般平均としては政令指定市は固定資産税がもっとも大きい割合を占めてるんだけど、
特に京都と大阪は特殊らしい。
京都は神社仏閣と教育機関(大学)が多すぎて、固定資産税がそんなにとれない。気の毒です。
大阪も、昼間人口と夜間人口の差が、東京23区を抜いて日本一らしく、これまた固定資産税がとれない。
要するに、周辺と市から大阪に通勤とか通学してる人の割合がものすごい多いって事ですよ。
確かに。実感としてそれは分かる。
それで潤ってんだからいいだろ、と一概にも言えず、昼間の人々のニーズに合わせて
莫大な金掛けてインフラ整備しても、その人たちは大阪市に税金は納めてくれない、という悲劇。
結構気の毒な立ち位置です。
他にもいろいろ他の都市に比べて、大阪市は大都市故の不都合を
一手にひっかぶっちゃってる部分があって、
考える以上に大阪市は窮地に立ってますよ。
今思えば橋○さんはようガンバっとった。
それもこれも、そもそも政令指定都市制度が中途半端な妥協の産物だから、という
遠因があって、
前に「大阪都構想」を読んだときにも書いてあったけど、
大阪市では、大分前から(もう70年くらいも)市の構造を変えるべきじゃないか、
という案は何度も出てきてるようです。
府県側を主体にしてまとめちゃう方向に振り切ったのが都構想で
逆方向に振り切ると、大阪市独立、大阪特別市成立へ進みます。

個人的には、現代に自治都市があっても良いと思うんだけどなあ。
(自分が住んでないからって無責任なことを言ってみました)

いや、なかなか。日本の地方行政について、特に大都市の行政について勉強になる本でした。
もっと眠くなるかと思ってたけど、思いの外面白かった。


鍋奉行犯科帳 お奉行様の土俵入り 鍋奉行犯科帳シリーズ (集英社文庫)

田中啓文 / 集英社

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田中啓文著『お奉行様の土俵入り』
いつもの鍋奉行シリーズの第5弾。
今回も、面白かった。
肩肘張らず、ほどほどに時代劇で、最後は大団円なので安心しながら読めます。
お奉行様が出てきたときの安定感といったら!
しかしまあ、食べ物ネタでよくここまで続くなあ。


カラスの補習授業

松原始 / 雷鳥社

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松原始『カラスの補習授業』
こないだ読んだ『カラスの教科書』があまりに面白かったのでつい買ってしまった第二弾。
今回は、前回以上にジョジョネタ満載です。
時々挿入されるラノベネタは、詳しくないので分かりませんが、ジョジョなら分かる。よし。
内容としては、前回入らなかったネタの他、更に専門的な内容なども盛り込んであり、
より一層ディープにカラスフェチになれること必至!
今回も、大変、大変!楽しかったです!!
最近は道でカラスを見かけたら立ち止まって見とれてしまうくらい好きになりました。
こないだ、初めて威嚇されたよ!(嬉しげ)


ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)

コンラート ローレンツ / 早川書房

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コンラート・ローレンツ著『ソロモンの指輪』
「カラスの補習授業」で何回か言及してあったので読んでみた。
ご本人曰く、当時、周囲には、どう考えても納得できないエセ動物本が溢れてて、
それに我慢できずに書き上げたのが本書らしい。
どうも、動物行動学の草分け的な大御所らしいですね、この方。
まだ方法も確立されていないような頃に、動物を飼うというよりほとんど共同生活しながら
人間が陥りがちな擬人化じゃなく、その動物の行動を客観的に真摯に観察しています。
おまけに、ご本人の動物たちへの愛が随所にあふれてて、読んでてじんわり胸が温まりました。
犬、ネズミはもちろん、コクマルガラスをはじめ各種鳥、魚に至るまで、色んなものを
家の中に放し飼いにしたり庭の小屋で飼ったり。
いくら偉い教授やいうても、よう奥さん我慢したな。と一読者にまで同情せしめる変わり者っぷりですよ。
でも、逆に言えば、本当に動物のことを考えて飼うってそこまでの覚悟がいるものなのかもなあ。
もともとカラス目当てでこの本を買ったので、ワタリガラスやコクマルガラスの章は
もちろん面白かったのですが、他にもハイイロガンの章とか、アクアリウムの章、
飼いやすい動物についての章とか、バラエティに富んでて、どれも楽しく読めました。
犬についての章は、ジャッカル由来の犬とオオカミ由来の犬の違いについて書かれてて、
へー、なるほどなあ。と思ってしまった。
ジャッカル由来の犬の方が人なつっこいんですって。
オオカミの血が濃いほど、主に忠実に。日本犬はこのタイプですよね。
確かこの人、犬についての本も書いてたはずだから、
そっちも読みたくなってしまいました。
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by mi-narai | 2016-06-26 10:31 | 2016年上半期の読書

『植物学「超」入門』『世界の名前』『カラスの教科書』

今年も最寄りの博物館で古代ギリシャ展があると聞いて、うはうはしております。
K市の博物館、パイプがあるのはエジプト関連だけかと思ってたら
意外とその他の古代文明も網羅してるのね。
有難いことですよ。



逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

渡辺 京二 / 平凡社

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『逝きし日の面影』

正直に言います。アマゾンレビューが良かったから買いました。

著者の著作目的を簡単に言うと、
今の日本は江戸時代からつながっているように見えるが
文明としての江戸とは断絶してしまっているのだ、
その滅びた江戸文明を、当時の外国人の残した記述からたどってみよう、というもの。
自文化というのは、中にいる成員にはどこが特異でどこが普遍か分かりにくいようで、
こういう時外からの視点は文化人類学的アプローチとして有効なのだそうですよ。
著作の中で、若干他の日本人学者の記述に反発するような言及が多いのですが、
…一昔前は、日本なんてダメだ、という見方が大勢を占めてたもんな、
それでなくても、あんまり自国文化を「俺スゲェ」すると下品な感じがするし。
たぶん、この方がこの本を書かれた当時は日本を見直すような言動は受け入れられなかったのだろうな。
(今は日本アゲ情報に溢れてますが)
そんな風潮の中、あえて「もっとフラットに自国文化を見て見ようよ!」
と頑張ってみたのがこの本です。
著者も再三しつこいくらい「いや、自国文化を自慢したり、やっすい愛国心に
まみれたいわけじゃないねん」と書いてて、そこは誤解してほしくないようです。
確かに褒める記述は幾分多目ですが、
大抵その頃の外国人て鼻持ちならん西洋史上主義に毒されてるから
貶す記述は今見たら鼻で笑っちゃいそうな理由だろうし、
そちらを必要以上に取り上げる必要もない気がしますもの。良いのではないでしょうか。

構成は、テーマ毎に外国人の著述が集められ、それを元に当時の文化を考察するという
形になっています。割合真面目な内容です。
面白かったよ。
繰り返しが冗長でしたが、へー、昔はそんなんだったんだな、という驚きと
昔からこんな感じだったのか、という安心感のどちらをも感じました。
特に江戸から明治に掛けての記述に「日本人は子供にメロメロだった」、という
のがあって、心があたたまりました。


植物学「超」入門 キーワードから学ぶ不思議なパワーと魅力 (サイエンス・アイ新書)

田中 修 / SBクリエイティブ

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田中修著『植物学「超」入門』
またも職場の超絶かわゆらしい上司にただでもらったので!
いつもありがとうございます!
今回は、植物についての基礎知識、そこそこ踏み込んだ内容を、
大変にわかりやすく簡単な言葉で丁寧に説明してある本でした。
ひとつのトピックに付き大体2ページほどなので、途中でなんのはなしか分からなくなる心配も皆無。
読者に優しく、植物学知識も増え、少し難しい内容やこぼれ話ににやりとし、
ひいては人々の植物に対するさらなる興味をかき立てることにも成功したいい感じの本だと思います。
流石に田中先生のご本はこれまで何冊も読んだので、これ、知ってるで、という
箇所もあるのですが、そうして少しずつパターンを変えながら繰り返して読ませ
植物の情報を人々の長期記憶に刷り込もうという、遠大なる計画な訳ですね、
分かります。理系の学生増えろ!
先生は教育者の鑑でございますよ。
知ってる知識ばかりだと思ってたらちらちら知らないネタもあったりして、
これは、好きな方の本だった!


世界の名前 (岩波新書)

岩波書店

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『世界の名前』
岩波書店辞典編集部が編纂してます。
その言語の専門家が専門言語の人名に特化して2ページほどにまとめて書いた物を
集めた新書。これが面白くないはずがない!!
世界中の地域が網羅してあって、アジアも東、東北、東南、南、西、
ヨーロッパもスラブから北ゲルマンにロマンス諸語、
南北アメリカ、洋上の島々、オーストラリア、
いろんな場所の、思いがけない名前の付け方とか知れて、
すんごい楽しかった!!
もともと名前の付け方とかにものすごく興味があるので!
例によって、ちらちら思ったことを箇条書きに。

・文字を持たない民族ほど名前が赤ん坊が生まれたときの状況説明っぽくなるのは面白い。

・カメハメハって、亀はめ波では勿論無く、カ+メハ(×2)だったよ!衝撃!!
しかも、長い王名の真ん中変の一部だった!(これは良くあること)
カが名詞に付く定冠詞っぽいなにかで、メハが一単語で、繰り返して「寂しい」って意味なんだって!

・現在の名前の混交具合から、過去の歴史をひもとけるのは面白いなあ。
系統の違う名前が一定の割合で混じってたりするの。

・宗教力も半端ねぇ。特に一神教。聖書の名前が世界には溢れすぎ!

・スラブの辺りの、名字の語尾で国が分かるってやつ、面白い。
~ヴィリだとグルジアとか。スケート選手でゲデバニシヴィリっていたなあ。

・父称を使うのは、スラブとアラブとアイスランドくらい?

・時々文学上の名付けの話も載ってて、これまた興味深く読みました。

・最後の辺り、母校の先生の寄稿があって吃驚した。おおっと。

・日本でも昔は7歳くらいまでは神の子、みたいに考えてたっぽいけど、世界各地で
この風習はあったのね。乳幼児の死亡率の高さの問題でしょうか。

・スーザンって名前がエジプト起源て、マジか!

