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『父という余分なもの』『ヒト 異端のサルの一億年』『精霊の守り人』『アーサー王と聖杯の物語』

父という余分なもの: サルに探る文明の起源 (新潮文庫)

山極 寿一 / 新潮社

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山極寿一著『父という余分なもの』
あの有名な京大の霊長類研究所の先生で、つい数年前に京大の学長に就任した著者が書いた
霊長類の研究から家族構成における父親というのもの役割ひいては
動物学的な比較、社会性の発達段階の観察等を書いた本。
その本が古本屋で200円で売られてて、しかも解説がかの鷲田清一先生と来れば
もうこれは買うしか!
そういえば、この先生、京大学長に推挙されちゃったとき
学生たちがこぞって反対したそうですね。曰く
「先生が研究できなくなる!」
愛されてんなぁ…。

それはさておき内容です。
長年ゴリラ研究にいそしんできた著者がその集大成として社会制度の萌芽としての
父について考察した、大真面目な一冊でした。
古い神話とか見てると、大体古代人は女系なのかなと思ってたんですが、
ところがどっこい、類人猿は父系社会なんですって。
ほ乳類はそもそも雌が集団で暮らして、雄がその集団を離れてよそへ行くパターンが
多いのだけれど、類人猿とその他一部だけは、雌が生まれたグループを離れて余所へ移っていくらしい。
なので、まずゴリラから種として分かれ、次にチンパンジーとボノボに枝分かれした
人類も、初期は父系のグループを作ってたんじゃないかという類推なんだけど

意外!

でした、これが。
もっと社会的な要因で女性の移動が始まったのかと思ってたけど
そんな昔からの風習だったんかいな。
いや、まだ推測の域を出ないので分かりませんが。
後、主食と群の構成比率とか、社会性などを比較する項目も面白かったです。
雌が発情を隠すか隠さないかとか。
以前読んだジャレド・ダイヤモンドの本を思い出しました。


鍋奉行犯科帳 お奉行様のフカ退治 鍋奉行犯科帳シリーズ (集英社文庫)

田中啓文 / 集英社

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田中啓文著『お奉行様のフカ退治』
言わずとしれた鍋奉行シリーズの一冊。
これまたさらっと1冊読んでしまいました。
相変わらず、安定していて、お約束が利いていて読みやすい。
一番へーと思ったのは、江戸時代くらいには、
きゅうりって黄色く熟してから食べていたらしいと言うことです。
あれ、食えるんや!!
昔はもっと苦かったみたいだけど、品種改良して苦くないのを作り出したんだって!
へー!


ダブル・ジョーカー (角川文庫)

柳 広司 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

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柳広司著『ダブルジョーカー』
お借りした本。
これまたさらっと読める薄い本です。
でも薄くて正解かも。
あんまりスパイの、油断できない張りつめた世界の話ばかり読んでいると息が詰まってしまいそう。
でも、表題作の、陸軍主導の新たな諜報機関と我らがD機関の対決は
D機関が相手をさらりとかわすのが気持ちよかった。


おちくぼ物語 (文春文庫)

田辺 聖子 / 文藝春秋

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田辺聖子著『おちくぼ物語』
これまたお借りした本。
古典『落窪物語』の現代語翻案で、物語の雰囲気や登場人物、大筋はそのままに、
現代人向けにアレンジして欠かれています。
有名な物語だけど、一応ざっと説明しておくと、書き手は不明で、
落窪の君というひどいあだ名を付けられている女主人公が、継母にいじめ倒されるけど
機転の利く侍女のおかげもあって男前の若君に見初められ成り上がって継母を見返すという話。
面白かった!
もともと『落窪物語』って大衆小説で、当時から文学界の偉い人には蔑まれていたらしいけど
確かに文学的高尚さはないけど大衆受けしそうなこれでもかという展開があって
ぐいぐい読めてしまいました。いや、これは田辺聖子さんの力量なのかな。
今で言うところの少女マンガみたいなあらすじですよ!
いいじゃないですか、サブカルチャーっぽくて。
解説が美内すずえ先生だったのがまたびっくり。


