カテゴリ:2014年上半期の読書( 7 )

『出雲神話の誕生』 『三人目の幽霊』 『英国人一家、ますます日本を食べる』

出雲神話の誕生 (講談社学術文庫)

鳥越 憲三郎 / 講談社

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鳥越憲三郎著『出雲神話の誕生』
今半分ほどまで読んだところです。
いちいち、説の典拠をしめして丁寧に丁寧に説明なさるので、
読むたびに寝落ちしますが、それでも!面白いですよ!!
そもそも、民間に広く流布してる大和VS出雲の図式がまず間違いじゃね?
みたいな著者の主張ですよ。だって、出雲、どう考えてもそんなに勢力強くないもん、みたいな。
(「出雲より、山陽側の吉備の方がよっぽど地域力高いやん」By憲三郎)

…どうです、ちょっと面白そうでしょ。

まず、古代の出雲にどんな豪族が住んでてどこが発展してたかを
古墳の分布とか、出雲風土記とか、古事記、日本書紀、その他文献資料から推察し、
その次に古事記と日本書紀成立時に携わった人員を割り出し、
もともと栄えてたのとは違う地域の神話が何故に採用されたかを推理してます。
日本史も浅い知識しかないからこれが正しいのかとんでもの類なのかは分からんが、
歴史的な事柄から古事記における出雲神話があんなことになっちゃった経緯を考えるのは
超楽しいです!
この方、文化人類学が専門らしいのに、妙に歴史寄りだよなあ。素敵です。
この方に寄ると、出雲の首長たち、自分たちがもともと信仰してたのとは全く違う神話を
「出雲の神話です」って国家神話(記紀)に乗せられちゃって大層びっくりしたけど、
そこはそれ中央にすり寄って地域の発展につなげてやれと、乗っかっちゃうんですよね。
この辺り、ありそうで笑っちゃった。こういう政治のドロドロ、見てる分には大好きです!

今から神話の内容に踏み込んだ話になるみたいなので、
寝落ちに負けずに頑張って最後まで読み通そうと思います!



数日後、やはり3回ほど本気で寝落ちしながらも、最後まで読みました!
いや、面白いんだけどね。なんで眠くなっちゃうのかしら…。
後半はオオクニヌシとか、ヤマタノオロチとか、スサノオについて、もうちょっと踏み込んだ感じの内容です。
地元で信じられていたもとの形をまず推測し、それがどういう政治的意図で古事記、日本書紀、
みたいな形になっちゃったのかを説明しています。
三貴神についての推察は、大林先生の本で東南アジアあたりでも3人セットのとこがあったと
書いてあったような気がするから
絶対「日月+1」だとは言い切れないとは思うけど、
オオクニヌシの婚姻のあたりの、それぞれバラバラに祭られてた二柱の神の間に
どんな感じで婚姻関係が結ばれるのか、みたいな考察があって、それはちょっと面白かったです。
ギリシャ神話でも、こんな感じで本来ばらばらだった各神の間に、信仰形態の変遷によって
付随して神話上も婚姻関係が結ばれたりしたんだろうなと。
もともとセット崇拝てパターンもそらあったろうけど。
政治的に支配範囲が広がったり、交流範囲が広くなったりして、
とある部族が他の神を信奉している他の部族の人々と出会って
どんどん信仰している神が習合したり婚姻関係が結ばれて、
その結果時代が下るほど神話形態が複雑になるわけだから、逆に考えれば
元の形はシンプルなわけだよな。そら。


たんぽぽ娘 (奇想コレクション)

ロバート・F・ヤング / 河出書房新社

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『たんぽぽ娘』
ちょっと飽きてきた


三人目の幽霊 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉崇著『三人目の幽霊』
何故か最初の話で短編なのに読み終わるまでに6回ほど寝そうになりました。
でも2話目からは普通に読み進められる…。なぜ?
後、2話目に入ってようやく主人公が女の子だと気づいた…!
(若い男の子だとばかり思ってました)
落語ものとしては、『ハナシがちがう』シリーズの方が好きですが、
推理物としてはこちらの方がテンプレです。
いや、落語ものとしても十分面白いですヨ。
落語雑誌の編集部にこの春入部した主人公が、
落語関連の事件に巻き込まれ、この道何十年の上司が解決する話。
(探偵役は毎回上司の牧さん)
とりあえず、二冊目を読みます。


七度狐 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉崇著『七度狐』読了。
これまた読み終わるまでに10回は寝落ちしましたが、
中盤の殺人が始まった辺りから面白くなってきました。
孤立した集落に、古い村、排他的な村人、一族の因習、見たて殺人、などなど
本格ミステリーのお約束がこれでもかというくらいに詰め込まれてます。
この方、堅実な書き方をされる方だなという印象があるんですが、
裏返せば割と淡々としてて悪目立ちはしない、ということでもある。
なので、序盤はつい眠くなってしまうのですが、
主人公の女の子が事件に巻き込まれてよう分からんうちに周りで次々人が死に
危険な立ち位置に立たされて、読者がハラハラさせられるあたりから
ようやく眠らずに読めるように。
落語のネタが無理なく組み入れられてて、それも面白い。
落語の大名人、古秋一門の名取をめぐる争いと過去の因襲にまつわる殺人も、
最後に探偵役たる主人公の上司・牧がヘリで到達した辺りで収束し、
事件は解決するわけですが、…終わり方がキモ素敵でした。
ここまでコテコテに古典推理物を踏襲したんだったら最後もああでなくてはな。
寝落ちを繰り返した割に満足しました。


英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズ)

マイケル・ブース / 亜紀書房

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『英国人一家、ますます日本を食べる』マイケル・ブース著
二匹目のドジョウを狙った続編、ちゅうか、ページ数の関係で1冊目に入らなかった分をまとめたもの。

エッセイ集な上に、親子4人の珍道中で、著者のおっさんも皮肉の利いた英国人なので
今回もニヤニヤしながら読んでしまいました。
牛のマッサージの回が特に。
しかし、やはり自分の住まっておる地域に近い場所とか、一度行ったことのある場所について
書かれると、惹きこまれ度が違いますね。ああ、あれなー、と深く納得するというか。
知らない場所については、それはそれで外国のことみたいで面白いですが。
全く固い本ではないので、二日もかからず読み終えてしまいました。
とりあえず、最後の、日本食と歴史が密接につながっている、という話にはときめいた。
後、伝統的食材・調味料が先細って消えてしまうのは嫌なので、一消費者として
そちらを優先的に購入しよう、と思いました。
というわけで、わたしはビールやワインよりも日本酒を買うぜ…!(前と変わらんがな)
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by mi-narai | 2014-06-22 11:34 | 2014年上半期の読書

ダウントン・アビー 『ジョナサンと宇宙クジラ』 『もっとにぎやかな外国語の世界』

TV
『ホワイトカラー』
録りだめてたのを5話くらいまで見た。
主人公が頭脳派詐欺師で、自由と引き換えに警察に捜査の手伝いを強いられる話。
主人公の詐欺師の男の子、アウトリュコスみたいで(大胆かつお茶目)カワイイよ。
捜査官との間にじわじわ育まれる友情も良いです。


ダウントン・アビー [DVD]

NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

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『ダウントン・アビー』
父が、「『トンイ』が終わっちゃって悲しい」と嘆くので、
次は何かと思ったらなんと英国ドラマ。
珍しい、と思って見てみました。


おおおお!
ロマンス小説の世界ですよ…!

舞台は当に、貴族の領地にあるお屋敷。
貴族の結婚制度とか、跡継ぎ問題とか、培った無駄知識をここでフル活用です。
その上、このドラマでは小説では見過ごされがちな使用人たちの日々の仕事と生活が
割と細かく描かれてて、使用人側の言い分とか、感情も拾われてて
それがなかなか面白いのです…!

