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『女盗賊プーラン(上)(下)』 『オオカミと生きる』 『月光亭事件』その他

ほんとは9月の読書分なんですが、カテゴリ作るのめんどくさいので8月分に入れといてください。


女盗賊プーラン〈上巻〉

プーラン デヴィ / 草思社

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女盗賊プーラン〈下巻〉

プーラン デヴィ / 草思社

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プーラン・デヴィ著『女盗賊プーラン(上)(下)』
これまた職場の同僚に貸して貰ったもの。
大体のあらすじは知ってたので、途中の悲惨な目に遭ってる部分で
読んでるこっちまでつらくなるんじゃないだろうかと思って、
これまで読むのを敬遠していましたが、気にはなっていたのですよね。
貸してもらったのもなんかの縁かと思って観念して読みました。

1巻の前半は、もう、ものすごい勢いでフラストレーションが溜まります。
インドのカースト制って厳しいわ…。
日本社会も大概息苦しいところがあるよなと思ってましたが
(でも全体的には嫌いではないっスよ。母国だしな)、
ソレとは別種の息苦しさがここに。
小さな村の中で、ほとんど教育も受けず従ってその村の中のことしか知らないまま、
やりたい放題やる厚顔無恥で欲深なやからに虐げられて暮らすって、
考えただけでつらくなりそうです。
もともとそういう社会に住んでてそういうものだと思ったら
多少は慣れもするかもしれんが…いや、やっぱ嫌なものは嫌だよな。
普通に通りを歩いてただけの女の子が
カーストがちょびっと上なだけで生殺与奪権をまるまま握ってる若造どもに
白昼堂々レイプされて、でもどこにも言えず泣き寝入りし、
まともなおうちに嫁にいくあてもなくなり、
文句言いに行った両親が逆にそのお家の主人に殴り殺されてしまうんだけど、
それでもどうしようもない、法も助けてくれないって
どんだけ理不尽なのさ!!!
(しかもこの理不尽なしうち、主人公の知り合いの話で、
こんなエピソード珍しくも無く、主人公はもっと悲惨な目に何度も遭うんですよ)

で、そんな目を疑うような仕打ちがこれでもかと続いて
まあ、読んでるこっちまでモヤモヤするのはそうなんですが、
最初予想したほどでもなかったのは、
思うに主人公が一貫して怒りを持ち続けていたからだと思うんです。
くじけて絶望して自分を責めさいなむ方向へ進むと、読者もどんよりしますが、
この物語の主人公の場合はひどい目にあっても、嘆くけど、怒ることをやめない。
で、1巻最後辺りでどんでん返しがあって、何でか盗賊団にさらわれて
恋っぽいものも経験し、団員になって、今度は主人公が
虐げた奴らを虐げ返すだけの暴力を手に入れるわけ。
なわけで、上巻後半から下巻前半の復讐の辺りはたいへん気持ちよかったです文明人らしからぬ
感想でスマン。
しかし、女性をレイプしたアホどものあそこを叩き潰していくくだりは
本当にスッキリしました。ズボンの股が血に濡れて云々みたいな生々しい記述もあったけども。
わたくし、割とハムラビ法典の支持者ですもの。
女性たちが味わった苦痛をそっくりそのまま味わってもらったらいいと思います。
で、下巻では恋人が死んで、警察と司法取引をして刑務所に入ったくだりが
淡々と続いて、出所した辺りでラスト。
しかし、この主人公はものすごい運命の変遷で反撃する力を手に入れたけど
大体の人は泣き寝入りだもんな…。ソレを考えると気が重いです。
まあ、プーランの姉や妹みたいに、いい旦那さんにとついでそのまま幸せになる人もいるんだろうけど。

本自体は読みやすかったです。3日ほどで読み終えました。
貸してくださった同僚の方は主人公が強くて勇気を貰うと仰ってましたが、
ワタシは自分が頑張ろうというよりは、なんか社会について考えてしまいましたよ。
それに、強い、というのかなあ…あれは。単純さはある種の強さではあるとは思うのですが、
人の思慮深さとか折れない強さとかでなく、野生の生命力みたいなのを感じました。
なんというか、よく小説とか少女漫画で出てくる
「落ち込むよりは怒ってる方が生きる力が湧く」とかなんとかいうあの台詞が
ものすごい実感として感じられる本でした。


オオカミと生きる

ヴェルナー フロイント / 白水社

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ヴェルナー・フロイント著『オオカミと生きる』読了。
以前古本屋で購入して積んであったやつ。
読んでみました。
一番の感想を述べます。


おっさん、よっぽどオオカミ好きなんやな…!!!



