カテゴリ:2010年10月の読書( 3 )

『京都の平熱』

岩波新書の『現代ヨーロッパの言語』かなんかいう本を図書館で立ち読みしてたんですが、その中のスペイン語の項目に

『「女を口説くにふさわしいのはイタリア語、男と話すにはフランス語、神と語らうにはスペイン語」というくらい、ヨーロッパ人の耳にはスペイン語はおごそかに響くらしい』

と書いてありました。ふーん、そうなんや…


京都の平熱 哲学者の都市案内

鷲田 清一 / 講談社

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鷲田清一先生著『京都の平熱』読了。
いや、大阪本を読んだからには京都本も読まねばならん、と思って。
大阪本のほうは、他地方の人の目を通した大阪だったんですが、
こちらの『京都の平熱』は、京都で生まれて京都で育った鷲田先生(お勤めは大阪)による
住んでる者の目線で見た京都(=つまり平熱の京都)です。
ガイド本では全くなく、京都の人の気質から、都市論までを淡々と語っておられます。
しかし、3代前から京都に移り住んだ鷲田先生一家はご本人曰くまだまだ京都人じゃないとか、
いったい京都は真の京都人と名乗るに値するまでにどれだけの代替わりを住人に求めるのか…!!

京都駅から東回りにぐるっとバス路線に沿って回りながら、
観光とは関係なく、住人目線で京都を見ていくコンセプトの都市案内なんですが、

些事は忘れた!(おいこら)

印象に残ってる事を挙げると

①大阪本と違って、さすがに哲学者が書いただけあって思想が掘り下げてある気がする。
(その分大阪本の方が読みやすかったけども。読み応えはこちらの方がありましたよ)

②京都市民、プライド高ぇ!(ブルブル)

③意外と奇人率高いのか、な…?

の3点でしょうか。
②に関して申しますならば、なんといいますか、
なんでも面と向かって宣言したりしないのです。
言うなれば、真綿で首をしめるように、じわじわ殺す…!
やんわり拒絶されてる感が行間から感じられ、読みながら非常に胆の冷える思いが致しました。
京都は本当に素敵なところですが、小さい頃から住んでるならまだしも、

大人になってから引っ越したくはない…!!

…と強く思いました(全面降伏)。
いや、多分ね、実際住んでみたらきっと皆さん優しくしてくださるだろうとは思うんですけどね。

③に関しては、首都を譲ったことに付随する特典かもなあ、と。
さすがに首都ともなれば、そうそう変人奇人を受け入れられないよなあ。
しかし、鷲田先生の言に乗せられて
ついつい『奇人の多い町は住みやすいそうでいいんじゃないの?』などと
考えている自分にふと気付いて自分で驚く清一マジック。
山という定点があるから、碁盤の目が通ってる町並みでも不安にならない、
奇矯な振る舞いをどこまでしてもいいかという意味での臨界点・奇人、
派手な服装の限界点という意味での芸子、質素を突き詰めた僧侶、
という枠が示されているから、
却ってその範囲内で自由に振舞える、
という指摘にはなんだか納得させられてしまいました。


後、鷲田先生は京大を、その学問への姿勢を、京都市民の学生への暖かい眼差しを、
とても誇りに思ってらっしゃるのだなあとも感じられ、それにはほのぼの致しました。
さすが大学の町…!

ああ、あと、羊羹で有名な虎屋、アレ、本店京都らしいよ!
ずっと東京の店なのかと思ってました。
それと、京都府民も京都タワーはどうかと思ってるらしい。
(にも関らず、最近は地方から帰ってきてタワーをみると『京都に帰ってきた…』と
思ってしまうらしい)

続きは派生したアホもうそうなので、折りたたみます。

続き
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by mi-narai | 2010-11-02 23:24 | 2010年10月の読書

『大阪不案内』 『トロイア戦争物語』

大阪不案内 (ちくま文庫)

森 まゆみ / 筑摩書房

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森まゆみ『大阪不案内』読了。
図書館で目があっちゃったので、とりあえず借りてみました。
エッセイ集なので、さらっと読了。
著者の森さんは東京人なので、色々「へー、こんな風に見えるんだなあ」と
目新しい視点で書いてあって面白かったですヨ!
とはいえ、ワタクシだって大阪にはものすごく不案内なわけですが。
しかし、東京の人が書いたにしては随分贔屓目に大阪を見てるなあと思ったら、
大阪で発売されてた雑誌か何かの連載だったようで。そりゃ悪くは書かんわな。納得。


