カテゴリ:2009年8月の読書( 3 )

『古代ローマ軍団大百科』 『そして誰もいなくなった』 『ギリシア・ローマの神と人間』

エイドリアン・ゴールズワーシー著『古代ローマ軍団大百科』ようやっと読み終えました。長かった…

以下、お、と思ったことメモ

・ローマ軍の兵士に給料が支給され始めたのは、ウェイイ攻略のための遠征中のことだったらしい。
…なんだか、ウェイイの名前を聞くと切なくなります…

・ローマ軍では帝国末期に解禁になるまで、長い間ずっと結婚を禁じられていた。
(国が兵士の家族を扶養する金を出し渋ったためらしい)
とはいえ、若い盛りを軍隊で過ごした兵士たちは、実際には結婚してたらしい。
上級仕官は結婚を禁じられてはおらず、それなりの身分の相手と結婚したが、
百人隊長以下の兵士たちは、けっこう現地人や解放奴隷と結婚したらしい。

・ローマの槍(ピールム)の貫通力にびびる。

・ローマの軍隊は、同時期の対抗勢力が足元にも及ばないくらい、
規律が大変厳しかったらしいですよ。こんなことを聞くと、やはりマルスは
厳格で融通の利かない性格だったんじゃないかと思ってしまうなあ…

・とはいえ、ローマと対抗しうる洗練されて強力な軍隊をもってたのって
初期に対立したギリシアのピュロス王の軍隊と、カルタゴ軍くらいだったらしいよ。
(後はあまり統制の取れてないゲルマンやケルトの部族が主だったから)
…マジで、カルタゴを踏み台にステップアップしよったのだな、ローマ…


そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アガサ クリスティー / 早川書房

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アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』読了。
妹と、『外国人作家のミステリーを人にお薦めするなら一番はどれだ?』
というお馬鹿なことを話してて、この本が話題に上がり、
「やっぱり基本は外されへんやろ」
「あれはなかなか衝撃やったよなあ」
などと言ううちに読みたくなったのです。
10年ぶりくらいに読みましたが、面白かった…。
推理のための推理じゃなくて、トリックがさりげなくて、いかにもほんとにありそうなあたりが。
いや、見立て殺人や島内密室皆殺しをする人が現実に居そうだという意味じゃないですヨ。


ギリシア・ローマの神と人間 (1979年)

中村 善也 / 東海大学出版会

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続いて、『ギリシア・ローマの神と人間』を読み始めました。
この本、かの松平先生が退官されるにあたり、
その教えにあずかった人々が記念に論文を一つづつ持ち寄ったものらしい。
なので、西洋古典を愛読してる人なら必ず見たことある名前がズラリ並んでます。
ひいぃ、なんという豪華なメンバー!
この時期のK大はまさにパラダイス!!
あたしも松平先生の教えを受けたかったよー(そもそも入学が無理だっての)。
(おまけに、松平先生って1979年には御退官されてたらしいので、時期的にも無理だ…)
しかし最寄の図書館、よくこんな本、書庫に持ってたな。


一つ目の廣川先生の『人間の生成と人間世界の成立』は、
哲学関連でよく目にするアナクシマンドロスや、叙事詩人ヘシオドスの
人間生成と、その人間が生活する場としての世界の成立についての論文。
なぜこの二人を特に取り上げて論じてあるのかというと、
この二人の説が、古代ギリシアで考えられていた2種類の人間生成論を
代表するような説を唱えていたかららしい。
昔のギリシア人はおもろい事を考えるもんじゃのう、と概ね感心しつつ読みました。

二つ目はなんと藤縄先生による『ヘロドトスの信仰』
最近読む本読む本で、「ヘロドトスはトゥキディデスに比べて劣ってるって言われてるけど、
これはこれで良いんだよ!?」と述べてあって…

……なんだか、洗脳されてしまいそうです。

(や。別に、ヘロドトス好きですけども。自分の主張と違ってもとりあえず書き残しといてくれる姿勢とか、
なるべく私見はまじえない、といいつつそう言明することでちゃっかり私見をまじえちゃってるとことか)


三つ目はこれまたなんと柳沼先生による『プルタルコスの伝記における「性格」』

んまあああ、柳沼先生ですわ!(柳沼先生も松平先生の教え子だったの!?)