今回、冒頭でタイタニックが沈んだニュースが館を駆け巡るんだけど、
なんと、その船に、館の主人の相続人が乗り合わせてて、爵位継承が宙に浮いちゃうんですよね。
同時進行で、旦那様が昔戦地で部下だった旧知の男を従者として雇い入れたところから
召使たちの間での順位争いとか、いじめとかが発生して、新人従者が窮地に陥れられる筋が進みます。
おりおりでご主人方の事情と、壁一枚隔てたみたいに別世界の召使たちの事情が語られ
(旦那は爵位持ちだけどどうも貧乏貴族だったようで、持参金つきの金持ち女を娶ったけど、
今は二人ともお互いを気に入って意外と幸せに暮らしている。娘は三人。
使用人は、執事と家政頭が気心の知れたしっかり者同士で(『日の名残り』か)
第1フットマンは野心家で、奥さま付き侍女としょっちゅう悪だくみしてて、
第2フットマンはいい子。女中頭は新人従者に同情的)
淡々と日常を描いているだけなのに、抑えた感情表現の中に喜怒哀楽がしっかり読み取れ、
池井戸原作のドラマ的な起伏はないけど、その代わりじわじわくる…!
英国で人気なのも分かる気がします。
いや、わたしは池井戸的なラストスパートでどんでん返し、大盛り上がり!も好きですけども。
こてこてだけど、低俗かもしらんけど、そういうのが見たい時だってあるじゃない!
とりあえず、残りの数話は録画して保存することにした。


日記をアップせずにいるうちに第3話まで見ましたよ。
ベイツさんはいいやつだなあ。
相変わらず淡々と日々が過ぎますが、
新しくやってきた遠縁の後継者親子と伯爵の母親のバトルとか、
色々あって結構乗ってきた。
3話目ではまさかのミステリー展開だし。
しかし、なんでデイジーはトーマスに憧れんの?
どう考えてもウィリアムの方がいい子なのに。
後、別段メアリーが美人に見えない問題。
とりあえず、次回が楽しみです。



ジョナサンと宇宙クジラ (ハヤカワ文庫SF)

ロバート・フランクリン ヤング / 早川書房

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ロバート・F・ヤング著『ジョナサンと宇宙クジラ』
普段あんまり短編集は読まないのですが(基本長編が好き)、
『時が新しかったころ』が面白かったので買ってみました。
なんか、O・ヘンリーの短編集と感じが似てるかなあ。
いや、短編を読み慣れてないだけで、読書家の方から見ればまったくの別物なのかもしれんが。
短編って、悲劇で終わるにしろ大団円で終わるにしろ、結末を匂わせた辺りで
大体話は終わっちゃうじゃない。その余韻の漂わせ方が似てるかなと。

本作については、
最初のあたりはなんだか悲しくなっちゃうような結末のものがあったりしましたが、
表題の『ジョナサンと宇宙クジラ』の他、『リトル・ドッグ・ゴーン』、
『いかなる海のほこらに』、『ペネロピへの贈り物』『ジャングル・ドクター』
『空飛ぶフライパン』が良かった。…おっと、ほとんど6割やん…。
突っ込みどころはたくさんあるけど、
大体主人公が悪意のあんまりないお人好しなのがいいです、読んでて安心します。
その善意が作中でちゃんと評価されるから安心する。
あとがきに「ヤングの作品は好きだと公言するには少々気恥かしい」と書いてあって、
まあ、確かにな、と思いましたが。もう公言しちゃったけども。
あんまりストレートにいい話過ぎてこっばずかしい感じはするかな。
甘く切ない、もしくはちょっぴり救いのある、おとぎ話みたいな話なんです。
実際の世の中はもっと世知辛いかもしらんが、でもこんな小話があっても
良いよな、などと、読んだ後はちょっとほのぼのしました。
『たんぽぽ娘』も探してみようかな。
ところでこの『たんぽぽ娘』、聞き覚えあるなと思ったら、わたしの好きなマンガ
『わたしを月へ連れてって』でちらっと出てきてたのでした。
『わたしを月へ』も読み返したくなっちゃうなあ…。


白戸修の事件簿 (双葉文庫)

大倉 崇裕 / 双葉社

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著『白戸修の事件簿』読了。
貸してもらったので読みました。
貸してくれた友達が「そのままあげても良い位っす」とか言うから
どんだけおもんないんかと思ってたけど、意外と面白かったですよ。
主人公はもう、どこをどうみても完全なる巻き込まれがたの主人公で、その上
小心なくせに人が困ってると放っておけない超のつくお人好し。
毎回毎回本人が意図したのでも望んだのでもない軽犯罪に巻き込まれ
(殺人とか、本格的な犯罪でないのがまた)
周囲の思惑に振り回されて右往左往するのが涙を誘います。
結構、主人公の困惑と狼狽にこっちまで巻き込まれたハラハラしながら読み終えました。
トリックとか、静謐な筆致とか、推理物っぽい雰囲気とはかけ離れてたけど、
これはこれで面白かったけどなあ…。
白戸君は毎回かわいそうだったけど。でも、彼、愛されてるよね。


もっとにぎやかな外国語の世界 (白水Uブックス)

黒田 龍之助 / 白水社

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黒田龍之助著『もっとにぎやかな外国語の世界』読了。
語学エッセイ集。
また買っちゃった…。
いや、この方の書く語学の素敵ポインツがいちいち分かるというか、
そう、そこ!!そこ素敵ですよね!!!とつい手に汗握って共感してしまうので
読んでて楽しいんですよ…。
今回は、ロシア語の名前の話とか、文字の形の話とか、ちょう面白かった。
アイスランド語とかアラブのあたりとか、名字がなくて父称じゃない。
ロシア語ではどっちも使うんだってさ。
プーチンさんなんて、ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン、
なんとお父さんの名前もウラジーミルらしい。
で、父称付きで呼ぶのって、ものすごい堅い、真面目な場面で使う印象なんだって。
イーリアスの10歌あたりでアガメムノンがメネラオスに「失礼がないように父親の名前付きで
呼ぶのだぞ」といい含めていたのを思い出します。

歴史言語学とか比較言語学的なところに興味がある点もものすごい共感率高いです。
グリムの法則とか、懐かしいなあ…。
日本語はクレオールなのかなあ…。東のどんづまりだから、
いろんな人がちょぼちょぼ入って来て、あんまり上下なく混ざりあうと、
こんなよう分からん言語になるんじゃないかという気がします。
この辺りは比較神話学と並べて考えると更に真相の解明に近付くんじゃないかと。
いや、神話の残り具合と言語の混ざり具合は完全に一致するわけじゃないから過信は出来んけども
参考程度にはなるんじゃないの。
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by mi-narai | 2014-06-01 17:44 | 2014年上半期の読書

『こんにちは、昔話です』『ルポ 貧困大国アメリカ』『時が新しかったころ』

こんにちは、昔話です (小澤俊夫の昔話講座―入門編)

小澤 俊夫 / 小澤昔ばなし研究所

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小澤俊夫著『こんにちは、昔話です』読了。
久々に地域の図書館に行ったのでつい借りちゃいました。
昔話入門編です。
この著者、1930年生まれなので、もうおじいちゃんで、
グリム童話あたりから民間伝承の研究世界に踏み入り、
アアルネ・トンプソンの分類とか、日本昔話の収集とか
長年この道で研究を重ねてきた重鎮なんだけど、
その方が敢えて一般の方向けに、昔話の魅力の普及のために、
子供に読んで聞かせる時にきちんと分かっていてほしいことなどを
分かりやすく説いて回っていらっしゃるんです。
そういった講演内容を書面に起こした感じの本作です。

