カテゴリ:2009年5月の読書( 2 )

『歴史』上・中・下 『オデュッセウスの冒険』

歴史 (中) (岩波文庫 (33-405-2))

ヘロドトス / 岩波書店

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ヘロドトスの『歴史』、上巻、中巻読み終わり、順調に下巻に突入。
のんびり各地の地理やペルシャの歴史を俯瞰してる前半も面白かったけど
やはりギリシアとの小競り合いが始まったあたりからが特に良いです!
今、アテナイとスパルタに向かって進撃を開始したペルシア軍の内訳
(『イーリアス』でいうなら第2歌末尾の軍船のカタログ部分)と、
クセルクセスがヘレスポントスに橋をかけた、いわゆる「ポセイドン叔父さん緊縛事件」のあたり
(勝手に命名☆)。
続きが楽しみです。

では、以下、例によって読みながら心に浮かんだ雑多なことを箇条書きに。

・タウロイ人のアルテミスへの生け贄の話が出てきた。イピゲネイアに供える言うてるで。この生贄、もとはアルテミスに当たる現地の神の風習に対する記述じゃないかと思うけど、どこでアガメムノンの娘って話になったのかしら…(『イーリアス』にでてくるアガメムノンの娘の名前は別の名前だし)

・ネウロイ人は年に一度狼に変ず、の記述あり。北欧人狼伝説の先駆け?中世の狼男伝説よりはより原初のアニミズムに近い気がします。いいよなー、オオカミ!

・リビア辺りの伝承で、アテナはポセイドンと土地のトリトニス湖の子だというのがある。このアテナに関しては、十中八九土地の女神をアテナと同一視してるんでしょうが、アテナがポセイドンの娘、という字面が面白いのでメモ。

・中巻半ばにして漸く小アジア・イオニアがペルシアに反乱の兆し(ここまで長かったっス)。後のスパルタ王レオニダスが生まれた記述もさらっと出てきましたよ~

・ダミア、アウクセシアという聞きなれない(おそらく)豊穣の女神が出てきた

・女たちが怒りの余り留め金で男を惨殺→それまでアテナイ女性の着ていたドーリス式キトンがイオニア式に改められた、という由来話も出てきました。ここに載ってたのか、このエピソード。

・「背水の陣」がヘロドトスにも出てきます。この考え、洋の東西を問わないのだなあ!

・ヒスティアイオスも中々やるなぁ。(ダレイオスを欺いたミレトス人)

・イオニア連合海軍の指揮を取ることになったポカイア人のディオニュシオス、海軍を徹底的に訓練したらしく、そのあまりのしごきっぷりに、最後には兵士たちに丸無視されたらしいけど…

この軟弱ものがぁ熟練した海軍がどれほど強いか分からぬかッ!

後のアテナイ海軍はこの戦法を駆使して勝ったというのに!
艦の熟練が大事だというのは古代ギリシャもナポレオン戦争時のイギリス(笑)も一緒なのね。

・初戦のキオス軍。気の毒過ぎる…

・ちなみにディオニュシオスは、訓練をさぼったイオニア海軍が負けると出奔、フェニキアの商船を襲撃、拿捕、その足でシケリアに拠点作って、カルタゴ、エトルリア船を専門に襲う海賊になったのだそうな。スゲー!船のなんたるかをよく知る人だったのだなぁ!
(しかしこの流れ、ゲーム大航海時代の、拠点潰してからの敵勢力の趨勢とそっくりですよ。
いつもながらあのゲーム無駄にリアルだよなぁ…)

・クセルクセスの原形はクシャヤ・アルシャン、アルタクセルクセスの原形はアルタ・クシャトラらしい。いつも思うけど、ペルシアやインドの名前の音って素敵だなぁ…。

・中巻最後のマラトン部分。アテナイ、プラタイア連合軍とペルシア軍が、激しくぶつかり合ってます。そうか、アイスキュロスもこの戦いに参加したのか…!
なら、余計に作品に見え隠れする民主主義に対する誇らしさも分かる気がします!