とワクワクしながら読みました。
先生曰く、古典の散文作品の中でプルタルコスの対比列伝とヘロドトスの歴史は、
これほど楽しく読めるものは他にないくらい楽しい読み物、らしいです。
いやーん、早くプルタルコス読まなくっちゃ!
現代で伝記というと、業績も踏まえその人がどう生きたか、を記すものであるのに対し、
古代世界において、個人の公と私はきっぱり分けられていて、
公部分は歴史の範疇に入り、伝記に使うのは私部分である、
プルタルコスが、「その人の性格を書き記したい」という時に彼が想定してるのは
まさにこの個人におけるプライベートの部分なのだ、ということがよく分かった。

でも確かに、職場での顔とプライベートは違うもんな。
現代の伝記と比較するとプルタルコスの伝記は抜けが多いように感じるらしいけど
性格を描こうとしてプライベートを考えた気持ちは分かるなあ。


次、松本先生による『女神と英雄』
…ふふ、「オデュッセイア」におけるアテナの支援について書かれておりましたわ。
好きな分野なのでニマニマしつつ読んでたらあっというまに読み終えてしまった。
アテナ様の『オデュッセイア』の支援方法も、『イーリアス』との違いも確かに先生の指摘のとおりです。
あー、もう、人に解説してもらうのって楽しい!


次、橋本先生の『ピンダロスにおける神々と人間』
ピンダロスとは好みが違いすぎて分かり合えないかもしれませんが、
橋本先生のことは好きになれそうな気がします。
ところで、作中、ピンダロスの祝勝歌の中で、髪の長いアポロンの記述が出てきました。
アポロンが若々しい、という形容詞込みだったので、
ああ、先だってSさんが言っていたのはこれのことだな、と納得しました。
(そういや、ヘルメスではあんまり見たことないな。もとが髭のおっさんだからか?)

後、ピンダロスの原典ではなく、地の文ですが、
「罪を犯した場合、ベレロポンは不死ではなかったので死を賜わり、
タンタロスとイクシオンは不死性を与えられていたので永遠の罰を下された。」
という記述が出てきました
→じゃあ、同じようにタルタロスの住人であるシシュポスも
落とされる前は不死性を与えられていたって事?
(いや、奴の場合は下手に殺すと生き返るからか)

コロニスの罪について書いてある箇所でふと思いました。
→大体神によって子供を産む場合、交わりは1回かぎりじゃん。
コロニスがもう終わったことだと思って人間の男との未来を考えるのは
どっちかといえば普通なんじゃないの?生まれる子供の父親も要るしさ。

そこまで考えて、
→関係が続いていることが珍しいのか。
他に覚えている限りではディオニュソスの場合なんだけど、
なに?後で神になる場合は関係が続くの?
でもヘラクレスの時は1回限りだよなあ…。

などと、楽しくぐるぐる考えました。
コロニスとからすのエピソードは、
名前にかけて語呂合わせで生まれた民話的な説話だと思うので脇に置いておいて、
ひょっとするとアポロンに罰された話の背景にはもっと別の要因もあったのかもなあ。


次、中村先生による『「悲劇」の終わりの「神」』
エウリピデスにおけるデウス・エクス・マキーナについて考察してある一作。
そういえば、中村先生はエウリピデスがお好きで、後年はカラーの似てるオウィディウスも好まれたって、
こないだ別の本で読んだもんな、うんうん、などとほのぼの楽しみました。

中村先生的には、デウス・エクス・マキーナが作家のご都合主義の道具とは思わないまでも、
あんまり難しい理屈をつけすぎるのもどうかな、と思ってたっぽい。
読んでて、『デウス・エクス・マキーナ=水戸黄門でいう所の印籠見せ部分、
金さんならお白州で桜吹雪を見せ付けてるあたり?』という印象を受けた自分の
読解力のなさを小一時間問い詰めたい気持ちになりました。

ところで、今更ですが、デウス・エクス・マキーナってラテン語か?
(女性系ならデア、複数ならデイだもんな)