えーっと。
先生、昨今のなんでもかんでも「残酷だから」、とおとぎ話を改編する風潮に
たいへん怒っていらっしゃいますよ。
ポコポコしてるおじいちゃんを想像すると大変にかわいらしい。
しかし、本読んでると、先生のご意見はもっともだなと。
流石に、きちんと昔話を研究対象として熟知しておられる先生です。
その理由を読んで、変に改変したらあかんなという気になりました。
残酷なシーンは残酷なままでいいんです。
(どうせ子供はそこは気にとめない)
しかし、「昔話は残酷なシーンも淡々と描くのであまりそう感じない」って、
わたし、イーリアスでも同じように思ったなあ…。
やはり語り物の特徴なのかな。
あんまり詳細に語りすぎると聞き手の想像の余地を奪うというか。
書かれた書物(それも娯楽もの)の場合詳細な方が良いと思うんだけど
耳から入る物語の場合は、相手が想像しやすいように、また聞き取れる程度の長さに
そこそこざっくり語る、というのも重要なのだなあ、と。
大変示唆に富んだご指摘でございました。

ちなみに、昔話と伝説の差異は、
登場人物の素性、場所、時間が特定してあるかどうからしいのですが
(ほら話であることを語り手も聞き手も知っているのが昔話、
一応本当にあった話ですよ、歴史ですよ、という体で語られるのが伝説)
この何も特定しない昔話の世界に、オデュッセウスという個性を放り込んだのが
『オデュッセイア』における航海譚だとわたくしだいたい思ってるので
その辺に絡めても、楽しく読めました。


「伝説」はなぜ生まれたか

小松 和彦 / 角川学芸出版

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小松和彦著『「伝説」はなぜ生まれたか』
これまた図書館本。
小松先生はいろいろ書いていらっしゃるなあ。
各所で書いた論文を寄せ集めた一冊です。

どの論文も楽しく読みましたが、
一番心に残ったのは

レヴィ=ストロース先生がいかに偉大か

だったという…。
各地に残る雑多な伝承の全てを渉猟し、分類するのってそらまあ気が遠くなる作業だよなあ。


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

堤 未果 / 岩波書店

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『ルポ 貧困大国アメリカ』
妹が、どうしても読め、恐怖で涼しくなるから、と強く推すので
図書館で借りてみました。

アメリカ、怖すぎる…!!(ガクブル)

市場の自由を優先し、企業優遇策をまい進しすぎたせいで、
医療や福祉の現場まで効率主義に陥り、格差が広がり、
貧乏人はどう頑張っても一生貧乏で這い上がる手段さえなく、
一握りの金持ちだけがその他大勢の食うや食わずで必死で生きている人々の上に君臨し
甘い汁を吸ってる、しかもその枠組みがどうやっても壊せない、という
悪夢のような世界が広がっとります。
ブッシュ政権が財政悪化を理由にかじを切り過ぎたせいらしい。
その時のブッシュの政策が、いまのABっちの政策に瓜二つで
心底わたしを震撼たらしめた。
怖い…!!こんな理不尽な世の中に日本までなっちゃったらどうしよう!!!
一握りの金持ちしか幸せになれない国なんて、国としてどうなのよ!!
革命前のフランスか!?そんな国に国としての意味なんかあるのか!??
そもそもその方が人として暮らしやすいから国を形作るんじゃないの!?
一晩盲腸の手術で入院しただけで120万請求され、
大学に行ったら奨学金の返済をこれまた1000万ほど要求され、
貧困から逃れようと思ったら唯一の手段が軍への入隊で、
かといって入隊前に約束した金は支払われず、
すぐに前線に送られて、怪我して帰って来ても見捨てられ挙句ホームレスとか…

ひどすぎる。

なんやろう。行政範囲が広すぎると色々目が行きとどかんとか、そういうのもあるんやろうか。
(国土が広い国って、なんか、そんなんが多そうじゃない。)
これを打開するにはどうしたらいいの??
民主主義国の場合、名目上貧乏人だって参政権を持っているはずだから、
そこで見極めてマシなとこに投票するしかないのか?
しかし、どれも期待できなさそうな候補しかいなかったらどうすれば。
候補者を立てて選挙運動をするところからスタートなの?
気が遠くなりそう…(結局その局面でも金がものを言うんだろうし)
とりあえず、仕組みを知るということが大事だと思うので、
適当にうわべだけ見とったらいかんのだなあと、しみじみ思いました。


まず、ママが幸せに―産んで育てて、ニッポン・イギリス・フランス

薗部 容子 / 日本機関紙出版センター

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薗部 容子著『まず、ママが幸せに』
妹が強硬に読めと進めてくるので読みました。
日本、イギリス、フランスでそれぞれ一人ずつ出産したお母さんの
体験記、みたいな本。世の頑張り過ぎなお母さんに
「そんなに気真面目に思いつめなくても大丈夫だよ」と
諭すのが目的で書かれたものだと思うんだけど、
出産における各国の文化比較、みたいな感じになってて面白い。
並べると、日本人は真面目だよなあ。
とりあえず、少しでも赤ちゃんにとって危険ならやめておこう、とか、
こうあるべき、という規範が強いんですよね。
わたしはそういう細かいところに目が届くきっちりした日本人が大好きですが、
まあ、確かに、そうするように毎日強制されたら母親はノイローゼ気味にもなるわな。
西洋文化の大雑把さを見て、妹も、適当でも大丈夫、と勇気をもらったらしい
何が幸いするか分かりません。
なにより著者はどこが悪いとか良いとかは言わずに、単に違いを楽しんでる感じなので
そういった部分は大変好感が持てます。
後、パリでの色々がおかしくって、電車の中でニヤニヤしてしまいました。
パリの出産事情、オモロすぎる…。
後、みんながバカンスに情熱をかけ過ぎる(笑)。


獅子真鍮の虫 (永見緋太郎の事件簿) (創元クライム・クラブ)

田中 啓文 / 東京創元社

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田中啓文著『真鍮の虫』読了。
ミステリー、ジャズサックス奏者永見緋太朗シリーズ。
この作者にしては、ダジャレもエロもグロも出てこない、非常に爽やかなシリーズです。
でもって、ミステリーなのに、ジャズ話の方が熱いというこれまたいつもの仕様です。
いや、でも、日常でそうそう人生を揺るがすような謎なんてないしな、
このシリーズの、日常のちょっとしたひっかかりを
「ああ、あれ、ああいうこととちゃうの」ってさらっと説明して
「あー、なるほどなー」って納得して、生活を続ける感じが好き。
今回は、唐島さん(語り手)と永見がアメリカにジャズ旅行に行ったり
なかなか楽しいシチュエーションがあり、
途中永見のサックスが認められたり、唐島さんがトランペットのことで悩んだり、
盛りだくさんでした。
ミステリーでなく、ジャズの話にどんどん詳しくなっていくという…
いや、普通に面白かったですよ。


植物は人類最強の相棒である (PHP新書)

田中 修 / PHP研究所

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田中修著『植物は人類最強の相棒である』
またも職場の上司にただでもらったので。
ありがとうございますありがとうございます!!
本を下さる時、わたしともう一人同室の同僚の分2冊渡されたのですが、
にこにこしながら
「Mさん(同僚の名前)に、この本な、買うてでも欲しいか、て聞いてみて。
でな、欲しい、て言わはったら、ほな買うて、て伝えといて」
などというお茶目をかまされました。

あああああもおおおおおうう!!!
かわゆらし過ぎるじゃろ!!!


口から何か出るか思たわ畜生め。
毎回普段通りのおだやか~な口調で冗談を仰るので
一瞬キョトンとしてしまうのですよね、
最近徐々に慣れてきたぞ!