とりあえず、いろんな先生のネタ話をつまみ食い出来るおもしろさがあって。
お勧めです。


外国語を学ぶための 言語学の考え方 (中公新書)

黒田 龍之助 / 中央公論新社

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黒田龍之介著『外国語を学ぶための 言語学の考え方』
「世界の名前」が2ページにぎゅっとエッセンスを詰め込んだ本だったので、
それに比べたら内容が薄いと感じてしまいましたが、
著者に失礼ですよね。わかりやすく、読みやすく、とっつきやすい語学本です。
これまではもっと具体的な言語について書かれてた印象なのですが、
今回は一瞬それとは分からないものの最後まで読み終わると、言語学の大枠や
重要な用語についてざっと分かるようになってるんだなあ、と思いました。
読まされてる感はないのに読み終わるとちゃんと言語学の用語やその用法が
ざっくり頭に入ってるのはすごい。


カラスの教科書 (講談社文庫)

松原 始 / 講談社

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『カラスの教科書』
動物行動学カラス専門の著者による、
まるまる一冊カラスについて書かれた本。
あー。楽しかった!!
狼好きであると共に、カラス好きでもある私、
大変に楽しんで読んだことを告白します。
全てのページをドキドキしながら目で追いましたよ。
ワタリガラスの神話を知って以来カラスファンなので!
朝道で見かけたら、今日一日良いことありそうだな~と思うくらい好きです。
で、この本、カラスの種類から一生、習性、縄張り、対処法など
項目別に書いてあるのですが、例によって思ったことを箇条書きに。

・ハシブトガラスとハシボソガラスが日本に多い種類なのは知ってましたが、
ようやくきちんとした違いが分かりました。
鳴き声がクリアなのはハシブトらしいから、家の近所、職場の近所にいるのはハシブトだな。

・都市にこれだけカラスがいるのは日本くらいで、海外ではもっと小さいカラスがいる程度らしいよ。
特にハシブトはもともと熱帯の森に住んでたらしく、東南アジアの人にとっては
今でも森にいる鳥なんだとか。

・生ゴミを漁るカラスですが、中南米ではその役割をコンドルが負ってると聞いてふるえました。
パネェ…

・カラスの名前の根拠が「カー(鳴き声)」+「ス(鳥につける語尾)」というのも書いてあったよ。

・ワタリガラスって、全体が大きいのもあるけど、羽も細長くって、他のカラスと違って
滑空するように飛ぶんですってね。カッケェ…!!!!!

・カラスと猛禽の関係の項では、猛禽の能力値の高さに震撼しました。

・カラスの子供愛に頭が下がります。攻撃してくるのは大体子供を守るときだけで
それも足で蹴るくらいらしい。

・昔、友達から「小さい頃カラスに口にくちばし突っ込まれてから怖い」という話を聞きましたが、
今思えば、子ガラスに餌やる感覚だったんじゃないかなあ。
赤い色とか見ると、鳥的には餌をやりたくて溜まらん気持ちになるらしいので。

・鳥には紫外線が見えてるらしい。鳥の目には世界はどんな風に見えているのかなあ。

・反対に嗅覚はほとんど効かないらしいですよ。

他にも、ページをめくる度にいちいち「へー」と思いにやにやしたものですが、
にやにや回数が多すぎて全てを書き切れません。
自分の子供間違えた話とか、著者がカラスの親にめっかって肝冷やした話とか
面白かったです。カラス万歳!


もう年はとれない (創元推理文庫)

ダニエル・フリードマン / 東京創元社

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『もう年はとれない』
異色の後期高齢者ハードボイルド
主人公はなんと87歳です。
でもハードボイルド。
人物設定としては、ユダヤ系のアメリカ人で、第二次世界大戦にも従軍し、
その際捕虜収容所ではドイツ人看守のせいで酷い目に遭い、
その後は殺人課で刑事一筋うん十年勤め上げた叩き上げのマッチョなんですが、
寄る年波には勝てず、今ではただのよいよいのおじいちゃんです。
たいてい、年寄りが主役の場合、二流の物語だと、年寄りのくせに強いとか、
スーパーじいちゃんになってて、加齢によるデメリットをファンタジーで打ち消すのですが、
この物語では、じじいはじじいです。
銃に撃たれることと、転倒して骨折って死ぬことが同列だからね!
めちゃめちゃ無力だからね!!
武器は刑事次代のノウハウと修羅場をくぐり抜けて培われた胆力のみ。
そんなじいちゃんが、知り合いの臨終の際、
捕虜収容所で自分をいたぶってくれた憎いドイツ人が実は生きてて
しかも金塊を隠し持ってるという隠し情報を聞いちゃったところから物語はスタート。
今時の若者である孫と二人、ドイツ人の追跡に乗り出します。

あんまりハードボイルドは得意じゃないけど、意外に面白かった。
次々と起こる殺人とそれに関する推理がテンポよく進み、飽きずに最後まで読みました。
アメリカにおけるユダヤ教徒の視点も興味深かった。
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by mi-narai | 2016-05-14 17:09 | 2016年上半期の読書