次、竹部先生の『ソポクレスにおける神と人間』
がっつりまるごとソポクレスについて。
真面目な考察がなされてます。
悲劇本編は、さらっと一通り、しかもトロイア関連のものだけ流し読みしただけなのに
悲劇について書いてある本ばかり既読になっていくという矛盾…。
本編を熟読してないのに、なんか、分かったような気にだけなってしまうので恐ろしいです。
ところで、わたし、ソポクレス本人に関しては文句なく興味ありますし、
ソポクレスの悲劇も嫌いではないのですが、
…時々ソポクレスの悲劇の主人公とお付き合いするのがしんどくなります。
極端すぎる…

とはいえ、竹部先生の仰るとおり、当時の世相を繁栄して、アテナイ市民(つまり男性のみ)を
啓蒙することも目的としてるのだと思って見ると、それはそれで納得するなあ…


次、木曽先生による『エウリピデスとソポクレスにおける「たくらみ劇」』
最初は、「お?またエウリピデスか?モッテモテだな、エウリピデス~」などと
冷やかし半分に読み始めたこの論文ですが、読み終わる頃にはトキメキが止まりませんでした。
エウリピデスとソポクレスの、劇中の陰謀部分を大きく取り上げて論じてあるのですが、
うん、ごめん、ワタシ現実の権謀術数はさておき、お話の上でなら大好きなの。

登場人物が割と利己的だったり、大きく揺れたりするエウリピデスのたくらみ劇の記述が終わって
(絶対登場人物はエウリピデスの造詣の方がリアルだと思う。
エウリピデスは、そういうところがいいのですよ…と言わずもがもな事を弁明)
ソポクレスのたくらみ劇の記述に入るや、

その陰謀の首謀者の光ること光ること!

まずはオレステス。
あの冷静な判断、行動力!迷いの無さ!
(Fさんの3大悲劇詩人のオレステス&エレクトラ比較を今更実感しましたですよ!ナルホド!)
あの物語の主人公はエレクトラなので、これまでオレステスについてはあまりきちんと
考えてきませんでしたが(それ以前に読んだの一回だけだっての)
今回、ソポクレスのオレステスのかっちょ良さを洗脳されてしまいました!
男前ですよ!
テレマコスも、このオレステスには安心して憧れてるとイイよ!

次、『ピロクテーテース』におけるオデュッセウス。
元来、一般的には、
気性が激しく高貴なピロクテーテース、
若く純粋なネオプトレモス、
臆病で狡賢いオデュッセウス、
の3人の対比で語られるこの一作。
わたしも、この劇の主眼はピロクテーテースとネオプトレモスの交流にあると思ってたし、
そこには観客のアテナイ市民に対する教育効果もあるのだろうなと認識してたし、
『アイアース』ではオデュッセウスをそこそこ人間味ある男に描いた同一作家とは思えない変貌振りも、
「所詮登場人物なんて劇ごとの作者の駒ですもの、
そりゃ作者の表したい事柄に都合の良いように並び替えるわよね」と納得し
どっちかというと卑怯で臆病なのがオデュッセウスに対する一般イメージなので
そういうもんだと思ってたのですが、






…ていうか、
個人的には「これがもしホメロスのオデュッセウスなら、卑怯で臆病な言動は
絶対全部ブラフだな。そういう演技で自分の醜さを強調して、
その反動でピロクテーテースをネオプトレモスの純真さで懐柔、
あの息子を信じさせて、最終的に弓手を弓もろともトロイアへ拉致るまで
全部の行程が実は奴の思惑の範疇内だろう。」とは思ってたけど、

まさか真剣にそう論じてる学者が居るとは思ってなかった。
(自分の目が贔屓目と色眼鏡で曇りまくってる自覚はあるのですよ)

コルダー教授の論文、読んでみたくなりました。
この教授の説をここで出すって事は、

明子ぉ~(馴れ馴れしい)、あんたもさてはイタケ人ファンだね!?

勿論、ソポクレスの主眼は主人公の運命に対峙する姿勢にあるという認識は変わらないのですが、
これからはもっと楽しんで読めそうです。
いやほんと、悲劇っていろんな見方があるのだなあ。
(これだから色んな人の文学論を読むのはやめられません♪)


…などと悠長に感想を書いている間に読み終わりました。
残りの論文の思ったことメモもなるべく完結に残しときます。

次、丹下(和彦の方)先生による『幻の物具』
タイトルだけ見ると何かと思うでしょうが、エウリピデスの悲劇『バッコスの信女』に関する論文です。

ディオニュソス、怖えよ!(ガクブル)

周到にペンテウスを陥れる手法といい、
彼が断ることを分かっていながら最終勧告をするところといい、

みんな、そいつの外見に騙されちゃだめ!!