パラダイス・ロスト (角川文庫)

柳 広司 / 角川書店

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柳広司著『パラダイス・ロスト』
これまたお借りした本。
いや、借りたやつから読まないといけないなと思ってさ。
ダブル・ジョーカーの次の巻ですが、特には続いてないです。
相変わらずのスパイ戦。
今回はアニメで見たやつが多かったので、さらさらっと読みました。
もうそろそろおなかいっぱいです。


精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)

上橋 菜穂子 / 偕成社

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上橋菜穂子著『精霊の守り人』
こいつ、また時流に乗りやがって、と思うでしょう。
まあ、そうなんですけど、本を買ったのはもう20年も前なんですよ。
もともと児童文学が好きで、この本も出てすぐくらいに買って、
でも当時は海外の面白い児童文学を山ほど読んでたし、自分も若かったし、
「面白いけど、ふつうくらいかな」と思ってたのですよ。
4冊目の『虚空の旅人』まで買って、次巻が上下巻だったので躊躇してるうちに
月日は流れ、なんか知らんけどブームになって、文庫化(!)して
ドラマ化までされちゃって、
ドラマ見た父母が「原作貸してくれ」と私の蔵書を持って行き、続きを文庫で揃えるに
至って、これは、最初に買った私だけが読んでないなんてことがあってはならん、と
遅ればせながら読み始めた所存。
どうせ読むなら1巻目から再読してみた。
この1巻目は、読んでから随分経ったので薄ぼんやりどろっとした異世界のイメージと
女性と少年の逃避行、みたいなイメージしかなかったんですが、
ドラマを見てあらすじをおさらいしていたので、たいへん分かりやすく読めました。
うん、面白かったよ。
自分も年をとったので、ちびっこと別れるときのつらさとか身につまされちゃいました。
オーストラリアの民俗などを研究しておられた著者のことなので、言われてみれば神話感はそんな感じ。
昔、オーストラリアが舞台の現地神話に根ざしたファンタジーを読んだことがあったけど、
話の筋はともかくその豊かな世界観には刮目しましたもの。それを思い出しました。

闇の守り人 (偕成社ワンダーランド)

上橋 菜穂子 / 偕成社

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上橋菜穂子著『闇の守り人』
続けて読破。
主人公バルサが故郷カンバル王国へ帰る話。
1巻目の温暖湿潤地帯かつミクロネシアっぽい世界と打って変わって
からっと乾いた草原と山岳地帯の話だったので、毛色が変わってて
なんかすごい楽しく読み進みました。
部族間の陰謀に巻き込まれたり、やはりちびっこに肩入れしたり、今回も主人公のバルサは
大車輪の活躍ですよ。
人間に使われてる小さい牧童たちが、じつは大地の民であるという設定は、
サトクリフの『太陽の戦士』に出てくる先住民たちを連想しました。
2巻目なので主人公やその他の登場人物たちにも愛着がわいてきて、読みやすい。
それにしても、バルサさんが味方に付いたときの安定感がハンパないですよ。
彼女がいれば安心だ!って思っちゃうもんな。

夢の守り人 (偕成社ワンダーランド)

上橋 菜穂子 / 偕成社

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上橋菜穂子著『夢の守り人』さらに読破。
バルサの幼なじみのタンダが夢に捕まっちゃう話。
あー、わかるわー、29歳って微妙なお年頃やんなぁ(そこかー!)
若干トロガイ師の言い回しが大仰すぎるなとは思いましたが、
今回は諸国放浪譚ってよりは、純粋にTHEファンタジーって感じの筋書きで
これはこれで面白かったです。
『花冠の竜の国』で出てきそうなネタだった(笑
でもネタで終わらせずに人生のほろ苦さを混ぜてくるあたり、さすがだと思いました。

虚空の旅人 (偕成社ワンダーランド)