『大航宙時代』 『ニュートリノって何?』 『時の地図』

テレビ

「ちかえもん」

いわずと知れた木曜時代劇。
ドラ○もんではありません。
名前だけはめちゃくちゃ聞いたことあるけど著作は一作も読んだことのない
近松門左衛門(漢字合ってるかしら)の話だと聞いて興味を引かれて見始めました。
1話目あたりは「なんか、思ってたよりパンチ利いてへんな」と思いながら見てたのですが、
3話目あたり、お初と徳兵衛の事情がじわじわ明らかになってきたところくらいから
加速度的に面白くなってきて、今では続きが楽しみで楽しみで仕方ありません。
後一回で終わっちゃうってつらい。
…などという陳腐な言い回しはわしのプライドがゆるさへんので(決まり文句)
大人しく次回を待とうと思います。
1回目の感触で録画を消しちゃってもったいないことしたな~!

それにしても、まさか青木さんを可愛いと思う日がくるとはなあ。
万吉に対しては、小学生の男の子を見守るような微笑ましい気持ちになりますよ。


アップしない内に最終回も見終わりました。
脚本家に一回騙された。
でも、万吉のくだりではちかえもんと一緒に大泣きしましたよー!
まさかあんなオチに持ってくるとは思わへんかったけどなー!!
ああ、でも終わっちゃって寂しいな。
曽根崎心中を読んでみたくなりました。



ここから本

大航宙時代: 星海への旅立ち (ハヤカワ文庫 SF ロ 9-1)

ネイサン・ローウェル / 早川書房

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ネイサン・ローウェル著『大航宙時代』
買ってから積んで置かれてた本。
『リヴァイアサン』でSFづいたので、勢いで読んでみました。

…面白かった!!

いや、この話、何が起こる訳じゃないんです。主人公の日常がひたすら書いてあるだけ
なんだけど、それがすごい楽しい。
冒険活劇じゃなく、日常系というか、青春小説っぽい。
でもって、

わくわく商船ライフ本

であります!
時は未来、舞台はとある星。どうやら財閥とか企業とかが力を持ってる社会らしく、
最初、主人公は、丸ごと一個の企業が所有して運営してる企業星で教師をしてる母と
二人で住んでるんですが、ある日母親が不慮の事故死を遂げるんです。
いわゆる社宅みたいなところに住んでいたものだから、社員の母が亡くなって、
主人公はそこを出て行くよう言われるわけです。
星ごと企業だから、星から退去せよと。
でも、星を出て行くための路線の運賃は馬鹿高いし、通行手段と金とを稼ぐ一石二鳥の方法として、
主人公は星々を巡る貿易船に、下っ端水夫として乗り込むわけ。
こっから商船生活が始まるんだけど、物語は一貫して主人公目線で進むもんだから、
何もかも目新しくて、面白くて、へー、商船てこうなってるんだとか、
こうやって運営されてるんだとか、船内はこうなんだな、とか、船員は暇なときこうしてるんだとか、
自分の積載枠での個人貿易始めてみようとか、
1年先輩の同僚が実は商人一族の出身でものすごい商才に長けてたとか、
個人貿易も仲間とやってみたらどうかしらとか、
ほんま、戦争が起こるわけでも企業間の汚いあれこれがあるわけでもないのに楽しいのです。
ただ、主人公がいい子すぎるのと、出てくる人がみんな理性的なのはちょっと
都合良すぎるかな、と思うけど、そのおかげで読むのは大変にストレスフリーでございました。
原作は後5作くらいあるみたいだから、早く訳してくれないかなあ。


命売ります (ちくま文庫)

三島 由紀夫 / 筑摩書房

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三島由紀夫著『命売ります』
またもお茶友に貸された三島本。
なんでそれほど三島好きじゃないくせに買うのかね、君は。
でも、これは「一大エンタメ小説」の帯に違わず、大変読みやすい小説でした。
なんか、ぼんやりと世界に絶望した主人公が自殺を図って失敗するとこから始まるんだけど
もう命いらんと思ってるわけだから、「じゃあ、売っちゃえ」てなもんで
それを商売にするわけ。
で、次々と命を買いたいという人々が現れて、主人公はそのたびに巻き込まれ、
からくも生き残っちゃうんだけど、
うん、話の筋は飽きさせないつくりで比喩もすばらしくさすが文豪なんですが、
娯楽で読むにはちょっとよくわからん後味です。
連載されてたのが「プレイボーイ」らしく、女性に対して突き放した言い方が多かったり、
サービスシーンが毎回あったりもします。
でも、これまで数冊三島に挫折してきたお茶友が「初めて読み通せた!」と
言うくらいなので、取っつきやすいことは確かだと思います。


民間薬の科学 病気やケガに効く……民間の言い伝えはどこまで科学的か!? (サイエンス・アイ新書)

船山 信次 / SBクリエイティブ

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船山信次著『民間薬の科学』
いや、なんか、気が向いて買っちゃった本。
民間薬、と呼ばれている日本で昔から使われていた薬草たちを
薬剤師の著者が列挙していく淡々とした一冊。
でも、ちゃんと化学式も載ってて、なかなか面白いです。
けっこう道ばたに危険な草って生えてるもんだな、と思いました。


