カテゴリ:2009年3月の読書( 4 )

『都会の花と木』 『ギリシア・ローマ神話』 『ギリシァ思想の素地―ヘシオドスと叙事詩』

都会の花と木―四季を彩る植物のはなし (中公新書)

田中 修 / 中央公論新社


田中修著『都会の花と木』読了。
またもただでいただいたので張り切って読みました!
前作の『雑草のはなし』では雑草について書いたので、
今度はその時に書きそびれた花について書いた、とのこと。
今はキノコの研究の方が主流っぽい田中先生ですが、
もともとはお花がお好きだったのだろうなあ…。
生物の先生のクセにようそんな小ネタ知ってんなあ、と感心する雑学の宝庫です。
その合間合間に時々真面目な生物ネタが織り交ぜてあって、なかなか楽しかった。
作中での先生ののんびりした語り口もあいまって、
疲れたときに読むとほっと出来ますョ☆


ギリシア・ローマ神話 (講談社学術文庫)

佐々木 理 / 講談社

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佐々木理著『ギリシア・ローマ神話』読了。
古本屋で安かったので何の気なしに購入した本。
タイトルと、目次の
「1、燕と鶯
 2、葦のささやき
 …」
といった記述から、オウィディウス風のエピソードを一般向けに紹介した
(つまり、更なるギリシアを求めるむきにはやや物足りない)本かと思っていたら
『地中海世界を彩る人々』とは逆に、こちらはがっつりマニアックな本でした。
おおおー。意外。予想の斜め上を行く方だぜ、佐々木先生。
この佐々木先生という方、あまり聞きなれないお名前なのでどんな方なのかと思ったら
あとがきに民族学者の大林太良先生の解説が載ってました。
なんでも1900年に生まれて1991年に91歳で世を去ったギリシア神話関連の先生のようです。
海外の碩学(ニルスセンとかロバートとかヴィラモーヴィッツとかジェーン・ハリソンとか)に良く学んだ方で、
今ほど翻訳が出てないころ独学で外国語を学んで原書で勉強なさったらしい。
(だからオスマンをオットーマンと呼ぶような呼び方が時々見えるのね)

ていうか、かくいう大林先生も2001年にお亡くなりになってたのですね。
『地中海世界を』の柳沼先生もなんてこったい昨年8月にお亡くなりになってるし、
良い先生がどんどん世を去ってゆく…。ご冥福をお祈りします。

閑話休題、本書ですが、第1章の燕と鶯、からしてもう待ったなしで面白かった!
これ、元ネタは
テーレウス王にお嫁入りしたプロクネーと、
その妹でテーレウスに犯された上に舌を抜かれた気の毒なピロメーラ、
諸悪の根源テーレウスがそれぞれ3種の鳥に変わるエピソードなんですが
鳥の鳴き声の検証から、民話の話型として考えた上での組み立て、
子殺しの他の民話における例証、など、イロイロなアプローチが大変スリリングでした。
『テーレウスは、突き詰めればトラキアのゼウスに相当する天空神だったかもな』、
という結論なんて真偽はともかく面白いと思いません?
しかも、この佐々木先生、さすが91歳まで生きた方、話題の幅広さが半端じゃありません。
ローマ、クレタ辺りの伝承を知ってるのは当然として、マヤ・アステカ、モンゴル、
中国まで、そんな細かい伝承よう知っとるなあ!!とびっくりするほどの知識をお持ちです。

とにかく、一つのエピソードが先生の手にかかって掘り下げられていくうちに
思わぬ方向へと転がっていき、まさに予想の斜め上の結末にたどり着くのが
毎章ごと、ドキドキするほど楽しかったのです。
1964年に書かれた本に、改訂を加えたのが本書なので、
ひょっとして現在の最新の研究から照らし出すと大時代的な記述なんかも
あるのかもしれないのですが、この佐々木先生、文章力も侮れない方で
そんなこと気にならないほど引き込まれてしまいます。

いやあ、古本屋さん、ええ本買わせてもらいました!


