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『「いき」の構造』 『激動のトルコ』

九鬼周造著『「いき」の構造』読了。
1冊の中に、表題作『「いき」の構造』の他、
『風流に関する一考察』、『情緒の系図』の2編が入ってますがどっちも読み終えた。
風流に関する考察と、短歌を例に挙げつつ情緒というものについての見解が述べられてました。
九鬼先生って、こういった心の動きのような目に見えないものの範囲を
図で説明するのが好きなんだなあ…。
「いき」は縦長の6面体、風流は正8面体で説明されてました。
情緒、はさすがにもっと複雑な図がかいてありましたが(でもやっぱり図形)。

読み終わって振り返ると、一般人には分かりづらい「哲学書」っていうより
プラトンの対話編を思い出した。

で、あとがきで九鬼先生は東京生まれの江戸っ子だと知って、ああ、それでこんな著書が生まれたのねと妙に納得しました。
(解説を書いておられる関西生まれ関西育ちの多田先生の
「「いき」という言葉も美意識も江戸のものである。
だから上方の人間にとってはどうでもいいようなものの」

の部分にも、「まあ、そうなんだけどね」と頷いてしまいましたが)
あと、九鬼先生って大正時代から昭和初期にかけてヨーロッパに居て、
パリの哲学界では若き俊秀で通り、ハイデッガーから高く評価され、
ベルクソンにも認められ、サルトルが家庭教師までしてたらしい。
なんか、すごいですね。


以下、『情緒の系図』でうまいこと書いてるなあと思った箇所と、
気に入った短歌をメモ。

・「「恋しい」とは、一つの片割れが他の片割れを求めて全きものになろうとする
感情であり、「寂しい」とは、片割れが片割れとして自覚する感情である」(P152)

・「甘味を味わうのは、甘える方と甘えられる方と双方ともである。この「甘え」の
甘味は愛の味として、「憎」の苦味に対しているもののようである。」(P161)


寂しければ渚に立ちて朝を見るこの青海は君に続けり(神谷昌枝)

冴えわたる月の下びにいとせめて妻にやさしく物を言はばや(大橋松平)

激動のトルコ―9・11以後のイスラームとヨーロッパ
/ 明石書店
ISBN : 4750327573
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内藤正典編集『激動のトルコ』読み始めました。
やはり、トルコ好きを自認するなら、現代トルコについても知っておくべきか、と思ったので
図書館で借りてみました。
とりあえず、序文と第1章は読み終わった。真っ先に

EUに入れたれや!!!

としつこく腹が立ちました。ヨーロッパ諸国め…
トルコが建国以来の世俗主義を捨て去ってイスラム色を強めたら全部あんたらのせいやで(若干濡れ衣)
とりあえず、ここんところのトルコの政治の動きの概観は分かったような気になりました。
トルコの軍部の特殊な位置づけとか。
今、2章のPKK(←クルドの過激派組織。トルコ国内のクルド人の独立を掲げてます)問題に
ついての文章を読み進み中。
今年に入って、「トルコが越境してイラク北部のPKK拠点を攻撃」、っていう記事を新聞で読んだときは
また思い切ったことやったなあ(これを口実にまたEUが加盟を阻もうとするよ~)と
思いましたが、この本でそこに行くまでの流れや、ギリギリまで頑張って我慢したトルコ側の
忍耐などを思うと、なんか、気の毒になってきました…。
クルド問題もなあ…。
後、密接にアメリカとやり取りしてるのが意外でした。
(アメリカもここんとこイラクで色々やってたもんな。比較的安定してるイラク北部の
クルド自治政府とは仲良くやっときたいんですよね)
by mi-narai | 2008-06-30 23:12 | 2008年6月の読書
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