で、本の内容ですが、田中先生の御本もこれで何冊目でしょうか、
本によっては花、雑草、果物に特化して、その紹介をしてあるようなのも
あるんですが、これは割と研究寄りで(もちろんものすごく噛み砕いてありますよ)
面白いです。難しい箇所に差し掛かると寝そうになりますが。
毎回、葉っぱが緑に見える理由を聞かされて狐につままれたような気に…。
海の底の方にある海藻が赤いのは、緑色の光を吸収するためなんですよ!!
海の上の方の緑色の回想は赤色や青色の光を吸収してんですって。
ていうか、光をエネルギーに変換できる、というのが、よくよく考えるとすごいよね。
後、植物の生態意外に、最古の栽培植物は何かとか、
現在の農業の色々な工夫とか
そんな色々が分かりやすく書いてあって楽しいですよ。
分かりやすいのは、田中先生は農学博士なので、生化学的なミクロの話はあまりなさらないから
てのもあるかも知らんなあ。
ところで、作中に、江戸時代から伝えられる花や果物の名所で
「梅は岡本、桜は吉野、蜜柑紀の国、栗丹波」
ってのが出てくるんです。
岡本以外は今も健在ですね!
これからも名所の伝統を引き継いで後世に残していきたいものだと思いました。


時が新しかったころ (創元SF文庫)

ロバート・F・ヤング / 東京創元社

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ロバート・F・ヤング著『時が新しかったころ』読了。
本屋で売ってるの見て、恐竜、タイムトラベル、ロマンティックSFの3つのキーワードだけを頼りに
レジへ持ってった一冊。
早速読んでみました。
これが、思いの外、面白かったのよ…!!
真ん中辺はちょっとだれて、数回寝そうになりましたが、半分過ぎたあたりで
また面白くなってきて、その後はあっという間に読み切りました。
いや、なんか複雑な筋も、残酷なシーンも、どんでん返しも、目を引くような展開は一つもないのに、
それでも読んでてすごく楽しかったです。
ものすごい健全な話というか。
古き良きアメリカの良心、みたいな感じの話というか(分かりにくい)。
お人好しな大人が、困ってる二人の賢い子供を何の打算もなく助ける話なんですよね。
強くなければ生きていけないけど、優しくなければそもそも生きていく資格がないって、至極名言だわ。
レイモンド・チャンドラー、ええこと言うた!
最後は、展開読めた瞬間、またしたも、頼むから読んだとおりに展開してくれと、
ものすごい祈りましたもの。
ああ、幸せな読書時間じゃった。
読み終わってほのぼのしました。


神話の系譜―日本神話の源流をさぐる (講談社学術文庫)

大林 太良 / 講談社

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大林太良著『神話の系譜』
読了。
古本屋で「あれ?これって買ったっけ?」と訝りつつ、
「いや、読んだのは吉田本だったはず」と心に唱えながら購入した一冊。
既読本だったらどうしようとドキドキしながら読み始めました。

大丈夫!読んでない本でした(良かったー!)

当にタイトル通りの本。
短い論文がたくさん載ってる感じの一冊で、あらゆる方向・部分から
日本神話と周辺の神話を比較し、機能を分析しようと試みられています。
面白かった!
だいぶ昔の本ですし、王権神話は北方系、その下の国生み神話とかベース部分は南方系ってのも、
大体他の本で読んでましたが、分かって読むと二度美味しいので文句は全くありません。
大林先生は晩年のスケールのでかい試みの方が印象深いけど、この頃は日本神話にものすごい
興味がおありだったのだなあ、と感慨深いです。
あまりに沢山の項目があり過ぎていちいちについて書くと長くなるので割愛しますが、
東南アジアの神話の神々の名前とかがいっぱい出てくるのがすごい楽しかった。
印欧語族とも日本語とも違う音の感じがいいよね!
後、デュメジルの三機能構造について。
デュメジルさんは「とりあえず印欧語族の神話に置いて神々の機能が三つのタイプに分かれるよなあ」、と
仰ってるわけですが、
吉田先生は、「日本神話もその三タイプに適応できるっスよ!」と手を上げてて、
この大林本では、「イラン辺りのその三機能に分化した神々の神話が北方騎馬民族を通じて
日本にも入って来たんじゃね?」みたいに書いてあったんだけど、
それもあるかもしれんが、
ちょっと思ったんですよ。
もともと人のいたところに後から好戦的な一派が侵入してきた時って、
ちょうどこの三機能分類みたいな状態に落ち着きやすいんじゃないかって。
権力と武力はもちろん侵入者の神々が担うとして、残りの富をつかさどる神とかは、
被支配民のものを残しといてもいいかな、みたいな。
被支配民にも勢力範囲の大きい神々はいたはずだし、それを消しさることは出来んが
権力(とか神界での主の座)・武力関係は担わせられんから、第三の富の部分しか残ってないっちゅうか。
日本神話じゃ、まさに北方系のアマテラス、タケミカズチ、なんかが第一第二の支配者側の機能保持神で
出雲系オオクニヌシとかが第三の豊穣・富を司る神じゃない。
ギリシャ・ローマ神話や日本神話にはそれが顕著だけど、
侵略を受けてない土地とか(そんなところあるのか?)受けたけど昔過ぎてもう曖昧になっちゃってるとか、
そういうところはさほど三機能の分化が明確じゃなかったりしそう。
知らんけど。

とりあえず、最後まで読み終えて、解説がこれまた好きな田中克己先生で、
もう最初から最後まで美味しい一冊でした。ごち。
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by mi-narai | 2014-05-06 21:30 | 2014年上半期の読書

『アキレウスの歌』 『福の神と貧乏神』 『人類拡散の歴史』


マデリン・ミラー著『アキレウスの歌』
読了。
最後は駆け足で。
大体がこの本、『イーリアス』に忠実に書いてあるのでその通りの出来事が順を追って起こります。
(あくまでもパトロクロス視点で)
これまた、よく読んで知ってる場面ばかりなので、そうなんだよなあといちいち納得しながら読む感じ。
結局ヘクトール兄さんは最後まで遠い人でちょっと寂しかったですが、
アカイア方の人間から見たらそりゃそんなもんか。
パトロクロス亡き後のアキレウスのアレっぷりも原作どおりでしたよ。
原作読んだ時に感じたようなことを再び感じました。
おそらく、ここで吐かれるブリセイスの言葉は大半の読者の心の声w
でも、『イーリアス』のアキレウスの嘆きのセリフ
「君は、君だけは生き残って父上や息子に俺の活躍を伝えてくれると思っていたのに」
とか
「もう二人だけで、少し離れた場所に座って、額を寄せて話をすることもないんだな」
を思いだして、じんわりはしました。上記の二つのセリフ、好きなんだよなあ…。

いやしかし。
それよりなにより、終盤もっとも何度も心に思ったことといえば

ネオプトレモス腹たつわー

です。
身の程知らずな若造ですよ。
テティスに育てられて人間らしさが少ないというかね。教育は大切ですよね。
現代社会なら確実に「この人、サイコパスです」と診断されちゃいそうな酷薄さです。
別にわたくし、もともとオレステス派だし、ネオプトレモスが悪しざまに描かれている点には
全く不満はないのですが、終盤になるともうすっかりパトロクロスに共感しまくっちゃってて
パトロクロスがネオプトレモスに感じている反感とか怒りがそのまま移っちゃってさ。
ほんまあいつ、教育的往復ビンタでも食らわさんと気がすまんで!くらいに腹を立てていたので
奴の末路には溜飲が下がりました。
あいつの死にざまバラエティ豊富だからな!どれでも好きなのをお選びなさーい☆
後、最後のオデュッセウスの台詞には、不意をつかれたよ畜生めが!最後の最後にありがとう!