・下巻冒頭のペルシア臣民の「ギリシャ人は言語がおなじであるのだから、内紛ばかりしてないで外交なりなんなり駆使して戦争を避けるべきだ。」の意見。もっともです


オデュッセウスの冒険

吉田 敦彦 / 青土社


吉田敦彦著『オデュッセウスの冒険』さらっと読了。
予測どおり、一日で読み終わりました。
オデュッセイアの各部分に対する吉田先生の解釈は、
他の先生の著書等で一度読んだことがあるようなものが多かったのですが、
それでも面白かったですよ~。
吉田先生はこれ、と思った解釈のみを述べる方針らしく、あまり他の解釈を説明されないので、
読んだ人が、それのみだと思っちゃいそうなのはどうかなと思ったのですが、
わたしは吉田先生好きなのでいいです、それで。
(ご本人が好みのタイプのおじいさんだったので。分かりやすいな、わたし)
それに、2、3目新しい解釈もあって、それは素直に「お?」と思いました。
例えば、ウーティス。オデュッセウスがポリュペーモスに尋ねられた時に名乗った偽名です。
これを説明するには、カリュプソーから始めねば。

カリュプソーは、名前の示すとおり「隠す女神」であり、
カリュプソーに囲われてる時期、オデュッセウスはまさに神隠し状態にあったわけですが、
それはつまり、オデュッセウスがオデュッセウスたる個性を剥ぎ取られた状態にあることだと、
吉田先生は言うわけです。
カリュプソーからの不老不死の誘惑は、不老不死と引き換えに、人間オデュッセウスとしての
彼固有の特徴をすべて無にするということなのです。
(そら否定するっての。あの濃ゆい個性あってのオデュッセウスですもんね。)
で、この、アイデンティティの危機は、オデュッセウスがウーティス(誰でもない)と名乗った時から
始まってたのではないか。と言われて、真偽はともかく、面白いなと思いました。
更に先生によると、ポリュペーモスはポセイドンの暴力的な側面の象徴で、
だからこそポセイドンは攻撃されてあれほど腹を立てたのであり、
それに知恵を使って打ち勝つということは、物語結末の、
知性の化身であるオデュッセウスの個性の快復と、勝利を予見していると。
この流れで行くと、ポリュペーモスに対する本名の名乗りは、必然だったのですね。

次、ガラっと話は変わってイタケ夫婦の寝室の話。
やつは何を考えたかしらんが新婚当時庭に生えてたオリーブの木を、
生やしたままそれを支柱にベッドを作り、周りを囲って寝室にしたんですが
(ほんと器用だよな。絶対家事全般完璧にこなせるんだぜ、この男)
それはつまり、王とイタケの大地のつながりを示し、その上で王と王妃が交合を行うことは、
豊穣を祈る呪術的な意味(聖婚てやつ?)があるのではないかとかなんとか

そのベッドの話がホメロスの創作でないかどうかとか、伝承がもとからあったとして
いつ頃成立したのかとか、いろいろ分からないので話半分に聞いてましたが、
そんなふうに色々裏読みすんの、ほんと面白かったです!
もっと小さい字でみっしり書いてくれたら良かったのに。
(安彦氏のイラストがあるとはいえ、コストパフォーマンス悪すぎる…)
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by mi-narai | 2009-05-31 10:57 | 2009年5月の読書

『歴史(上)』 『レッド・クリフ』パート2

のっけになんですが半分私信:
『リトルアンカー』終わったら、次は『風色サーフ』なんてどうですか!(またコーエ●さんに薦められたっス。)
スターシップの次は「メンフィス・ベル」ですよ!なんちゃってWWⅡ。
HPの機体設定見てちょっと萌えました。
なにあのフォルム。かわいいじゃないの!
(…ああ、帆船の次は戦闘機にまで…)
48歳のおっさんを落とせるなら本気で購入を考えても良いなあ。


ヘロドトスの『歴史(上)』
まだまだ読み進み中ですよ~。
ようやく後ちょっとで上巻が終わるところまで行き着きました。
―が、まだエジプト部分です。
(やっとエジプトとペルシャのドンパチ部分に入った)
とはいえ、毎回
「ほな今日もヘロドトスさんのお話を聞いたろか」とほのぼのした気分で
本を開くのは大変に楽しいので良しとします。


『ヨーロッパ人名語源辞典』
この本、禁帯出のため、借りられません。
ので、図書館に寄る度にちょっとずつ読み進むことによる完読を目ざすことにしました。(気の長い話)
漸く、ヘブライ語起源の名前が終わって、ギリシャ語起源に入りました!
諸々の小ネタはブログの方にメモることにする。


『笑うミカエル』
そういえば、川原泉好きの知人にDVDを借りたのでした。
あんまり期待してなかったけど、まあそこそこ面白かったですよ。
アニメと映画の中間点に位置する感じで、
CGが若干チープだったけど、もともとがコメディなのでさほど気にならず。
原作とはほぼ別物ですが、全編に渡りうえのじゅりが関西弁で絶妙なツッコミ入れてたことは
全ての欠点をチャラにするほど良かったです。
今更知りましたが、うえのじゅりちゃんって加古川出身なんですってよ、奥さん!
柚子さん役の女の子はお隣の明石出身だっていうし!
あらあらあら、まあまあまあ!