と、叫びたくなりました。
読むたびに、この劇のペンテウスとか『アンティゴネ―』のクレオンなどがちょっと気の毒です。
それにつけても、やっぱりディオニュソスはよう分からんなあ。自分の勉強不足を痛感しますですよ。
いや、論文は、真の知と、見せ掛けの賢しらな知との対比などを中心に進んでいくのですが、
まったくそれとは関係なくそんなことを思いました。


次、國原先生の『皇帝アウグストゥスと詩人たち』
ここからローマ世界の話です。
…なんか、最近ローマの話が楽しくて仕方ありません。。
それはさておき、この一角は、これまでの文学評とはカラーの違う、
皇帝とそれぞれの詩人の関り方、ひいては詩人のプロフィール的な論文で、
歴史関連の本読んでるみたいで楽しかった!
もともと出来た為政者だなとは思ってたけど、改めて、アウグストゥス、割と優秀な政治家だよなあ…。
アクティウムの海戦が終わった時のローマ市民たちの感動や、
マエケナスと詩人、皇帝と詩人のそれぞれの交流が
先生の筆致で生き生きと描かれてて、大変読み応えがありました。
マエケナスがエトルリア系だということを併せて読むと楽しさ倍増です。
(ちなみに先生は、
「そこまで言うほど詩人たちは皇帝の権力に阿った訳ではないのでは」
という、詩人の自由意志尊重派。)
ただ、やっぱりオウィ先生は気の毒だなあ。
國原先生の書き振りでは、オウィ先生には悪意や当て擦りの意図は一切無かったみたい。
ただ、ウィットに富みすぎてたというか、ひねって書くのが好きだっただけなのよね…。
(そういう茶目っ気こそがオウィ先生の魅力なのよ!)
でも、それを見過ごせないアウグストゥス側の事情もよく分かるんです。
ああ、『黒海からの手紙』未読なんだけど、読むの辛そうだなあ…


最後の論文は岡先生による『ウェルギリウスの英雄像』
これまた最近お気に入りのアイネイアス関連だったので楽しく読みました。
そうなのよ、『アエネイス』はホメロスの2大叙事詩を模倣してるけど、
どちらかといえばヘクトール的なのはアイネイアスで、アキレウスに比されるのがトゥルヌスなのですよね。
先生の考察するギリシア的英雄像と、ローマ的英雄像の違いも面白かった。
確かに、ローマ人の理想とする人間は、個人的名誉より国家への奉仕を重視してる気がします。
面白かったっスよ。
でも、アイネイアスがトゥルヌスにとどめを差して勝利を得た、という筋書きは
ウェルギリウスが独自に立てたもので、カトーのローマ史『オリギネス』の断片では

「アイネイアス、ラティヌスから土地をもらう→
トロイア人がラティヌスの領地を荒らし、ラティヌスVSトロイア人の図式
→ラティヌス、トゥルヌスの援助で戦い、戦死
→トゥルヌス、メーゼンティウスの元へ身を寄せ、アイネイアスと対峙
→トゥルヌス倒れる&アイネイアス行方不明
→アスカニウスがメーゼンティウスと一騎打ちし、これを倒す」

となってて、このアイネイアスの所在の不明は

「イタリアで緒部族に苦しめられ、時ならぬ死によってその屍は人知れず砂に埋まるように」

というディドーの呪いとも一致してるらしい、というのを知って吃驚しました。
私見で申し訳ないですが、生き残って後々ごたごたするより
ここで行方くらます方がアイネイアスらしい気がします。


…非常に長々になってしまいました。
それほどワクワク楽しみつつ読んだとご理解くださいな!
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by mi-narai | 2009-08-27 19:27 | 2009年8月の読書

映画

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
普通に見初めて、見終わりました。
わりと面白く見たんだけど、見終わってから思い返すとあまり覚えてないって
どういうことなんでしょうもう更年期障害がッ!?
それにつけてもスネイプ先生は素敵だなあ。
皆はもっとスネイプ先生を見直すべきだと思います。
以上。


