カテゴリ:2012年4月の読書( 2 )

『アステカ文明の謎』 『食べるギリシア人』 『わたしの名は赤』

アステカ文明の謎―いけにえの祭り (1979年) (講談社現代新書)

高山 智博 / 講談社

スコア:


高山智博著『アステカ文明の謎』読了。
ちょっと、現代思想とか古代ギリシアローマとは離れた本が読みたくなって
部屋の積読本の中からチョイスしました。
古本屋で100円で買ったもの。
大分昔の本(ピラミッドが王の墓と断定されてる類の昔)なんですが、面白いよ!

アステカ族の歴史、テノチティトランでの日々の生活、神話などが
惜しげもなく語られてて、アステカにどっぷり浸れること請け合い。
ところどころ、語の意味なんかもさらっと説明されてて、
(首都のテノチティトランって、テ、というのと、ノチというのが
意味のある語幹で、ティ+トランは接尾語らしい)
それもまた楽しい。
そもそも、テスカトリポカとか、コヨルシャウキとか、音の感じが好きです。

とはいえ、やはりというか、思いのほかというか。
血生臭いっス!
月ごとの生贄の模様とかも載ってるんだけど、
(この儀式の詳細を書いた17世紀の原本の数々、
一度読みたいと思ってたんですよね。読む手間省けた)
毎月大量の生贄が!食人が!!もちろん、それにきちんと意味があるのも分かってるし、
王族だって生贄にされるのはある種公平だな、と思うんだけど

…これまで、アステカやインカを滅ぼしたスペインに対しては
なにしてけつかんどるんじゃおどれいてこましたろか、的な
苛立ちを感じていた私ですが、
今回初めて、ちょっと同情した。
インカはともかくアステカに関しては、
いきなり何の知識も心構えもなく生贄儀式見ちゃったら

「ぎゃーー!!!」

てなるわな、そら。
生きた人間の心臓抉り出すもんな。
その後階段下に転げ落として、首切り落としたり、ばらばらにして
食べるために配ったりするもんな。
もちろん、だからといって、スペイン人がその後やらかした
大虐殺とか圧制とかそういうのの言い訳にはならんけども。


食べるギリシア人――古典文学グルメ紀行 (岩波新書)

丹下 和彦 / 岩波書店

スコア:


丹下和彦著『食べるギリシア人』読了。
ホメロスの叙事詩のあたりについての記述はは、まあ、そんなもんやろな。と思いながら読みました。
叙事詩の様式美としての肉食。
ちょっと規範から外れてるオデュッセウス。
(→その表れとしての食へのたびたびの言及、とあるけど、
単に、オデュッセウスが場を和ませようとしたり上手に演技してる、
という話なんじゃねえの?とも思う)
丹下先生はどうやら酒好きらしく、何度か飲酒について言及してあるのですが
なんとなくそのあたりは共感。
ホメロスは好きな分野なので若干点が辛くなりますが、その他の項目は面白かったです!
悲劇の登場人物は物を食べない(食べるシーンがない)とか
(喜劇にはたくさんある)
ギリシア人はどの程度魚を食ったのか、とか
グルメとか、食客とか、トイレ事情について、
ギリシア文学全体を通して、食という観点から語った
軽いエッセイ風の読み物です。
読みやすかった。二日で読み終わったもん!
あとがきを読んだら、それもそのはず、大学の授業で使ったネタ集らしい。
それにしても、行間から紛々と西日本臭が漂ってくるなと思ってたら
やはり案の定岡山の方でした。勤務地は関西。
あとがきに出てくる地名も土地の人間しか知らんような
マイナーな地名やしな。ちょっと好感度がアップしました。


わたしの名は赤〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫)

オルハン パムク / 早川書房

スコア:


オルハン・パムク著『わたしの名は赤』読み始めました。
前から読もうと思ってたんですが、新訳で文庫化してたので思い切って購入してみました。
一人称で語られていく本作ですが、のっけが殺された男の語りだった。
まずもってびっくり。
でも、オスマン帝政時代の話なんでそれだけで楽しみです。

登場人物たちは、それぞれほんのちょっぴり自分勝手で自己中心的で
その辺りがものすごいリアリティです。
こゆいゼ、トルコ人…。
でも、そのリアリティのせいで、全く歴史小説って感じがしない。
普通の現代のその辺の人の話みたいに、すんなり背景に入ってゆけます。
宗教も生活習慣も違う国の話なのにすごい!

