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『古代ギリシアの同性愛 新版』 『プリーズ、ジーヴス』

K・J・ドーヴァー著『古代ギリシアの同性愛 新版』読了。
やれやれ、漸く読み終わった。
では面白いと思ったことを箇条書きに。

・今日の一般論によると、同性愛の起源はドーリス系都市国家の軍隊組織。
古典期のスパルタとクレタ島では特に盛んだったとか無かったとか…
(そのことは『ラコニア風』という言葉が衆道を指したり、喜劇の中の
アテナイ人とスパルタ人の当てこすりの中なんかにチラホラ現れる)
→つまり、ヘラクレスの子孫の帰還(ドーリス人の南下)以降の風習か?
→てことは、やっぱそれ以前(ホメロスの叙事詩に歌われている時代とか)には無かったのね
→ではなぜにアキパトORパトアキというCP論争が起こったかといえば、
要するに論争した時代の人にとって同性愛がわりと普通のことだったから。
(ちなみに、アキパトを主張したのがアイスキュロスで、それに
「いや、パトロクロスの方が年上だったんだからやっぱパトアキだろ?」と
異を唱えたのがプラトンの著作の中のパイドロス君。
わたしはどっちでもイケます。
とはいえ、本を読む限り、リバがあり得なかった以上左側死守は沽券に関わる
大問題だったらしいので、CP論争も白熱しようというものです)

・おお?ガニュメデスを誘拐したのはゼウスではなくクレタのミノス王だったと
論じてる歴史家もいたらしいですよ? ミノス、お前…相変わらず幅広いな…。

・アリストテレスは同性愛を人口抑制の方策に使えると考えていたらしい。

・地方の特殊な風習例
クレタ島には仕手側が受けて側の少年をさらって2ヶ月ほど行方をくらますという
同性略奪の風習があったらしい。2ヵ月後、仕手側は受け手側に何がしか高価な
贈り物を贈ったらしい。ちなみに、受け手側に選ばれることは名誉なこと
だったらしい……。ああ、そうなの…(遠い目)

・アイスキュロスの三部作『ミュルミドン人』『ネレウスの娘たち』『フリュギア人』というのがどうも怪しい。
この3部って現存してんのかしら(してないんだろうなあ)。断片集を読んで確認の必要アリ。

・クセノポンの『饗宴』でソクラテスは「ホメロスは別にアキレウスとパトロクロス
のことは純粋に友情のつもりで書いたんだと思うよ?」と言い、(実際わたしもそう思います。)
対比としてオレステスとピュラデス、テセウスとペイリトオスを引用したらしい。
…あー、うん、その辺り、確かに微妙なラインですよね、大先生。

・ラーイオス(オイディプスの父親)は古典期のギリシア人に「最初のホモ」認定を受けていたらしい。
中国の劉陽さんみたいなものなのね…

・しかし、これもそれも女が戦士に向かないために軽んじられていたせいだとしたら大変遺憾です。

・ヘレネーさんは誘拐され中テセウスにバージンで無く、
バックバージンを奪われたちゅう伝承もあるらしい…よ…。
(スパルタの結婚前の若者の性交の風習になぞらえてらしいけど)
   てせうす、お前……

それにしても、プルタルコスの『愛をめぐる対話』が絶版になっているのが悔やまれます。
岩波さん、お願い!再版して!


プリーズ、ジーヴス 1 (1) (花とゆめCOMICSスペシャル)

勝田 文 / 白泉社

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勝田文著『プリーズ、ジーヴス』
原作者がP・G・ウッドハウスだというので手にとってみた。
二つの大戦の間の短い平和を謳歌するロンドンが舞台の執事の話。
というか、正しくは従者の話。
執事(バトラー)は家付の従僕で、従者(ヴァレー)は個人付なのだそうな。
のんきで抜けてるぼっちゃんと、彼付のしっかり者の従者のコメディなのですが
この従者、完璧です。
常に冷静で、取り乱さず、何でも知っていて、準備も万端です。
もちろん、完璧な従者たる者、大声で笑ったりほくそ笑んだりもしません(常にすまし顔)。
素敵です。
また、大戦間のあのモダンな時代背景も良い!ポワロの時代じゃないですか!
ヴィクトリア朝も良いけど、あの時代のコルセットから開放された女性の服装や
短髪、メイドさんのかわゆい格好なんか、んもうほんとに素敵なんだから!
これまでウッドハウスは(名前はよく見るわりに)手に取ったことがなかったのですが
ちょっと読んでみようかという気になりました。



長くなったので『靴屋と市長』『地中海世界を彩った人たち』はまた今度…
(新幹線で読み終わったんだー)
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by mi-narai | 2009-03-09 22:22 | 2009年3月の読書
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