カテゴリ:2012年2月の読書( 2 )

『アンティキテラ』 『世界史の中のアラビアンナイト』 『落下する緑』他

トゥルグット・オザクマン著『トルコ狂乱』
2センチくらいまで読み進んだ(センチ換算すな)。
感想は読み終わってから纏めて書きます。


アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ (文春文庫)

ジョー マーチャント / 文藝春秋

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ジョー・マーチャント著『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』読み終わりました。
確か数年前に相互さんのshocacoさんも読んだと仰ってたようなないような…(ウロ)。

めっちゃ面白かった…!!

アンティキテラの謎が解明されていく過程に、それに関った人間たちのドラマが
重なって、二重に面白い出来に…!

第1次世界大戦前後、ギリシャのアンティキテラ島の近くで、
海底の海綿採集を生業とする漁師さんが沈没船を発見したところから物語りは語り始められます。
当時、トルコから独立したばかりで国民の民族意識を高めたかったギリシャ政府は
この発見に飛びつき、大掛かりな引き上げ調査を断行。
知らんかったけど、それまで沈没船が学術調査用に引き上げられた事とかなかったんだってね。
その過程で、当時の技術が未発達だったせいで引き上げに関った漁師さんが何人も潜水病に
掛かった件などを交えつつ、
話は引き上げられた一つの小さな箱に集約されていきます。

この箱、なんだか、なにかの機械に見えます。
内部には、当時の技術では考えられない歯車の組み合わせが。
一般向けにはさほど注目されず、最初は博物館の収蔵庫に超適当に放置されていたんだけど、
ごく一部の学者や技術者などの間では議論が巻き起こったみたい。
わたしなどは全くの文系で見ても良く分かりませんが、
多分、技術者が見たら、その機械の仕組みがもうちょっとで分かりそうに見えるんだろうなあ。
そのあたりの逆転裁判の仕様にも似た、丁度いい難易度が、
解明してやろうという意欲を掻き立てたんだろうなあ。
色んな人が『よっしゃ!ワシこそがこのからくりの仕組みを解き明かしてみせよう!』と
この謎にのめりこんで、それぞれ説を立てていくけど、正解には到達しえず、一生を終えます。
そうこうするうち、科学技術の発達によってもう少し内部構造なんかが分かるようになって

近年ようやく全貌が見えてきた…!

という、実はけっこうホットな話題なのでした。

アンティキテラ島の機械の謎に夢中になった人々の中には、高名な学者の他に
一介の学芸員さんもいて、わたしはすっかりその人びいきになってしまいました。
学者の人が特権としていろいろ優遇される中、その人は自分の出来る範囲の事を頑張ってこつこつやり、
時にはライバルの学者に研究成果を盗まれたりしつつもひとつひとつ機械の仕組みを解明していくの。
友人面して近づいてきてそ知らぬ顔でその学芸員の研究を盗んだ学者たちに憤り、
大学教授との待遇の差にも憤り、
アメリカのプロジェクトチームに負けるな!と心の中で応援しつつ読んだもんね!
最後、ほぼ全ての謎が解き明かされた暁には、なんだか読者にまで
「やったったで!」という達成感が。


世界史の中のアラビアンナイト (NHKブックス No.1186)

西尾 哲夫 / NHK出版

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西尾 哲夫著『世界史の中のアラビアンナイト』読了。
アラビアンナイトそれ自体の学術的な解説というよりは、
歴史の中でアラビアンナイトが現在のような形にどのようにしてなったのか、を丹念に追った本でした。
そもそも、この千夜一夜物語(原題はアルフ・ライラ・ワ・ライラ)、
ご存知のシェヘラザードが命をかけて王に物語を語る、という枠物語があるので、
その形式に則ってれば内容はどんなものも入り得るというアバウトな作り。
おそらく、アラブで、公式の場じゃなくて(内容がエロと魔法に溢れておるからな)
家の中とかで語られて楽しまれてたんじゃないかと推測されてます。
そんな物語が記された本を見つけたヨーロッパ人がヨーロッパで出版し、
タイトルが千夜一夜なもんだから、やはり物語り1000夜分ないといかん!などと
1000夜分のお話を内包する正典(そんなもんそもそも存在するのか?)をさがし、
欧米が産業革命を経た辺りからはそのアラビアンナイトに描かれる官能的な中東のイメージが
征服の対象としてのアラブという帝国主義の政策に利用されていく過程が説明されていました。
ちなみに、日本には西欧から伝わったので、アラビアンナイトイメージは
モロ西欧視点のものらしい。なんだか反省。