トロイア戦争物語 (現代教養文庫)

バーナード エヴスリン / 社会思想社

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バーナード・エヴスリン著『トロイア戦争物語』読了。
貸してくださってありがとうございましたー!
読む前に、色々噂は聞いていたので、一体どのくらいはっちゃけた本なのかと
半ば期待、半ば不安に思いながらページを進めていったのですが、

…あれ?意外と普通に面白い、な……

もちろん、ギリシア神話として読むと、いろいろ捏造もあり、あまり神話の成り立ちとか、
そういった諸々の経緯に敬意をはらってない作者なのではと、疑問に思わせられる部分もあるのですが、
純粋に読み物として見ると、なかなかいい出来なんじゃないかと。
話の流れもスムーズで、古典作品を読む、といった緊張感もなく
肩肘張らずにファンタジー小説読むみたいな気軽さで読めました。

うん、本当にそんな感じ。ギリシア神話を元に、エブスリンさんが書き下ろした小説、といった態。

これをそのままホメロスの『イーリアス』だと思われることには抵抗がありますが、
結局どの時代のどの作者も同じような手順を踏んでギリシア神話を自分の時代に即した話に
うまく作り変えているんだからして、アメリカ人が語りなおしたギリシア神話だと思えば
これはこれで良いのではないでしょうか。
何より読みやすかったし。
一応、叙事詩の環のその他のエピソードも上手に攫ってまとめてあるので、
一冊読めば大体の挿話は網羅できますし。
(成立時期とか無視して一緒くたにごっちゃにしてあるので、却って害だといわれれば
そうなんだけども。トロイロスとクレシダは、ギリシア古典というより、騎士物語の範疇で
いいじゃない!かと思えば、『イリアス』に忠実な部分もあったりして。)

後、良かった事といえばオデュッセウスとディオメデスが男前でした!
(オデュッセウスは一貫して策士でなかなか良かった。アメリカ人には好かれてるよね!
ディオメデスは、特にクレシダを跳ね除けるところが素敵でした。良い若者でしたよ~)
ヘクトールも良かったし!ヘクトールを助けてくれる時点でアポロンの株もうなぎのぼりだし!
血に飢えたアキレウスについては、評価が分かれるところでしょうが、私は有りかなあ。
この作者はこういう解釈なのだなあと。
女性陣の扱いについては、皆さん結構奔放で、読んでるこっちがハラハラしましたが、
これも逆に考えると、処女性に重きをおかない、女性その人に価値を置く、という意味で
まあ、アメリカらしいといえばそうだなと。
複数の相手と契ろうとその女性の価値が下がるわけじゃないといわれればそのとおりです。
…なんて言っておきながら、ペネロペイアが他の男と関係するのは嫌なんですが。
(そんじょそこらの男にはペネロペイアは渡さーん(父親気分))
うわー、この人の『オデュッセイア物語』は先に読んだ人の話を聞いて、
その辺りを確認してからでないと読めない…

結論としては、全くギリシア神話を知らないけれど、ファンタジー小説なら読みなれてる人などに、
ざっとトロイア戦争知ってもらいたい時に貸すのに最適な本だと思いました。
確実に、ディオメデス、ヘクトール、オデュッセウスには好感を持つはずです(地道に啓蒙運動)。
でも、アキレウスの魅力をプッシュしたい場合なら、相手の好みを考えてからだなあ、
野性的で若干鬼畜入ったタイプ(遥時3でいうなら智盛タイプ)が好きならこの本、
もっと王道タイプが好きなら(遥時3でいうなら九郎ちゃんタイプ)
ピカードの方を勧めるなあ。
後、一般ファンタジーやラノベよりも児童文学のほうが読みなれている、という人にも
ピカードの方がいいかもしれん(←いや、まんま児童文学ですから)。
ヘクトール好きの人にはなんと言っても映画の『トロイ』をオススメしますが。
なんのはなしや。

追記:蛇足ですが、クレシダって、もともとのクリュセスの娘(クリュセイス)が
→中世にクリュセイデ(Criseyde)標記に
→シェイクスピアがクレシダ(Cressida)と標記
でクレシダ読みになったっぽいですね。
誰やねんクレシダって、って思ってたけど、クリュセイスのことだったのか…
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by mi-narai | 2010-10-25 21:38 | 2010年10月の読書