ギリシァ思想の素地―ヘシオドスと叙事詩 (1973年) (岩波新書)

久保 正彰 / 岩波書店

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久保正彰著『ギリシァ思想の素地―ヘシオドスと叙事詩』読み始めました。
これまた古本屋で買い叩いた本です。わたしの生まれる前に出版された本。
久保先生といえばわたしにとって「オデュッセイア陰謀夫婦説の人」
「オウィ先生好きの人」という申し訳ない印象の方なんですが、
本当は東大の偉い先生でその上呉先生の一番弟子というとんでもなく
雲の上のお方だったりします。(この方は多分まだ御存命)
とりあえず、まだ序盤なのでヘシオドスの描く暦&農事の記述を
読んでいるところです。
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by mi-narai | 2009-03-25 22:45 | 2009年3月の読書

『靴屋と市長』 『地中海世界を彩った人たち』

趙本夫著『靴屋と市長』読了。
寡黙で働き者の靴屋のおじさんの話。
市長は、もともとそのおじさんの住んでる長屋で大きくなった貧乏な男の子で
靴屋のおじさんはその男の子を自分の子供のように可愛がって面倒を見、
男の子もおじさんを尊敬して育つんですよ。

ええ話でした。
前に読んだ『天下無賊』みたいなのを想像していたらいい意味で裏切られた。
くっそう、本夫め…。
新幹線の中で変な人になっちゃったじゃないの(ズビバー)。


地中海世界を彩った人たち―古典にみる人物像 (岩波現代文庫)

柳沼 重剛 / 岩波書店

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柳沼重剛著『地中海世界を彩った人たち』読了。
これは思ったよりも軽めの本でした。
もうちょっとマニアックに書いてあるかと思ったら、意に反して一般向けに
地中海世界で活躍した昔の人をさらっと紹介してある感じの本だった。
紹介してある人は以下、

ヘレネ、アキレウス、ヘクトル、オデュッセウス、オイディプス、ギュゲスとクロイソス、ソロン、ヘロドトスとトゥキディデス、テミストクレスとペリクレス、アルキビアデスとニキアス、ソクラテス、クセノポン、ピリッポス、アレクサンドロス、アエネアス、ロムルスとレムス、ハンニバル、カエサル、キケロ、クレオパトラとアントニウス、アウグストゥス、ネロとアグリッピナ、セネカとペトロにウス、プルタルコス

1行目の4人あたりに惹かれてついフラフラと購入したわけですが、
トロイア好きの方ならもう知ってることしか書いてなかったので
わざわざ買ってまで読む必要はないと思います(一体誰に言っとるんだ)。
でも、他の人物たちに対する記述が面白かったので大変満足です。

・ヘレネ…ここにもヘレネ=スパルタの女神説が載ってましたが、
確かにヘレネーが女神だと考えればトロイア戦争もやむを得ないのかもな。
後、「金髪の」という形容詞はアキレウスとオデュッセウスにも付けられたことが
あると書いてあって笑ってしまいました。
オデュッセウスの髪の色についてはどうとでも取れる形容詞らしいので
未だに結論が出ていないようなんですけどね。
でも普通のギリシア人ならこげ茶色~黒髪なんじゃないの?(すごいてきとう)

