<< 雑記 やきう >>

『都会の花と木』 『ギリシア・ローマ神話』 『ギリシァ思想の素地―ヘシオドスと叙事詩』

都会の花と木―四季を彩る植物のはなし (中公新書)

田中 修 / 中央公論新社


田中修著『都会の花と木』読了。
またもただでいただいたので張り切って読みました!
前作の『雑草のはなし』では雑草について書いたので、
今度はその時に書きそびれた花について書いた、とのこと。
今はキノコの研究の方が主流っぽい田中先生ですが、
もともとはお花がお好きだったのだろうなあ…。
生物の先生のクセにようそんな小ネタ知ってんなあ、と感心する雑学の宝庫です。
その合間合間に時々真面目な生物ネタが織り交ぜてあって、なかなか楽しかった。
作中での先生ののんびりした語り口もあいまって、
疲れたときに読むとほっと出来ますョ☆


ギリシア・ローマ神話 (講談社学術文庫)

佐々木 理 / 講談社

スコア:


佐々木理著『ギリシア・ローマ神話』読了。
古本屋で安かったので何の気なしに購入した本。
タイトルと、目次の
「1、燕と鶯
 2、葦のささやき
 …」
といった記述から、オウィディウス風のエピソードを一般向けに紹介した
(つまり、更なるギリシアを求めるむきにはやや物足りない)本かと思っていたら
『地中海世界を彩る人々』とは逆に、こちらはがっつりマニアックな本でした。
おおおー。意外。予想の斜め上を行く方だぜ、佐々木先生。
この佐々木先生という方、あまり聞きなれないお名前なのでどんな方なのかと思ったら
あとがきに民族学者の大林太良先生の解説が載ってました。
なんでも1900年に生まれて1991年に91歳で世を去ったギリシア神話関連の先生のようです。
海外の碩学(ニルスセンとかロバートとかヴィラモーヴィッツとかジェーン・ハリソンとか)に良く学んだ方で、
今ほど翻訳が出てないころ独学で外国語を学んで原書で勉強なさったらしい。
(だからオスマンをオットーマンと呼ぶような呼び方が時々見えるのね)

ていうか、かくいう大林先生も2001年にお亡くなりになってたのですね。
『地中海世界を』の柳沼先生もなんてこったい昨年8月にお亡くなりになってるし、
良い先生がどんどん世を去ってゆく…。ご冥福をお祈りします。

閑話休題、本書ですが、第1章の燕と鶯、からしてもう待ったなしで面白かった!
これ、元ネタは
テーレウス王にお嫁入りしたプロクネーと、
その妹でテーレウスに犯された上に舌を抜かれた気の毒なピロメーラ、
諸悪の根源テーレウスがそれぞれ3種の鳥に変わるエピソードなんですが
鳥の鳴き声の検証から、民話の話型として考えた上での組み立て、
子殺しの他の民話における例証、など、イロイロなアプローチが大変スリリングでした。
『テーレウスは、突き詰めればトラキアのゼウスに相当する天空神だったかもな』、
という結論なんて真偽はともかく面白いと思いません?
しかも、この佐々木先生、さすが91歳まで生きた方、話題の幅広さが半端じゃありません。
ローマ、クレタ辺りの伝承を知ってるのは当然として、マヤ・アステカ、モンゴル、
中国まで、そんな細かい伝承よう知っとるなあ!!とびっくりするほどの知識をお持ちです。

とにかく、一つのエピソードが先生の手にかかって掘り下げられていくうちに
思わぬ方向へと転がっていき、まさに予想の斜め上の結末にたどり着くのが
毎章ごと、ドキドキするほど楽しかったのです。
1964年に書かれた本に、改訂を加えたのが本書なので、
ひょっとして現在の最新の研究から照らし出すと大時代的な記述なんかも
あるのかもしれないのですが、この佐々木先生、文章力も侮れない方で
そんなこと気にならないほど引き込まれてしまいます。

いやあ、古本屋さん、ええ本買わせてもらいました!


ギリシァ思想の素地―ヘシオドスと叙事詩 (1973年) (岩波新書)

久保 正彰 / 岩波書店

スコア:


久保正彰著『ギリシァ思想の素地―ヘシオドスと叙事詩』読み始めました。
これまた古本屋で買い叩いた本です。わたしの生まれる前に出版された本。
久保先生といえばわたしにとって「オデュッセイア陰謀夫婦説の人」
「オウィ先生好きの人」という申し訳ない印象の方なんですが、
本当は東大の偉い先生でその上呉先生の一番弟子というとんでもなく
雲の上のお方だったりします。(この方は多分まだ御存命)
とりあえず、まだ序盤なのでヘシオドスの描く暦&農事の記述を
読んでいるところです。
[PR]
by mi-narai | 2009-03-25 22:45 | 2009年3月の読書
<< 雑記 やきう >>