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『ポケットに外国語を』 『運命の騎士』 『人は何故集団になると怠けるのか』

目白台サイドキック 女神の手は白い (角川文庫)

太田 忠司 / KADOKAWA / 角川書店

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太田忠司著『目白台サイドキック』さらっと読了。
THE日本のミステリーって感じの、あんまりアクの強くないあっさり風味です。
コテコテの洋ものに疲れた時にはこのくらいのフラットさがちょうどいい。
変人と噂される主人公の先輩も意外といいやつだったし。
最後の、事件の趨勢とは全く関係ないオチには

なんやそれ!!

と盛大にツッコみましたが。
この人、オカルト色入れんと気がすまん人なんかしら…


ポケットに外国語を (ちくま文庫)

黒田 龍之助 / 筑摩書房

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黒田龍之介著『ポケットに外国語を』
読了。

面白い!!

若干内田本と共通する軽さというか、鵜呑みに出来んなと思う感じは
ありますけども(当たり前です、エッセイ本ですもの)、
ものすごく読みやすく、かつ、なんかもう、やたらと語学がやりたくなる本です。
勿論、語学を生業としている著者なので、むやみと語学を勧めたり、
習得を気軽に考えるような学習過程を舐めたところなどはひとつもなくて
反対に、世間では「すぐ身につく英語」みたいなテキストばかりもてはやされてるけど、
そんなもんやない、語学の習得というのは時間もつぎ込む労力もかかるものであると
再三口を酸っぱくして仰っておられるのですが、
でも、なんだか、読んでると、かつて自分が知らない言葉に対して感じていたときめきとか
好奇心なんかを思い出して、ワクワクしてしまうのですよ。
テレビのテロップを見て「アラビア語って現在も使われているんだ!!」と改めてびっくりする感じや、
(アラビア語との初対面が物語の中だったので、実際の使用例を見て感動する)
タイ語やヒンディー語など自分の知らない文字が模様に見えるのに、
知っている文字(まったく不得手な英語でさえ)はちゃんと意味をもって読める、という不思議に
ある日ふと気づいた時の驚き、
また、このただの模様だったものが言語を習得するにつけある時点から「文字」に変わった瞬間の感動、
そんなものに共感できる人ならきっと面白いと思うと思う。
それにわたし、著者の語学に対する姿勢にも共感します。
就職に得だからとか、役に立つからとか、
それも大事な理由だけど、語学の魅力はそれだけじゃないのよ!ってことよね?
勉強するなら、楽しいからという理由でやりたい。

以下、特に心に残ったことをメモ書きしておきます。

・リトアニア語。
語学を勉強するものは、古い時代の印欧語族の人々が
どういった言葉を話していたか体感したければリトアニアの田舎に行けと
言われるくらい古い形を残した言語らしい。
有名なのか。

・英語は孤立後に近付いている。
ずっと、そうじゃないかとは思ってたけど(屈折が簡素化してるもん)、
やはり専門家に言われると、そうなんか~と納得する。

・遡りたくなる、という気持ちや、歴史に興味がある辺りも、不肖わたくしなどがどうこう言うのも
おこがましいとは知りつつも、分かる!分かるよ!面白いよね知りたいよねその辺!と握りこぶしで
同意してしまった。


運命の騎士 (岩波少年文庫)

ローズマリ サトクリフ / 岩波書店

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ローズマリ・サトクリフ『運命の騎士』読了。
高校時代に一度読んだきりだった本書。
ローマン・ブリテン三部作が有名な著者ですが、これは
中世(ノルマン・コンクエスト辺り)イギリスが舞台の物語です。
ローマン・ブリテンの方では侵略者だったサクソン人たちは、
今度はノルマン人たちに侵略される側に回ってて、
なんちゅうか、因果は巡るよなあなどとしみじみ。
舞台は目新しいけど、主人公が少年で、
歴史の動きと連動して本人自身にも大事件が起こり、成長する、という
いつもの骨子は健在です。
今回の主人公はみなしごの犬飼い、ランダル。
彼が楽師に拾われ、騎士に預けられ、自分の居場所を獲得するまでの物語です。

最初のあたりは「あれ?こんな本読んだっけ??」と首をかしげそうになるほど
覚えていなかったのですが、読み進むにつれ、思い出してきた。
そうそう、無二の親友べービスとか、
先住民のふしぎな女性アンクレットとか、出てきてた!
これまた安定の面白さです。
この作者は、本当に、自分が見もしていないことを
そこに実際に人がいて実際に暮らしていると
読者が錯覚してしまうようなリアリティをもって描くのだよなあ。
オルハン・パムクの時も思ったけど、すごいなあ。
だから読んだ後、本当に自分がその場にいて体感してたみたいに
余韻が重くて、ちょっと戻ってこれなかったりするんですよね。
後、この作者はちょっとした感情の動きを描くのもうまい。
主人公と、二つ年上の城主の跡取り息子べービスが友達になる段での
主人公のうっ屈した心理や、
青年になった主人公とヒロインが初めて心通じ…そうになって、
直前でそこまでいかなかった時の、なんか物足りない感じなんかが
手に取るように分かります。
初読時の今よりもっと未熟だったわたしはちゃんと分かって読んでいたのかしら…。