それにしても、最初のさわりの辺りで、日本のアラビアンナイトマンガとして
『月光条例』と『マギ』が取り上げられていてちょっとビックリしました。
どうせなら『遙か遠き国の物語』も付け加えといたらよかったのに。


現代政治学入門 (講談社学術文庫)

バーナード・クリック / 講談社

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クリック著『現代政治学入門』
お気に入りの

「政治と愛とは自由人の間で可能となる束縛の唯一の形式である」

というフレーズの載っている本。
結構ところどころで使ってるので、使っている以上原本も読んどくか、と。
薄くて字も大きいのになかなか進みません。これは訳が悪いからだ!(責任転嫁)
でも、おバカなりに、これ、という信念に固執せず、状況に応じたフレキシブルな
対応を心掛けるべきだという著者の意見には大きく頷いたりも。
この本、書かれたのが若干昔なため、作中にソ連とかゴルバチョフという単語が
何度か出てきて、時代を感じさせます。
ようやく半分過ぎた辺りまで読み進みました。
とりあえず、上のフレーズ目ざして頑張ります!


落下する緑―永見緋太郎の事件簿 (創元推理文庫)

田中 啓文 / 東京創元社

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辛い飴 (永見緋太郎の事件簿) (創元推理文庫)

田中 啓文 / 東京創元社

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田中啓文著『落下する緑』
『辛い飴』
娯楽本その1その2。
宣言どおり、田中本ミステリーを読んでみました。
とりあえず、ジャズミステリーです。
他の出版社から出ている落語本に引き続き、ミステリー要素はごくごくあっさり。
それより、ジャズに関する記述が大変に秀逸でございました。
ジャズなどほっとんど聞いたこともないこのわたしが
「聞いてみても良いかな」などと思ってしまう恐るべし田中マジック!
ミステリー要素はなくてもいい、という気持ちになる本です。
(ミステリー本としてそれはどうなのか)。

語りはワトスン君的な、穏やかな中年トランペット奏者。
探偵役は年若いサックス奏者。
この探偵キャラ、音楽と演奏にしか興味がない変人、という記述があったから
さぞかし気難しい眉間に皺寄ったタイプかと思ってたら
期待を裏切る天真爛漫な明るい子でした(でも音楽知識以外は大分欠けてる)。
この辺りが大分好感触。
だって、いい演奏聞いたら、素直に感動して滂沱するんよ、この子!
対人スキルに関しても、人見知りでもなく、常識ある反応を返せる子ですヨ!
ええ子やん(探偵役なのに!いいの、こんなに善人で!?)!!

さらっと読めました。


茶坊主漫遊記 (集英社文庫)

田中 啓文 / 集英社

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田中啓文著『茶坊主漫遊記』読了
新しく本屋で出てたのでなんとなく買ってみた、時代物。
ちっこいしわくちゃの坊さんと、御付のガタイのいいお侍と、口達者な商人のチン道中。
水戸黄門的なものを目ざしたようで、行く先で事件が起こり、
一行が解決する、という筋立てです。
これまたミステリー仕立てで、それに老僧の正体とか、商人の正体とか、
一行を追う(老僧の命を狙っている)柳生十兵衛の事情とか絡められてて
これまた、さらっと読めてそこそこ楽しめるエンタメでした。続きを望む。



多読
『The Wind in the Willows』レベル3くらいのやつ。
要するに、楽しい川辺。
ねずみくんともぐらくんはいい人です。
カエル君は、ほんっま、こいつ人の言う事聞かんどうしようもないやつやけど、
最後にいいカエルになっちゃうと、なんか、物足りなかった…。