ニュートリノって何?: 続・宇宙はこう考えられている (ちくまプリマー新書)

青野 由利 / 筑摩書房

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青野 由利著『ニュートリノって何?: 続・宇宙はこう考えられている』
すごい面白かった一昨目の記憶があったので買ってみた2作目。
これも違わず面白かったです。
科学記者が、一般人にわかりやすいよう大層かみ砕いて書いてくれているので、
専門に物理を学んでいる人よりもまさにわたしのような浅薄無学な輩にこそぴったりの本でございます。
タイトルの通り、まるまる一冊ニュートリノについて貸いたもので、
そもそも、ニュートリノ、という概念がなにをきっかけに想定されたのかとか、
名前が付いた理由に、その観測方法の歴史、方法の変遷、
派生した理論のその後などを詳細に追っています。
まあ、ぶっちゃけ、今回ニュートリノ振動がノーベル賞とらんかったら出版されなかったと思うんだけど、
逆に言えばそれだけニュートリノが振動する、てのがどれだけすごい発見かが分かろうというものです。

それにしても、理論物理学者がたてた予想が、実験屋によって観測されるまで
大体数十年かかるのね。大変だなあ。

この本、一般読者が飽きないようにか、科学者たちの横顔もさらっと入れてくるので
小難しい物理話に頭が飽和し掛けたわたしなどは、何度もそれに救われました。
科学者同士の厚い友情話にそっと涙したよ!
後、小柴先生が超イカす!


時の地図 上 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-1)

フェリクス J.パルマ / 早川書房

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時の地図 下 (ハヤカワ文庫 NV ハ 30-2)

フェリクス J.パルマ / 早川書房

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フェリクス・パルマ著『時の地図』(上)(下)
著者はスペイン人ですが、舞台はイギリスです。
3章仕立てになってて、1章2章はぶっちゃけ読むのがたるいし、
出てくる登場人物(特に男性)がシモいか陰気か尊大かであまり好きになれず、
著者がたびたび読者に語りかける地の文が鼻につき(講談聞いてるようで面白くもあったけど)
よっぽど途中で放り投げようかと思いましたが、
がんばって読み進めたら第3章でのめり込みました。
読後感は良かった。
でも、手放しで進められるかというと、ううむ、どうなんだろう。

面白いことは面白いけど人によってはとことんダメかもしれん。

といった感触。
物語のテーマである時間旅行に関しても、1、2章でああ持ってきたから
そのまま最後までそれで通すのかと思ったら、3章で手のひら返したしな。
いや、1、2章で出てきた諸々が3章でちゃんとつながるのは、
シャドウ・オブ・メモリーズみたいで面白かったですが。


ゲーム
現在、今更ながら「ファイアーエムブレム覚醒」と「信長の野望201X」にはまっています。
「覚醒」はそろそろ7周目が終わりそうだよ~。自分の心を正直に見つめると、
わたし、ヴィオールさんが好きかも。面白いもん。後、女性なら断然ベルベットさん。
「信長」の方は、コーエ○さん発の基本無料のネットゲームなんですが、
とうらぶ、進撃タイピングくらいしかネットゲームの経験がないわたしが言うのもなんですが、
システム的には進撃の方に似てるかな。と思います。
いや、でも、髭&おっさん、おじいたん率が高いのは好感度高いです。
パーティ全員おっさんで、とうとう『漢は漢の花が咲く』とか報道されちゃったよ、おい。
さすが老舗ゲームメーカーだけあって、ただなのに、すごい快適に遊べてます。
最初のゲーム画面に「一部課金箇所があるから気をつけてね」的な但し書きを
ちゃんと書いてくれてるのも好感触。
使ってると、これまで聞いたこともなかったモミーとか、榊原さんとか、
知らん武将に愛着もわいてくるし、三好の乱とかにも詳しくなってくるし、
楽しいです。楽しいです!
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by mi-narai | 2016-03-14 10:05 | 2016年上半期の読書

『中国の神話』 『リヴァイアサン』 『折れた竜骨』

年末にネットでお買い物をしたんだけど、年が明けて届いたものの消印が
片っぽが広島、片っぽが帯広になってて、超テンション上がった!
(遠くから何かが来るとすごい嬉しいな~!
これ、それぞれの地域の郵便局を経由してきたんだなぁ、と思うと感慨深い)
送って下さってありがとうございます!


初夢
なんかよう分からん夢をみました。
わたしは文学部にいるんだけど、理工学部がどうなってるのかしりたくてしりたくてたまらないの。
特に、コンピュータを扱ったり機械を作ったりする学部、情報工学部が。
で、ある日思いあまって突撃するわけ。
入り口入ったところで早くも職員らしき女の人に誰何されるんだけど、もうここは正直になろうと思って
「文学部のものですが、どうしてもこの学部が気になって、今日は見学にきました。
見て回ってもよろしいでしょうかッ!」
と頼み込んだら、割とあっさり許可が出ました。

中に入ったら、学生の7割が何故かケンタウロスだった。

で、わたしは驚きもせずに「ああ、昨今少子化で大学も生き残りをかけていろいろ変わった取り組みしてるもんな。確か、この大学、ケンタウロスの入学を受け入れる、ていうユニーク策打ち出してたわ」とか思い出すわけ。

しかし、何故情報工学科にケンタウロスが集まる結果に???

