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『アマテラスの誕生』 『日本神話入門』 『福家警部補の再訪』

ひとつ前の日記に
「めんだって初めて聞いた!」と興奮気味に書いたらば、
数人のB州出身者に「今でも使います」と口々に突っ込みをもらいました。
それは実にすまんかった!!
単にわたしの住まっておる地域がB州の端っこすぎて
方言の浸透具合が薄すぎただけじゃった!
けど、ちゃんとまだ方言が使われてると思うと、ちょっと嬉しかったりもしました。
流石に共通語にはならないだろうけど、関西弁話者も標準関西弁的な、分かりやすい関西弁を
つい使いがちですものね。
わたしだって、~とって敬語じゃなくて、~はる敬語使っちゃうし…
(でも「~はる」敬語は嫌味にも使えて色々用途が広いんだよ)
これからは意識的に~とって敬語を使おうと心に決めました。




アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る (岩波新書)

溝口 睦子 / 岩波書店

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溝口睦子著『アマテラスの誕生』読了。
いや、日帰りバスツアーで伊勢参りに行くことにしたんで(今年式年遷宮だしな)
ちょっと予習しとこうかなと思って、積読本の中からチョイスしました。
(どれだけ未読本をため込めば気が済むのか)
軽い気持ちで読み始めたんですが、

これ、面白い!!

まず、その辺のさらっと日本神話を紹介する本と違って、
ちゃんと研究していらっしゃる先生が、根拠とか、現在の説とか、示しながら、
「これはわたしの意見であってまだ決まったわけじゃないけど」とちゃんと
言い置いて、自説を展開するのが、たいへん好感度高かったのです。
こう、きっちり正攻法でアマテラスを考えてる、という感じが。
次に、タカミムスヒ関連のあれこれがこれまたものすごい面白かった!
アマテラスの方が先に日本列島に定着してて、タカミムスヒは後から来た神らしいよ。
ちなみに、北方遊牧民系の神らしい。
著者の考えでは、タカミムスヒこそが、そもそも王家の始祖神だったんじゃねえかと。
このタカミムスヒは天空紳で、立ち位置的にはローマ神話でいうところのユピテルなので、
なのでこれが天皇の祖といわれると、意外とすんなりきます。
アマテラスが王権の源といわれるよりは納得する。
(そののち、なんか色々事情があって、日本史的大事件が起こって
アマテラスが盛り返したり、タカミムスヒに徐々に取って代わったりして
現在の「天皇家のご先祖はアマテラス」、みたいなことになったみたいなんだけど)
なんか、そんな変遷聞くのがものっそい楽しかったです!
(でもほんと、この本では他の部分は棚上げして
天孫降臨部分のアマテラスとタカミムスヒの部分ことのみを語っているので、
他の部分が気になる方、全体的なことが知りたい方などには物足りないかも。)



日本神話入門―『古事記』をよむ (岩波ジュニア新書 (453))

阪下 圭八 / 岩波書店

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阪下圭八著『日本神話入門』
子供向けの岩波ジュニア新書の分です。
なので、大変読みやすい。かといって、岩波少年文庫の物語として古事記を書いてあるのとは違って
軽い解説本の態です。
流石に古事記本も巻数を重ねると、この人はこういう説なのだなあみたいな目で見てしまうもので、
この本も例に漏れずフィルターを通して見てしまいましたが、
まあ、割合面白いです。
流石にジュニア向けなのでそんなに極端な説にも偏らず、さらっと説明してある感じ。
でも表面だけじゃなくて他の神話との比較とか交えつつ、物語としてだけでない
神話というものの本質(というと大げさか)にも一部踏み込んだ内容になってて、
入門にはほんとうにうってつけの良い本だと思いました。まさにこれこそ「日本神話入門」。
古事記だけでなく、風土記とか万葉集にも言及があるのは嬉しいところ。
オオクニヌシとスクナヒコナの我慢比べの話には吹きました。
こいつら、言うに事欠いて、便意を我慢するのと、重い荷物我慢するの、どっちが大変かとか
そんなアホなこと大真面目にやってて、最終的に道端で排泄して、地名にまでなってやがりますよ。
しかもこれ播磨国風土記なんだ…(ご先祖様…)


翌日読了。

古事記って、最初の神々の話が取り上げられがちですが、
中・下巻は、天孫降臨後の初代天皇の話なんですよね。
もちろん、史実ってよりは、ローマの最初の5人の王とか、テセウスとかミノスみたいに
ほぼ伝承上の人物たちなんですけども。
神話と伝承の微妙な混ざり具合がローマの初期の歴史っぽい。
背景として、古事記が成立した飛鳥朝(だっけ?)の中大兄とか大海とか、額田王とかの名前が
でてきて、むかしおばちゃんに貸してもらった『天上の虹』を大いに思い出しましたよ。
日本という国名が使われ始めたのもこの時期だといわれてるんだけども、
確かに『日本書紀』のタイトルにそのものズバリ日本って国名が使われてるわな。なんか、納得。
後、最後の辺の出雲風土記の中の国引き神話、よそから土地を引っ張ってきて
自分ちにくっつけちゃう話、なんか、こういうの、北欧でもあったよなーなどと。
イザナギ・イザナミの国生み神話はあからさまに南方系だと思うけど、
別系統の神話も伝わってたんだなあ、と、当たり前のことですがそのことをしみじみ感じました。



福家警部補の再訪 (創元推理文庫)

大倉 崇裕 / 東京創元社

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大倉 崇裕著『福家警部補の再訪』読了。
『挨拶』から引き続き正統派倒叙型ミステリー
(冒頭で、犯人視点による犯罪場面が描かれ、作中で福家警部補が捜査の過程でひとつづつ小さな
証拠を集めて、そこから犯人に到達していく、という流れ)
これも、地味ながら堅実な印象の、良質ミステリーでした。
なんか、この形式、犯人に感情移入してしまいますね~。
後、福家警部補の睡眠時間のなさと趣味範囲の広さにびっくりした。
by mi-narai | 2013-09-23 00:01 | 2013年下半期の読書
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