ケイ・ヘザリの『Humberger』(レベル4かな)
日本に14年間住んで、今はテキサスに帰国したアメリカ人のエッセイ集。
分からない単語を読み飛ばしつつざっくりしか内容がわからないという
オノレの相変わらずの英語能力の低さを自覚しつつ
でも面白いです。
テキサスってロマンス小説で、マッチョな男の典型が良く出てくる舞台なんですよね。
THE西部、というか。南の方で、アメフトとかスポーツが人気で、兄ちゃんは
すべからくカウボーイハット被って、分厚いステーキ貪り食ってるイメージ。
(※超個人的な印象なのでみなさんは鵜呑みにしないように)
ロマンス小説のおかげで自分の中にたいへんに偏ったアメリカ地域イメージが定着しつつある
今日この頃です。
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by mi-narai | 2012-03-03 12:06 | 2012年2月の読書

『天岩屋戸の研究』 『アスディワル武勲詩』 『仮面の告白』『美徳のよろめき』 『トルコ狂乱』

ロジャー・パルバース著『日本ひとめぼれ』読了。
大体、はいはい、そうやな、と思って読めましたが、
ところどころものすごい腹の立つ記述もあったので、
絶対自分では買わないぜ(心狭ッ)。
でもまあ、読み応えは合ったので、ほんとに最近出た方の本も
読んでみたいです。図書館で借りてな!


天岩屋戸の研究 (講談社文庫)

田中 啓文 / 講談社

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田中啓文著『天岩屋戸の研究』読了。
シリーズ最終巻。
若干この作者の持ち味(であるらしい)エロでグロい感じが仄見えました。
子供向けの本でそれはどうなのか…。
でも、それにも関らず、おまけに相変わらずのアホいノリにも関らず、
ちゃんと最後は青春・ラブコメで締めるあたり、流石です。
3冊目がどぎついのであまり人にはオススメできない感じになってしまいましたが
個人的にはまあ、アリかな。
とりあえず、この人のミステリーにも手を出してみるつもりです。


アスディワル武勲詩 (ちくま学芸文庫)

クロード レヴィ=ストロース / 筑摩書房

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レヴィ=ストロース『アスディワル武勲詩』読了。
本屋を通り掛かったら出版されていたので購入してみた。
カナダ北西部の部族の神話を2つの川沿いで収拾し、比較したもの。
神話がその部族の生活とどう関ってるか、というか、
神話の各要素を取り出して、その対立項から部族の生活習慣や
居住地域がどう神話に影響してるかを読み解く手法が
ものすごく面白かったです!
短いから読みやすいし。
しかし、アスディワルの神話自体は、
「この男、大概やな…」と思った。


仮面の告白 (新潮文庫)

三島 由紀夫 / 新潮社

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美徳のよろめき (新潮文庫)

三島 由紀夫 / 新潮社

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三島由紀夫の
『仮面の告白』『美徳のよろめき』読了。
友達が古本屋で100円で買ったはいいけど
「…あかん。無理でした。何が言いたいか分からん」
と言ってバトンタッチしてきた本たち。
予め読みづらかった、という情報を得ていたため、心構えが出来ており、
そのおかげで思ったよりもスムーズに読み進む事が出来ました。
で、確かに、どっちも、主人公の心の動きが微に入り細を穿って書かれていて
(その上主人公はちょっとの事にものすごく心が揺れる)
よく三島レビューで聞く、『読んでて凄く疲れる』、というのは実感として分かりましたが、
でも思ってたより面白かった、の、です…。なんだか、意外。
自分には文学作品を読む能力が決定的に欠けておる、と思っていたので…。
これが文豪の実力か…!?
『仮面の告白』…男色の気のある主人公が、一生けんめい普通になろうと頑張って、
頑張って、頑張って、やっぱりあかんかった…という話。
つい主人公に引き込まれて一緒に心痛を感じてしまい、なかなか心休まりません。
開き直っちゃえよ!と何回思ったことか。
(でも開き直れない主人公はとてもリアルだとも思う)
『美徳のよろめき』…最初は主人公の節子さんがエキセントリックすぎて
ついていけない、と思ってたんですが、読み進むうち、どんどん変化するにも関らず、
もとの清潔感を失わない節子さんが興味深くなってきました。
で、けっこうワクワクしつつ読み終えた。
なんか面白かった。

他の三島作品を続けて読むか、と問われれば、微妙に躊躇してしまうのですが
それでも思ってたよりそこまで読むのが苦痛でもなくて、
忘れた頃に気が向けば読んでもいいかな、という気にはなりました。
この文学苦手なワタシが(笑)。