根っからの文系人間であるわたしには理系の学部が何をやっているのか想像がつかなかったようで、
研究室等は夢に出てこず、何故かそこでレクリエーション中のケンタウロスの一人に、
手作りパンを振る舞われたりしました。
それが、めっちゃ!うまかってん!!!外はぱりっとしてて、中はふわっふわやねん!
もちもち、じゃないねん。ふわふわやねん。ぱさぱさでもないねん。
あの感動をどうお伝えすれば…
、「おおお!!オラ、こんなうめぇもん食ったことねぇだ!」などと
たず役演じてるマヤちゃんみたいに感動してたら目が覚めた。
いったいなんだったのか…


大阪古墳ハイキング
半年ほど前の奈良古墳ハイキングに引き続き、大阪での古墳ハイキングも催されたので
素知らぬ顔で参加してきました。
たぶん、主催者にはまた妙なのが混ざってると思われてたに違いない…(ごめんなさい)
前回の奈良と違って、今回の大阪は、大きな古墳が多かったです。
ニントク天皇陵とか。ミサンザイ・ニサンザイ古墳とか。
前は人んちの畑とか人んちの庭とかに踏み込んで墳墓に上り、
中にまで入れる古墳の未発掘・放置ぶりが目立ちましたが、
さすがに今回ほどの大きな古墳になるとちゃんと観光地として囲われてて、
堀にも水が入ってて

THE古墳

という感じでした。
しかし「墓」扱いの古墳が多く、入り口に宮内庁の立て札が立ってて墳丘の中には入れなかった…。
後、堀の水、あれ、江戸時代にはため池として使われてたと聞いて、ずっこけそうになりました。
ま、まあ、水がためられそうな堀が目の前にあったら、使うよな。合理的ですよ。


第九
久々に生第九が聞きたくなって、行って参りました!
貧乏なわたしにしては大枚張り込んだんですが、その甲斐あってか
これまで聞いた第九の中で最も演奏が素敵でした。
そう!第九の最後の部分は庶民としてはがーっと盛り上がったまま
突き進んで高らかにファンファーレを響かせるように終わってほしいの!
小難しい曲の解釈はいいから、変にゆっくりひっぱったりしないで欲しいのよ!

値段は伊達じゃなかった…!!!

その前に見た佐渡ゆたかの第九番組で、
「ベートーベンは人の声でしか表現できないものがある、と考えて
第九の第4楽章に合唱を入れた」と聞きましたが、
歌詞や、和音からもたらされる重厚感、クライマックスへの盛り上がりを併せて、
全くその通りだ、とベートーベンの正しさを痛感しました。
あの合唱が入ったところで、感動で泣きそうになるもん、毎回。
一つ一つの音ってのは波長じゃないですか。
人間がそれをとらえる気管は鼓膜しかないとしても、物理的な影響を体を構成する
素粒子に及ぼしてないとは言い切れないじゃない。
あの、すごい数の楽器の、しかも全部が違う動きをしてる音と、
更にその上に、4部構成の人の声60人分くらいが加わって、
本当に、音を浴びている、という感じになるのですよ。
気持ち良かったー!!
やっぱり拡声器を使わないたぐいの楽器の演奏は生と録音じゃ全然違うよ!
劇場に直接行くのと録画を見るのじゃ全然違うみたいに、違うんですよ!!

また何か演奏会に行きたくなりました。
でも
・あまり金がかかるとつらい
・演奏会のプログラム曲をそれほど知らず、行く気にあんまりならない。
という二つの阻害要因が。曲の方は、わたしの不勉強が悪いのよね。
ストラヴィンスキーとか聞いてみるべき…??


映画
『SW エピソード7』
スターウォーズも行ってきたよ!
楽しかったです。
いろいろ前作をふまえての小技が利いてて、前作も好きな私は
にやにやしながら見てしまいました。
前作と言えば、正月辺りにやってた古い方のスターウォーズ見てると
毎回トンネルミッションがあるんですよね。
戦闘機で狭い通路くぐり抜けてターゲットに命中させ、
更にヒットエンドランで一目散に逃げないといけないアレ。
エスコンのすべてのトンネルに泣かされてきたへっぽこプレイヤーの身としては
「ああああ、いやだ、トンネルはもういやだ、あんなトンネル絶対無理」
と人事でなくガクブルしながら見ていたのですが、

エピソード7でもありましたよ、トンネルが!!!

今回は主人公サイドは、腕利きのパイロットがその難ミッションを軽々こなす様を
見ほれる側だったんですが、そちらの視点に立って初めて、

真のエースがどういうものかが分かりました…!!!

