アネッテ・ラッチェ著『エトルリア文明 700年の歴史と文化』読了。
ところで、この本の訳者、ところどころ微妙に日本語が不自由だと思ってましたが もともと薬剤師だったようですね。神薬大卒後、バイエル薬品に勤めてたらしいですよ。 (バイエルといえばアスピリン!) それはさておき、後ろの方の「最新の発掘状況と調査結果」の項の 「考古学資料では、聖域北部地区では、ユノに相応するエトルリア神 レウコテアのかたわらにアポロを並べたと述べているのです」ってどういう意味なんだろう…。 ユノに相応するエトルリアの神って、ウニじゃないの?? 文脈から考えて、冥界のユノー(つまりペルセポネー?)に相応する エトルリアの神ってことだとしても、なんでそこでレウコテアの名前が出てるんだろう…… 気になって仕方ありません。 一体どの考古学資料に載ってるのか、索引を書いておいてくれたらなあ。 エトルリアの興亡 (1977年) タイムライフ社 / / タイムライフブックス スコア選択: ★★★★ 次にドーラ・ジェーン・ハンブリン著『エトルリアの興亡』を読み始めました。 ハードカバー且つ大判で、持ち歩きはけっして出来ない本。 しかも、出版年月日が原著が1977年という古い本です。 でも、これ、面白い! 情感たっぷりに描いてあるのでわたしのような素人には情景がうかべやすいのです。 (多分、編集はえらい大学の先生だけど、書いたドーラさんはフリーランスの記者だから、だろうなあ) その上、けっこう細かいところまで記述してあって、写真も多くて、 今のところ一度も眠くなってません。 今、6章まであるうちの、 1章:永遠の微笑(ブルチの英雄たちへのたむけ) 2章:民族の起源と言語の謎 まで読み終わり、ちょうど 3章:享楽的な貴族の私生活 に入りかかったところです。 第1章でファレリイがやっぱりエトルリアの都市だったと判明しました!(良かった!) ファレリイ・ウェテレスって、ラテン語での名前で、エトルリア語での名前はわかってないそうです。 ちなみに今の地名はチヴィタ・カステッラーナというそうな。 2章あたりの、「たかだか紀元前7世紀あたりの民族なんだから、本来なら その言語も歴史も文学さえもっと分かってるはずなのに、歴史を通じて エトルリアの痕跡が意図的もしくは意図せずに消されてしまったために 今もって色々と分からないことが多いのがとてももどかしい」という学者たちの嘆きには とても共感してしまいました。 まだ地方都市だった頃のローマの良家の子弟って、エトルリアの文学を ラテン語と、エトルリア語原典両方で勉強してたんだって! …アタシだって読みたいーーー!! 続きを楽しみに読もうと思います! ミステリアス 古代文明への旅 2 / ポニーキャニオン スコア選択: ★★★ エトルリアフィーバー中のワタクシ、TSUT●YAを訪れた折 『ミステリアス 古代文明への旅』の2巻を一緒に借りたのでございます。 だって、2巻って、「都市国家アテナイ」「エトルリア」が二つ一緒に入っていたのですもの! どちらも、情報よりビジュアル重視で、アテナイの復元CGやエトルリアの 遺物なんかを映しながらざっと歴史を説明する流れだったんですが、 ひとまず心に残った点をメモっておきます。 「アテナイ」…アゴラを完全復元してるんだってね! アタシ、パルテノンも見てみたいけど、それよりアゴラを歩きたい!! ソクラテスが弟子たちと一緒に行ったり来たりした柱廊を歩きたーい! (ミーハー) 「エトルリア」…最近イタリア人のDNA検査を全土で行ったんですって。 そうすると、三つの型に分かれたんだって。 そのうちの一つがトスカーナ地方に集中してて、これがエトルリア人の 遺伝子じゃないかと言われているそうな!! 言語学的にも、ciの発音があのあたりでは帯気的になってて、それは エトルリア語の痕跡じゃないかと言われてるみたい! なんだか嬉しいです! あたりまえだけど、国がなくなったからといって住人まで一人残らず 消え去っちゃうわけじゃないもんなあ。 で、正月、妹と一緒に古代ローマ特集4時間番組を見てたんです。 ちょうどローマをおさらい中だったんで、あんまり目新しいことはなかったし、 エトルリア人に対する言及など皆無!! しかも、ナレーションで「…と塩●さんは言っています」と言い過ぎ! (どない言ってようと知らんちゅうねん!) その塩●先生ですが、 カエサル好きすぎだろ!!(心の底からツッコミ) エトルリアに関しては別に最初から詳しい言及があるとは 期待してなかったからいいんだけど、アウグストゥスに対してほとんどなかったのは悲しかったです。 もうカエサルはいいから、オクタヴィアヌスを出せーー!! …でも、BBC製作の再現ドラマはとても良かったの。 元老院の制服(※制服違う)も見れたし、ハンニバルはかっこよかったし☆ で、節操なく宗教なんでもカモン!なローマを見つつ、妹と 「…ローマって、合理的よなあ…」 「この実務能力、素晴らしいよ…」 「…なんで今アレになってもたんやろ………」(←大きなお世話) などと呟きあっていたんですよ。 その時、脳裏に蘇るDNA分布図、および「エトルリアの興亡」に引用してあった イギリス人作家D・H・ロレンスの一文 「今日のイタリア人はローマ的であるよりはなんとエトルリア人的であることか。 敏感で、控えめで、象徴や神秘を待ち望み、小さな事柄に心から喜ぶことが出来、 衝動的に激昂し、厳しさとか権力への生来の意思といったものを全く持たないのだ」 …まさか、あれはエトルリアクオリティなの!? 負けたと思わせといて、結局優性になったのはエトルリア遺伝子だったのか…??
by mi-narai
| 2008-01-11 01:39
| 2008年1月の読書
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