・ヘクトル…ふははのは!見よ、柳沼先生もヘクトールをべた褒め☆

・オデュッセウス、オイディプスについては、これまでどっかで読んだような内容でした。

・ギュゲスとクロイソス…ヘロドトスですよね~。この逸話も御伽噺みたいで面白い。

おお、こんな書き方では必要以上に長くなってしまう。
でも、各人の記述にいちいち面白く思ったことは確かなんです。
柳沼先生のヘロドトスに対する好意的な視点とか、
トゥキディデスの、日本語では説明しにくい文章の分かりやすさとか、
わたしのお気に入りのテミストクレス&ペリクレスの記述にウハウハしたとか。
ソクラテス大先生に関してはもっとツッコめと思った。
逆にクセノポンに関しては、柳沼先生の記述で見直しました。
クセノポンの「アナバシス」とカエサルの「ガリア戦記」はそれぞれギリシア語、
ラテン語の基礎を学んだ人が最初に学ぶ文学なんだそうな。
そして、簡潔な言葉で書いてあるのに大変な名文なのですって。
わたしも必要最小限の簡単な言葉で言うべきこと全てを表現するそんな文章が
憧れなので(自分の文章が読みにくいから余計な)柳沼先生の賞賛にはいちいち頷いてしまいました。
マケドニア人二人はさほど興味もないので読み飛ばし、
初期ローマ関連の人々は知ってることばかりだったのでこれまた読み飛ばしましたが
ハンニバル部分ではときめいた…!
カエサルも、やり手の政治家な部分はとても好きです。
ああん、この頃のローマは陰謀まみれで楽しい!
キケロさんのことは、実はこれまで良く知らなかったのですが、
なかなか愉快ですよ、この人。
感情の起伏が激しくて意外と優柔不断ですよ(でも文章は上手い)。
ストックしてあるキケロの書簡集やら弁論集、読まなきゃ!
アウグストゥスは、もともとガイウス・オクタウィウスだったのになんで後に
オクタウィアヌスに名前変更したんだ?と思ってたけど、
カエサルんちに養子に入ったときに一応オクタウィウス家出身だということで
オクタウィアヌスって名前の後ろにくっつけたのだそうな。納得しました。
セネカとペトロにウス、プルタルコスも面白かった!
特にプルタルコス!全てのエッセイが読みたくなりました!お願い、●波さん!
(なんだもかんでも岩●頼み)

…またも時間切れ。読み終わった本が後2冊あるけど次に持ち越し。
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by mi-narai | 2009-03-21 20:33 | 2009年3月の読書

『古代ギリシアの同性愛 新版』 『プリーズ、ジーヴス』

K・J・ドーヴァー著『古代ギリシアの同性愛 新版』読了。
やれやれ、漸く読み終わった。
では面白いと思ったことを箇条書きに。

・今日の一般論によると、同性愛の起源はドーリス系都市国家の軍隊組織。
古典期のスパルタとクレタ島では特に盛んだったとか無かったとか…
(そのことは『ラコニア風』という言葉が衆道を指したり、喜劇の中の
アテナイ人とスパルタ人の当てこすりの中なんかにチラホラ現れる)
→つまり、ヘラクレスの子孫の帰還(ドーリス人の南下)以降の風習か?
→てことは、やっぱそれ以前(ホメロスの叙事詩に歌われている時代とか)には無かったのね
→ではなぜにアキパトORパトアキというCP論争が起こったかといえば、
要するに論争した時代の人にとって同性愛がわりと普通のことだったから。
(ちなみに、アキパトを主張したのがアイスキュロスで、それに
「いや、パトロクロスの方が年上だったんだからやっぱパトアキだろ?」と
異を唱えたのがプラトンの著作の中のパイドロス君。
わたしはどっちでもイケます。
とはいえ、本を読む限り、リバがあり得なかった以上左側死守は沽券に関わる
大問題だったらしいので、CP論争も白熱しようというものです)

・おお?ガニュメデスを誘拐したのはゼウスではなくクレタのミノス王だったと
論じてる歴史家もいたらしいですよ? ミノス、お前…相変わらず幅広いな…。

・アリストテレスは同性愛を人口抑制の方策に使えると考えていたらしい。

・地方の特殊な風習例
クレタ島には仕手側が受けて側の少年をさらって2ヶ月ほど行方をくらますという
同性略奪の風習があったらしい。2ヵ月後、仕手側は受け手側に何がしか高価な
贈り物を贈ったらしい。ちなみに、受け手側に選ばれることは名誉なこと
だったらしい……。ああ、そうなの…(遠い目)