上橋 菜穂子 / 偕成社

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上橋菜穂子著『虚空の旅人』
わたしが自分で買ったのはここまで。
今度は南の島国サンガル王国にチャグム皇子が特使として出向く話。
諸国漫遊譚再び。いや、この世界を旅する系の話は大好物なので超楽しいです。
言葉が東南アジアっぽいのもまた楽しい。
物語の進み方がなんか見えてきましたよ。諸国漫遊譚にその国の陰謀を絡めて
主人公が巻き込まれる系ですね。それにもう一つの世界がらみのサイドストーリーがさらに絡んでくると。
今回は商売っけの強い国の話でしたが、以外に直情バカのタルサン王子が好感触。
可愛かったです。
チャグムはお着きのシュガが霞むほどご立派でいらしてまあ。成長したわね。
誰かチャグムを左側に据えて右側シュガとかタルサンで薄い本書いたらええねん。
是非買うのに。(やめなさいよ)

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

上橋 菜穂子 / 新潮社

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神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)

上橋 菜穂子 / 新潮社

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上橋菜穂子著『神の守り人(上)(下)』読了。
ここまで来たら、一気に読みますよ!
またもバルサがちびっ子の護衛をして大変な目に遭う話。
今回はロタ王国のごたごたに巻き込まれてます。
バルサもタンダも毎回必ず重傷を負うので慣れたとはいえいつも痛そう…。
今回は、他の巻にもまして血なまぐさく、あいたたたと思うシーンも多かったけど、
やはり面白かったですよ。
ちょっと状況と設定説明が多かったですが。
しかしまあ、どこの国も大変だな。そんなもんか。

蒼路の旅人 (新潮文庫)

上橋 菜穂子 / 新潮社

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上橋菜穂子著『蒼路の旅人』
わたし、わりとチャグムの話が好きみたい。
なので、これも期待して読んだのですが、諸国漫遊譚っぽい趣はあるけど
ずーっと捕まったままで、敵の強大さを思い知らされただけで雰囲気は重苦しかった…。
作者はタルシュ帝国の勢いばかり書いてるけど侵略で大きくなりすぎた国は続かんぞ。
中国も、ローマもオスマン帝国もな…。

天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編 (新潮文庫)

上橋 菜穂子 / 新潮社

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上橋菜穂子著『天と地の守り人(上)』
えっらいとこで終わった前巻の続きです。
貸してくれた母がこの天と地が一番好きといっていたので。
母の性格から類推するにたぶんチャグムが活躍してすっきり大団円で終わるのだろうと勝手に予想してます。
それなら私も楽しみ♪
しかし、まだ上中下とあるうちの上巻なので追い込まれて崖っぷちな状況が続いてます。
後、守り人シリーズが好きな人は、絶対ジル・オールが好きだと思うな。
後(2)、著者がサトクリフ好きって書いてあるじゃん!
そうだろう!!
世の中の人はもっとサトクリフを読むべき。

天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫)

上橋 菜穂子 / 新潮社

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天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)

上橋 菜穂子 / 新潮社

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上橋菜穂子著『天と地の守り人(中)(下)』
中と下はほぼ一気読みしたので。
中でようやくバルサがチャグムに追いついて、またもチャグムを守って用心棒なのでちょっと楽しかった。
下巻は、まあ、想定内というか。
チャグムがちゃんと間に合って、良かったです。
タンダは気の毒だったなぁ…。最前線の下っ端なんてあんなもんだよなあ。


アーサー王と聖杯の物語―サトクリフ・オリジナル〈2〉 (サトクリフ・オリジナル (2))

ローズマリ サトクリフ / 原書房

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ローズマリ・サトクリフ著『アーサー王と聖杯の物語』
買いだめておいたものをここで。
サトクリフは再話よりオリジナルの方が断然おもしろいのですが、残念なことにこれは再話の方でした。
でも、さすが作家だけあって、無味乾燥な中世の騎士物語がすっきりとした筋で大変よみやすくまとめられています。
聖杯の話が知りたい人にはお勧めの一冊。
アーサー王物語関連の話はむかーしざらっと読んだのですが、
まあ大体忘れていたので新鮮な気持ちで読めました。
聖杯は結局ランスロットの息子ガラハドが手に入れるというのは覚えていましたが、
ガラハドがあんな鼻につく若造だというのは忘れてました。
後、ランスロットが可哀想だった。
中世の話なのでキリスト教色が濃くてかなわん。