すっごいよ!!すっごいパイロットですよ、ダメロン!!
正確に敵だけをねらい打つ対地スキル、ミサイルの命中精度、なのに落ちないスピード、
追撃をスレスレ交わす飛行技術の絶技、どれをとっても神業ですよ!!!
レジスタンス一のパイロットと自称してもこれなら納得。
呼び捨てなど恐れ多い。これからは尊敬を込めてダメロン先輩と呼ばせていただきます。
今回一番感動したのは、なのでダメロン先輩の腕前に対して、なのでした。

いや、大筋の方も、楽しく見終わりましたよ。
結構謎が残ったままなので(主人公の出自とか)、
次のエピソードが待ち遠しいです。


テレビ
「プロファイラー」という番組の「ミケランジェロ」回、

ゲストが荒木先生だった…!!!

ミケランジェロもすごかったけど、荒木先生にすべてのインパクトを
持って行かれました。
先生は、紳士的な素敵な方でしたよ。



ここから本

カンナ 戸隠の殺皆 (講談社文庫)

高田 崇史 / 講談社

スコア:


高田崇著『カンナ 戸隠の殺皆』
お借りした本。第二段。
相変わらずのウザい歴史観なのです。
本気で言ってる風なのがいたたまれませんが、
この本はとんでも歴史ミステリーとしてかっとびっぷりを楽しむものだと思えば、まだ笑えるかな、と
最近達観してきました。
うん、あの発想は無かった(笑


中国の神話 (1980年) (中公文庫)

白川 静 / 中央公論社

スコア:


『中国の神話』
読み始めて随分立ちますが、まだ半分くらいまでしか進んでません。
タイトルの通り、中国の神話について書かれた本。
著者が漢字の研究や辞書で有名なあの白川先生です。
中国の神話を系列とか無視してズラズラ並べる子供向けのアレではなく、
亀甲占いの象形文字まで持ち出して、
中国の文字資料に現れる神や古王の伝承が、
どの系統の民族のいつ頃のどういった分野の神話なのかまでを
細かく検証して述べてある風の、大変読み応えのある一冊です。
面白い!
でも、進まない…
ええ、毎回言うように、漢字がネックなのです。
そんなに漢字苦手なら中国モノは読まなきゃいいのにと自分でも思うんですが、
世界中の神話を網羅したいという野望を持つ身としては
やはり中国神話も避けて通るわけにはいかんと言いますか…・

今回、特に理解の妨げになっているなと思う点は

・白川先生の使用する漢字の熟語に馴染みがなさ過ぎて、人物の名前なのか一般名詞なのか
はたまた古代中国の役職なのかがさっぱり分からない
・引用部分がまるまる漢文の書き下し文で、素養のない私には読みづらい
・日常使う漢字ではないまるで見覚えのない複雑な漢字が固有名詞などに当てられていて、
読み方が分からず、まるで絵を丸ごと覚えるような仕様になってて記憶力を試される

この3点です。

特に、最後の、漢字の読みが分からない、というのは、今回しみじみ思ったのですが、
意外に覚えにくさを助長させているものだなあと。
言葉はやはり発音と連動して記憶するものなのだな。
現代日本語の常用漢字ならだいたい読み方は調べたら分かるし、
読みの候補もそう多くないのですが、
ものが古代の中国語ですよ。現代中国語での読みなら見当はついても
当時はどう読まれてたかなんてまるきり分かんないですよ。
古代エジプトの王名をとりあえず母音にEを当てはめて借り読みしてるみたいに、
とりあえず日本語の音読みで覚えるしかないのか…
絶対そう発音していたわけないのになあ…

漢字の話はおいておいて、
感じたことを箇条書きに

・中国には神話がないと言われるけど、そうでもないらしい。
最初は、「状況はローマと似てるのかな。
歴史の方に神話的要素をぶっ込んじゃったというか」ほどに感じていましたが、
もちろんそういう要素はあるのですが、それだけでもなく、
流石に中国の方が初期ローマの何倍も広いだけあって、事情は更に複雑でした。

・当たり前だけど、中国大陸をいくつもの民族が席巻してたんだなあ。
で、それぞれが独自の神話体系を持ってて、移動や勢力争いで接触する度に
少しずつ影響を与えあってきた、と。

・それぞれ民族の洪水神話を考える段で、大体が龍タイプの水神を設定する中、
どっかの民族だけ、

魚人

だったのには吹きました。
シュール過ぎる…!!その発想は無かった!

・イ系の民族の、ゲイ(どちらも漢字が出てこない!!)の神話、
これもシュールで好きです、ほれ、太陽を射落とす男の話。
これに絡めて、かつてインでは、10個の太陽を設定し
この10個はすべて個々の性質と祭祀を持っていたんじゃないか、みたいな
説が語られてて、これまた想像もしてなかった説にときめきました。
10個の太陽が、かわるがわる順番に毎日上がってくるのって、
ちょっと面白いですね。
マジでその発想は無かった!