・アイスキュロスの三部作『ミュルミドン人』『ネレウスの娘たち』『フリュギア人』というのがどうも怪しい。
この3部って現存してんのかしら(してないんだろうなあ)。断片集を読んで確認の必要アリ。

・クセノポンの『饗宴』でソクラテスは「ホメロスは別にアキレウスとパトロクロス
のことは純粋に友情のつもりで書いたんだと思うよ?」と言い、(実際わたしもそう思います。)
対比としてオレステスとピュラデス、テセウスとペイリトオスを引用したらしい。
…あー、うん、その辺り、確かに微妙なラインですよね、大先生。

・ラーイオス(オイディプスの父親)は古典期のギリシア人に「最初のホモ」認定を受けていたらしい。
中国の劉陽さんみたいなものなのね…

・しかし、これもそれも女が戦士に向かないために軽んじられていたせいだとしたら大変遺憾です。

・ヘレネーさんは誘拐され中テセウスにバージンで無く、
バックバージンを奪われたちゅう伝承もあるらしい…よ…。
(スパルタの結婚前の若者の性交の風習になぞらえてらしいけど)
   てせうす、お前……

それにしても、プルタルコスの『愛をめぐる対話』が絶版になっているのが悔やまれます。
岩波さん、お願い!再版して!


プリーズ、ジーヴス 1 (1) (花とゆめCOMICSスペシャル)

勝田 文 / 白泉社

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勝田文著『プリーズ、ジーヴス』
原作者がP・G・ウッドハウスだというので手にとってみた。
二つの大戦の間の短い平和を謳歌するロンドンが舞台の執事の話。
というか、正しくは従者の話。
執事(バトラー)は家付の従僕で、従者(ヴァレー)は個人付なのだそうな。
のんきで抜けてるぼっちゃんと、彼付のしっかり者の従者のコメディなのですが
この従者、完璧です。
常に冷静で、取り乱さず、何でも知っていて、準備も万端です。
もちろん、完璧な従者たる者、大声で笑ったりほくそ笑んだりもしません(常にすまし顔)。
素敵です。
また、大戦間のあのモダンな時代背景も良い!ポワロの時代じゃないですか!
ヴィクトリア朝も良いけど、あの時代のコルセットから開放された女性の服装や
短髪、メイドさんのかわゆい格好なんか、んもうほんとに素敵なんだから!
これまでウッドハウスは(名前はよく見るわりに)手に取ったことがなかったのですが
ちょっと読んでみようかという気になりました。



長くなったので『靴屋と市長』『地中海世界を彩った人たち』はまた今度…
(新幹線で読み終わったんだー)
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by mi-narai | 2009-03-09 22:22 | 2009年3月の読書

『古代ギリシアの同性愛 新版』

K・J・ドーヴァー著『古代ギリシアの同性愛 新版』
相変わらず「えーと、君は何の話がしたいんや??」と思いつつ
漫然と読み進んでます。
裁判ネタが終わって、ラクガキネタ、ファンタジー(ぷっ)、喜劇ときて、現在哲学ネタの部分です。
ソクラテス大先生のお名前が頻出するのは嬉しいけどもちろんこの本は哲学本ではないので、
主に、プラトンがソクラテスを介して同性愛をネタに哲学を説明したのは、
それを主題に取ることが最も相手に伝わりやすかったから
→古代ギリシア社会における同性愛の容認のされ方とは、みたいな展開になっとります。


『チーム・バチスタの栄光』
テレビでやってたやつをおかんが見はじめ、
付き合ってちょっと見てたらつい最後まで見通してしまいました。
思っていたより面白かったです。
あべひろしは足が長いなあ…


こないだ家にかかってきた電話に滅多になく超愛想よく出たら
セールスの人に「ご主人様」に間違えられて凹みました。
相手もしばらくして間違えたことを悟ったらしく、
セールスの途中で言葉を切って

「えっと、あの、…実は奥様でいらっしゃいましたか……?」

この、どあほうが!
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by mi-narai | 2009-03-03 22:49 | 2009年3月の読書