しかし、結局最後までこの作者の書きっぷりには割と共感するなあと思ってたのですが、
考えたら、きちんと原作に対するリスペクトが感じられるのが、好印象だったのかもしれません。
ものすごい読みやすかったです。
ホメロス信者ですみません。信者ゆえ、ホメロスの比重が高い方がわたしは読みやすいんじゃよ。
おまけに、あとがき読んだら作品に対する姿勢にもわたし共感出来ちゃいました。
つねづね、(他の人がどのエピソードをチョイスしてもそれは全然かまわないんですよ、
これは自分に関して、だけなんだけども)現存する文書資料のうち一番古いのがホメロスなんだから、
他のは全部大体後世の付け足しとかやん。同じ場面で違うエピソードが使用されてる場合
ホメロスの方が信憑性が高いというか、オリジナル性が高いよなと。
(まあ、わたし、ホメロスファンでもあるし、そもそもサイトがホメロス中心サイトなんで
そりゃ他の伝承とかぶった場合相当の萌がない限りホメロスの方に従いますけども。)
この著者もそんなようなことを書いていて、他の伝承でこう伝わってるけど
ホメロスではこうなんで、そっちを採用したよ、とかあって、

分かるわー!!


と強烈に思ってしまったのでありました。

あー、ディオメデスの話とか書いてくれんかな。
(この方のディオメデスが超かっこよかったので♪)


福の神と貧乏神 (ちくま文庫)

小松 和彦 / 筑摩書房

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小松和彦著『福の神と貧乏神』読了。
日本の福神についてまとめた小著ですが、なかなか面白いです。
そもそもの、一番初めの、「福」という言葉の説明が面白かった!
ので、メモっときます。
日本語の幸せ(しあわせ)って、もともと「仕合わせ」とも表記されていたように、
物事が一致すること、巡り合わせ、そのものを示す言葉で、その巡り合わせが
良いか悪いかは関係なかったと。
おみくじの仕合わせよし、仕合わせわろし、なんかはその古い使用例だそうで。
それが、いつのまにか、「しあわせ」が、良い方の巡り合わせの事飲みを指すようになったんですって。
しかも、その結果としての幸福は個人の努力の結果ではなく、
巡り合わせが良かった=運が良かった、という風に
外部の力でそうなった、という意味合いが強かったらしい。
仕合わせが、幸せと表記されるようになったのは、幸い(さいわい)、と同義の言葉と考えられたから。
幸い、は古くは「さきわい」、と言って、花が咲くの、「さく」とか、
栄える、とか、盛り、とかの「さか」という語幹と、
にぎわい、とか、わざわい、とか、辺りに這うように広がることを示す「わい」という言葉がくっついたもので、
栄えが広がるの意。なんだって、へー。
そういえば、わたしの好きな小説、チャールズ・デ・リンドの『ジャッキー、巨人を退治する』で、
妖精たちのことを「さきわいの民」と表現してあったけど、
幸せな人々ってことだったのかー、と、今更納得しました。

幸いの説明はともかく、貧乏神のビジュアルとか性質の変遷とか、
福の神がどうやって人々に福をもたらすかとか、
民間伝承における発現の仕方とか
(以外と福の神は薄情というか、貧乏人を富ませてはくれない。すでに金持ってる家にやってきて騒ぐだけ)
そんなのが面白かったです。


レストア: オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿 (光文社文庫)

太田 忠司 / 光文社

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太田忠司著『レストア』読了。
オルゴール修復師が探偵役の珍しい推理物。
借りたので読みました。
今回はオカルトは無しだった。(まずそこかい!)
この主人公、仮性じゃなく、本気で深刻な鬱をわずらってて、
あんまり人とはかかわり合いたくないんですが、謎が気になって結局関わってしまうんですよね。
ミステリー部分は主人公のなんとか社会でやっていこうというあがきの中の一環みたいな位置づけて、
なかなか面白かったです。
主人公がすぐにくじけそうになるので、読者はいらんとこでハラハラさせられ、
その分あんまりスカッとはしませんが。


人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る (サイエンス・パレット)

Bernard Wood / 丸善出版

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『人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る 』読了。
面白いよ。まずは学問としての成り立ちから説明してあります。
人類についての学問にはこういう歴史があって、
人間の進化と拡散というのはこういう流れで研究されてきて、
この分野とこの分野とそのほかにもこの分野の学問から成果を
抽出して総合的に判断するんだよとか、割と丁寧に書いてありました。
やっぱ。近年の分子遺伝学の発達でだいぶ解明が進んだらしいね。
欧米と日本の自然人類学における系統分類の呼び名が違うので、
訳者の方が苦心されていましたが、分かりやすかったですよ。
学者の中にも、なるべく細かく分類したい人と大まかにまとめてしまいたい人と二種類居るのだな、とか、
ヨーロッパ中心主義がまかりとおっていたのだなとか。
本筋以外のところにもふーん、と思ったり。
しかし、それよりなにより印象に残ったことが二つ。
一つ目は、別系統の直接の祖先ではないと思っていたネアンデルタール人とかその他の人類と、
今生きている系統の人類に僅かだけど遺伝子的な交流があったらしいこと。
もう一つは、東南アジアのとある島に1万8千年前までホモ・フロレンシウスという
現世人類とは別種の人が生息していたという事実です。
孤立した島だから外の世界とは交流はなかったかもしれないけど、
現世人類と平行してそんな最近まで別系統の人間が生きて暮らしてたんだ!!
と思うと感激しました。
ネアンデルタール人とヨーロッパあたりにすんでたホモ・サピエンスもしばらくは共存してたみたいだけど、
それも4万年くらい前の話だし。
で、妹に意気込んで言うと、「一万八千年前は[最近]と違う」とばっさり断言されて
しまいました。いや、そうなんだけどさ…。



この後5冊くらい読んだけど大概もう長いので次に回します。
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by mi-narai | 2014-04-20 23:25 | 2014年上半期の読書

『アキレウスの歌』

アキレウスの歌

マデリン ミラー / 早川書房

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マデリン・ミラー著『アキレウスの歌』読み始めました。
いや、本屋に行って他の本の検索かけてて偶然タイトルが目にとまって、
棚に言って現物見て、帯見て、中パラパラ見て、アキレウスとかパトロクロスとか
馴染のある名前が目に飛び込んできて、おまけにオデュッセウスとかディオメデスとか書いてあって

即買いしました。

で、途中なんですけど、書いちゃいます。
どうしちゃったのハヤカワさん、第4段。
しかし、これは責めてるんじゃないですよ。

出版してくれて、ありがとう…!!!

いや、今半分くらいまで読んだけど、面白いよ、これ!
結末まで読んだらまた評価も変わるかもしれないけど、今のところ、100点満点で120点くらい。
大筋は、『パトロクロスの目から見たアキレウス』、です。
幼少時代のパトロクロスから始まって、アキレウスとの出会い、二人ですごした少年時代、
育まれる友情、ケイロンのもとでの穏やかな生活、戦が起こって、
スキュロスにアキレウスが隠されて、オデュッセウスとディオメデスが見破りに来て、
テティスの口から運命が明かされ、従軍を決意して(中略)、今トロイアの浜で野営中。
和平交渉に行ったメネラオスとオデュッセウスが帰ってきたとこ。

なんというか、眉をひそめる感じでこれ、違う、と感じる箇所がほとんどありません。
奇跡!
ネット風に言うなら

「違和感、仕事しろ!」

普段自分が頭の中で思い描いてる感じ、ほぼそのままのアキレウスとパトロクロスで
なんか、すんなり話に入れちゃったというか。
ああ、知ってる知ってる、そうやんな、と思いながら読み進んじゃったというか。
既に知っている地元のあるあるを本で読んでる感じですよ。
雨が降ったら山から水蒸気がものすごい立ってるとか(あれ、なんでなんでしょう)
自転車乗ったら死ねるレベルの坂が続くので、地元民は電動派が多いらしいとか、
駅周辺にやたらパン屋とケーキ屋が多くて一体この辺りの店はやっていけてんのか訝しいとか
レオニダス、ロールケーキ始めよったとか、
そんな「あー、あれね」と頷いちゃうようなローカルネタを読んでるような親近感です。
大体、わたしのトロイア戦争に登場する英雄たちに対するイメージって、
めちゃくちゃホメロス準拠なんですけど(あんまりひねらずに、素直に受けたイメージそのまんま
なんですけど)、てことは、この作者も同じようなイメージだったちゅうことかしら

でっすよねー!!