このドイツ人のおじさん、研究の一環としてだけど、
ドイツ郊外に囲いつくってそこにオオカミの群れを離して、
そこでアルファオオカミとして暮らしてますよ…!!
これが動物行動学の方法なのか!!
イロイロ驚いたけど、まずは、人間がアルファオオカミとして君臨できるもんなんだな、
ということに素直に感心した。
軍隊に入ったこともある腕っ節のある人間なら大丈夫なんだな…
(仲間だと思われてる限り獲物に対するような致命的な攻撃は無いとは言え、
順位争いには容赦なく巻き込まれ、時々取って代わろうとする若手に攻撃されてますよ)
めちゃめちゃオオカミ目線で述べてあるので、へー、と目から鱗の落ちることが多かったです。
当たり前だけど、オオカミの世界もシビアだなあ…。
アルファの雄と雌しか番えないとか、知ってはいましたけど
これってつまり、アルファ以外の雄雌オオカミは
生涯純潔を守ったまま生きていくわけですヨ!!

聖 人 か (C・ローマじいちゃん)

後、順位争いが激しいとかさ。
その順位は体の強弱で無しに、生まれ持った強気さで決まるとか。
(人間もそういうとこあるよな)
描かれているいろんな事が大変興味を持って読めました。
このおっさん、ヨーロッパオオカミの他、シンリンオオカミとホッキョクオオカミの群れの囲いも
観察してるんだけど、野生では人とほとんど触れ合うことの無いホッキョクオオカミが
一番性格的に穏やかでのんびりしてるんですって。
(このことからもヨーロッパオオカミがどれほど人間に迫害されてきたかが知れる)
その部分のホッキョクオオカミの記述でちょっと和みました。
ああ、どうして日本オオカミは滅んでしまったのかしら…


歴史学の名著30 (ちくま新書)

山内 昌之 / 筑摩書房

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山内昌之『歴史学の名著30』読了。
ラインナップにヘロドトスとトゥキディデス(後『ガリア戦記』と『アルファフリー』)
があったから買い求めてみた。
この方のご専門って、イスラム関連じゃなかったかなと思うのですが、
その他の歴史本も沢山お読みになっていらっしゃるのだなあと感嘆いたしました。
(個人的にはもっとイスラミックな書物をバンバン紹介してほしかった、ぜ…)
1冊分を少ないページ数でさらっとまとめていらっしゃって分かりやすかったですよ。
正直言って日本史と中国史にはほかの地域ほどの情熱は湧かないけど、
それでもちょっと『漢書』とか読んでみたくなりました。読まないけど。
ああ、後、ブルクハルトのイタリア関連の本も読んでみたい。こっちはいつか。


月光亭事件 (創元推理文庫)

太田 忠司 / 東京創元社

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太田忠志著『月光亭事件』読了。
シリーズ5冊を古本屋で大人買いしてみました。
とりあえず、その1巻目。

語り手の職業探偵が40代のおっさんなのにちょっと忍耐が足りなくて若干苛々しましたが、
(ちょっと馬鹿にされたくらいでいちいち反応せずにスルーしてください)
探偵役(トリック解決役)が12歳くらいの小学生と目新しく、
これまた素直なやさしい子なので、その点はポイント高かったです。

全体的な雰囲気としては、ちょっと昔のオーソドックスな推理もの、といった感じ。
探偵、豪邸、密室殺人、と三拍子揃った古き良き時代の推理小説です。
最近の新本格とか期待して読んだらあかんよ。
でも様式に則った古き良き推理物が好きな人には良いかも。
今のところ可もなく不可もなく名感じなので、続きも読んでみるつもり。


幻竜苑事件 (創元推理文庫)

太田 忠司 / 東京創元社

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『幻竜苑事件』読了。
のっけに、語り手のおっさんが、小さい女の子相手に大人げない態度に出たので(またかよ!)、
おっさん!ええ加減にさらさんかい、ちいちゃい男やのう!
と思ってたんですが、後でその女の子にちゃんと謝ってたのでよしとする。
探偵役の俊介くんのかわいらしさは相変わらずです。
この子、清々しいわぁ…・


夜叉沼事件 (創元推理文庫)