『近代大阪経済史』 『オスは生きてるムダなのか』 『街場のマンガ論』

某N●Kの番組で、銀閣寺の本来の姿を予想してCGで再現してるのをたまたま見たんですが、

これがえっらい美しかったの!(白亜の寺ですぜ…)

しかも月見の館だと…!!
月を愛でて酒を飲むためにわざわざ作ったとか…(なんと風流な)

どっちかというと、月見で一杯いきたい派であるワタクシ、つくづく、
日本が月を見て気が狂うとか色々不吉なものを連想する西洋式の伝承を持つ国でなくて良かった!
と心から思った次第であります!

同じ事を虹に対しても最近思ったけども(笑)。
(綺麗なものを見てあんまり不吉な事を連想したくないよな~)

蛇足ですが、番組内で、銀閣寺の一階の4畳半の説明をするときにバックに流れてた都留さんの曲、
好きなんですよ~。(タイトルがこれまた『月をつくった男』)


近代大阪経済史 (大阪大学新世紀レクチャー)

阿部 武司 / 大阪大学出版会

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阿部武司著『近代大阪経済史』、半分くらい読んだ辺りで返却期限がきて泣く泣く返却。
いきなりなんで経済史かと思われるでしょうが、別に政治経済に興味があったわけじゃなくて、
某『●馬伝』に出てくる長崎商人があまりにカッコいいので、
もっと商人に浸りたくなっただけという(そんな他愛無い理由で借りました)。
しかし、この作者の方、大阪大学の教授だけど、東京出身の方なのね。
その分余計な感傷を交えずに事実だけ著しておられそうな気がするので期待大です。

最初は大阪商人の変遷(江戸時代あたりから戦前まで)から始まって、徐々に詳細に移るのですが、
幕末、大名が借金踏み倒したり、
維新後、政府に金を毟り取られたりしてダメージを受けたくだりを読んだ時には、
人事ながら腹が立ちました。権力の側ってのはなんで毎回こういうことを…!!!

しかしそれでもめげない大阪は素晴らしいです。
商都として発展して自分たちの事は自分たちでする気風の強かった大阪、
横浜・神戸の港が官費で整えられたのに対して、大阪港は地元が金出したらしい(スゲエ)!
これからも大阪さんには頑張っていただきたい!と思いました。
褒めすぎですか。褒めすぎですね。
どうもワタクシ2府には夢を見ていたいという願望がございまして…。

後、明治の大阪の発展に関った鹿児島の人、五代友厚(才助)はやっぱりかっこいいなあ☆


オスは生きてるムダなのか (角川選書)

池田 清彦 / 角川学芸出版

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池田清彦著『オスは生きてるムダなのか』 後もうちょっと。

この本、めっちゃおもろい!!

いきなり失礼しました。


以前読んで面白かった『生きる力、死ぬ能力』と同じ作者の新刊です。
しかもタイトルがコレ。
これはもう買うしかッ!

と、本屋で見つけて即レジに持っていった一冊。
期待を裏切らない面白さです。
具体例をあげつつ、性というしくみは、一体いつ誕生したのか。死の起源との関りは。
オスメスに分かれて生殖するとどういうメリットがあるのか。
メリットだけでなくデメリットは。
性の進化。人間の性決定。
などという根本的な疑問をひとつひとつ解き明かしていくんですが、
その過程が分かりやすく、かつエキサイティング!
「性」というものを生物学的に説明してあります。
例によって、理系に弱いわたしでも理解できるよう噛み砕いた易しい言葉で。(ありがたや)

以下、特に心に残った箇所を箇条書きで(毎回の事ですが、わたしの心に残るのは
大体本筋とはなれたどうでもいいことです)

・性があるのは生物としての多様性を増やして環境の変化に対応するため、
という説はこれまでいろんなところで聞いて知ってたんですが、
それに加えて減数分裂時に遺伝子の損傷を修復するためでもある、という意見には
目から鱗が落ちました。なるほどー!無駄のないように出来てんな~

・ネオテニー(幼形成熟)のはなし。
難しい話はようわからんが(各自本を読んで確認してくれい)
ざっくり言えば幼い外見で出産可能年齢になれるほどネオテニーが進んでいる。
そして、ネオテニーが進んでいる方が長生きであるらしい。
そう言われてもしっくり来なかったんですが、「東洋人はよりネオテニーが進んでいるので
そのことは東洋人の長寿の秘訣にも関ってるんじゃないか」という言葉には納得した。
「勝った…!」(笑)。

