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『「古事記」神話の謎を解く』 『アラブ飲酒詩選』

『古事記』神話の謎を解く―かくされた裏面 (中公新書)

西條 勉 / 中央公論新社

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西條勉著『「古事記」神話の謎を解く』読了。
ちょうどゲームの『九龍』やってて古事記の固有名詞に聞き覚えがある時だから、
今のうちに読んでおくか、くらいの気持ちで読み始めました。
最初は古事記の書いてある文体の説明が合って、次に内容に関する考察です。
『古事記』は稗田のアレ(漢字忘れた)の口承を太安万侶が書き取った、みたいな体裁で書いてあるけど、
結局新政府が編纂した政治的な色合いの濃い書物だからな、というのが作者の考え。
(確かに、
アマテラス→ニニギの権力の移譲は
持統天皇→孫
とかぶるし、地方を平定して中央集権的な国家をまとめたばかりの日本のために
各地の伝承を上手に編集したんだろうな、というのはよく分かる)
同じ神話でも伝承をひたすらエンタメ方向に突き進めたイーリアスとは趣が
違うよなあ、などと思った次第であります。
作者は、日本書紀と読み比べつつ、編集される前の形や、どういった意図をもっての
伝承の配置なのかについて、順を追って書いてます。
作者の説に裏付けがあるかどうかはわからんし、
文中で同じことを何度も何度も繰り返すのでやや煩いのですが、
読み物としてはそれなりに面白かったですよ。丸飲みは出来んとは思いましたが。


QED ~flumen~ 九段坂の春 (講談社文庫)

高田 崇史 / 講談社

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高田崇史著『QED 九段坂の春』読了。
友達に借りて。
シリーズの登場人物たちの若い頃の話がオムニバス形式で。
読みやすかったです。
でも、結局解決しなかったり、関係ないうんちくが語られてたり
作者の押し付けがましい歴史観をごり押しされたりもします。
(いつもよりごり押しはソフト目ですが)

でもって、作中一番かわゆらしいゴリマッチョキャラ小松崎が
だいぶ不憫な目にあっててちょっと萌えました。


アラブ飲酒詩選 (岩波文庫)

アブー ヌワース / 岩波書店

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アブー・ヌワース『アラブ飲酒詩選』塙治夫編訳 読了。
古本屋で100円だったので買ってみた。
さほどアラブに造詣が深くないのでこの詩人の名前は初耳だったのですが、
アラブ世界では有名な人らしい。
ちなみに名前のアブーは「~の父」ほどの意味。本名は確かアル・ハサンだっけな。
なかなか面白かったですよ。
アラビア語で読めばもっと韻を踏んでて語彙も豊富で謡うような抑揚で
素敵さ倍増なのだろうけど、日本語でも雰囲気は味わえます。
都会で放蕩の限りを尽くす遊蕩児の自堕落ライフ、みたいな歌が多くて、
これが読まれたのが8~9世紀だということにまず吃驚します。
詩の内容が現代っぽくてしかも作者の人間臭さがにじみ出てるので、
もっと現代に近いような気持ちになっちゃうのですよね。
でも、このアブー・ヌワース、有名な、かのアッバース朝のハールーン・アッラシードの
治世の末期~彼の子のアル・アミーン、アル・マアムーンの治世に生きた人なんです。
日本で言うならちょうど平安京が始まった頃…坂上田村麻呂が東に向かった頃ッス。
西洋諸国ならイギリスはまだヘプターキー時代か?アルフレッド大王はまだ生まれてない頃。
フランスはカロリング朝かな。カール大帝とか出てきてる頃。
そうそうアルフレッドって若いころフランスに遊学してたんですよね。
カール大帝の宮廷に学びに。カロリング・ルネサンス!ローランの歌ですよ!
どうです、急に「昔!」って感じになったでしょ。
そんな大昔の時代に中東ではムスリムが酒礼賛の詩を書いて
「遊牧生活なんて古いライフスタイルさ、都会サイコー!」とか言ってたと思うと、
いろいろ感慨深いものがあります。

それはそうと、酒も男色もイスラムでは禁じられてるはずなのに、
アブー・ヌワースはどっちもおおっぴらに詩に書いちゃってますよ。
凄い詩を書いて偉い人に賞金もらっては使いきるまで飲み、それで愛想をつかされて
貧困になって他のパトロンを探す、を繰り返してたみたいですね、この人。
しかし、根底に若いころ、熱烈に愛した娘に完膚なきまでに振られたという苦い経験があって、
そのせいで女性に対するコンプレックスと不信感があったっぽいので、気の毒っちゃ気の毒です。
当意即妙で軽妙洒脱で皮肉屋でとびきり頭がきれて、その実シャイな人だったらしい。
なんか、オウィ先生をちょっと連想しました。
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by mi-narai | 2012-11-11 12:50 | 2012年11月・12月の読書
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