ホメロス読んだらあんな感じですよね!!
などと一人悦ってしまいました。
後、本のはじめの辺りの幼いアキレウスとパトロクロスのくだりは、
サトクリフの男の子同士の友情の描き方をほうふつとさせ、それで読み慣れてる感じもあったのかもしれん。

以下、各登場人物について雑感
・アキレウスとパトロクロス
アキレウスは、わたし、筋肉もりもりじゃなくて、すらっとしてんのに、きれいな顔なのに
ものっそい強い、みたいな、戦国無双的な強さを想像してるんですが、
まさに、そんなアキレウス像。
半神だから、強くて、奇麗で、純粋で、だから汚い人間世界のひょんなことで壊されてしまいそうな
危うさがあって。そんな、わしが言葉で書いてもいまいちピンとこないアキレウス象を
ものっすごい魅力的に描き切ってあるから!説明する手間省けた!
パトロクロスは内省的で真面目な若者で、自分が人間でアキレウスが半神であることを自覚していて
アキレウスに憧れて、崇拝して、唯一無二の大事な人だと思っていて、
全身全霊で愛してるんです。心配もしている。
まあホメロスは二人は友人同士のつもりで叙事詩を歌ってると思うけど
この作品では若干友情の枠を踏み越えちゃってますけどね。
(腐女子の私には美味しい展開ですが、苦手な人は気をつけて。
でもまあ、濃い友情をこじらせた感万歳の触れあいなので、さほどえぐくはないですよ。
…うーん、しかし、自分がホモ慣れしちゃっててそう感じるのかもしらんし、よう分からん)
パトロクロス視点のこの物語をずっと読んでると、いつのまにか自分も
アキレウスのことを憧れの人で、焦がれる対象で、愛情たっぷりの目線で見てしまいます。
恐ろしい…
(いや、でもほんと、この本のアキレウスは清清しいよ!
九郎ちゃん(C・はるとき3)みたいですよ)


・オデュッセウスとディオメデスについて
オデュッセウスもまるきり違和感ない。
全国の少数精鋭の同志たち、
このオデュッセウスはいいオデュッセウスですよー!!

いやもう、ホメロスのオデュッセウス、って感じでニヤニヤしてしまいました。満悦。
多分、作者もこのイタケ人のこと好きだよね!分かってるよ!と勝手に
同志認定したくなっちゃうくらい。
でもって、たいていディオメデスとセットで出てきます。
ディオメデスの方は、ぶっきらぼうなアレスというか、
普段口数少ないくせにオデュッセウスには痛烈な皮肉を吐き、
オデュッセウスの方も分かってて丁丁発止のやり取りをしちゃうというか
二人だけで分かってるやり取りやっちゃってる感じがなんかもうたまらん。好きだ。
アキレウスとパトロクロスが付き合い始めたばかりの燃え上がってるカップルだとすれば
こっちは小学校の時からの腐れ縁でそれ以来30年組んでる漫才コンビ、みたいな。
で、また、オデュッセウスがぺネロぺイアにべた惚れで。すぐに惚気ようとするんですよ。
途中、初聴きのアキレウスたちに嬉しそうに馴初めを話そうとする場面が好き。
ディオメデスが、聞いてられるかあほらしい、みたいに立ち去っちゃうんです。
いわく、「これ以上聞かせたら、海に投げ落とす」
で、その去る背中に
「あほやなぁ、聞き損ねたら大損やでー」みたいなことを陽気に投げかけるイタケ人もイタケ人。
もう、この二人…。


・アガメムノン、アイアース
この二人は、一般イメージそのまんま、ちゅうか、あんまりどこでも揺らがないよね。
いつもの安定のおっさんたちです。


・メネラオス
今回、欧米作家にしては珍しくメネラオスが良い感じですよ!!
いや、でも、ホメロスではメネラオスっていいやつだもんな!!
割と男前で、陽気そうな。

・テティス
めっちゃ怖い。海のニンフというより、オレステスを追い回す復讐の女神たちみたい。
ニギ御霊というよりは、荒御霊、国津神みたいな存在です。
でも、テティスには別段思い入れないので割とどうでもいい。
確かに、神々って、不公平で恐ろしいものだよな、とは気付かされますし。



なんか、よんでて、この作者と萌ポイントが割とかぶってるんかもしらんな。
などと思い始めました。ちょう楽しいです。
このままの楽しい感じが最後まで続くことを祈りつつ、もうすぐ出てくるであろうヘクトール兄さんの
人物造形に期待します。
さー、続き読もう!



その後4分の3くらいまで読みました。
ブリセイス出てきたよ!ものすごいええ子やった。
今のところ、ヘクトール兄さんは伝聞で聞くくらいの遠い人です。
一貫してパトロクロス視点で語られるので、
彼にとって遠い人だったら、作中では出てこないんですよね。
でもって、パトロクロスはアキレウスが第一の人なんで
アガメムノンが例によって大変鼻につくおっさんにしあがっとります。
これはちょっと可哀相…(悪いやつじゃないんですよ)
後、ネストールが可愛くない。
その他はまったく不満はありません。
ただ、このまま物語が進むと後は悲劇へ一直線なので、結末を知ってるこっちとしては
色々物悲しくなってきました。
あんなに澄み切ってたアキレウスが、下界の毒に犯されてきた感が…
殺しすぎてもたんや…。
しかし、そうせねばならん理由が彼にはあって、もう色々切ない。
ヘクトール兄さんが登場する(予想)終盤に向けて
心構えして読み進もうと思います。

とりあえず、4分の3まで来ても
オデュッセウスとディオメデスはセット扱いで良い感じです。
二人で意外と野心満々なとこがイカす☆
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by mi-narai | 2014-04-11 23:17 | 2014年上半期の読書

『ハナシはつきぬ』 『古代世界の超技術』 『氷の娘』

もうちょっとだけゲームの話
2/27までのつなぎとして、以前買ったまま置いておいた『AceCombatX』をやりかけたんですが、

神様!グレイプニルが撃破できません…!!

10回くらい手を変え品を変えトライしてみたんだけどどうしても打ち破れず、
仕方ないから難易度を下げて最初からやり直し中。くっそー!!
しかし、難易度をEASYにしたら、ミサイル78発も積んでますよ!!
NORMALが54発位しか積んでなくて、照準合わせるのが苦手なへっぽこパイロットのわたしは
よく弾切れになってたので、これはありがたい。
これでTARGET以外の爆撃機とかも撃ち落とせますよ!!
今度こそ頑張る…!



こないだ本屋に行ったらば、
わたしがホメロス入門編として最適だと思ってる良著、
バーバラ・レオニ・ピカード作
『ホメーロスのイーリアス物語』と
『ホメーロスのオデュッセイアー物語』が
文庫化してました!!