『真夏の夜の夢』
原作は一応あのシェイクスピアなんですが、舞台は沖縄、
主人公に、シェイクスピアのハーミアにあたる女性とパックにあたる島のキジムンを配置して、
その女性と精霊の交流が主軸になっているため
原作のようなハッピーエンドの喜劇とはちょっと違う趣になってます。
原作が大好きなので、ちょっとがっかりした面はあったのですが、
それをしょっ引いて最初から別物だと思ってみれば、これはこれでなかなか良かったです、
というか、なんとも言い難い雰囲気の映画だったなあ…。
誰にも必要とされなくなったせいで小さく小さくしぼんで、
最終的に島を去っていくキジムンの王&王妃のシーンなど、悲しくなってしまいました。

ところで、キジムンの王タンメー様と、最後のキジムン・マジルー(男の子)を女性が、
タンメー様の后を男性が演じてたのはわざとなんだろうけど、
どういう暗喩があるんだ、教えてくれ!
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by mi-narai | 2009-08-26 21:26 | 2009年8月の読書

『人狼伝説』 『特命航海、嵐のインド洋(上)』、他

エイドリアン・ゴールズワーシー著『古代ローマ軍団大百科』
大判の本にありがちな字が小さいタイプ。
読んでも読んでも終わりません。
一月くらい返却期限延長しまくってますよ(ヒィ)


フレイザーの『金枝篇』(上)
読みかけて寝る、を繰り返しとります。
まったくすすまーん!


人狼伝説―変身と人食いの迷信について

セイバイン ベアリング=グールド / 人文書院

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セイバイン・ベアリング=グールド著『人狼伝説―変身と人食いの迷信について』読了。
読み終わったのが昔過ぎてこれまた記憶が朧です。
現代の学者が書いたものじゃなくて、ちょっと昔の学者が書いた、“人狼伝説についての古典”
てな感じの本でした。
けったいな名前の人ですが、イギリス人らしい。
このイギリス人が生きていた時代、まだオオカミ男が本当に出ると信じられていたらしい。
そんな伝承に触れたことがこの本を書こうと思ったきっかけなんだそうな。
てなわけで、人間が狼に変ずる西洋の伝承を作者の出来うる範囲で集めてます。

もともと最初の当たりの古代ギリシア・ローマから北欧の狼伝説が目当てで図書館で借りたのですが、
字も大きいし、最後まで楽しく読めました。


ただし、かなり血腥いです。


途中部分、フランスでは精神を病んで猟奇殺人を犯した犯人は全部狼憑きだと認定されていたようで、
そういった凄惨な事件が逐一書かれてるんです。
(その点、イギリスではかなり早くに狼が駆逐されたらしく、
猟奇殺人犯は単なる猟奇殺人犯でそれ以外ではない、と判ずる傾向が大きかったそうな)
その事件内容があんたまあもうそりゃトンでもない感じなんですよ。

ごめん、日本人、ついてけない。草食系なの。許して。

という気持ちになりました。
でもまあ、最初は狼と人とが等価値だというところから始まる狼伝説が、
日本の場合だと山の神の使いになったり、仏教に取り込まれていったりするのに対して、
西洋の場合はキリスト教にアンチ・キリストのカテゴリーに入れられて
なにやら怪しげな魔術諸々に結び付けられていく、という方向性が面白かったデス。
後、日本人なら狼は狼で、もし狼が人間に化けたとしても
それはあくまで中味狼であって、逆方向はない、と思ってるのに対して、
ヨーロッパ中世の人狼伝説は、人間が何らかの方法で狼に変ずる、としている点が、印象深かったです。

ジル・ド・レの伝承も、初めてちゃんと読みました。
これまでジャンヌ・ダルク関連でしか知らなかったので、普通の人と思ってたけど、とんでもなかった。
これまた強烈な言い伝えの数々でした。


特命航海、嵐のインド洋〈上〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー (ハヤカワ文庫NV)

パトリック オブライアン / 早川書房

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パトリック・オブライエン著『特命航海、嵐のインド洋(上)』読了。
ここから未読本に突入。
今回は、のっけから飛ばしてるのはスティーブン(軍医)の方でした。
やっと艦がもらえてうはうはしてたら、まさかの「軍医・拉致監禁され中」のビックリニュース。
ジャックだけじゃなく、読者もビックリです。
その後のジャックの電撃奪還作戦&姫扱いにも読者はビックリ。