『レッド・クリフ』パート2
これまでの色々な3部作映画に惑わされてこれもてっきり三部作だと思っていたら
パートⅡで完結でした。

そもそも、妹と行こうと話していたのは「スラムドッグ」の方だったのです。
でもその日たまたまおかんも暇だったので、おかんも誘ったところ
「そんな暗そうな映画見たくない」とあっさり却下(別に暗くはないと思うけど…)
で、その代案として浮上したのが「RC2」だったわけです。

最初は「そっちも暗そうやん」とこれまた眉をひそめられたのですが、
妹と二人「いや、赤壁の戦いっていうたら、劣勢やった主人公側が大勝する話やん!」
「めっちゃスッキリするって!」
「戦いシーンかてリアルな戦闘っていうより、様式美様式美!」

と説き伏せて半ば無理やり連れて行きました。
今思えばどうしてあれほどおかんを引っ張って行きたかったのかよく分からない…

で、女3人で見に行ってきて、
「いやー、面白かったねー」
「別に期待してなかったのに意外と良かったねー」
と満足して帰ってきました。
…映画は期待しないで見るべきです☆

とまあ、見た後のそこはかとない満足感は覚えているのですが、
これまた見てから時間が空きすぎて細部がウロ。
なので、特に強く思ったことのみ箇条書きで。
(※以下、まるっとネタばれてます、まっさらな状態で見に行きたい人は飛ばしてください※)






































最後の最後まで劉備は悪い人かと思ってました。ごめんごめん☆
そういや、原作読んだ時もそういう作戦だったような気が薄ぼんやりとしてきました。

・前回はどっちかというとワルモノ寄りに描かれてた曹操たまですが、今回はちらっと曹操たま側の理由とか、理想とかも描かれてて、もともと曹操好きの見習い、どうしてもというかやっぱりというか、曹操たまが憎めなくなってしまいました。
なので、小喬(周瑜の奥さん)のせいで曹操たまが攻撃のタイミングを逃した時は、曹操たまのために悲しめば良いのか周瑜のためにはらはらすれば良いのか分かりませんでした。

・そうは言っても、今回も周瑜は良かったっスよ!かねしろ孔明との友情もあわせて5倍掛けで美味しかった♪
後でパンフレットを読んだら、もともと周瑜は『三国志演義』では、孔明の才能に嫉妬して色々難癖つけたり邪魔したりする心の狭い男に描かれているのだそうな。
そういわれればそうだったそうだった。
(だから初読時にはワタシの心に何も引っかからなかったのです)
でも、『三国志演義』というのは、史書を元ネタに、実際の三国時代より1000年近く後に完成した大衆読み物なので、そもそもが主人公の劉備(蜀)目線で面白おかしく書いてあって…

…つまり、呉と魏はもともと不利なんですよ。

だから、映画でその分差っ引いて改めてパワーバランスを均等に描いてたのがとても良かったと思います。
主人公サイドに余り感情移入出来ない読者なので、こうして脇にスポットが当てられてるととても嬉しいです。ありがとう、ウー監督!
(まあ、有名俳優を使ってる以上悪い役には出来なかったって理由もあるんかもしらんが)

・カメラワークとか、間の取り方が独特で、スタイリッシュで展開の早いアメリカドラマを最近見慣れてた目には新鮮で、なんだか目新しかったです。
一見、
「…このシーン、美しい、という意外になにかここまでじっくり撮る理由ってあんの…?」
というシーンがいくつも入ってるんですが、見てるうちにそれはそれで情感たっぷりでいいと思いはじめるジョン・ウーマジック。
後、戦闘シーンも、リアルさを追求するというよりは、スケール感とイキオイを表現する方に力が注がれていた感じがします。
見せる戦闘シーンというか。
だから、そんなにえぐくはなかったデス。えぐいの苦手なので助かるっス。
後、関さんや趙さんが一人で敵の群れに突っ込んで周りを蹴散らした後、ポーズを取る(ていうか、見栄を切る)のが、中国っぽくて良かった。
(ここで同時に無双を思い出してしまう辺りコーエ●さんに毒されてます。)


見終わった後、家へ帰る途中に妹が

「なあお姉ちゃん。わたしずっと思っててんけど、
……曹操の役やっとる人、T●KYO(伏せてねえ…)のリーダーに似てへん?」
などと言い出すので、それ以降、曹操たまがリーダーにしか見えなくなってしまいました。
うん、リーダーももうちょっと年取ればあのくらい貫禄がつくのかもね☆
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by mi-narai | 2009-05-12 23:44 | 2009年5月の読書