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『エトルリア人』『比較言語学入門』『世界の言語入門』『古代ギリシアの同性愛』

読み終わった本が溜まってしまった…

ドミニク ブリケル著『エトルリア人-ローマの先住民族起源・文明・言語』読了。
言語に関しては、以前読んだ大英博物館叢書の『エトルリア語』の方が詳しいのですが
…『エトルリア語』にはエトルリア語は屈折語だと書いてあったのに
こっちの本には膠着語だと書いてあります…よ(単語に屈折はあるらしいけど)?
この本の方が新しいのだから今のところ膠着語である蓋然性のほうが高いと判断していいのかしら。
いや、前から膠着語っぽいよなと思ってたんだ、マジで(笑)

後、エトルリア語は有声音(=日本語で言うところの濁音)を持たないという音韻上の特徴を
説明する段で、今回はディオメデスが例に上げられてたんですが
(Dの音が多いから。エトルリア語にないOの音も使ってるし)

エトルリア語でディオメデスは「ティウミテ」なんだそうな。

ティウミテとウトステ……なんか可愛いなあ。

あとがきの平田先生の解説も、なかなか面白かったです。
久しぶりにツィラトとかプルトとかいった官職名を見ました。

ところで、ギリシア人がエトルリアの対岸に植民地を作ったのが8世紀頃で、
エトルリアの黄金期もその時期以降だから、
当然エトルリア人が海賊だという都市伝説(笑)が広まったのもそれ以降、
つまり、ディオニュソスが海賊に襲われて海賊がイルカに変わったというあの
エピソードが成立したのもそれ以降なのかしら。
とすると、ディオニュソスがギリシアに入ってきたのは比較的後からだという
学者先生方の意見はあながち間違いじゃないのだなあ
……などと妙なところで感心してしまいました。
いやまあエピソードなんて後からどんどん付け足されるから一概に言えないんですけどね~


高津春繁先生の『比較言語学入門』読了。
読み終わって随分時間が経ってしまったので、心に残ってることを箇条書きに書き出してみます。

・「コリントス」などといった「ントス」という音を含む地名の中にあるνθという要素が、
実は先住民の言語の古い形を残している
(=つまり、「コリントス」や「ラビリントス」といった単語は非ギリシア系)
と言う有名な事実がこの本に既に載ってます!
で、感心しながらふと思ったのですが
確か、エトルリア語も印欧語族進入前の古い地中海民族の言葉じゃなかったっけ。
→じゃあ、その「コリントス」系の古い言語ってのはエトルリア語と同系統だったりしないのかしら。
地理的にも近いからありえないことでもなさそうな気はするけど…多分違うんだろうな。

・エトルリア起源のローマ名も載ってる!
おおおお、初読時のわたしは一体どこに目をぉぉおおお!!(激しく後悔)

・比較言語学を行うためにはその言語を知悉しておかねばならない
→なんと高津先生はもともと言語学畑の人らしいです。 
最専門はギリシャ語の方言研究なのだとか。
どうも西洋古典文学の訳や辞典などでお目にかかることが多いから勝手に文学畑の人なのだと思ってました。
でも言われてみれば、古ギリシア語やろうと思えば古典を読み込むしかないもんな。納得納得。


世界の言語入門 (講談社現代新書)

黒田 龍之助 / 講談社

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黒田龍之助著『世界の言語入門』読了。
『比較言語学入門』が比較的硬めの本だったので、次の本を読む前の息抜きに読み始めて、
あっちゅう間に読み終えてしまいました。
90の言語について、2ページづつつれづれとつづられた言語の紹介本兼エッセイ集。
若干ムネムネ調。
時には作者の雑感で終わってる言語なんかもあるんだけど、
それでもスラブ語派の専門家である著者のこと、ところどころの鋭いツッコミにはどきっとします。
いや、面白かった。そして、いろんな言語を勉強したくなりました。
この本だけでもワタシが少しもかじってない全く知らない語族が
アフロ・アジアとオーストロネシアとニジェール・コンゴ、エスキモー・アリュート
ウラル、コーカサス、タイ・カダイ、ドラヴィダ、8個もあります!
語尾じゃなくて語頭が格変化するらしいニジェール・コンゴ語族とか、
んもう気になって仕方ありません!
読みやすいので誰にでも気軽におススメできる一冊。

あと、バルト3国のうちエストニアだけはフィン・ウゴル語派でフィンランド語と近いと知って、
だからエストニアとフィンランドは仲がいいのかと今更納得しました。


さらに息抜きに『週間世界の美術館No.29大英博物館②』を衝動買い。
表紙が例のペンテシレイアの首を刺すアキレウスだったからさ。
たいした記述がないのは百も承知なので純然たる観賞用です。
芸術の良し悪しがさっぱり分からないので美術館にはあまり興味はないのですが、
遺物は大好き☆博物館、いいよな~……。

そして、ボッティチェリが実はアテナも描いていた事を初めて知りました。


古代ギリシアの同性愛

K.J. ドーヴァー / 青土社

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K・J・ドーヴァー著『古代ギリシアの同性愛 新版』を読み始めました。
まだまだ序盤なんですが、本の最初にまとめて載ってる壷絵の写真。
写真に付されてる(おそらく著者による)解説がたまらんのです…!!!!

例1:「一つの衣に包まれた男と若者。多分性交中である」
いや、分からんやろ!

例2:「手ごたえのある少年を抱く若者」
手ごたえって一体その根拠は…

例3:「テセウスの恥毛の僅少な点に注意」
そこは注意すべきとこなんだね…

例4:「若者が他の若者の肛門に指をあてがう。多分、悪ふざけ」
カンチョー!(爆笑)

例5:「ヘラクレス。筋肉構造と性器の小ささに注意」
あ、こりゃ確かにちっちゃい。

例6:「異常に体毛の多い裸の男」
ほっといたれよーー!!!

ああもう、出勤電車の中で顔が笑っちゃって仕方なかったです。
どうしてくれよう、もう!
by mi-narai | 2009-02-12 00:37 | 2009年2月の読書
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