トルコ狂乱 オスマン帝国崩壊とアタテュルクの戦争

トゥルグット・オザクマン / 三一書房

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トゥルグット・オザクマン著『トルコ狂乱』
TVドラマで坂の上の雲を見終わって、なんかそんな感じの話が読みたくなって
以前に購入したままあまりの分厚さに(10㎝くらいある)積んで置かれていたこの本を
とうとう未読本の山から引っ張り出してきました。
20世紀初頭の、列強に分割統治される危機に直面しながら
なんとかソレを回避して独立を勝ち得たトルコについて書いてある本らしいとは
分かってたので、とりあえず、爽やかな読後感は期待できそうです。
(ちゃんと独立出来て終わる事は分かってるからな!)
ケマル・アタテュルクに対する興味もあり気合を入れて読み始めました。

とりあえず、序文部分の感想を書きます。

最初、序文で作者がこの物語を書くに至った経緯が書いてあり
(長い間掛けて資料を集めたらしい)、
その流れでちょろっと、トルコ国内でも独立については色々と意見があることなど
触れられていて、実に意外でした。
全トルコ国民が自分たちの努力で征服の憂き目に遭うことなく独立を
守った事を誇りに思ってるのかと思ってたらそうでもないみたい。
イスタンブルの皇帝と袂を分かったアンカラ政府に懐疑的な意見とか、
色々あるらしく(そんな本も出てるみたい)、
作者はそんな意見が大勢を占めるのも間違ってると思うし、
アタテュルクたち先人の尽力を知らずにいる若い人たちに本当のトルコ近代史を
知ってもらい、誇りを取り戻してもらうために書いたのだって。
(幕末の志士たちみたいに良くやったーて思われてるのかと思ってた。)
でもまあ、よく考えたら、そんなもんなの、かなあ…
近い歴史であろうと、まだまだハッキリしてない事はありますよね。
むしろ近い方が冷静に見れないというか。
日本人だって、太平洋戦争あたりの事に関してどれだけの人が当時の事情に詳しいのかと
問われれば答に窮するしなあ…(ワタシ含めて)。
アルメニア人虐殺問題とかにしても、お隣と色々歴史問題抱えてる日本人としても
なんか、そのあたり、人事じゃないよなあなどと思ったりしました。

後、トルコにも西欧コンプレックスがあって、
やたら欧米がキラキラしく見えてたりした事情も、なんかものすごい共感したわあ…。
(日本でも、日本語やめようか、て言い出す人もいたしね)
よくまあそんな土壌の中でアタテュルクは粘り強くトルコという国民性とか、
言葉とか、守りきったなあ…。

とりあえず、そんな風に、西欧列強に抵抗する非西欧人として、1920年代のトルコには
ものすごく共感があるのですが
(東で日本が足掻いてる時に西でトルコも頑張ってたんだなー、みたいな)
近隣諸国の方がコレを読むと、多分抗日とダブらせるんだろうなと思うと
なんとも複雑な気持ちに…なるけど、とりあえず、それはひとまずおいておいて
純粋に楽しみたいと思います。



『アンティキテラ』も読み始めました。
こっちはもうちょっと読み進んでから感想書きます。



多読
再びゼンダ城の囚人
今度は二つほどレベルを上げたので、書いてある字が小さくなりました…!
真中辺りの、成り行きで国王の身代わりをする事になって、
国王の婚約者フラヴィア姫に恋しちゃって、でも叶わないので
早く国王を助けに行こう、とゼンダ城へ向けて旅立ったあたりで期限が来て返却しました。
恋の行方も前回読んで分かっちゃってるからなあ…。他の本読もうかな。


『Marco Polo and the Silk Road』
流石に最近のレベルの上のほうの多読本が若干難しいので
(アレを難しいと言うとんでもなく英語能力の低いワタシ)
久々にレベル2の本を借りてみた。
上記の『ゼンダ城』の5分の1ほどしか字がありません。
なので、さらっと読み終わりましたよ~。
クビライ・ハンは器のでかい人物だぜ…
後、財産もなんもかも失って晩年牢に入れられた時に
旅の思い出を語ったのかと思ったら、
どこかと戦争中に捕虜になったときに牢の中で語ってたのか。
ちゃんと商人として一生を終えれたようで、ほっとしました。
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by mi-narai | 2012-02-05 23:49 | 2012年2月の読書