太田 忠司 / 東京創元社

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『夜叉沼事件』読了。
登場人物にすっかり馴染んだ3冊目。
おっさんのお堅い性格にも慣れてきて、なんとなくこうでないと物足りなくなってきました。
三○先生みたいな人だと思えばいいのよね。
1日で読み終えてしまいました。
真相にはわりと早目に気づいたことだけが自慢です。


玄武塔事件 (創元推理文庫)

太田 忠司 / 東京創元社

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『玄武塔事件』読了。
これまた1日で読み終える。
今度はメンバーの一人、喫茶店ウェイトレスのアキちゃんが
友人二人と海辺の村へバカンスに行って巻き込まれた
旧家の確執と古びた屋敷と殺人事件。
嵐が起こって交通手段がたたれ、村が陸の孤島と化すのもテンプレートどおりです。
今回は、脇役たちの恋模様が気になって仕方ありませんでした。


天霧家事件 (創元推理文庫)

太田 忠司 / 東京創元社

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『天霧家事件』読了。
なんと、探偵役の俊介君が、夏休みのサマーキャンプに行っててほぼ出てきません。
なので、サポート役の野上さんが一人で事件を受けて、一人で解決する、という異色作。
野上さん、ひとりでも出来るやん!と思った一作でした。
ハードボイルドタッチで意外と面白かった。


深淵のガランス (文春文庫)

北森 鴻 / 文藝春秋

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北森鴻著『深淵のガランス』読み中。
友達に貸してもらったので。
語り口調が固すぎてかっこつけすぎてて息苦しくなりそうな感じです。
裏社会の人ばっかり出てくるしさ、
いや、ワタシが著者の美学の猛プッシュについていけないのよね
つまりそれは自分もその傾向があるからで、要するに同族嫌悪、
お前も(方向性は違えど)かっこつけすぎとるからじゃと。
自業自得なのであります。ほんと、気をつけよう。
これをさらっと読める友人は心のきれいな人なのですよ。
まあ、とにかく読んでてものすごいしんどい…。
でも、絵画修復の手順とか事件とかは面白いです。
今、短編3篇のうち2篇目が終わりそうな当たり。
たぶん、登場人物に慣れてきたら楽になると思うので、
ワタシ、がんばります!(後一冊借りてるのです)



以下、映画
ネタバレはしてないと思うけど、まだ放映中なので畳んでおきます。
 





実は8月中に見に行ってました。
ブログのアップをサボっているうちに一月も経ってしまった…。


『るろうに剣心』
ジャンプ読者の友達とネタで見に行ったので、正直期待して
無かったのですが、

これが、意外と、面白かった…

圧巻はアクションでしょうか。
スピード感があって、見ててものすごく爽快でした!
『TROY』のアクションが重さとか肉感とかを追求してるとしたら
るろけんの主人公のアクションは、速さ、でしょうか。
(そういえば、神速の秘剣を使う剣客という設定だった。そうだった)
いやー、かっこ良かったよー。アクション見るためだけに
もう一度映画館に行ってもいいと思ったくらい。

とはいえ、ワタシ、リアル読者だったからなあ…。
映画を面白く感じたのは思い出補正が掛かってるからかもしれんので
これまた人様にアクション以外の部分を自信を持っておススメしづらい、という、ね…。
雑誌でその都度読んでたけどコミックは未読だしアニメも見てなかったんで、
まー大部分忘れてたんだけど、一緒に見に行った友達いわく
「ものすごい端折ってあった」そう。
そう言われればそうかもなあ。
うまいことまとめてるなとは思ったけど。

登場人物については、
主人公の剣心は、…個人的には普段はもうちょっとはにゃはにゃしてる方が好きですが、
あの珠玉のアクションシーンの前になんか全てが吹き飛んでます。
これはこれでいい。
多分、原作の漫画にあったからイロイロ台詞入れてんだろうけど、
真面目に戦ってる時はもうちょっと喋らなくてもいいくらい。

薫さん…まあこんなもんじゃない?

恵さん…あおいゆうがやってることに途中まで気づかなかった。

斉藤一…あり?こんなに喋る人だっけ。

左之助…なんか、単純馬鹿でかわいかった。
しかし、これまた言われるまで『龍馬伝』で後藤象二郎やってた人だと
気づきませんでした。ええ体しとる。
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by mi-narai | 2012-09-30 15:19 | 2012年8月の読書
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