リヴァイアサン: クジラと蒸気機関 (ハヤカワ文庫SF)

スコット ウェスターフェルド / 早川書房

スコア:


ベヒモス―クラーケンと潜水艦― (ハヤカワ文庫SF)

スコット ウエスターフェルド / 早川書房

スコア:


ゴリアテ-ロリスと電磁兵器- (ハヤカワ文庫SF)

スコット ウエスターフェルド / 早川書房

スコア:


スコット・ウェスターフェルド著『リヴァイアサン』
『ベヒモス』
『ゴリアテ』
三部作。
面白かったです!!!
『白金の王冠』を読み終わった後は、これから何を楽しみに生きていけばいいんだろう
と本気で悩みましたが、
この本を読み始めてその悩みはあっという間に解消されました!!
1巻の最初の導入からワクワクしたよ!!

ジャンル的にはスチームパンクで、物語の始まりは1914年から。
そう、第一次世界大戦です。
あの発端になった、セルビア人青年に暗殺されたオーストリア大公夫妻に
実は息子がいたって設定で、
このオーストリア公子が主人公の一人、アレキサンダー(アレック)。
で、世界は産業革命に始まる工学技術を発展させていった人々の陣営(クランカー)と
ダーウィンに端を発する遺伝子工学を発展させていった人々の陣営(ダーウィニスト)に分かれて
縄張り争いをしているわけ。
ちなみに、オーストリアを含むドイツ側がクランカーサイド、
イギリスを中心に連合側がダーウィニスト陣営です。
クランカー側は、8本足の陸上戦艦はじめ、モビルスーツ的なモノを開発するところまで
技術開発が進んでいるし、
ダーウィニスト側は遺伝子操作した動物を機械の代わりに日常に取り入れ、
主に海洋生物を操作して航空機を創造してるの。
第一部のタイトルになった「リヴァイアサン」は
クジラをベースに何百という生物の遺伝子を複雑に組み合わせて作った
生きた飛行戦艦の名前で、
英国海軍はその空飛ぶクジラでクランカー側の機械と戦うのよ。
ちなみに、女の子であることを隠して英国空軍に入隊したディラン・シャープ、こと
デリンがもう一人の主人公なんですが、このデリンが本当にかっこよくって!!!

とにかく!
・追われる貴族の坊ちゃん
・意地悪な剣術師範
・空飛ぶクジラ
・男装の女の子(ただし、中身はヘルメス。すっごい頭の切れる士官候補生)
・英国海軍モノ(実際には空軍だけど、戦艦なので序列は海軍)
・美人女科学者
・2本足のレイバーを操縦
・激動する世界情勢
・若い二人の陣営を越えた友情
・クランカー側でいう機関長が、ダーウィニスト側では主任生物博士なんだぜ!
・ロシアの戦闘熊超こえぇ!!
・日本も出るぞ!
と、もう出てくるキーワードがすべからくすべてツボで(冒険活劇大好き!!)、
しかもジュブナイルなのでえげつないやりきれない描写はなく、全体的に清々しく、
淡いラブなんかもあったりして、
読んでる間もうほんと、楽しくて楽しくて!!
第1巻は、ほぼリヴァイアサンに乗船してる状態で話が進むんですが、
この生きた戦艦がまた、ね!!素敵でね!!
甲板作業してるとき、足の下でクジラの繊毛がわさわさ揺れんのよ!!
バラストはクジラの排泄する汚物だし(笑)。
攻撃手段としてのコウモリとか鷹とかがクジラの一画で飼われてたりするのよ。
最初は、クランカー側のメカメカしさが素敵だなと思ってたのに、
読み終わる頃には、クジラに首っ丈になってました。リヴァイアサン万歳!

あー、楽しかった!

ジブリの「ラピュタ」がお好きな方には問題なく楽しめると思います。
あんな感じの、ワクワクするテンポのいいスチームパンクですよ。
シータみたいな、女の子っぽい女の子はあんまり出てこないけどね。
(ディランが男前過ぎて、途中、男の子同士の友情的に燃えた。
2巻の途中で、二人は喧嘩するんだけど、ちょうど仲直りの部分読んでるときに、
出先だったので1ダイレクションの曲がかかってて、それがまさに
場面にマッチしてて、すごい盛り上がった!!!)


折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

米澤 穂信 / 東京創元社

スコア:


米澤 穂信著『折れた竜骨』
お借りした本。
歴史ミステリーファンタジー風味。意外にちゃんと推理ものです。
最終的な犯人の処理とか、ちょっとご都合主義かなと思う箇所は無いこともないけど、
ジョン欠地王時代のイングランドの僻地の島という舞台設定や
魔法が存在するパラレルワールドというファンタジックな世界観が結構楽しく、
気軽にさくさく読みすすみました。
上巻の最初の辺りは4回ほど寝落ちしましたが、殺人が起こってから犯人捜すくだりは
普通に推理小説っぽく、面白かったです。
でも、一番盛り上がったのは、バイキングが攻めてきた辺りです。
(それ、推理関係ない。)
あんまり日本人作家の本は得意ではないけど、最後の犯人当ての辺りなど
ワクワクしながら読んでしまいました。

いや、後書きに、修道士カドフェルの名前が出てきたのをみつけた時が一番ワクワクしましたけどね!
作中の地の文で「モード女帝のすぐ後の時代」、って記述読んで、カドフェルを思い出してたけど、
意識して書いてたんか。そうかそうか。
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by mi-narai | 2016-01-24 22:30 | 2016年上半期の読書