アーサー王最後の戦い―サトクリフ・オリジナル〈3〉 (サトクリフ・オリジナル (3))

ローズマリ サトクリフ / 原書房

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続けてローズマリ・サトクリフ『アーサー王最後の戦い』
アーサー王の物語は、最初の魔術師マーリンの助けでアーサーが王になって
彼の周りに円卓の騎士が集まるところがピークな気がする。
聖杯探求で騎士たちはバラバラになり、ある者は二度と戻らず、
この最後の戦いでは、宮廷が崩壊してしまいます。
この話も、むかーしざらっと他の本であらすじだけ読んだ気がするのですが
その時は敵方のモルドレッドのせいで争いが勃発した、位にしか思ってなかったのですが、
このサトクリフの再話を読んですっきりどういう流れかが分かりました。
やっぱり悪者はモルドレッドだった。
そして、やっぱりランスロットとアーサーは可哀想だった。
モルガン・ル・フェイはほとんど出てきませんでした。
マーリンもサンザシの下で眠りについた後なのでぜんぜん出番がなく、それは残念。
ケルトのフィンと黄金の騎士団の話の最後を読んだときも思ったけど、崩壊する話は悲しいなあ。
色合いがにているのは、アーサー王伝説の方もケルトの伝承を下に敷いているからでしょうか。


ヒト―異端のサルの1億年 (中公新書)

島 泰三 / 中央公論新社

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島 泰三著『ヒト 異端のサルの一億年』
半世紀ほどサル研究に携わった著者が、人間もサルの一種として客観的に見ながら
霊長類の進化をたどった一冊。
それぞれオランウータンの観察時に東南アジアにいったときのこととか、
ゴリラやチンパンジーを追ってアフリカに赴いたときのこととか、
若干エッセイ風に書いてあって、それがまた作者の驚きや感動が伝わってきて
思いの外心揺さぶられました。
意外におもしろいんだ、この本!
まだ途中で、オランウータン、ゴリラ、チンパンジーと類人猿を見てきて、
次にアウストラロピテクスなので、続きを楽しみに読もうと思います。

読了。
アウストラロピテクス類がハイエナみたいに骨食ってたという説にはびっくりした。
そうなんや!
ホモ・エレクトゥスやネアンデルタールが筋肉ムキムキだったのは前から知ってましたが。
この人たち、肉食獣とて食っちゃう、スーパー肉食だったみたいですよ!
それに比べて人類は華奢で、雑食で、ネアンデルタールとかがいたら、
そこを迂回して進むような、肉体的には弱い種だったみたい。
肉食だったネアンデルタールたちの数が少なかったおかげで最終的に勝ったようなものですよ。
そういえば、アフリカのホモ・サピエンスはともかく、ネアンデルタールの居住地だったヨーロッパ南部から中東にかかるあたりを通過したホモ・サピエンスには、
もれなくネアンデルタールの遺伝子が入ってるみたいですよ。
しかもネアンデルタール×ホモ・サピエンスですよ。
欧米人の顔かたちはそのせいでは、とか邪推しちゃったよすまん。

最後の章で、最近の遺伝子研究からわかる日本人の近縁についても書かれてましたが、
中国南部の少数民族とか、北東アジアの少数民族とか、南米の少数民族とかみたい。
お隣さんの中国人とか韓国人とは割と遺伝的には遠いみたいですよ。
あれやんね、辺境故に古い血が残った系の。方言周辺論と似たような現象よね。
ちょっとおもしろいなと思いました。
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by mi-narai | 2016-09-25 22:42 | 2016年下半期の読書
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