なんか段々このあたりになると、この二人のズレっぷりが際立ってきて面白いです。
軍医はものすごく頭のいい人で、人の心を読むのに長けてて
だからこそ、単純で善良なジャックのことをその単純さゆえに好ましいと思ってるし
ジャックの恋路を応援したり、心配したりしてます。
その一方、ジャックは曲がりなりにも海軍将校、
毎日軍規に乗っ取って生活してて、身だしなみも生活態度もきちんとしてるのに対して、
軍医は学問馬鹿で、生活能力ゼロ。放置してたら研究に没頭して
一月くらい平気で食事疎かにしそうな感じ。完全なる理系馬鹿です。
なので、互いに別分野で

「こいつは俺がいないとダメだな」

と思ってるのが可笑しい。
多分、守備範囲がかぶらないから仲良いんですよねこの二人。
4角関係が、2×2に落ち着いたから、その点での二人のライバル関係は解消したしネ!

今、インド洋に大使を送り届ける任務を仰せつかって、
いったんブラジル沖に流されたりしつつ順調に航海中。


終末のフール (集英社文庫)

伊坂幸太郎 / 集英社

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死神の精度 (文春文庫)

伊坂 幸太郎 / 文藝春秋

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井坂幸太郎の『終末のフール』と『死神の精度』読了。
どっちもさらっと読み終え。
別段井坂好きというわけじゃないんですが友人に貸されたので読んでみました。
『終末』は、3年後には地球が滅亡する、という設定下のほのぼの話。
でも、3年後にみんな死ぬという未来は厳然としてなくならないので余りすっきりしません。
好き好んで萌えのない暗い設定の話なんか読みたくないんじゃい!
(勿論、そこに萌えがあればなにも問題はない)

ていうか、伏線がわかりやすすぎる…
いちいち「あー、これ伏線やな。この先こうなるねんな~」と
予測しながら読んでしまってすじの方に集中できませんでした…

『死神』の方はそれより面白かったです。
主人公が突発死の成否を判断する調査員で、人間じゃないから
殴られても痛みを感じないし、死なないので安心して読みました。
ミステリー好きなんで、密室殺人事件のエピソードは面白かった。

なんというか、全くダメ!とも思わない代わりに
ものすごく面白い、とも思わないんですよね、この作家…
(ホント、ファンの人ごめんなさい!面白さの分からない凡人です)



『聖・おにいさん』1~3巻
借りて読んだ。
面白かったです!(笑い的な意味で)
どうしましょう、わたし、ブッダがかわいくてかわいくて仕方ありません。
(あのちょっと薄幸そうなところがたまらん)
なんかするブッダを見るたびにハァハァしそうになる自分を抑えるのが大変。
なので、イエス側の人々が出てくるよりブッダ側の人々が出てきたときのほうがなんとなくときめきます。
(梵天さんナイス過ぎる)。

でも、ウリエルさんはちょっと好き。



『20世紀少年』&『21世紀少年』
これまた借りて全巻読破。
これを全巻一気読み出来るなんて、なんという贅沢でしょう!
(貸してくれた知人、ありがとう!)
なんも考えずに、ワーッと読み終わってしまいましたが、

…意外とハッピーエンドじゃない?

周囲に既読の人が多くて、その人々が口々に
「わけ分からんかった」
「面白いけど暗い」
「よう人が死ぬ」
とわたしに散々なことを言うので、随分なイメージがあったのですが、
蓋を開けてみると、主人公たちは年をとるにつれかっこいいし
(本来大人になるって、そうあるべきっスよね!ウス!頑張りまっす!)
作者のつきはなすでもかっこつけるでもない書き方の下に
じんわり前向きさというか、人生や世界に対するプラスの視線を感じるんですが、
(自分で書いててくっさ!)穿ちすぎ?
勿論、よう人は死ぬし、楽しいだけの話でもないんですが。

さすがに自分で買おうとまでは思わないけど、読んでる最中、夢中になりました。面白かった。


どうやら最初だけ読んで途中で止まっているらしい妹に、
「20世紀少年借りて全部読んでん」というと
「オチ言わんといてよ!!」とものすごい形相で押しとどめられました。
もしチラとでも結末をにおわそうものなら、瞬・殺☆されそうなイキオイ。
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by mi-narai | 2009-08-10 20:00 | 2009年8月の読書