で、最初に殺された細密画家の犯人探しと並行して、
細密画について、ひいては絵画について、絵画というものの
個性と技法と永続性について、語られてゆくのですが、
そういう絵画についての文章がまた、読んでるだけで楽しいのです。
そもそもわたし、いまいち西欧絵画の良し悪しが分からんので
(タイル職人や建築家の職人技の方に感動してしまうのです)
こうと決まった鑑賞法も無く、なので文中で登場人物の語る
絵画の鑑賞法など読むと、素直にそうか、そういうもんなのか、と
感心してしまいます。同じ絵画でも視点が違えば評価は大違いだしなあ。


もちろん、そんなお堅い話ばかりじゃなくて、
主人公の恋も絡んでて、エンタメとしても面白いし、哲学書みたいな趣もあるし、
16世紀イスタンブル(ひいてはイスラム世界)の雰囲気にも浸れるという
一度で何粒もおいしい稀有な作品です。
わたしは好きだ。
とりあえず、今上巻の最後の辺りなので
続けて下巻も読んでしまおうと思います。


それにしても、旅人(男)が追いはぎに当たり前みたいに
ケツ掘られてるのに吹いた。
そういうもんなの!?


北前船始末―緒方洪庵浪華の事件帳 (双葉文庫)

築山 桂 / 双葉社

スコア:


築山『北前船始末―緒方洪庵浪華の事件帳』
上記のノーベル賞小説が思いのほか面白く、なんだか霞んでしまうこの作品ですが、
単独で読んだら別に悪くないんですよね、
かつてNH/Kで『浪速の華』としてドラマ化されてた本作、
ドラマを先に見ちゃったからか、ドラマの方が面白かったかもなあ。
せっかく大阪が舞台なのにそんなに大阪色がない気がするし、
(言葉で大阪はああだこうだと言うだけで、実感がともなってないというか、
読んでその成り行きや情景から地元の特色がにじみ出る、みたいな
そういうのがないのよ!!わたしは更なる地元色を求めていたのに!)
あと、妙に『闇の~』とか使うのが厨っぽくて恥ずかしい。
それを除けば、普通に時代小説としては面白いです。


多読
ケイ・ヘザリの『American Pie』(レベル4)
途中までで返却期限がきて返したので、また借り直してみた。
幼いころの思い出とか、アメリカ人というよりはテキサス人としての
アイデンティティの方が強そうな作者ですよ。
そのあたりには共感するなあ。
後、アメリカの日常って、もちろん日本の日常と同じところもあるけど
だからよけいに違うところが際立ってて、
その差異が、なんかファンタジー読んでるみたいで面白い。
[PR]
by mi-narai | 2012-04-30 15:06 | 2012年4月の読書

『ルー=ガルー』 『平安妖異伝』 『感覚の幽い風景』

『現代政治学入門』読み終わったー!
入門、と銘打ってあるとおり、これから政治学を勉強しようという学生のための
各教科の研究の詳細と手引き、みたいな本でした。
作者はイギリス人だからか、アメリカ式のデータをそろえて分析する方式の
政治学には若干批判的で、歴史関係からひも解いていくやりかたを推薦してる感でしたが、
政治学とは何かということが平明に述べられていて良かったのではないかと。
(大体忘れたけどな!)


分冊文庫版 ルー=ガルー《忌避すべき狼》(上) (講談社文庫)

京極 夏彦 / 講談社

スコア:


分冊文庫版 ルー=ガルー《忌避すべき狼》(下) (講談社文庫)

京極 夏彦 / 講談社

スコア:


京極夏彦著『ルー=ガルー忌避すべき狼』読了。
友達が貸してくれたので文庫版で読みました。
近未来が舞台です。
人との関りや生とのふれあいが希薄で
雑多なもの(雑菌含め)を極力排除した世界で
起こった連続殺人を軸に少女たち(別ルートで大人たち)が
非日常に巻き込まれて(その過程で付随的に色々目を開かれて)行く話。

最初は世界設定だとか登場人物の淡白すぎる言動だとかに慣れるだけで手一杯で、
上巻の真中あたりまでは読みながら何度も寝そうになりましたが、
上巻の終わりあたりから加速度的に面白くなってきて、
下巻は一気読みしてしまいました。

殺人の動機に対する作者の意見、とかは、『魍魎の函』を思い出した。
いや、それにしてもこの本、
ここでこういう展開が来て欲しい!という読者の要求に
ぴったり物語のクライマックスが沿ってたというか、
ある種の爽快さがあってさ。(この読後感、佐藤賢一に似ている)

美緒ちゃんが好きだ。(いきなり)

