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『哲学者とオオカミ』 『オオカミと神話・伝承』 『オオカミと神話・伝承』

マーク・ローランズ 著『哲学者とオオカミ』
読み終えてしまいました。
昔の京大の哲学の先生方も破天荒な方が多かったと訊きますが
この作者も大概やな。
ものすごい引越し&転職ですよ。
大学教授ってこんなもんなの?それとも海外スタンダード?
後、同じ英語圏なら国を越えて引越し出来るのがちょっと羨ましいなとは思いました。

別に英語が母国語やのうて残念やとは思わへんけどな(日本語を愛してますから)。

長年住んでたアメリカからアイルランドに移った直後の、
まだアメリカ気質が抜けきってない作者とご近所さんとの常識の齟齬のエピソードが面白かった。
(自宅の庭に入り込んだ不審者を、オオカミと一緒になってボッコボコにタコ殴って
「よっしゃ!ふんじばってやった!」と得意になったものの、直後
「しまった、ここはアイルランドだった、やりすぎた…。ご近所トラブルになってしまう」と
青ざめたというエピソード。もしアメリカでこれをやったら、周囲から拍手喝采で一躍ヒーロー)

いやいや、この本の本質はそこではなく、作者が彼のオオカミと暮らすうちに色々考えた事
(主に哲学的…というよりは、ちょっと踏み込んだ人生についてのアレコレ)です。
最初読み始めた時は、随分この作者、人間に対して否定的だなあ、と思ったものですが、
読み進むうちに、そうではなく、人に対する嫌い、という気もちよりも、
オオカミとイヌが好き過ぎるんだな、と感じ始めました。
この人、イヌが好きすぎて、そことの対比でサル(人間に対するメタファー…らしい)を
汚らしい、醜い、と感じてしまうのだなあ。
そう考えると、著者の極端な物言いもちょっと愛おしくなってきました。
(北欧のフェンリル神話に対する、フェンリル側に立っての強力な弁護とか面白かった。
いや、わたしも常々神々には共感力が欠けてるよな、とは思ってましたとも!

後、イヌ好きが講じて、この人、ベジタリアンにまでなってますよ!!
食肉用に育てられてる動物が、食べられるために育てられて殺されるなんて、
あまりに酷い、と思う気持ちはものすごい分かるけど、植物だって生きてるから、な…?
でも、普通に生きてるのを食べるために殺して食べるのと、殺して食べるために育てるのは
こう、相手に対する尊敬度合いが違うねん!!…という主張は分かる。
普段何も考えないで美味しく御飯を頂いちゃってますが、命を頂いている事をもうちょっと
自覚して、ありがたいと思わないとなあ…)

著者が生まれたのは、家族でイヌ(それも大型犬)を何匹も買ってた筋金入りのイヌ好き一族なので
そのイヌ科の動物に対する視点は信頼できるし、作者がブレニン(オオカミ)の視点で
思考しようとする試みも、ものすごいそれっぽくて、
オオカミがどう考えてるか、世界を見てるかなんて、本当は人間には一生わからないんだけども、
著者が描いたオオカミの世界を見ると、多分こんな感じなんだろうなと
読者に思わせるリアリティがあるんですよね。
オオカミ界を垣間見れた気分になって面白かった。
最後のあたりの、ブレニンがとうとう年老いて死んでしまう箇所では、
作者の痛みが垣間見えて(分かる、などとおこがましい事は言いませんけども)
不覚にも泣いてしまいました。

作者の問いかけの根底には「結局、幸せってなんなんだろう」という普遍的なものが
あるように思うのですが、そういったおそらく哲学的な部類に入るのであろう問いかけも、
ものすごく噛み砕いて分かりやすく書いてあって
(作者曰く、この本は学術書じゃなくてエンタメの部類)、たいそう分かりやすかったです。
この理解力の乏しいわたしの頭で分かったのだから、多分誰でも分かる。

作者の個性が強いので、鼻についてダメな人はダメかもしれないけども、
個人的には面白かったです。
後、イヌ好きさんにもオススメ。


オオカミと神話・伝承

ジル ラガッシュ / 大修館書店

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『オオカミと神話・伝承』
オオカミ関連第2段。
読み終わりました。
最初にさらっと世界各地のオオカミ神話など並べてありますが、
(中央アジアのオオカミ神話とかは興味深かった)
作者がフランス人なので大体ヨーロッパのオオカミ事情についての話です。
おおざっぱには知ってましたが、あらためてヨーロッパの農村の、
農業に比べた牧畜の割合の高さとか、人里とオオカミの生息地の近さとか、
そういったものからオオカミが西欧であれほど憎まれるに至った過程などが分かりやすく
説明され、良かったです。
宗教や童話が人々に与えたイメージなんかも絡めて書いてあったしな!
ヨーロッパで大きな戦争が起こったり、ペストが流行ったりしたときには、
オオカミが死体を食べるので個体数が増えたとか、そういうのも生々しいけど納得の事実。
この本の出版年は20年ほど前なんですが、本出版の時点ではまだイタリアにもオオカミが
いたみたいで、その事にもビックリした。
イギリスでは大分早くにオオカミが絶滅したのは知ってたけど、イタリアはいたのか…!!


千の顔をもつ英雄〈上〉

ジョゼフ キャンベル / 人文書院

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ジョゼフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄〈上〉』読み中。
とりあえず、有名な本なので押さえておくか、と。
世界各地の英雄物語の要素を主に心理学的側面から説明したような本、だと思います。
(アホゆえに理解が浅くてスマン)。
あんまり神話を心理学的な要素のみで説明してしまうのは好きではないので
(だって、読んでて「いやいや、昔の人そんなこと絶対考えてなかったって!」と思いません!?)
へー、ほー、ふーん、と面白がりつつあまりコテコテの部分は流し読みしてるんですが、
この著者、具体的な神話を引いてきて、事例を説明するんですよね。
その具体的な神話部分がとても面白い!
知らなかったような神話がうんとこさ出てきて、目新しいですヨ!
それにこの著者、キリスト教圏の人なのに、ものすごく他の宗教にも公平で、
(というか、キリスト教にも仏教にもその他宗教にも全て客観的)
キリスト教徒の陥りやすい弊害などもちゃんと自覚していらっしゃって、
そのあたりは大変好感が持てました。
早く読んで下巻に進まねば、返却期間が来てしまう。




多読

『A tale of two cities』(レベル4)を読み中。
まだ読み終わらんヨー!(もうちょっと!)
ページの半分ほど知らない単語でも、適当に話をつなげられる自分の妄想力には感謝したい。
革命期のパリが超怖いっス!
正確に文章が分からない故に、ものすごい怖い想像をしてしまって、
多分、本当の話の筋を読むよりビビリながら読書してます。
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by mi-narai | 2011-09-06 22:55 | 2011年8月の読書
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