しかし、今回も友情が熱かった。
通勤途中だったから鼻すするくらいに抑えましたが、
家で読んでたらおいおい泣いてましたよ、くそう、今回もやられたぜサトクリフ!
これで文庫化した岩波本は全部読み終わっちゃったので、
他の出版社から出てる本に手を出そうと思います。
アルキビアデースの話とかもあったはずだから、楽しみだな~。
でもハードカバー持ち歩くの大変だから、
「ケルトとローマの息子」みたいに、ちくまさん文庫化してくれないかな…(他力本願)。


人はなぜ集団になると怠けるのか - 「社会的手抜き」の心理学 (中公新書)

釘原 直樹 / 中央公論新社

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『人は何故集団になると怠けるのか』読了。
とりあえず、自分への戒めとして買ってみた。読んでみた。

いや~、なかなか面白い。
一見軽いハウツー本みたいなタイトルですが、
一応社会学の見地から、色々な原因と結果を検証してる本だからね!
新書なのでさらっとさらえてある感じですが。

さぼる原因も手を抜く要因も各種存在して、
勿論もともとの主体の特質なんかも関係してて、
ある状況下で要因が一つないし複数組み合わさって、
手抜きとかタダ乗りなんかが発生してるんだけども、
いちいち、あー、そうだよな~、などと納得することしきりでした。
この世は人を怠惰な手抜きへと導くファクターが多すぎるな!
誘惑に満ちておる…!!
まあ、別に管理職でも経営者でもないから、いまんところ
そこまで危機感はないんだけども、
手抜きの蔓延した社会はちょっと嫌だなあと思うので
(特に政府や行政機関を信頼できないのはつらい。
なんやろう、規模の大きさと情報の透明さなんかしら)
本当は真面目に考えた方がいい問題なんかもしれん。

とりあえず、罰は手抜き対策にはあんまり効果がない事はよく分かった。
してはいけないことをした時に叱るのはいいけど、
たとえば子供の伸ばしてやりたい性質に対して、
それができていないからと言って叱るのは逆効果であるのだなあ…。


小鳥を愛した容疑者 (講談社文庫)

大倉 崇裕 / 講談社

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大倉崇裕著『小鳥を愛した容疑者』読了。

これまたさらっと読み終わりました。
洋もののしつこいくらいの状況描写とかに毎日漬かってると、
たまに読む日本人推理作家の本は

さらっさら読めるな!!

いやー、清涼剤みたいで読むのが楽しいです。
お話は、怪我で閑職にまわされてリハビリ中の元刑事と、
動植物対策のために外部から雇われた専門家の若い女性が
2人三脚で動物(ペット)がらみの事件を解決する、という短編集。
出てくるペットは、十姉妹、蛇(種類忘れた)、ケヅメリクガメ、ワニガメ、シマフクロウ。
主人公の一人、薄さん(若い女の子の方)が本当に動物愛に溢れまくってて
ブレがなくって良かったですよ。
該当ペットの飼い方なんかも事細かに説明されてて、
それもまた楽しかった。しかし、肉食動物を飼うということは、
餌の小動物の処理もしなければならんということなのだな…。過酷。


アルフハイムのゲーム (ハヤカワ文庫SF)

ジャスティナ ロブソン / 早川書房

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ジャスティナ・ロブソン著『アルフハイムのゲーム』読了。
古本屋で100円くらいで売ってたので。
もうないだろうと思っていたのにみつけてしまいました

どうしちゃったのハヤカワさん第3弾!

SF文庫から出てるんだけど、これ、日本の出版だったら確実に
ファンタジーの本棚ですよ。
おまけに、おおまかにロマンス寄り。
SF部分は若干舞台が近未来なのと、5年前に物理学の研究所が事故を起こしたせいで
並行世界がごっちゃになったって設定だけ。

だからこういうの、SF文庫で出しちゃだめだってば!

硬派なSFファンが間違って買うでしょうが!
主人公が事故で半身を失ってめちゃめちゃサイボーグ手術を施されてて馬鹿強いので
ある種爽快感はあるし、出てくるエルフが男前なのは良いポイントなのですが、
作者のせいか訳のせいか、設定が分かりづらく、事故後5年しか経ってないのに
事故前の世界を知る者はいないとかアホなこと言い出すし、
アメリカで起こった事故なのに全世界規模だし(おいおい、アジアを巻き込むな)、
おまけに肝心の「ゲーム」がなんのことだか分からない。
ごめん、あたし、最後までなんのことか分からなかったよママン…。
主人公も、なんや次々と出てくるエルフと関係を持つし
ジェームズ・ボンドの女性版とでも思えばいいんかもしらんが、
わたしはもうちょっと一途な方が好きです。
おまけにエロシーンは2回くらいあるしな。

まあ、思えば、英米では日本よりも「小説」ジャンル内の幅が広いのかもしれませんね。
SF小説だと思うと、なんじゃこらと思うけど、漫画に置き換えたら、
こんなネタ山のようにありそう。誰かがすでに描いてそう。
このボーダーレス、ジャンルも重さも自由な辺りはまさにマンガ的。
…日本ならマンガで描くところを欧米ではSF小説ジャンルで書いてるのかもしれん。
日本密林レビューと米密林レビューの星の差はそういうことなんだろう。
欧米読者は日本SF読者より遥かに軽めで女性向けの読み物だと分かって買ってるんだろう。
ちなみに、わたしの見たところ、
ロマンス小説:ファンタジー:SFの割合は4:5:1くらいです。ご参考までに。
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by mi-narai | 2013-12-29 13:50 | 2013年下半期の読書
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