いやあ、最後の辺りは気持ち良かった!ワクワクしました。

ちなみに、真相には、タイトルと世界設定から薄々気付いてはいたけど、
下巻の3分の1辺りで確信しました。
ちょっと「え?わたしって意外とかしこ?」などと一人悦に入りました(アホです)。

続きの2巻も借りてるので、1巻を忘れないうちに読むつもり。


分冊文庫版 ルー=ガルー2 インクブス×スクブス《相容れぬ夢魔》(上) (講談社文庫)

京極 夏彦 / 講談社

スコア:


分冊文庫版 ルー=ガルー2 インクブス×スクブス《相容れぬ夢魔》(下) (講談社文庫)

京極 夏彦 / 講談社

スコア:


数日後、2巻も続けて読了。
今度は前作で脇役としてちょろっとだけ出てきてた律子という女の子が語り役です。
前作の葉月ちゃんよりよほどしっかり者なので、
読んでる方もさほどストレスなく先へ進めます。
なによりテンポが良い。この子の関西弁は若干おかしいけどな。
(作者が不案内、というよりは、未来であることを見据えた上でわざと現在の関西弁より
標準語に近くなっている関西弁を話している、という可能性が濃い)
途中、律子が、メールより対面して話すほうが安心する、と述べるシーンがあるんだけど、
それにはものすごく共感しました。
メールとか書面とかのやり取りのほうが圧迫感は少ないんですが、
その代わり相手が自分の言葉を誤解してても分からないんですよね。
その点、顔を見て話すと、修正が効きやすいと。
それに、特に謝罪する時とか、面と向かって意を伝えることを尻込みする自分を
自覚してしまうと、却ってむきになっちゃったり。あほだよなあ。
それはさておき、

今回も面白かった!

まさか1巻のあの事件にそんな真相が!!
本編の方のネタはよくよく考えてみると笑える方向でおかしいのだけど
そのことをズバリ美緒ちゃんが言ってて、にやりとしてしまった。
後、歩未ちゃんの人外ぶりは異常。
中年の元刑事と美人元カウンセラーはくっつかないのかしら。


平安妖異伝 (新潮文庫)

平岩 弓枝 / 新潮社

スコア:


平岩弓枝著『平安妖異伝』読了。
平安時代を舞台に、藤原道長と少年楽師真比呂がさまざまな怪異(楽器関連)を
解決する、という短編集。
いや、これがなかなか面白かったのですよ。
さすがベテラン、文章がくどくもなくあっさりしてて
おまけに道長は男前!
いろいろな楽器についてさらっと書いてあるのも楽しかったです。


感覚の幽(くら)い風景 (中公文庫)

鷲田 清一 / 中央公論新社

スコア:


鷲田清一著『感覚の幽い風景』読了。
職場の元同僚が、なんども「こいつは何が言いたいかよく分からん」と
眉をしかめて言ってましたが、確かにところどころ頑張らないと
作者の意図がつかみづらい箇所なんかがありました。
でもそれは私が抽象的な事についての思考が未熟、かつ哲学的な書き方に
不慣れなせいで、清ちゃんの文章はとてもきれいな日本語だと思うんだよなあ。
普段何気なく考えてる、「五感」、触れたり見たり聞いたり、そういった、
言葉になる以前のなにか説明しづらい感覚というものについて、
その場面場面について、踏み込んで書いてある本。

これまで何も考えずに行っていた動作のアレコレを違った目で見てしまいそうになります。


今は『アステカ文明の謎』を読みかけてます。


多読
ケイ・ヘザリの『American Pie』(レベル4かな)
ハンバーガーの方が結構面白かったので、続けて他のエッセイも借りてみた。

アメリカ人は学校で個性的な人になりなさいと教わるとか、
日本食大絶賛とか、どうも日本人にはアメリカ人男性はフェミニストだと思われてるみたいだけど
全くそんな事ないぞコンチクショウ!とか、色々コメントが面白いです。
テキサスからNYに出てきたとき訛が気になって一生懸命直したとか、
どこでも事情は一緒やねんなあなどと。
違ってるところも同じところも面白い。


映画

『シャーロック・ホームズ』
1の方。
おお、思ってたより全然面白かった。
こういうのもアリかな。けっこうガイ・リッチー好きだったりします。

『情婦』
いわゆる、アガサ・クリスティの『検察側の証人』
騙された―!!

しかし、「証人」と打とうとして「商人」と変換してしまうわたしのマイ・パソコンよ…


『アメトーーーク』DVD
徹子の部屋芸人が最高でした。
徹子さん…!!
[PR]
by mi-narai | 2012-04-14 21:10 | 2012年4月の読書