ホメーロスの イーリアス物語 (岩波少年文庫)

バーバラ・レオニ・ピカード / 岩波書店

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ホメーロスの オデュッセイア物語(上) (岩波少年文庫)

バーバラ・レオニ・ピカード / 岩波書店

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ホメーロスの オデュッセイア物語(下) (岩波少年文庫)

バーバラ・レオニ・ピカード / 岩波書店

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イーリアスとオデュッセイアー始まってた…!
いや、これ、ほんとオススメだから!
児童向けだから分かりやすいし、かといって大人が読んで物足りないわけではなく、
原作からの改編があまりない(※ここ重要)ので、
まさに、ざっくり原作の雰囲気を掴むにはうってつけなんです。
アキレウスが清廉だし。原作いきなり読むよりはちょっとだけアキレウスに同情できる作り。
オデュッセウスはちょっと真面目すぎますが。
(お茶目さが足りん。イドメネウスと二人、おっさんコンビです)
サトクリフの文庫化に続き、これも文庫化とは!
ありがとう、岩波さん!!
アルフレッド王の戦いもお願いしますよ。


カンナ 吉野の暗闘 (講談社文庫)

高田 崇史 / 講談社

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高田崇著『カンナ』
借りたので読みました。
同作者の他シリーズの押し付けがましい探偵役に比べ、
この主人公はまだおバカ度が高い分、かわいいなあ、と微笑ましい気持ちで眺めてられます。
今回は役小角の話。
だいたい毎回この作者の言い分は胡散臭いので、
(百人一首辺りは面白かったのになあ)
説明部分は耳半分で読みとばしました。


ハナシはつきぬ! 笑酔亭梅寿謎解噺 5 (笑酔亭梅寿謎解噺) (集英社文庫)

田中 啓文 / 集英社

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田中啓文著『ハナシはつきぬ』読了。
ずーっと文庫化するのを待ってた一冊。
シリーズ最終巻だそうで。
一気に読みました。
相変わらずの怒涛の落語小説ですよ。
師匠の暴力っぷりも相変わらず。
竜二は若干脳みそ筋肉寄りのおバカさんだし、師匠は酒飲みのクソ爺だし、
アクの強い主張の激しい落語家ばかり出てきて、どたばたと忙しなく話は展開するのですが、

それでも最後にほろりと来てしまうという、ね…。

竜二も梅寿師匠も、落語が好きで、その一点でどうしようもなくつながってて、
あんまし麗しくはないけど気持ちのいいスカッとするような師弟愛があるんですよ。
このシリーズ好きだなあ。
本当に、お笑いが、見たくて仕方なくなっちゃいます。
一発芸も悪くないけど、それよりもっと長い、漫才とか落語が。
ていうか、リアルに梅寿師匠の落語が聴いてみたい!!!
大体、泣かせるよりも笑わせる方が難しいんですよね。
天然でなく意図的に面白い人っていうのは、すごい人なんやで!


古代世界の超技術 (ブルーバックス)

志村 史夫 / 講談社

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志村 史夫著『古代世界の超技術』読了。
なぜブルーバックスからこんな本が…
と思いましたが、書いているのが物理学系の学者先生だからなのですね。
遺跡なんかで残っている、機械がなかった頃に作られたとは信じられない
大型建築物の建築方などを真面目に考察した一冊。
さらっと読めて、しかも最近の研究までちゃんと言及してあって、面白かったですよ!
ピラミッド、内部螺旋通路説もちゃんと載ってた。
一番心に残ったのはローマン・コンクリートとインカの石組みの項でした。
コストはともかく、手間を惜しまなければ、機械なんてなくても良い物づくりは出来るのだなあ…。
現代の社会だと、人件費もコストに含まれちゃうから、効率優先で
なかなか実現しないだろうことを考えると、なんか世知辛くなっちゃった…。


氷の娘 (創元推理文庫)

レーナ・レヘトライネン / 東京創元社

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レーナ・レヘトライネン著『氷の娘』読了。
前作『雪の女』に引き続き、マリア・カッリオシリーズ。
フィンランドミステリーです。
日本での発売は2冊目だけど、本国での発売は5冊目、かな。
今回は、フィギュアスケートの選手が殺されてます。
北国だもん、フィギュアは盛んですよね、フィンランドも。
でもって、被害者の日記がノート書きだったり(今なら確実にツイッターかブログ)、
次の長野には絶対出たい、みたいな記述があったり時代を感じさせます。
20年くらい前の話なんだなあ…。

ところで、外国人の書いた小説って、やっぱり、
日本人の書いた小説に比べて読むのに6倍くらいの時間がかかります。
けど、これって、単純に1ページの文字数が多いってのもありますよね。
行間も詰まってるし字も小さいし、絶対数倍の文字が詰まってる!

それはさておき内容です。
前作に引き続き、ミステリーとはいえトリックをあれこれ考える要素は背後に回され、
警察官である主人公と同じ目線で日々をすすめ、その日常や心境を味わう種類の小説だと思います。
主人公が気持ちのいい女性なので、それがむしろ面白いのですよ。
でも、そんな日常業務での聞き込みや捜査の中に事件の全容を掴むパーツがちりばめられていて、
いつの間にか全部のヒントは揃ってるんです。
最後の最後で勿論主人公は犯人にたどり着くのですが、その時の種あかしで
「あー!!あそこか!!気付かなかったー!!」
という気分になりました。
…てことは、結局ちゃんとしたミステリーなのか。
主人公の生活がリアルでノンフィクションっぽくて幻惑されるけど。

今回主人公は妊娠7ヶ月目なので、妊婦さんの大変さとか、
フィンランドの保健制度とか色々わかるのも面白い。


目白台サイドキック 魔女の吐息は紅い (角川文庫)

太田 忠司 / 角川書店

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太田忠司著『目白台サイドキック 魔女の吐息は赤い』
これまた借りたので読みました。
ほんとに!日本人作者の本はすぐ読めるな~!
この作者の推理物、なぜかちょっとだけオカルト色がはいるけど、
作者が期待してるほど色ものにはならず、
伝統的な日本の推理小説、みたいな雰囲気のままなのがちょっと面白い。
描写が淡々としててあっさり進む感じ。
今回、またもオチ(動機部分)が「おいおい待たんかい」という納得しづらいアレでしたが、
(そんな理由のためにわざわざあんな仕掛けを…お前、暇なんか…?)
…いやいや、日本の推理物にリアリティを求めてはいかんよな。
トリックとかアリバイとか、推理の手順とかをコネコネして思考するのを楽しむものだもんな。


多読
読んでたロマンス小説、大体先が読めたのと、日本語訳されてた同じ作者のロマンスが
くそつまらんかったのとで途中で読むのをやめました。
代わりに、昔に買った「アボンリーへの道」のノベライズの中の、
特に好きだった回「アレックに乾杯」を読み始めました。
ドラマ見たのが昔過ぎて細部を忘れてたのを、思い出してちょっと楽しい。
ああ、へティーの傍若無人さとか、フェリックスの食いしん坊加減とか
こんなだったなあ!
アレック叔父さんはとにかく素敵な大人だったんだ。
タイプ的にはヘパイストス。
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by mi-narai | 2014-02-23 15:46 | 2014年上半期の読書

『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』 『英国人一家、日本を食べる』

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた (文春文庫)

ピーター・D. ウォード / 文藝春秋

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ピーター・D・ウォード著『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』
最近の研究で、生物が誕生してから6億年、各時代の酸素濃度は思いのほかばらつきがあった
ということが分かってきたようなのですが、
この作者は、その酸素濃度こそが進化の方向に大いに影響を与えたのではないか、
という仮説を立て、それに則して進化を説明しようとしています。
なかなか面白そうだったので買いました。

今、呼吸のしくみについて読んでいるところです。
文系脳のわたしは既にしてくじけそう…。
けど、なんで酸素を使って呼吸するのか、という根本的なところはよく分かった気がする。
取り出せるエネルギーが大きいからですよ…!
でも、酸素って、基本生物にとっては毒なんじゃなかったかなあ…。