・死の起源の辺りの話は、『生きる力、死ぬ能力』で読んだような感じだった。

・オスが提供するのは情報だけで、基本生殖における主役はメスである、
というあたりも前に読んだ本を補強してる感じ。

・性的に激しい(※オス同士の争いが激しかったり)生物の方が
ペニスが大きいという叙述には笑ってしまった。
人間は他の生物(多分霊長類とか)と比較した場合、割合的には大きい方なんだそうですが、
これって国別平均も当てはまるのかしら(笑)

・途中で先生、
「オスは生きている無駄であるとわたしは思う」
と言い切っちゃっておられます(いいのか!?)。
…この箇所読んだ時にやにやしてものすごい気持ち悪い人になってしまった…


まだ5分の1ほど残ってる状態ですが、ここまで読み進んで

「ああああああ、オスじゃなくて良かったー!!!!」

と深く思いました。いやまあ人間の場合は男性より筋力が弱いせいで色々不便も有るんですけども。
でも、基本、生物として強いのはメスなんだなあ…(しみじみ)



数日後、読了。
残りの少しのページは、人における性の決定に付いてでした。
体の性の決定と脳の性の決定とか、ホルモンのどの成分がどう作用してるかとか。
面白かったよー!


街場のマンガ論

内田 樹 / 小学館クリエイティブ

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内田樹著『街場のマンガ論』読了。
さらさらーっと読めました。
この人の本、ていうか、この人、沢山本出し過ぎです。
言う事もイマイチ胡散臭い気がするし、面白いんだけど買ってたらキリがないので
よっぽど面白そうなもの以外は買わないことにしてるのですが

これはマンガ論だったので!

読み終えてこの本の趣旨を一言で言えと言われれば、

マンガ万歳!

でしょうか(略しすぎ)。

いやあ、マンガっていいですね!日本の文化ですね!
でも文化と祭りあげてしまうと自由さが失われるから、
ちょっと文学には足りないサブカルチャーと思われてるくらいが良いよね!

と読後しみじみ思うこと請け合い。
くっそー、今回もまたしてやられた感満載でした。
漢字とカナのハイブリッド文字である日本語を駆使する日本人だからこそ
ストーリー性を持ったマンガという一大コンテンツをここまで創りあげる事が出来た、
という論とか、
少女漫画を読解するには少女漫画リテラシーが必要、とかいう意見とか
面白かった!!
もちろん、「いや、お前の言っている事には同意できない」という部分も
半分ほどはあったのですが(BLについてとか)

でも、著者もガラスの仮面を全巻持ってるようだから
全てそれで許しちゃう!



多読
『King Arthur and the knight of the round table』(レベル2)
アーサー王について書いた本。
返却期限超過しちゃったので、アーサー王がグウィネヴィアと結婚して、
円卓の騎士たちがそれぞれ冒険して、
モルガン・ル=フェがアーサー王の邪魔をしたりする辺りで
返却してしまいました。


『Julius Caesar』(レベル2)
前回の侍本に引き続き、不親切なアメリカの出版社の本。
文章は簡単だけど副詞とか形容詞とか変に分かりづらくて

読みづれえよ!!!

ちくしょう、アメリカ人め…(涙目)。

もう途中で(三頭政治→各地を転戦して勝利→娘・ユリアの死に伴うポンペイウスとの蜜月の終焉辺り)
「カエサルさんの人生なんてどうでもいい!!!」という気分になり、
一番最後の
「こうして共和政ローマは終わり、ローマ帝国が始まりましたとさ」
という一文だけ読んで終わった事にして返却してやりました。
すまん、カエサルさん。恨むならアメリカ人を恨んでくれ。


『Long-ago stories of Japan』(レベル2)
こちらは日本の出版社が出した多読本。
うって代わって読みやすいです。

ありがとう、日本の出版社…。

桃太郎とかちかち山読み終えたところ。次は花さかじいさんです。
犬の名前がちゃんと ぽち じゃなくて しろ になってる
(※時代考証的にしろの方が正しいらしい)
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by mi-narai | 2010-10-17 22:43 | 2010年10月の読書