数日後。引き続き読み続けてます。
ものすごい面白いし内容に興味もあるのですが、内容が理系のため理解するのが難しく
こないだ数えたら行きの電車の中で14ページしか進んでなかった…。
でも、そのおかげで、リアルタイムにじりっじり時代を体感してる気になるというか、
タイムスリップしてのんびり各時代を眺めてるような気分になります。
タイトルは『恐竜はなぜ鳥に進化したのか』ですが、
恐竜のことだけ書いているのではなく、発生した生命が変化し、環境に適応していく様子を
酸素濃度をからめて順に追っている感じなので。
(低酸素時代=低酸素に対応できない動物が軒並み滅びる。で、一部の動物が体制を変化させ、
逞しく適応、のちの高酸素時代に多様化する。次の低酸素時代に対応できない種は滅びる)
各時代の一番最初に、その時代の風景をのびのびと描き出してくれるんだけど、
それがほんと、ワクワクするんですよ!
今の地球と全然違う風景がわーっと広がってるんですよ!
最初の頃なんて、植物がほとんどなかったから、地面はうすーく藻っぽいものが水辺にあるくらいで、
地上には生命はなく、木の根がないから川も蛇行せずに網状に流れ、
海の中は節足動物(ムシっぽいアレ)天国だったりするんですよ。
海底を埋め尽くすごとくムシっぽいアレがカサカサ動いてるんよ。いやあああああ!!!
下手なSFやファンタジーなんかよりよっぽど異色だよ。事実は小説より奇なりなのですよ。


更に数日後。
ちびちびながら、カンブリア紀大爆発のくだりを読んで、
ペルム紀絶滅を読んで、今やっと三畳紀に入った。

・これまでに、すでにものすごい数の生物が絶滅してるんだなあ、ということに改めて驚いた。
大体、数多の生物が発生し、枝分かれした上で、生き残った者たちのさらに一握りが
今生きてんだよなあ。絶滅危惧種は守らなもったいないとは思うけど、
滅びるもんは滅びるんや、などとちょっと思ってしまいました。

・スパンが長い。1000万年の間、とか、そんな言葉が文中に何度も出てきて、
読者の方もまるで1000日みたいな感覚で読んじゃってますが、
よくよく考えたらいっせんまんねんて!!

・あたりまえだけど、哺乳類は爬虫類から派生したんですよねえ。
作中で「哺乳類型爬虫類」とか書かれててちょっと不思議な感じ。

・三畳紀に入ってようやく恐竜っぽいものが出始めた。
もともとワニみたいに足が横に向けてついてたのが、胚が圧迫されて呼吸がしづらいので
そうならないよう下向きに足を伸ばし始め、さらに2足歩行型になった、という
説明が面白いです。

・三畳紀の初期は低酸素、高温だった。

・現生の鳥類の胚機能(気嚢)の調査と、恐竜の化石の骨の調査から、
恐竜も気嚢を持ってて、鳥と同じような、効率のいい呼吸をしてたんじゃないかと
現在大方思われているそうですよ。
(低酸素時代を乗り切るため)
すごいですね!やっぱ恐竜は鳥の祖先なんや!

・で、高温だったから、恒温動物じゃなくて、変温動物だったんじゃないかって。
これはまあ、そうだろうなあ。変温動物は低気温だと不利だけど、
二酸化炭素の温室効果で年中暑かった当時だとなんの心配もないし、
恒温動物って、変温動物の何倍かの酸素が必要なんだってね。
こっちは高温だと不利。


・恐竜の種類が多くて混乱しそう。
竜盤類と鳥盤類といて、海には魚竜と海生爬虫類がいるのね。
で、鳥盤類は気嚢式胚を持ってなかったっぽいと…。
恐竜のあたりは、夢があっていいよなあ。ちょっと楽しい。
恐竜の時代って1億年以上続いたわけですが、
人類の歴史が、紀源後はまだ2000年、トルコの遺跡が紀元前9000年くらい、
大地の子エイラの時代が4万年くらい前としても、
1万年が1000こ集まって1千万年、さらにそれが10こ集まって1億年、だもんなあ…。
あかん、気が遠くなってきた…

更に数日後…


ようやく読み終えましたーーー!!!

長かった…。

昨年末からずーっとこの本に掛りっきりだったもんな。
でも、おかげで長い間進化にどっぷり浸れて、
恐竜のこととかしつこく妄想出来て、ワクワクしましたよ。
繁殖方法のこととか(卵の形状と酸素濃度の関係とか)
鳥の飛翔はいつからかとか、
はっきりした答えはまだ見つかってないものの、いろんな人の推論がまた面白い。

ちなみに哺乳類についての記述なんて、全体の10分の1くらいしかない!
(歴史、浅ッ)

最後の方には、これからのプレートの変動と予測される酸素濃度とか書いてあったけど、
(5億年周期で超大陸が出来るらしい。大陸がくっつくと酸素濃度が上がり、
離れると下がるそうな。鉱石の二酸化炭素含有率とか、
なんか色々関わってるらしいよう分からん)
そんな2億年も先に人類が生存してるかしてへんか分からんしな。
してたとしたら凄いよなあ…。

著者は最初に宣言している通り酸素濃度に着目して仮説を展開しているので
偏り過ぎっちゃ偏り過ぎなんですが、意外と説得力あって、
ちょっと洗脳されそうになりました。
進化にはもっといろんな要素が混ざり合ってんだろうけど、
確かに、呼吸は大事だもんね。

それにしても、あー、楽しかった!
十分堪能致しました♪



英国一家、日本を食べる

マイケル・ブース / 亜紀書房

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マイケル・ブース著『英国人一家、日本を食べる』読了。
正月、妹夫婦が帰省してたんですが、
妹の旦那に定番の「最近何か面白い本読んだ?」という質問をぶつけたときに
帰ってきたのが「なんか、イギリス人家族がひと月くらい日本食べ歩きの旅する本読みました。
それが結構面白かったです。本屋で立ち読んだ程度ですけど」という答えでした。
「どうよ、イギリス人の反応は」
「大体褒めてましたよ」
「そりゃな~(イギリス人に褒められても、当たり前、という気がする)。でも、気持ち良くなるよね、それ系の本」
「ですよね~。いい気持ちになりますね~」
「時々読みたくなるよね~。それで変に誤解して傲慢になるんは良くないけど」
などと婿と会話し、その後忘れてたんですが、正月明けにふと思い出して
読みたくなったのです。
買うのはもったいなかったので図書館で借りました。
一気読み!
フードジャーナリストで、ご自身もものすごい食いしん坊のマークさんが、
パリで日本料理のことを知人にに焚きつけられたのがきっかけで
奥さんと小さい息子さんたち連れて食べ歩きの旅をするという。
本人は英国人ですが、奥さんとか息子さんの名前はどうもフランス語っぽい。
活動の拠点も巴里っぽいし、飯マズ出身なのに舌は確かなようです。
旅程は、東京→北海道→京都→大阪→博多→東京で、
どこの食べ物も割と絶賛してあります。ありがたいこっちゃ。
しかも、和食の細かい味とかまでちゃんと分かって味わってらっしゃる…!
(日本人でも馬鹿舌のわたしには、分からんかも)
面白かったですよ。
後、珍しく大阪が褒められてたのがちょっと嬉しかった。
崇拝するほどではないけど、そんな悪印象もない他県民としては、
一部の人のひどい叩きようには胸を痛めていたので…
(多分、府民のみなさんはそんな叩きなど気にもせずに流してらっしゃると思うけど)
いや、大阪だけじゃなく、どこの土地のことも楽しそうに書いてらっしゃいましたけどね。
一部端折られてるそうなので、これは原書を読むしかないのか…?
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by mi-narai | 2014-01-25 01:11 | 2014年上半期の読書